かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

ひよし保育園

対象事業所名 ひよし保育園
経営主体(法人等) 社会福祉法人 都筑福祉会
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 212 - 0055
幸区南加瀬2-9-20
tel:044-588-3555
設立年月日 2015(平成27)年04月01日
公表年月 2018(平成30)年02月 〜
使用評価項目 川崎市版
評価機関名 特定非営利活動法人 ナルク 神奈川第三者評価事業部
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

【施設の立地・特徴】
「ひよし保育園」は、東急東横線元住吉駅、日吉駅からバスで10分、バス停越路より徒歩4分の住宅街にあります。社会福祉法人都筑福祉会が、平成25年に川崎市立日吉保育園の民間移管を受託し、園舎を立て替えて平成27年4月1日にひよし保育園として開設しました。現在0歳児から5歳児まで定員の75名が在園し、一時保育も受け入れています。


園舎は木造2階建てで、南に面して338.23uの園庭があり、芝生を植えて、子どもたちは裸足でかけまわっています。木登り、竹馬、ボルダリング(クライミング遊具)、ビオトープや水田などの環境を整え、また、夢見ヶ崎動物公園が近く、散歩や遠足に利用するなど、子どもの戸外活動を豊かにする環境にあります。
 


【特に優れていると思われる点】
1.子どもの興味・関心を広げる絵本コーナーと園庭環境の工夫
 子どもの心身の発達のために何が必要かを考えて、園舎内外の環境を整えています。絵本の専門家のアドバイスを受けて質の高い絵本を揃え、薪ストーブのある家庭的であたたかい雰囲気の空間で落ち着いて読めるようにしています。園庭には実のなる木を植え、カブト虫ハウス、金魚やめだかのいるビオトープ、水田や畑などがあり、栽培や飼育を積極的に行って、子どもの興味・関心を広げています。また、子どもの発達チェックを参考に、伸ばしたい身体機能を高める遊具を選定して取り入れて、遊びながら高められるようにしています。


2.食育の取り組み
食と健康、楽しい食事の雰囲気、文化、命の育ち(栽培)、料理の面から年間食育計画を策定し、食育に取り組んでいます。正しい箸の持ち方を身に着けることも含め、発達過程に沿って段階的に進めています。保育の年間テーマに合わせ、世界の料理や日本の料理を献立に取り入れて、食文化を伝えています。園庭で野菜や稲を栽培して食育につなげるほか、収穫したお米の脱穀を保護者にも体験してもらい、保護者と子どもの学びを共有しています。


3.保護者に園の取り組みを伝える工夫
 毎月の園だよりやクラスだよりで、丁寧に保育者の思いや子どもの様子を伝えるほか、お迎え時に保育の様子をスライドで上映したり、クラスの活動の様子を写真に撮ってファイルにまとめ、いつでも見られるようにしています。また、入園時から一人一人の写真に保育士のメッセージを添えて、また保護者にも毎年1ページを作ってもらい、ポートフォリオ「○○ちゃんのあしあと」としてまとめ、卒園時に渡しています。「保育の見える化」に取り組み、保護者とともに子どもの成長の過程を実感できるようにしています。


【特に改善や工夫などを期待したい点】
1.保護者が意見を言いやすい配慮を
園の苦情受付は主任で、解決責任者は園長、第三者委員を設置法人監事として、重要事項説明書に明記していますが、人権擁護委員会や区役所の相談窓口など、園以外の相談先があることを文書化して掲示したり、第三者委員の存在を広く保護者に知らせることが望まれます。また、園で行うアンケートはすべて記名式となっていますので、保護者が苦情や意見を申し出やすいように、匿名式の意見カードやアンケートを取り入れることが期待されます。


2.定期的なマニュアルの確認を
各種マニュアルを整備し、デイリープログラムに保育士の動きや配慮事項を詳細に明記してマニュアル化して保育にあたっています。設置法人は、職員間のコミュニケーションを図る研修を積極的に行っていますが、保育の研修は多くありません。定期的にマニュアルを全員で確認し、マニュアルに沿った対応ができているかどうか、職員同士で確認し合う雰囲気づくりが望まれます。


3.お迎え時の保護者との交流
園は年に2回CSアンケート(顧客満足度調査)を行うなど保護者の意向把握に努め、「保育の見える化」を目標に、保護者に園で過ごす子どもたちの様子を写真や映像で保護者に伝えていますが、お迎え時に保護者一人一人と直接言葉を交わすことにあまり注力されていないようです。保護者アンケートでも、「保育について職員と話をすることができるか」の項目の満足度が低くなっています。保護者にその日あった子どものエピソードを伝えるなど、保護者と顔を合わせ、さらなる信頼関係を築かれることが期待されます。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重

・保育理念は「児童福祉法に基づき、より良い環境のもと、一人一人に沢山の愛情を注ぎ、健やかで心豊かな子どもたちを育てる」、保育方針は「『遊びは学び』という考えに立って、年齢を問わず友達との関わりの場を設け、嬉しいこと、楽しいこと、悲しいことや悔しいことをたくさん経験させる。一人一人の個性を尊重し、長所を伸ばします」として、子どもを尊重したサービスを行うことを明示しています。


保育課程に、保育姿勢として、子どもの話を聞く姿勢、心にゆとりを持って穏やかに接する、子どもの良いところを見つけて褒めることを明記しています。デイリープログラムには標準的実施方法を記載して、職員は実践に努めています。


・園長が幸区の人権研修に参加して、それをもとに職員会議で子どもの権利条約4つの柱(生きる権利・守られる権利・育つ権利・参加する権利)を確認しています。


・「ひよし保育園マニュアル」に虐待の発見と対応策が明記してあり、職員に配布して周知しています。日々の子どもの観察を行い、保護者との会話の中に支援が必要だと感じた場合は、声かけをして虐待防止に努めています。


・子どもの写真や、園で取り扱う個人情報を関係機関とやり取りするケースについて、重要事項説明書に明記し、保護者の了承を得ています。


・人をポジティブにする言葉や態度、ネガティブにする言葉や態度(ハートの内側・外側)についてKJ法(意見を付箋などカードに記述して分類し、問題解決につなげていく手法)で、子どもや職場の人間関係を良くするための園内研修を行っています。

2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

・事務所前に意見箱を設置し、年2回記名式で満足度調査も行っています。また、保育参観や行事後には、記名式の自由記入アンケートを配布しています。


・年1回、保護者への個人面談を行っています。1歳児では保護者出席率の高い保育参観日に面談を行うなど、保護者への効率的な時間の配慮もしています。


・アンケート実施後には園長、主任が保護者役員会に参加し、結果報告、園の対応などを説明したり、園だよりなどでも園の対応や回答を伝えています。保育参観、行事後アンケートなどから保護者の思いを吸い上げて、次年度に繋げています。


・苦情受付担当は主任、解決責任者は園長、第三者委員は法人監事とし、重要事項説明書に明記して入園説明会で説明し、解決の仕組みについて掲示しています。


・個人が特定できる苦情などは、必ず保護者へフィードバックし、掲示する場合は、プライバシーに配慮して個人名は出さないようにしています。


・公立園からの引き継ぎの際に、保護者からの要望を受けて竹馬や太鼓を引き継ぎ、日常保育に取り入れています。


・子どもの生活や遊びが豊かになるように、毎年園のテーマを決め、グループ製作やクラス製作を取り入れています。


・日常的に異年齢で散歩に行ったり、園庭で一緒に遊んだりしています。幼児クラスではリズム集会で異年齢交流を行っています。また、「家族」という異年齢児グループで「キッズワーカー」という園内での仕事体験をしています。


・遊具や絵本などは子どもの興味、年齢や発達に合ったものを揃えられるように、定期的に見直しをして提供しています。また、子どもが選択して遊べるように、環境を整えています。


・障がいのある子どもには、個別指導計画を作り対応しています。

3 サービスマネジメントシステムの確立

・毎週水曜日、1日5組まで見学を受け入れ、園のアピールポイントを写真入りでまとめたパンフレットを渡しています。玄関に保育目標を掲げ、スライドを上映して園での子どもの様子を見てもらい、園の理念や方針が伝わるようにしています。


・新入園児の「ならし保育」の重要性を保護者に説明し、重要事項説明書に子どもの負担に配慮した、年齢ごとの進め方を明記しています。


・0、1歳児の新入園児に対しては、授乳、午睡、着脱、排泄など個別担当者を決め、安心して登園し愛着関係が築けるように配慮しています。おしゃぶり、タオル、ぬいぐるみなど、心の拠り所となるものの持ち込みを受け入れています。


・年長児担任や園長が幸区の会議に出席して、就学に向けて、あいさつ、手洗いうがい、歯磨きができると良いことを聞いて、保護者に懇談会で知らせ、保育に反映させています。散歩先の公園であえて和式トイレを使用して練習しています。


・子どもの情報の開示については、「個人情報の利用に関する合意」「関係機関への相談に関する制約事項」として重要事項説明書に明記しています。


・クラスの様子、子どもの情報は職員会議の前に所定の書式に入力して各職員にメール配信し、職員会議で検討しています。日々の連携は、職員は始業時に事務所の「伝達ノート」を見て事務連絡などを確認し、クラスごとに保護者からの伝達事項と保護者への伝達事項を書く「伝達表」を見て子どもの状況を確認しています。


・事故発生対応マニュアルや衛生管理に関するマニュアルがあり、これに基づいて救命救急法の研修や看護師による感染症対策の園内研修を行っています。


ヒヤリハット、アクシデントがあった場合の記録を決められた書式に残し、職員の伝達ノートに貼って共有しています。未然・再発防止策を検討し、環境面での改善などは可能な限りすぐに対応しています。

4 地域との交流・連携

・町内会の掲示板に夏祭り、運動会、お楽しみ会のポスターを掲示しています。


・幸区役所発行の「親子読み語りタイム」に、地域の未就園児親子に向けての情報を掲載しています。毎週水曜日9時〜11時まで園見学と園庭開放を行い、その後は絵本の読み聞かせや育児相談を行っています。誕生会への参加や、看護師による身体測定も行っています。


・川崎市幸区の担当者や児童相談所と連携して一時保育も受け入れ、必要に応じてケースカンファレンスに参加し、関係機関と問題解決に向けて話し合っています。


・就学に向けて、年長児は小学校が開催する交流会や、幸区の年長児交流会に参加しています。


・園長、主任、担当職員が地域の会議などに参加し、地域の福祉ニーズの把握に努めています。また、園長は地域の民生委員や主任児童委員のエリア会議などに参加し、地域の情報把握に努めています。

5 運営上の透明性の確保と継続性

・設置法人総会には、非常勤を含む全職員が参加し、理事長から理念や基本方針の説明をうけています。保育目標も理念や保育方針に基づいて、職員間で意見を出し合って決めたものとなっており、「よく遊び、心もからだも豊かな子」と掲げ、詳細部分の説明も明示しています。


・理念や基本方針を説明した入園のしおりや重要事項説明書を作成し、保護者へは毎年4月の保育内容説明会で事業計画もあわせて説明しています。玄関掲示板に、事業計画などを閲覧ファイルとして置き、自由に見られるようにしています。


・設置法人では平成29年〜31年の5年間の中長期計画を策定し、長期的な展望と各年度の目標を明確にしています。毎月設置法人の執行委員会で、保育内容、職員体制、人材育成の現状分析を行い、課題を明確にしています。


・園の事業計画は園長、主任で策定し、保育内容については満足度調査結果から取り組み内容を決めています。職員会議で事業計画の進歩状況の確認を行い、園長、主任が職員にアドバイスをしながら継続的な取り組みを行っています。

・職員は毎日、保育日誌で自己評価を行い、週案、月案でも自己評価をして、年度末には職員会議で全体での確認、振り返りをしています。


・園長が一年の取り組みに関しての園の自己評価を作成し、理事会で報告しています。園の自己評価は理事会で分析・検討し、設置法人のホームページにも掲載しています。職員は設置法人総会に参加しており、課題は共有できています。また、保護者アンケート実施後は職員会議で課題を検討して、今後の取り組みに繋げています。園の自己評価を分析した結果は、翌年度の事業計画に取り込まれています。


・福祉サービスのニーズ、潜在的利用者に関するデータなどは、川崎市幸区保健福祉センターより情報を得て、地域的に待機児童が多いということを把握し、平成28年度は定員変更を行い、0、1歳児の受け入れ枠を広げています。1歳児の入所希望者が多いことから、平成30年度も定員80名への変更を申請する計画があります。


・設置法人の各部門が定期的に経営会議を行って、各月の時間当たり採算の報告、重点項目の取り組み報告、翌月の計画などについて部門ごとに分析しています。

6 職員の資質向上の促進

・理念や方針、目標達成のための実践を通し、設置法人のさらなる成長を実現できる人材の育成を図ることを、人事制度の基本方針としています。採用にあたっては、法人理念や方針を理解・共感できる人材であることを大切にしています。


・資格等級を定めた人事考課基準があり、職員はキャリアアップシートをもとに年2回自己査定を行っており、職員の昇格や賃金決定の根拠となるものであることを、職員に周知しています。キャリアアップシートには、入職3年まで、3〜10年、10年以上と、職員の経験別に保育で期待する能力と、それを獲得するために必要な研修を明示しています。


・考課に際し、職員は理事長、系列園園長、園長と面談しています。考課後のフィードバックで求められる姿と自己の現在の姿を知ることができます。


・設置法人内の研修のほか、他川崎市や幸区の外部研修にも職員は経験に合わせて参加しています。


・研修を受けた職員はレポートを作成し、職員間で回覧して共有しています。内容によっては職員会議、系列園、また設置法人総会で発表する機会があります。


・設置法人事務と連携し園長・主任が職員の就業状況を分析して、常勤・非常勤を問わず誰もが気持ち良く休みがとれるように配慮しています。


・職員の就業状況が、系列保育園と差異が出ないように連携して把握し、必要に応じ応援体制をとることもあります。人事考課にともない年2回以上個別に面談するほか、日頃から職員に声をかけ、意向・要望を聞いています。


・理事長が弁護士であり、系列保育園に臨床心理士の資格を持つ職員がおり、職員は心配なことは相談できる体制があります。園内では主任が中心となり職員の悩みを聞いています。

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