かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

上の原保育園(3回目受審)

対象事業所名 上の原保育園(3回目受審)
経営主体(法人等) 社会福祉法人 虹の会
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 241 - 0015
旭区小高町104-5
tel:045-370-1152
設立年月日 2005(平成17)年04月01日
公表年月 2018(平成30)年02月 〜
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 株式会社フィールズ
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

[施設の概要]
横浜市認可保育所「上の原保育園」は相鉄線鶴ヶ峰駅からバスで5分程のバス停より徒歩10分の緑に囲まれた住宅地にあります。周辺は住宅や畑、雑木林に囲まれた静かな立地です。敷地面積は広く、高低差のある広い園庭、コンクリート2階建てで2つの中庭のある園舎という恵まれた保育環境です。
運営主体は社会福祉法人虹の会で、平成17年4月に開園し、現在の利用者70名(定員60名)の中規模保育園です。近くには姉妹園の学校法人金子学園上の原幼稚園があります。「元気な子ども、仲の良い子ども、考える子ども、自分のことが自分でできる子ども」を保育目標とし、緑や土に囲まれた環境を活かし遊びや活動を通して、健康、社会性、思考力、自立性を育てています。


≪優れている点≫
1. 広い敷地や豊かな自然環境を利用して体を鍛え自然に親しむ機会を増やしています
広い園庭(外庭)、乳児専用の園庭、園庭に隣接する畑、ランチルームの両側の中庭、2階のテラス、芝生広場の他に近隣の公園など屋外活動のできる場所が多数あります。園では年齢、運動能力、目的に応じてこれらの場所を使い分けています。広い園庭は、フリースペースに加え、坂登りのできる斜面や多種のアスレチックがあります。最近ではロープで登り降りする複合遊具も据え付け、子どもの挑戦する場となっています。乳児専用の園庭には0〜2歳児向けの遊具を置いています。プール遊びはテラスと中庭の2か所で同時に行えます。4・5歳児クラスはマットや鉄棒、ドッジボールなどを行う体操指導の時間がほぼ毎週あります。
子どもたちにいろいろなことを体験してほしいと考え、豊かな自然環境を利用して、飼育や栽培にも力を入れています。蚕を園庭の桑の木で育て、絹糸を取っています。園庭には梅、みかん、柿など実の成る木もあり、収穫して果実を味わい、ジュースにしています。クラスごとに畑や園庭のプランターで野菜の栽培、収穫を行っています。園庭に井戸があり、子どもが自然の水の存在を知る機会になっています。近隣に公園が数多くあり、3〜5歳児クラスは少し遠い場所にも足を運んで、川遊び、崖登り、落ち葉のプールを楽しんでいます。


2.数多くのおもちゃや専門家の指導などで室内活動の充実を図っています
子どもたちの手が届く所におもちゃがあり、取り出しやすいように写真付きの箱に入れ、棚に並べて収納しています。各保育室に十分な量や種類のおもちゃがあり、ランチルームにもさまざまな年齢向けのおもちゃがそろっています。教材室などに収納してあるおもちゃを入れ替えて、子どもが飽きないようにしています。保育向上プロジェクトチームを作り、発達状況に応じたおもちゃや遊び、活動を精査しています。移動式のパーテーションやジョイントマットを使って空間を区切り、落ち着いて遊びこめる環境作りに努めています。
また製作では、子どもたちが自由に創造する機会を作っています。0〜2歳児クラスはフィンガーペインティング、新聞紙遊びなど、全身を使って表現できる環境を整えています。3〜5歳児クラスでは、ワゴンから塗り絵、折り紙、あやとりなどを取り出し、それぞれ好きなことをして遊んでいます。年に1度廃材遊びをする期間もあります。月に3回絵画教室があり、テーマに沿って表現しています。
広いランチルームを活用して、年齢に合わせた体操、リズム遊び、わらべうた遊びもしています。今年度から3〜5歳児は月2回歌唱指導の時間があり、きれいな声で歌う楽しさを感じ始めています。


3. 子どもと地域の人々が日常的に交流しています。
3・4歳児が月1回高齢者のグループホームを訪問し、全園児で12月にサンタの衣装を着て、5か所のグループホームや介護老人施設を訪問しています。地域のどんと焼の行事には、園児向けの小さな団子を作ってもらい参加しています。定期的に他園や小学校との交流を行っており、他園と2歳児交流・5歳児交流を行ったり、5歳児と小学生が互いに行き来したりしています。特に地域の5歳児で入学する小学校別にグループを作り年4回ゲーム遊び、ドッジボール大会などを行い、未来の同級生たちと顔見知りになっています。
園庭開放・お誕生会・クリスマス会・そうめん流しなど、地域の親子が園の子どもと共に過ごす機会が数多くあるだけでなく、敬老の日、勤労感謝の日のための催し・クリスマス会・運動会など地域の方を招待して楽しむ行事も多いです。園の畑でたくさんとれた収穫物は、子どもたちと一緒に近隣の家庭におすそ分けしています。災害時に地域の生活水として提供できるようにするため、園庭に井戸を掘削して、地域にPRしています。
また、ボランティアとして園にかかわる多くの地域の人々もいます。USJ(上の原保育園手芸女子)というボランティアグループが定期的に園で活動を行い、布でおもちゃや卒園式に子どもたちがつけるコサージュなどを作っています。畑仕事や庭いじりの得意な複数の地域の方が、今では非常勤職員として食育活動などを支えています。



≪努力・工夫している点≫
1.エコ保育園認証を受けて、ゴミ減量化・省エネルギーの促進、緑化を推進しています
裏紙を使用してのお絵かき、廃材を使って製作、ペットボトルのキャップ回収BOXを玄関に設置し、リサイクル運動に取り組んでいます。環境局のごみの分別についての講習を受け、子どもたちが楽しみながら分別について学ぶ機会をつくり、分別を行っています。
太陽光発電パネルの設置や夏場は、遮光カーテンや、ゴーヤを栽培して緑のカーテン、ガラス窓に飛散防止も兼ね日射調整・遮熱フィルムを貼り、交換可能な箇所はLED電球にし、節電しています。自然に返るゴミは、土の中に埋め(グリーンコンポスト)、生垣・樹木も管理しています。こうした取り組みにより横浜市のエコ保育園の認証を受けています。


≪課題や改善することが期待される事項≫
1.年間食育計画を作成することが有効と思われます
園では、1歳児からの各クラスの年間指導計画の項目に食育を入れ、食器の使い方、食事のマナー、栄養の知識、野菜の栽培などについて四半期ごとの計画内容を記しています。また、作物栽培やその収穫物の調理体験の機会も多種多様で、サンマの塩焼きやもちつきなどの食に関するイベントも季節ごとに楽しめるようになっています。
しかし、これらの活動や実施の記録において、食育全体における位置づけが弱いように思われます。年間食育計画を年間指導計画から独立した形で作成し、その中に現在実施されている食育関連の活動をねらいや配慮事項も含めて組み込むことで、活動の意義や期待される効果を明確にすることが期待されます。


2.保育園としての幅のある自己評価に向けた検討が期待されます
職員の自己評価は、保育士の子どもへの関りや職員間の協力、自身の仕事に対する自己評価になっています。この自己評価や保護者のアンケートを基本にして、グルーブ別に話し合いを行い保育園の自己評価とし、改善に向けた取り組みをしています。
しかし、この自己評価は実施内容が中心となっていますので、更に理念や方針、保育課程と関連した自己評価へ一歩進めることが有効と思われます。園の組織や運営に関わる人事制度、安全性・事故対策、個人情報保護、感染症対策、地域との関りなど幅のある園の自己評価を検討することが期待されます。


評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重

保育方針「子どもの人権・主体性を尊重します。子どもの最善の幸福を目指します。」及び保育目標「元気な子ども・仲の良い子ども・考える子ども・自分のことが自分でできる子ども」は、利用者本人を尊重しています。保育園設立準備期間に園長はじめ職員が話し合い策定しました。保育方針・保育目標は、重要事項説明書に掲載しており職員は入職時に、保護者には入園時に説明し配布しています。また、各保育室など保護者や職員が目にする所に掲示しています。子どもの元気な姿や自主的に行動する姿から方針や目標に沿う保育を実践しています。


入職時や実習生の実習開始時には、守秘義務について説明し誓約書を取っています。「プライバシー保護・個人情報取り扱いに関する方針」があり、全職員に周知し、配布しています。保育園外では、園児の話はしないよう常に気を配っています。園内での掲示やホームページなどに写真を載せる際の同意も保護者から取っています。個人情報の掲載文書は焼却処分をしています。個人情報に関する書類を渡すときは目に触れないよう封筒に入れて手渡ししています。


虐待防止・対応マニュアル・チェックリストを整備し、虐待の定義を全職員に周知しています。虐待が疑わしい場合には、関係機関に通告、相談の流れは「虐待行為禁止、平等取り扱いに関する方針」に記載しています。登園時や着替えの時などに、子どもの体をよく観察し、何らかの異常を発見した際はすぐに園長に報告し、指示を仰いでいます。家庭支援の必要な保護者を把握し、それとなく保護者に声を掛けたり話をしたりしています。育児相談も随時受け付け、園長をはじめ職員がコミュニケーションを取って見守るようにしています。

2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

指導計画は日常の保育を通して子どもの意志をくみ取り計画に反映しています。理解できる子どもには必要なことは説明し、絵や写真を用いて納得できる保育を行っています。子どもの表情や動作から気持ちを察し、リズム遊びをもう1度繰り返すなど子どもが発する意欲を日常の保育に取り上げています。4・5歳児の指導計画「自然に触れて遊ぶ」では、そら豆の収穫について保育士が、実が下がっているものが収穫時期であることを伝えると子どもが考えながら選んで収穫する姿や、散歩では子どもが自主的に石を辿って川を渡ったり、カニや貝を探したりしています。子どもが楽しみ集中して遊ぶ姿を勘案し、保育時間を柔軟に変更するなど配慮が見られます。


移動式のパーテーションやジョイントマットを使って空間を区切り、落ち着いて遊びこめる環境作りに努めています。また、子どもたちが自由に創造する機会を作っています。月に3回絵画教室があり、テーマに沿った表現活動を行っています。広いランチルームでは、年齢に合わせた体操、リズム遊び、わらべうた遊びをしています。今年度から3〜5歳児は月2回歌唱指導の時間があります。


保護者懇談会は4月、7月、2月の年に3回行っています。個人面談は、年に2回、それぞれ2週間時期を定めて行っていますが、その他の日でも保護者の要望に応じて相談にのる体制を作り、必ず全保護者と面談しています。基本的な相談には担任が対応しますが、特別な内容については園長や主任が同席しています。個人面談は、使用していない保育室で行い、他の保護者の視線を気にせず安心して相談できるようにしています。個人面談の記録は個別ファイルに綴じ、面談が複数回に及んだ場合もフォローしやすくなっています。

3 サービスマネジメントシステムの確立

園舎1階はスロープ、多機能トイレがあり障がい児を受け入れる環境が整っています。各種の障がい児研修に参加し、最新情報を得て職員会議で共有し、子どもの変化に合わせた保育を行っています。療育センターや行政の巡回訪問があり、集団の中での該当児の様子を見て助言や情報をもらい、保育の在り方を学んでいます。障害の特性を考慮した個別指導計画を立て、必要に応じて1対1で保育士が付き、該当児が無理なく過ごせる様にしています。母親に対しては無理のない時間での登園、育児相談、母親のリフレッシュ時間などに配慮した支援を行っています。


苦情解決の仕組みを理解してもらうよう、重要事項説明書(しおり)に記載しています。入園進級式の時には園長が第三者委員を紹介し、その役割を保護者に説明しています。意見箱は、事務所入り口に設置していますが、写真の申し込みと同一の受け入れ箱にしてあり、保護者に配慮しています。苦情や要望は連絡帳や匿名アンケートで把握し、早めに声をかけ、大きな苦情に発展しないようにしています。


「園内での事故(けが)発生時の対応」に基づいて事故やケガに対応しています。事故発生時は、「事故報告書兼事故記録簿」に記し、発生状況や処置、受診状況だけでなく、上司や保護者への各時点での連絡状況や保護者の受け止め方についても記録しています。軽微なケガの場合は「ヒヤリハット・事故・怪我・病気等記録用紙」に記してファイリングし、職員間で伝達をして、保護者には口頭で伝えています。またヒヤリハットは、プロジェクトチームで記録の集計、傾向や対策を毎月まとめて全職員に周知しています。そして、角に緩衝材を付けるなど事故の再発防止に努めています。


4 地域との交流・連携

地域の子育て支援サービスとして、一時保育、園庭開放、育児講座を行っています。一時保育は、一時保育専用室を設け、専任の保育士を配置して急な要望にも可能な限り対処しています。一時保育で預かる子どもは午睡の習慣がない場合もあるため、午睡時間帯の過ごし方に配慮していますが、午前中の活動などに適応できそうなら、同年齢の子どものクラスで同じ活動に参加しています。育児講座は年3回開催しており、専門の講師を招いて、絵画指導、体操指導、栄養士によるおやつ作り講座を行っています。


保育園で行う行事のほとんどは一般参加が可能で、敬老の日、勤労感謝の日のための催し・流しそうめん・クリスマス会・運動会に地域の方を招待しています。運動会は卒園児、未就園児が参加できる競技を用意して招待しています。ボールプール、たすき、焼きそばの鉄板等、他園で持っていない備品は貸出をしています。園に隣接している13軒の家庭を訪問して、サツマイモなど園の畑でたくさんとれた収穫物を子どもたちと一緒におすそ分けしています。七夕の時期は近隣のグループホームに笹飾りを届けています。災害時に地域の生活水として提供できるようにするため、園庭に井戸を掘削し、地域の町内会や老人会に井戸があることを知らせています。


旭区社会福祉協議会を通して、近隣地域の小・中・高校生等のボランティアを夏休みなどに積極的に受け入れています。ボランティア受け入れマニュアルを作成し、小学生に対してはオリエンテーションの際に「ボランティアをするときの五つの約束」を配り挨拶や約束を守ることなどを伝えています。また、ボランティアとして入るクラスについて、クラス担任から配慮事項などの説明を行っています。受入れに当たり、保護者には事前に手紙や掲示で知らせ、了解を得ています。ボランティアの方の感想や意見などは全職員で回覧し、参考にしています。

5 運営上の透明性の確保と継続性

見学希望者には随時対応しています。普段の園生活を紹介するため、子どもたちが活動している時間に見学してもらっています。一日に見学希望者が複数組いる場合は、1組ずつ時間をずらし、それぞれに事務職員や主任などが付き添って説明しています。また、折々の行事などをパネルにして園入口に掲示し、1年の様子が一目でわかるようにしています。土曜の見学希望にも応じています。一時保育利用希望者には一時保育担当者が対応しています。中途入所希望の見学者には、隣接区を含めた他施設の情報も併せて伝えています。


全職員が所有している運営ガイドラインには、全国保育士会倫理綱領、プライバシー保護・個人情報取り扱いに関する方針、虐待行為禁止・平等に関する方針等があり、職員が不正・不適切な行為を行わないよう守るべき法・規範・倫理等を明文化し職員に周知しています。財務諸表等の経営・運営情報は園のホームぺージで公開しています。アレルギー児誤食事例など他施設での事故について職員会議や毎日のミーティング、回覧で取り上げ、同じ事故が起きないように職員へ周知を図っています。


主任は外部の主任研修やキャリアアップ研修に参加し、他園の保育士との交流を通して広い視野を持って自園の職員への助言をしています。乳児会議、幼児会議に出席し、各クラスの状況を把握し相談、助言を行っています。また、主任は職員の体調や身辺状況に配慮し、シフトの調整を行い、身近な存在であるよう積極的にコミュニケーションを取り保育に入っています。主任は、現場の職員の意見、要望に耳を傾け、積極的に取り入れ、更に、現場と園長との懸け橋の役目も果たしています。

6 職員の資質向上の促進

専門学校、短期大学、大学からの実習生を受け入れています。実習生受け入れマニュアルに基づき、職員は実習生と事前にオリエンテーションを行っています。オリエンテーションでは、園の方針や注意事項を説明するとともに、実習生の希望や過去の実習経験、ピアノのレベルなどを用紙に記入してもらい、実習生自身の希望も聞いたうえで、効果的な実習ができるよう配慮しています。また、小学校・特別支援学校の初任者のための「他校種・幼稚園・保育園体験研修」参加者の受け入れも行っています。


園内にプロジェクトチームが4つあり、保育の向上に努めています。研修プロッジェクトチームでは研修計画を作成しています。本年度の園内研修では「問題提起をして学び合う。分野別研修で得た内容を職員全員で共有する。」などとしています。職員会議で外部研修受講者の研修報告を行い、回覧し、全職員で情報を共有し、日々の保育に活かしています。絵画教室・体操教室など、専門講師による指導の見学研修を行っており、保育の質の向上に努めています。外部の講師を招き、嘔吐下痢・不審者対応・AED研修・わらべうた研修などの指導を受けています。


職員育成計画を作成し経験・能力や習熟度に応じた役割を期待水準として明文化しています。職務分担表により、施設長、主任保育士、保育士、事務員、栄養士・調理師、委託医師の業務内容を明確にしています。また、職員の組織図があり、乳児、幼児、プロジェクト担当等の役割を明示し、適正や経験、能力に応じた役割を与え、満足度を高めていますが、更に「権限」「責任の範囲」などについて職員に対し明確に説明し、確認することが有効と思われます。職員会議や乳・幼児会議など日常的に意見や提案を述べる機会を設けています。

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