かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

たかすな保育園

対象事業所名 たかすな保育園
経営主体(法人等) 社会福祉法人 ユーカリ福祉会
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 251 - 0046
藤沢市辻堂西海岸2-12-1
tel:0466-86-7676
設立年月日 2016(平成28)年04月01日
公表年月 2018(平成30)年02月 〜
使用評価項目 神奈川県社協版
評価機関名 株式会社フィールズ
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

<施設概要>
たかすな保育園は平成28年4月に開設した保育園です。UR都市機構の再開発に伴い、公立保育園移転のため、藤沢で初めての民営化保育園として開設されました。
園はJR辻堂駅からバスで10分程の、団地や高齢者住宅、商業施設に囲まれた所に立地しています。また、周辺には辻堂海浜公園や大小さまざまな公園があり、海にも程近く自然に恵まれた環境にあります。
現在、113名が在籍し、「豊かな心と丈夫なからだ」「生きる力のある子ども」の園目標を掲げ、公立保育園時の保育内容を引き継ぎながら、新たな事を取り入れ保育活動を行っています。
地域に開かれた保育園として、一時保育や地域交流を行っています。また、公民館事業の協力として、地域の親子の遊びの指導や講演会等に職員を派遣するなど地域とのつながりを大切にして園運営を行っています。


<優れている点>


1.食農保育に力を入れ、園内での野菜栽培やクッキングを通して食への関心を高めています
園では食農方針(給食方針)と食農活動としての計画を作り様々な『食』に関する取り組みを行っています。園児の父親を中心として構成した「おやじの会」の協力も得て、園庭内の田んぼで田起こしから初め、田植えを行いお米を作っています。田んぼの隣の畑では、トマト、キュウリ、枝豆、サツマイモなど多くの野菜を育てています。田んぼや畑には井戸水を使用し、子どもたちは水やりや草むしり、成長を観察し、収穫をするまでの過程を体験することで栽培の大変さや成長、収穫の喜びを感じています。さらに収穫した野菜を使ってのクッキング保育で、子どもの食の興味を高めています。
また、食材に触れることも大切と考え、給食で使用する食材の下処理を行っています。里芋についた泥を洗う、かぼちゃの種取り、玉ねぎの皮むき、キャベツちぎりなど年齢に合わせて取り組み、全クラスが食材に触れる機会を作っています。食に関する体験として、梅干しや味噌作り、切干大根や干し柿作り、餅つきなど日本の伝統食に触れています。また、鏡開き、七草、ひなまつり、端午の節句など日本の伝統行事にちなんだ行事食を提供し、文化の継承を行っています。食べる機会の少ない料理や食材を積極的に使用し、子どもの味覚の経験を深め、幅を広げる取り組みをしています。さまざまな取り組みを通して子どもや家庭にも食の大切さや楽しく食べることを伝える保育が行われています。


2.『個』を大切にして、一人一人が自主的・主体的に活動できる環境で保育を行っています
園では子ども一人一人を受け入れ、人権と個性を尊重し子どもの自主性・主体性を育てることを大切に考えています。
1階のホール中央には畳を使ったコーナーを設け、周りは低い棚で囲みテーブルやおもちゃを置いたコーナーを設置しています。登園した時にちょっと遊んだり、帰りの時に絵本に手を伸ばしたり、子どもの気が向いた時に立ち寄れる場所となっています。
2階の3、4、5歳児の各部屋にはロフトがあり、9つの小部屋があります。9つの小部屋は「音楽」「科学」「光」「自然」「異文化」「絵画」「文学」「手芸」「天体」のテーマに添った小さな空間が作られ、それぞれのテーマの本やおもちゃなどが置かれています。自分の興味がある部屋に自由に行き来でき、好きな部屋でじっくり遊び込める環境があります。また、各保育室も子どもが主体的に活動できるように乳児からおもちゃや絵本などの教材を子どもの手の届くように配置し、好きなものを選んで遊べるようにしています。5歳児クラスでは画材用具、廃材なども子どもが自由に使えるように用意し自由な発想や豊かな表現活動に取り組めるような環境構成をし、発達に応じた空間設定を行っています。
散歩に出かける際には子どもの意見を取り入れて行き先を決めることもあり、園庭での遊びも、好きな遊具を使ったり、砂場、秘密基地遊び、ボルダリングなど思い思いの遊びをしています。保育士は危険に注意を払いながら、見守ることを大切にし子どもの発達や状況に応じた支援をしています。
また、子どもも保育者も対等な関係であるという思いから、保育者を先生と限定せずに、子どもも保育者同士も「○○さん」と呼び合い、「先生」と呼ぶ子どもには否定せず、子どもの選んだ呼び方を使っています。


3. 給食はアレルギーフリーの献立を導入し、安全で美味しく楽しい食事提供を行っています
給食は「楽しく食べる」「基本的な食習慣を身につける」「日本の伝統的な食を知る」の3つの給食目標をたて、給食方針のもとに提供を行っています。無添加、無農薬や安全性の高い国産食材の使用を基本とし、献立は旬の食材を豊富に使った、一汁三菜の和食を中心としたバランスの取れた内容としています。主食となるお米には栄養価の高い赤米や黒米などを混ぜた雑穀米を使用しています。献立の調理には可能な限りアレルギーフリーに対応し、卵、乳、小麦を使用しない食事を提供し、アレルギーのある子どもも皆と一緒の給食を楽しめるようにしています。その他のアレルギー食品がある子どもには除去食として、個別のトレイ、名札、ラップを使用し誤食が起きないように細心の注意を払い提供しています。乳児のアレルギーのある子どもには、個別のテーブルを使用し、他児との距離をとるなど誤食を防ぐ対応を行っています。
幼児は2階のランチルームで3、4、5歳の縦割りで食べています。異年齢で関わりながら楽しい雰囲気のなかで意欲的に食べられるようにしています。また園で栽培した野菜を使用したり、行事食を提供するなど楽しんで食べられる取り組みを行っています。盛り付けは栄養士、保育士が行い、子どもの申告で量を増やしたり減らしたり選ぶことができ、完食につなげています。適温での提供に努め、美味しく食べられるよう配慮しています。生きる上で大切な“食事”の質を高めるような対応が適所に取り入れられています。


<独自に工夫している点>
1.地域の方々の協力による陶芸やお茶会を楽しみながら子どもは多くの経験をしています
5歳児クラスでは、地域の方に指導をしてもらい陶芸にも取り組んでいます。自分で作ったお茶碗を使ってお茶会をすることを目指して取り組みを始め、7月にはお皿を作りました。両手で粘土をしっかりとこねて思い思いのお皿の形を作り上げました。乾燥後に園庭にある電気釜で焼き上げた作品を展示していました。調査日にもろくろを使って真剣に粘土を成形している子どもの姿が見られました。
また、5歳児クラスは「お茶会」の体験も行っています。ホールに赤い絨毯を敷きお茶席に見立て、着物を着た先生がお茶についての話をしてくれ、お手本を見せてくれます。子どもたちも赤い絨毯の上に正座し、お砂糖菓子とお茶碗でお抹茶をいただく体験をしました。地域の方に協力頂き、園外の方との関わりを体験すると共に、日本の文化や伝統を知り体験する機会となっています。


<改善すべき事項>
1.園の目指す保育を展開するために、安全対策への取り組みが望まれます
園では子どもの自主性や主体性を育む保育が行われています。職員は子どもを見守る姿勢を大切にしながらも必要な支援を行い、外遊びなどでは積極的に子どもと遊んでいます。しかし、園舎には小部屋がいくつも設けられ子どもが遊びこめる空間が多くあり、子どもの自由を大切にする面から、保育者の見守りや全ての子どもの状況把握などが難しい状況にあることが伺えます。
保護者意見でも、子どもの居場所の把握ができているか、全員に目が行き届いているかなどを心配する声があがっています。子どもの安全を確保することは何よりも大切なことです。園内での危険個所の洗い出し、想定される事故等の検証やヒヤリハット報告の集計、他施設での事例などを検討し職員間で共有し未然の対応や危険が想定される箇所の見守り強化を行うなどの安全対策への再確認が望まれます。また、目指す保育と共に園での安全対策等への取り組みを保護者にも理解してもらえるような周知が期待されます。


評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重

人権の尊重について、日頃から子どもへの声のかけ方を重視しています。注意の仕方についても、人格を否定しないことなどに気をつけて声かけをしています。職員の目につく所に「声のかけ方」を掲示し、すぐに気付くように工夫しています。事例をあげて「こんな言い方していませんか」「言葉の振り返りをしてみよう」など具体的に表しています。


接遇については、「ユーカリ福祉会職員心得」「たかすな保育園のマナーとルールについて」を職員に配布し、年度始めに確認をしています。保育参加、保育参観を随時、積極的に取り入れて、保護者に実際の保育を体験、見学してもらい、意見を聞いています。保護者から出た意見は、職員会議で全職員に周知して検討しています。園児や保護者とのやり取りにおいて、職員間で気付いたことは注意し合うようにしています。


個人情報保護について、「個人情報取り扱いについての指針」を玄関に掲示し、「たかすな保育園マナーとルールについて」「危機管理マニュアル」にも明記し、職員には年度始めに周知し、守秘義務を徹底しています。連絡帳などは保育室内の目の届かない所に置くなどの配慮を行っています。パソコンはチェーンをかけ、パスワードで管理し、USBメモリは自宅に持ち帰らないことを徹底しています。個人情報の入った書類は事務所の鍵のかかる書棚に保管し、事務所から持ち出す時は必ず声掛けをしています。実習生や見学者に対しても、個人情報に対しての守秘義務について説明し、遵守しています。

2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

園が保護者との連携で最も大切にしていることは、保護者が意見を言いやすい雰囲気になるように常に努め、そして、意見に対しての回答を明確にして伝えることです。苦情解決窓口や第三者委員などを保護者に伝え、苦情解決のための仕組みを整備しています。保護者がアンケートを取り、寄付金を募って、保護者の自転車置き場の屋根を設置しています。保護者の意見により、IDカードを導入して、業者用駐車場を開放するなど、駐車場問題にも取り組んでいます。玄関に設置した意見箱の意見については、回答を掲示し、印刷物での回答も配っています。


食農保育を取り入れ、米や野菜の栽培から収穫までを体験し、クッキングを行い、0歳児から食材に触れる機会を設け、食への興味・意欲を高めています。夏野菜を鳥に食べられた時は、子どもの発案で「かかし」を作っています。クッキング保育では、梅干しや味噌つくり、切干大根や干し柿つくり、餅つきなどを行い、日本の伝統食に触れ、味や香りなど五感で感じることを大切にしています。


アレルギーフリーの給食を提供しています。調理に卵、乳、小麦を使用していないので、卵アレルギーの子どもも皆と一緒の食事をしています。食事は出来るだけ国産の旬の食材を豊富に使った一汁三菜の和食を中心としたバランスの取れた献立です。牛乳はカルシウム摂取量を考慮して、おやつの時の飲料として提供していますが、乳アレルギーの子どもには麦茶を提供しています。適温給食を実施しています。幼児は主食も園で提供することで、出来たての温かいものを食べています。

3 サービスマネジメントシステムの確立

「たかすな保育園苦情要綱」を整備して、「苦情解決窓口」を設置し玄関に掲示しています。法人内で第三者委員を設置し、苦情については、必ず法人理事会で報告し助言を得ています。事業報告書にも記載しています。


体調不良児への対応については、「園内感染症防止マニュアル」で明文化しています。年4回の健康診断、年2回の歯科検診、毎月の体重測定、年4回の身体計測及び尿検査を行っています。感染症が発生した場合は、玄関掲示と共に状況に応じて保護者へ「まちcomiメール」で情報の提供および健康管理の協力を依頼しています。


園の火災や震災等の発生時の避難方法及び内外への連絡方法は「危機管理マニュアル」で明文化しています。年1回の引き渡し訓練、年4回の津波避難訓練、年1回の園外保育時避難訓練、毎月の消火、避難訓練を行っています。不審者対策として、日常的に朝、夕の時間を除いて自動施錠をしています。防犯カメラは4か所設置し、園内職員による防犯訓練を実施しています。藤沢警察署に依頼しての不審者対応の防犯訓練も実施を検討しています。災害発生時に地域支援体制として園舎の屋上を津波対策ビルとして藤沢市と協定を結び、玄関等に津波避難ビルのステッカーを掲示しています。

4 地域との交流・連携

地域の育児支援として、一時預かり保育を実施しています。家庭にいる1歳以上就学未満の子どもを預かることで、育児負担の軽減や子育ての孤立化に対応しています。平成28年度は登録者153名で、利用者はこれまでに延べ2015名でした。


地域の子育て家庭に向けた、「わくわく広場」を行っています。クラスに入って遊ぶ日、水遊び・泥んこ遊びの日、人形劇を見る日など年間8回スケジュールを決め案内しています。平日の10時から12時まで地域の親子に園庭開放をしています。28年度は60組の親子の利用がありました。「ユーカリ文庫」として在園児家庭や地域に向け、育児本・保育の専門書・絵本や紙芝居を2週間程度無料で貸し出しをしています。


地域の公民館と連携して、公民館祭りで保育園の紹介や園児の作品展示、育児相談をしています。年2回公民館主催の子育て講座に講師として職員が参加して育児支援をしています。隣接する高齢者住宅の住民、デイサービス利用者とは幼児組を中心に、月1回程訪問して世代間交流をしたり、高齢者住宅の敷地内で遊ばせてもらうなど交流をしています。

5 運営上の透明性の確保と継続性

職員は、法人の定める78項目の「職員自己チェックリスト」を使用し自己評価を行っています。自己目標や重点課題についても自己評価を行い、園長、主任、部署責任者に対する意見・要望も表明しています。評価を基に個別ヒアリングをし、園評価も実施しています。自己評価に基づいて保育の向上を図り、子ども・保護者への接し方の振り返りや保育環境の見直しなど、職員の意識啓発に繋がっています。


園目標は玄関に掲示し、各種パンフレットを玄関に置き、自由に取れるようにしています。ホームページには、園の情報を掲載しています。災害時、緊急時は「まちcomi」メールを利用し情報を保護者へ配信しています。


年2回のクラス別懇談会や年1回以上の個人面談、必要に応じての個人面談の他にも、年間を通じて保護者の保育参加、保育参観を行っています。希望により1日3名まで子どもたちの食べている給食を一緒に試食出来ます。誕生会に限っては10名まで可能としています。園のしおり等で知らせ、保育参加や保育参観の参加表については玄関に掲示しています。

6 職員の資質向上の促進

「たかすな保育園事業計画」や「園のしおり」には、法人の基本理念と園の保育方針・理念が明文化されています。年度始めには、全職員を対象にして周知を行っています。また、必要に応じて年数回確認をしています。


年間の職員研修計画を作成して研修に参加しています。法人研修、内部研修、外部研修が行われ、外部研修参加後は研修報告書を作成して研修報告会で研修内容などの情報の周知を行っています。研修報告書提出後は一定期間回覧を行い、その後所定のファイルに綴じ、いつでも閲覧可能にしています。


次世代を支える職員の育成のため、「養成校実習マニュアル」を作成し、実習生、研修生を受け入れています。実習生受け入れ手順に添って受け入れをし、オリエンテーションで実習の心得や心構えを説明し、各クラス担任及び主任保育士が指導しています。

詳細評価(PDF1,046KB)へリンク