かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

衣笠愛児園

対象事業所名 衣笠愛児園
経営主体(法人等) 社会福祉法人 恩賜財団神奈川県同胞援護会
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 238 - 0032
横須賀市平作8-14-1
tel:046-851-2214
設立年月日 1949年06月25日
公表年月 2018(平成30)年02月 〜
使用評価項目 神奈川県社協版
評価機関名 株式会社フィールズ
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

<施設概要>
衣笠愛児園はJR衣笠駅より徒歩15分程、または京急バス「平作」バス停下車、徒歩5分程の住宅地の坂の上にあります。昭和24年に開設して今年で68年になる歴史の深い園です。園は三浦半島の中央に位置し、温暖な気候と豊かな自然に恵まれています。近隣には菖蒲園や平作川、多くの公園があり、四季の移り変わりが楽しめます。広い園庭にはイチョウやブドウの木が植えられていて、子どもたちは自然にふれながら、元気に園庭で遊んでいます。
定員90名で生後57日の乳児から受け入れ、現在108名が在籍しています。子ども一人ひとりを大切に安全に保育し、保護者が安心して預けられることをサービス提供の基本にしています。地域との交流を大切にして、近隣の高齢者や地域の子育て家庭との交流を展開しています。
運営は法人設立70年を迎える社会福法人恩賜財団神奈川県同胞援護会で、県内で多数の福祉施設経営を展開しています。


<優れている点>
1.地域に根付いた園として世代間、子育て支援の交流を積極的に展開しています
保育方針の一つに「地域の人との様々なふれあいを通し、社会性を身につける」を掲げています。近隣の高齢者や、子育て家庭に向けて7年ほど前から取り組みを始めました。高齢者との交流「ほのぼのくらぶ」、未就園児との交流「にこにこくらぶ」を年間予定として組み活動を展開しています。
高齢者グループホームやデイサービスに4・5歳児が訪問して手遊びや歌、ダンスなどを披露しています。子どもたちの訪問を歓迎してもらい、握手をしたり話をしたりするふれあいの機会はとても喜ばれています。また、同施設2階にある診療所の入院患者誕生会への出席や町内会館での高齢者との交流、園に近隣の高齢者を招待する「ふれあう会」といった世代間交流を通して、優しく接して感謝される経験を積み重ねて人とかかわる楽しさ、大切さを感じています。
「にこにこくらぶ」はホームページや近隣の商店などにポスター掲示を依頼して情報提供をし、4月、8月を除いて毎月1回実施しています。毎回1・2歳児を中心に2〜5組ほどの参加者があります。参加の子どもと同年齢のクラスに入って、水遊びや散歩、戸外遊びなどで子ども同士の関わりを楽しみ、保護者同士の交流の場にもなっています。希望者には給食の試食も出来るようになっています。

2.栽培・食育年間計画に沿って食べることを楽しめる活動を取り入れています
園庭の端には畑があり、園舎の日陰部分にはシイタケが発生する木が置かれています。栽培・食育の年間計画及び実施記録にはねらいの一つに「収穫した野菜に親しみを持ち、調理体験・給食の食材として調理してもらい味を楽しむ」と記載されています。
各年齢の年間・月間指導計画には食育欄が設けられており、年齢や季節に応じた野菜を栽培し、収穫して調理をするまでの様々な取り組みが記載されています。5月には園庭でそら豆を育て、収穫後に給食で使うための皮むきをしました。8月には畑で育てたスイカをみんなで分けて食べ、トウモロコシの皮むきを行い、4歳児クラスではピザパンを作り給食室で焼いてもらいおやつに食べました。
 様々な体験を通して子どもたちは植物や野菜に関心を持つようになっています。栽培・食育によって食べることの楽しさ、大切さを学んでいます。

3.保護者を支える保護者支援に力を入れています
園は保護者の応援団として保護者の困りごとに耳を傾け、可能な限り実施を試みています。園は坂の上にありますが、広い駐車場も備えていて、保護者の多くが車で子どもの送迎をできるようにしています。保護者の要望に応えて、今年度に駐車場を拡充して30台ほどの駐車スペースを整備して、保護者の車での送迎に利便性を図っています。
また、昨年度より、乳児の使用済みおむつの家庭持ち帰りを廃止して、園内で処分するように変更しています。3歳児クラスから使用している園児服(体操服)について、卒園児の保護者に使用可能なものの寄付を依頼しています。服はリサイクルとして在園児で希望する方に仲介をするなど、保護者負担の軽減に努めた園運営を行っています。


<独自に工夫している点>
1.安全、楽しく過ごせるように設備環境への配慮がされています
現在の園舎は昭和42年に建てられ、50年目を迎えます。2階には診療所が併設されているため、改修・改築にも制限がある状況です。老朽部分などは少しずつ手直しをして、明るく、安全に過ごせるように努めています。
バリアフリーの部分がほとんどですが、鉄筋コンクリート造りのため、段差が残ったり、コンクリートの部分があります。職員は段差部分にマットを敷き、コンクリートのテラスにはクッション性があるプラスティック素材のマットを敷くなど工夫をして、安全への配慮をしています。
また、4・5歳児クラスは引き戸によって仕切られていますが、中央部分は黒板として使えるように黒板素材が張られています。子どもたちは自由に絵を描いたり、落書きしたり、職員は掲示版としても使うなどして利用しています。随所に工夫や配慮があり現状の施設設備を上手に活用しています。


<改善すべき事項>
1.園独自マニュアルに目次や作成・改訂年月日などを整備することが期待されます
園では法人作成のマニュアルに加えて、園独自のマニュアルを「衣笠愛児園業務マニュアル」として、全職員に配付しています。業務マニュアルには安全管理に関するものや接遇、虐待防止対応、土曜保育、事故対応、アレルギー対応など様々なマニュアルを整備しています。職員は朝番の受け入れや土曜保育についてなど、確認や見直しが必要になった時に活用し、その際に改訂もしています。
しかし業務マニュアルには目次が設けられておらず、作成者や作成年月日、改訂日などの記載がないものも数多く見受けられます。どのマニュアルが最新のものか、目次などで活用しやすいものとなるように、整備することが期待されます。


評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重

園長は日々の打ち合わせでの個別指導や職員会議の場でも人権への配慮について職員に周知しています。新入職員については、法人が実施する初任者研修のなかでも説明しています。職員は「横須賀市人権施設推進指針」、「児童福祉施設の設備等に関する条例」、「職員の心得」及び「接遇マニュアル」などに基づいて、子どもや保護者に安心と信頼と得られるように公平で誠実な態度で接するように努めています。


職員は会議などを通じて、どのような行為が出生や国籍、性差などによる差別になるのかなどを理解しています。子どもも、生活習慣や文化の違いなども受け入れて一緒に過ごしています。万が一子どもや保護者とのやりとりにおいて不適切な対応があった場合は、ケース会議などで対応を検討し、改善に繋げる仕組みができています。


個人情報の保護については、法人の「個人情報保護に対する基本方針」や「職員心得」で個人情報の取り扱いについて留意しています。職員は採用時に「個人情報に関する誓約書」を提出しています。実習生についても受け入れ時に知り得た情報を他に漏らさないように説明し、誓約書を得ています。また、児童票や個別指導計画などの資料についても、施錠できる保管庫で厳重に管理しています。

2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

保育園での子どもの様子を「園だより」、「クラスだより」、写真などで知らせるとともに、保育室の入り口にボードを設置して、その日の活動内容について記載して送迎の保護者に情報を提供しています。連絡帳や送迎時の保護者との会話を通じても子どもの様子などの情報交換を行っています。


全園児に連絡帳を使って家庭との連携を密にしています。年齢に応じて、必要な情報や子どもの成長の様子を交換できるように3種類を使用しています。0歳児は園所定の様式のものを使用し、詳細に記録し、1週間分をコピーして保護者に返却しています。1歳児は全体の様子や、食事、睡眠、排便などを記載したノート式、2歳児からはノート式のものに特記事項や必要事項を記載しています。連絡帳には万一の紛失などを考慮して、重要な個人情報は記載しないように職員、保護者の両方で注意しています。


保護者の希望や意向を把握するために、年1回の個人面談や年2回のクラス懇談会を開催しています。把握した情報は職員間で共有し、対応を検討しています。また、年1回保護者アンケートを実施して保育園の運営や行事についての要望などを聴き、改善に役立てています。アンケートの結果は保護者に公表するとともに法人本部に報告し、法人の施設長会議でも報告しています。


0歳児クラスでは子どもとの愛着関係を築き、情緒の安定を図るために子ども一人ひとりについて担当保育士を決めています。担当する複数の子どもについて計画を立て、年間を通しての発達を把握して適切な援助ができるようにしています。日常の支援については担当保育士を中心として、クラス担当の保育士みんなで対応しています。幼児クラスは縦割り年間計画をもとに、週1度ほど縦割り保育を実施しています。縦割りのグループは日課の内容によって、2グループや3グループに分かれて活動しています。近隣の公園への園外保育や朝の体操、畑の手伝いなどを縦割りで行っています。

3 サービスマネジメントシステムの確立

子どもや保護者などからの希望や相談は、日常の保育活動を通して把握しています。苦情が発生した場合は「苦情対応の手順」や「衣笠愛児園入園のしおり」の『苦情解決について』をもとに対応しています。入園のしおりには相談・苦情責任者、相談・苦情受付担当者及び第三者委員と苦情解決の手順を紹介しています。苦情や要望は「苦情・要望・受付書」で受付から対応の結果までを記録しています。苦情については、本部にも報告する仕組みになっています。


保育園内の環境管理については、マニュアル「室内の環境管理」により、保育室内の室温を夏場は26度から28度、冬場は20度から23度、湿度は40%から60%に定め、定期的にチェックしています。冷暖房中は2時間から3時間ごとに5分から10分換気を行うことを定め、実行しています。また、室内の棚・ロッカー、床などの設備や備品などについてもクラス別に定めた「安全点検チェックリスト」で、毎月安全点検を実施しています。玩具の消毒についても「玩具の消毒資料」でクラス別、玩具別に細かく定めて消毒を実施し、清潔を保っています。


災害時に対応した「防災マニュアル」や「衣笠愛児園消防計画」などに則り、災害時の対応や役割分担を定めています。また、年間避難訓練計画に基づいて、毎月、様々な場面、時間帯、少ない職員体制などを想定して訓練を実施しています。緊急時には、予め同意を得てメール配信を登録した保護者には、「一斉メール(まちcomiメール)」で保育園から保護者へ情報を提供する仕組みがあります。また、職員向けには「職員向け安否確認サービス」で職員の状況を確認する仕組みがあります。


食物アレルギー疾患のある子どもへ、きめ細かい対応をして誤食の防止に努めています。保護者から医師の診断書と生活管理指導表を得て、除去食または代替食を提供しています。保護者、担任、栄養士、園長で随時、面談を行い、情報を全職員で共有しています。数種類のアレルギー献立表を作成し、調理器具も別にしています。いくつもの種類に分けて細心の注意を払って調理しています。食事時は個別のテーブル付き椅子や専用の食器を用意して保育士が付き添い、複数回の声出し確認を行って誤食防止に努めています。

4 地域との交流・連携

保育園は地域との交流を年間計画に組み入れて積極的に行っています。地域の未就園児と保護者を保育園に招く「にこにこくらぶ」は、未就園児が同年齢のクラスで楽しく遊ぶ場と母親同士の交流の場を提供しています。ホームページや地域の商店などにポスターを掲示して呼びかけて、4月と8月を除く毎月開催しています。毎回1歳児と2歳児を中心に2組から5組が参加し、水遊びや散歩、戸外遊びなどで子ども同士の関わりを楽しんでいます。希望すれば給食の試食もできます。また、「にこにこくらぶ」参加後には、参加者にアンケートを実施し、子育て相談や今後の活動の参考にしています。


地域の高齢者と主に5歳児が年6回、一緒に近くの町内会館に出向き、様々な遊びで交流を深める「ほのぼのくらぶ」を開催しています。また、4歳児と5歳児が近くのグループホームやデイサービス3ヶ所を訪問し交流しています。手遊び、歌及びダンスを披露し、握手や触れ合っての交流はとても喜ばれています。


11月の保育園行事として近隣の高齢者を保育園に招き、子どもと一緒に過ごす「ふれあう会」を開催しています。子どもが歌や踊りを披露して、一緒にカレンダー作りなどをしています。また、保育園と同じ建物の2階で同じ法人が運営する診療所に入院している高齢者の誕生会に4歳児と5歳児が訪問し、歌や誕生日カードをプレゼントし、患者や家族にも喜ばれています。

5 運営上の透明性の確保と継続性

毎年、職員全員が園長と面談を行い、前年度に個人が設定した個人目標の遂行状況を振返るとともに、次年度の個人の保育目標や受講したい研修などを提示して次年度の個人目標を設定しています。職員個人の振返りや目標などから保育園全体の自己評価を行うとともに、次年度の目標設定を行っています。


職員の個人計画の振返りのなかから、写真や園児服のリサイクル方法の変更についての提案がありました。写真の販売については、業者を通じてのインターネット販売方式に変更するとともに、園児服のリサイクルの回数を増やすなど改善に取り組んでいます。


園ではホームページを活用して保育園の情報を公開しています。ホームページには保育目標や保育方針、施設の詳細、施設の沿革、1日の保育の流れ、行事及び地域交流などについて公開しています。


保育参観はいつでも受け入れ可能です。懇談会開催時に合わせて保育参加も行っています。子どもと一緒に過ごし、一緒におやつも食べています。また、誕生会の際には誕生児の保護者が来園し、誕生会に一緒に参加することもあります。希望者は給食を一緒に食べることもできます。


6 職員の資質向上の促進

保育理念は事務室に掲示し、保育目標は保育室に掲示して周知しています。また、「園のしおり」にも掲載し、保護者にも周知しています。理念は法人の研修や年4回発行している法人の機関誌「クオータリー」にも掲載しています。職員会議などで保育方針に繋げて話し理解を深めるように努めています。


職員の質の向上に向けて研修に力を入れています。特に外部研修は階層別などの研修計画を年度初めに立案し、法人本部に計画を提出しています。研修実施後は年度末に実施状況報告書で本部に報告しています。研修の受講者は研修報告書を作成し、職員会議などで報告し、回覧もして研修の情報を共有しています。


実習生は「実習生受け入れマニュアル」に基づき受け入れを行っています。オリエンテーションで、保育理念や実習中の個人情報の保護や子どもの人権擁護の注意事項などを説明しています。個人情報の取り扱いについては誓約書を得ています。今年は5校から実習生を受け入れています。保育の実習生で本園に入職した職員もいます。


ボランティアの受け入れも「ボランティア受け入れフロー」と「ボランティア受け入れ手順書」に基づき受け入れる仕組みがあります。オリエンテーションで注意事項などを説明し、受け入れています。

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