かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

總持寺保育園

対象事業所名 總持寺保育園
経営主体(法人等) 社会福祉法人 諸岳会
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 230 - 0063
鶴見区鶴見2-3-29
tel:045-581-3162
設立年月日 1949年06月01日
公表年月 2018(平成30)年02月 〜
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 特定非営利活動法人 よこはま地域福祉研究センター
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

【施設の概要】
總持寺保育園は、JR京浜東北線「鶴見」駅西口から徒歩約13分、曹洞宗大本山總持寺の敷地内にあります。昭和18年(1943年)12月總持寺により開設され、昭和24年(1949年)6月認可保育園となり、社会福祉法人諸岳会が運営しています。
園の施設は、鉄筋コンクリート造り4階建ての1・2階を使用しており、1階に保育室・事務室・調理室・ホール、2階に保育室・医務室・静養室などがあります。1階保育室の外側に園庭があるほか、2階に屋上園庭、100mほど離れた場所に第2園庭および畑があります。
定員は348名(生後6ヶ月〜就学前)、0歳児は1クラス、1〜5歳児は、それぞれ3クラス編成となっています。開園時間は平日7時〜19時、土曜日7時〜18時です。
保育理念は、「仏教精神に基づき、子ども達一人ひとりを豊かな愛情の中で心身ともに健やかに育て、個々の可能性を引き出していく保育を行う」です。これに基づき、保育方針を「心身ともに健康で逞しい子どもに育てる」、保育目標を「・仏様を拝み思いやりのあるやさしい子 ・意欲に富んだやる気のある子 ・豊かな感情を持ち、力いっぱい表現できる子 ・望ましい生活習慣の身についた子 ・仲間とともに行動することを喜び、仲間を大切にする子」としています。


1.高く評価できる点  


●子どもたちは、自分の思いを尊重され、園生活を楽しんでいます
晴れた日は、散歩に出かけたり、總持寺境内や近隣の公園で遊んだりする時間を設けています。何をして遊ぶか、子ども同士で話して決めることが多く、かけっこ・鬼ごっこ・松ぼっくり拾いなど、いくつかのグループに分かれ、好きな遊びに熱中しています。一斉活動で、4・5歳児クラスが園の畑で芋ほりをしました。園長から掘り方の説明を受けた後、子どもたちは手が汚れるのを気にせず掘っていきます。なかなか芋が見つからない子どもには、保育士がさらに丁寧に掘り方を説明し、掘り当てることができるまで見守っています。
室内の活動では、ブロック遊びやカード遊びなど、自分の好きなことをして遊ぶ時間が十分確保されています。一斉活動の時も、保育士は子ども一人一人の思いを汲み取るようにしています。例えば、制作の時間に、難しくて止めてしまう子どもがいても、特には強制せず、再びチャレンジする気になるような励ましの声かけなどをしています。
また、給食の時、乳児クラスでは保育士が一人一人の子どもの食べられる量を把握していて、それぞれに適切な量を配膳しています。幼児クラスでは、大盛り・普通盛り・小盛りの3種類を用意し、子どもたちは自分の食べられる量を判断して配膳台から自分の席に持っていきます。さらに、「いただきます」で食べ始める前に保育士が「減らしたい人はどうぞ」と声かけし、完食の喜びを感じることができるようにしています。
さまざまな活動の中で、「・・・しなさい」というような命令口調はせず、「・・・しましょう」と子どもたちに呼びかけたり、「かっこいいのは何かな」とか「それでいいのかな」と声をかけたりし、子ども自身が気づき、考えるようにしています。


●職員間で情報を共有し、子ども一人一人の個性を引き出していく保育となるよう努めています
1歳〜5歳児は、それぞれ3クラス編成なので、日案や週案の打ち合わせをクラスリーダー間で頻繁に行っています。また、リーダー会議(園長・副園長・主任保育士・学年リーダー・栄養士リーダー・事務所リーダーが参加)、職員会議(全職員が参加)が毎月開かれています。これらの打合せや会議では、カリキュラムの見直しや行事連絡などのほか、子どもたち一人一人の様子や状況が報告されています。園児数が多い大型園ですが、全職員間で一人一人の子どもの情報を共有し、保育理念である「個々の個性を引き出していく保育」となるよう努めています。


2.独自に取り組んでいる点


●子どもたちが仏教精神を学ぶ機会をつくっています
各クラスに、観音様の絵が掲示されていて、朝の会では、「ののさま おはようございます」と手を合わせて拝んだり、仏様の歌を歌ったりしています。玄関前に「お友だち観音」が設置されていて、子どもたちは、散歩で出かける前と帰って来た時に、手を合わせています。また、仏教に関連する行事として、花祭り・盆踊り(御霊祭り)、迎え火・送り火、成道会(お悟りの日)、涅槃会などを行っています。總持寺の境内は、子どもたちの日常的な散歩・遊びの場となっていますが、建物の近くを通るときは、「お坊さんが勉強しているから静かにしよう」など、子どもたち同士で話す場面も見られます。5歳児クラスでは、月1回程度、ホールで座禅の時間があり、總持寺の僧侶が来園しています。さらに、夏季のお泊り保育の時は、總持寺本堂での座禅を経験しています。
園だよりには、毎月「今月の仏教保育のねらい」を記載し、「生命尊重」「布施奉仕」などの仏教用語を「生命を大切にしましょう」「だれにでも親切にしよう」などと、分かり易い言葉で保護者に伝え、園の取り組みを紹介しています。


3.工夫・改善が望まれる点 


●地域の子育て支援に取り組むことが望まれます
地域の子育て支援として実施しているのは、育児相談のみです。園ではいつでも相談に応じる姿勢ですが、園のパンフレットやホームページなどに記載はなく、地域への情報提供の工夫が望まれます。また、一時保育、交流保育、園庭開放や、地域住民に向けての子育てや保育に関する講習・研修会などは行っていません。子育て支援へのニーズがあることは、園としても把握しているので、何から始めるか、いつから行うかなど具体的に計画を立てて取り組むことが望まれます。 


●人材育成のために、新たな工夫が期待されます
職員は、横浜市や鶴見区、保育系の大学や他の法人などが行う外部研修に積極的に参加しています。参加した職員は、報告書を作成するとともに、研修報告会で発表し、全職員が学ぶ機会としています。また、研修報告会以外のもさまざまなテーマで園内研修を行い、人材育成に取り組んでいます。
さらに、これらの研修に加え、自己啓発の取り組みとして、一人一人の職員が、毎年自己目標を設定し、達成度の評価を行うようにすると、より効果的な人材育成システムとなることが期待されます。その際に、現在就業規則中に示されている経験や習熟度に応じた職位・職責について、職務内容に応じ、より具体的なレベルを作成、明文化すると、一人一人の職員が自己目標を設定する時の目安となります。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重 ・保育理念は「仏教精神に基づき、子ども達一人ひとりを豊かな愛情の中で心身ともに健やかに育て、個々の可能性を引き出していく保育を行う」です。これに基づき、保育方針を「心身ともに健康で逞しい子どもに育てる」、保育目標を「・仏様を拝み思いやりのあるやさしい子 ・意欲に富んだやる気のある子 ・豊かな感情を持ち、力いっぱい表現できる子 ・望ましい生活習慣の身についた子 ・仲間とともに行動することを喜び、仲間を大切にする子」としています。年度初めの職員会議で保育理念、保育方針などを職員に説明するとともに、常に職員が意識して保育に当たるよう各クラスに掲示しています。
・ホールやいくつかの予備室、広さのある廊下・階段など、余裕のある園舎設計で、子どもの気持ちをゆっくり聞く場所や、職員の目が届く範囲で子どもが静かに過ごしたい時に使う場所などの確保ができます。また3歳児クラス以上のトイレについては男女別にし、子ども同士の視線が合わない程度の高さの扉を設置して子どもの羞恥心やプライバシーに配慮しています。
・運営法人で定めた「個人情報保護規定」があり、個人情報の取り扱いや守秘義務に関して明記しています。職員は入職時に説明を受け周知しています。ボランティア・実習生受け入れの際には、オリエンテーションで説明をしています。
2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供 ・子どもの発達や状況に応じて、月間指導計画・週案を学年ごとに作成・評価・見直しを行っています。1〜5歳児は、それぞれ3クラスずつあるので、週案は各クラスの案をもとに、クラスリーダー間で打ち合わせしています。また、学年ごとに月間指導計画の見直しを行うほか、月1回のリーダー会議(園長、副園長、主任保育士、保育士学年リーダー、栄養士リーダー、事務所リーダー参加)で、全体的な情報交換や調整を行っています。指導計画の見直しにあたっては、朝夕の送迎時に伝えられた保護者の要望や、保護者会からの意見などにも配慮するようにしています。
・清掃マニュアルに基づき、日々清掃が行われ、屋内・外とも清潔に保たれています。各保育室とも、24時間換気扇を稼働させて換気を良くし、エアコンのほか床暖房設備を備え、快適な環境を確保しています。各保育室とも壁で仕切られていますが、リトミックをしたり楽器演奏をしたりする場合は、他クラスの活動の妨げにならないようにあらかじめ保育者間で話し合い調整し、場合によってはホールを使用するなどの工夫をしています。
・朝夕の自由遊び時間には、子どもたちはそれぞれに自分のしたい遊びを見つけて過ごしています。一人で熱心に絵を描く子どもや、風呂敷をいろいろなものに見立ててごっこ遊びを楽しんだり、数人でカード遊びやブロック作りをしたり、お手玉やコマ回しをしたりしています。
・園庭遊びや散歩を積極的に取り入れています。總持寺の敷地内にある園であり、広大な寺の境内は子どもたちの日常的な遊び場になっています。この境内を含めた近隣の散歩コースを、子どもたちの年齢や発達に応じて選択しています。また、4・5歳児クラスでは外部の専門講師による体育指導を毎週取り入れ、運動遊びによる健康作りを行っています。
・子どもが食事に興味や関心を持つために、管理栄養士と担当保育士が年間食育計画を作成しています。畑作業と畑の収穫物を中心に、子どもたちは土からの恵みを体感し美味しい食べ物となる過程を学んでいます。給食のとき、幼児クラスでは、保育士が盛り付けたご飯やおかずを、子どもが各自配膳台からテーブルに運んでいます。さらに、子ども自身でよそったり盛り付けたりする機会をつくると、子どもたちが食事に興味や関心をより多く持つようになることが期待されます。
・トイレットトレーニングはトイレチェック表で一人一人のリズムを把握し、排泄の間隔を見極めた時期に保護者と連携して進めています。
・保育理念・保育方針・保育目標を、入園前説明会で保護者に説明しています。入園後は毎月発行する園だよりやクラスだよりの紙面で、保育の目標やねらいとして具体的に伝えています。また、卒園前に5歳児クラスの保護者に対し、園の保育方針などの説明が十分か・子どもの人権を尊重しているか・保護者からの意見や要望への対応はどうかなど、園生活全般に関するアンケートを実施しています。
・クラス懇談会を、0〜2歳児クラスは年2回、3・4歳児クラスは年3回、5歳児クラスは年4回、実施しています。各年齢とも、年度初めには保育の目標を説明し、年度末には子どもの成長の様子や次年度の説明を行っています。
3 サービスマネジメントシステムの確立 ・特に配慮を要する子どもや支援を要する子ども一人一人について会議で話し合い、記録しています。職員は、特に配慮を要する子どもや障害のある子どもの保育に関する研修に参加しています。参加した職員は報告書を作成するとともに、職員会議で発表し全職員が情報を共有できるようにしています。
・虐待の定義を職員会議で説明し、全職員に周知しています。虐待が明白になった場合や虐待が心配される場合は、鶴見区こども家庭支援課に通告・連絡し、連携して取り組むこととしています。職員は朝夕の送迎時の保護者との会話や連絡ノートの記述などで気になることがあれば、主任や園長に連絡するようにしています。
・玄関に意見箱を設置しているほか、クラス懇談会や保護者会でも要望や意見を聞いています。5歳児クラスの保護者に対し、卒園前にアンケートを行っています。また、要望や苦情は、文書でなくとも口頭や電話、メールなどでも受け付けることを保護者に伝えています。要望や苦情の内容やその解決策を記録するとともに、職員会議などで報告しています。
・鶴見区役所や横浜市福祉調整委員会など、外部の権利擁護機関直接苦情を申し立てできることを保護者に伝えていません。園のしおりに記載したり、園内に掲示したりすることが望まれます。
・子どもの健康管理に関するマニュアルとして、子どもの熱・咳・転倒などの対応をわかりやすく記した「救急ブック」を各クラスに備えています。歯ブラシを用いた歯磨きについては2歳児クラスから実施しています。子どもたちは大学歯学部の学生から歯磨き方法を習い、正しい歯ブラシの使い方を習得しています。
・衛生管理マニュアルがあり、保育室内・トイレ・寝具・食事・おむつ交換などの項目で管理手順を示しています。また、清掃に関しては清掃マニュアルを作成し、このマニュアルに基づいて清掃がおこなわれています。掃除分担表により園舎内の清掃担当を決め、「環境係チェック表」で確認しています。園の管理栄養士が衛生管理者を務めており、毎年ウイルス性胃腸炎などの流行時期前には、衛生管理者による嘔吐処理の実地研修を実施し、状況によっては職員会議内での実習も取り入れています。
4 地域との交流・連携 ・地域内の保育園、幼稚園と連携して横浜市地域ケアプラザで育児相談イベントを実施しています。イベントの準備や内容検討の際に、子育て支援ニーズを把握しています。育児支援イベントの実施に向けて、職員間で地域の子育て支援ニーズについて話し合われています。
・育児相談については、いつでも相談を受けるようにしています。また、保育園の見学会の時にも育児相談を受けています。しかし、園のパンフレットやホームページ等への掲載はありません。相談希望者に届くよう情報提供を工夫することが望まれます。
・雪が降ったときなど、職員は保育園の周りだけでなく近隣地域の道路まで雪かきをするなど、地域への貢献を通して友好な関係を築くための取り組みを行っています。
・園のホームページに、保育理念や方針を掲載するほか、行事の様子や保育園での1日の過ごし方などを写真入りで紹介するなど、積極的に情報を提供しています。また、鶴見区内の子育て支援団体が作る保育園ガイドにも情報を提供しています。
5 運営上の透明性の確保と継続性 ・日々の業務の振り返りや事例の共有を目的に、日誌や記録などで表現や視点、書き方が良いものをコピーして配布したり、フィードバックを行っています。また、自己チェックシートを使って振り返りを行っています。
・ゴミの分別や資源回収などの取り組みを行っており、こまめに電灯やエアコンを消すなど省エネルギーの促進に努めています。環境配慮への取り組みが明文化され、職員室や各クラスに貼りだされ、運営に活かされています。工作では廃材などを積極的に活用し、物を大切に扱う気持ちや工夫して使うことで物の新たな価値などが理解できることを子どもたちも学んでいます。
・理念・保育方針を各クラスに掲示しています。また年に1回以上、園長は全職員と面談をしています。理念の内容について、朝の連絡会等でも理解を促すための説明を行ない、カリキュラムへの反映などから確認をしています。行事の担当などを通して、理念を理解しているかどうか確認をしています。
・ほほえみの会(保護者会)と月例会の場で意見交換をして、要望などを聞くようにしています。変更点や改善点など、ほほえみの会や園便りを通じで経過を含め十分に説明をしています。今後は、保護者会からの要望などの記録を園側でも残しておくことが望まれます。
・福祉新聞、保育の友、全保協ニュース、インターネット、新聞などを活用して情報を収集し活用しています。特に重要なものはコピーして配布や掲示をしています。月に1回、リーダー会議を実施しています。重要な情報については議論し、周知徹底するようにしています。
・5年〜10年を目安とした、中長期的な事業継続の方向性や地域の情勢を加味した園児の確保、保育士の育成、地域への貢献について、運営法人と協議し、園としての中長期計画として策定することが望まれます。
6 職員の資質向上の促進 ・職員は、横浜市や鶴見区、保育系の大学や他の法人などが行う外部研修に積極的に参加しています。参加した職員は、報告書を作成するとともに、毎月行なわれる研修報告会で報告しています。
・非常勤職員の指導担当者は学年リーダーが担当しています。職員間のコミュニケーションが図られるように努めており、非常勤職員も研修報告会に参加できるよう配慮し、資質向上を図っています。
・工夫・改善した良いサービス事例をもとに、勉強会を開いています。横浜市東部地域療育センターや内科医、眼科医などの巡回指導の機会を活用し、必要に応じて外部から保育の技術の評価・指導等を受けています。
・職級、職位名、職責などが明文化されています。今後さらに、経験や習熟度に応じた期待水準について、職務内容に応じ、より具体的なレベルを作成、明文化すると、一人一人の職員が自己目標を設定するときの目安となり、モチベーションの向上が期待できます。

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