かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

御霊神社保育園

対象事業所名 御霊神社保育園
経営主体(法人等) 社会福祉法人 御霊神社幼児園
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 245 - 0012
泉区中田北3-42-2
tel:045-804-7516
設立年月日 1968年04月01日
公表年月 2018(平成30)年01月 〜
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 株式会社 学研データサービス
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

 《施設の概要》
 御霊神社保育園は、横浜市営地下鉄ブルーライン「中田」駅から徒歩15分ほどの位置にある、昭和43年4月に開所した私立保育園です。600年続く神社の敷地内にあり、大きな樹木がそびえ、「鎮守の森」という自然環境に恵まれています。子どもの主体的な発達要求に応答する環境を整え、保育目標に「清く、明るく、正しく、直く」を掲げています。定員は90名(0〜5歳児)、開園時間は、平日は7時30分から19時まで、土曜日は7時30分から18時までです。運動あそびによる体力づくりに加え、4、5歳児には英語遊びや絵画指導を取り入れ、保育面では異年齢保育を実施し、子どもたちの思いやりの心や自主性を育てる保育を行っています。

《特に優れている点・力を入れている点》
○さまざまな体験をすることで子どもたちの自主性が育てられています
園庭には大きな木が植樹されており、大型遊具があり、天気の良い日には毎日外に出て遊んでいます。屋根つきのテラスにも大型遊具が置かれ、雨の日でも戸外で遊ぶことができます。七夕、お月見、お餅つきなどの季節行事のほか、夕涼み会、作品展、お遊戯会など子どもたちが自ら楽しんで取り組める行事を実施しています。4、5歳児クラスでは、月2回ほど専門講師による絵画教室を実施しており、年間40回専門の英語教師による英語遊びの時間を設けています。3〜5歳児は6人の縦割りのグループを作り、宝探し、リトミック大会、バイキングやゲーム大会など月1、2回一緒に活動しています。このようにさまざまな体験を通して子どもたちの自主性や思いやりの心が育てられています。

○職員が働きやすく、やりがいのある職場環境を整備し、保育の質を確保しています
 主任は、ファシリテーション技術(会議での参加者の相互理解をサポートし、組織や参加者の活性化、協働を促進する技術)を活用しながら、職員一人一人が会議で活発に意見を出し、さまざまな意思決定に参画していく園運営を大切にし、職員の意識向上とやりがいが高まるように努めています。また、職員が長期に勤務し、いずれは幹部職員として成長していけるように、産前産後休業制度や育児休業制度を整備し、多くの職員が制度を利用して、退職することなく継続的に勤務しています。また、福利厚生センターに加入して職員の余暇の充実を図るとともに、職員と家族ぐるみの親睦の機会を持つなど、園として一貫して職員を大切にする姿勢が示されています。その成果は、正規職員の平均勤続年数13.2年へとつながり、保育の質が確保されています。

○国産の地場野菜や収穫期には園の畑の野菜を使用し、調味料も無添加の物を使って、季節感にあふれた毎日の食事や行事食を提供しています
 新入園児説明会で「当園の給食で使用する食品」を配付して、園で給食提供をする際に使用する食材を明文化し、保護者が子どもを園に通わせる前に、喫食したことがないものがあるかどうかをチェックしてもらい、食物アレルギーによる事故が起こらないようにしています。給食に使用する食材はバナナ以外は原則として国産とし、残留放射能にも配慮して、子どもたちが安心して食事ができるようにしています。献立は季節感を大切にして立てていますが、野菜を多く取り入れ、子どもの嗜好を細かく調べて、切る大きさを変えたり、調理法を変えたりして食欲が出るようにしています。行事食のときは食育カードを一人一人に配付し、職員が行事の由来や使用している食材について説明します。園だよりではレシピも紹介しています。

《事業者が課題としている点》
 職員を大切に考えるからこそ、現在の安定した職員体制を今後も維持していくこと、一方で新卒の職員の採用などを課題ととらえています。職員が長期に安定して勤められるような給与の安定や福利厚生の充実を図るとともに、保育士の質の低下や給与高騰が叫ばれる中、本当に子どもが好きで保育士になった、常識のある人材の確保に取り組みたいと考えています。

 

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重

 園の保育理念は「鎮守の森を保育の庭に。豊かな自然の中で子どもたちの育ちを助け、家庭を見守り、社会全体で子どもを支えてゆく」となっています。心豊かな、自分で考え行動できる子どもを育てていくことを目標に保育を行っています。平均在職年数が13年を超える職員たちは、主任、園長とともに保育の基本方針を保育の中で実施し、日常の活動や食事の提供、課外活動や各種のイベントの中で、保育方針に沿ったサービスを行っています。保育課程は、理念及び基本方針を園内に掲示しています。基本方針については折に触れて職員会議で話し合い、鎮守の森の中での保育にふさわしいサービスを職員全員が心がけています。
 職員は、子どもから話を聞く際には気持ちをくみ取り、人格を尊重し、発言や気持ちを受け止めるようにしています。危険度が低いと判断できれば園庭外の虫取りに付き添ったり、迷路やお化け屋敷を作るのを手伝ったりして、環境の中で子どもの望みをかなえられるように努めています。子ども同士のトラブルはなるべく子ども同士で解決できるようにアドバイスしますが、相手の気持ちになってまず話を聞くことを大切にしています。園では職員配置の数を横浜市の基準より増やして、余裕を持った保育を行い、子どもの年齢や発達に配慮した対応ができるようにしています。
 一人になりたい子どもは、絵本コーナーで読書をしたり、おもちゃで遊んだりしています。保育室をパーテーションで仕切り、他からの視線を遮る場所を作ることもあります。園庭には木でできた家や、筒形の虫をかたどった玩具が各種あり、子どもたちはその中に潜り込んで遊びます。職員と子どもはテラスやブランコの一角で、一対一で話し合うことがあります。廊下も話し合いのスペースとして使っています。おねしょの対処は紙パンツから布パンツになる時期にはふとんの下に防水シートを使用し、園で洗濯して干しています。4、5歳児の場合は着替えを職員の休憩室で行って、他の園児に知られないように配慮をしています。

 

2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

保育課程は「養護」「教育」「食育」の3つの柱で構成されています。この地域は戦前からある街で、居住者には70代を中心にした世代と、まだ若い30〜40代の世代が目立ちます。利用者は三世代家族も少なくありません。保育園は町の長い歴史の祭祀の中心となってきた神社の中にあり、園長は神社の宮司職を兼任しています。職員は園の成り立ちを理解したうえで、地域とのかかわりや保護者支援を念頭に入れた保育課程を作成し、年度末の振り返りで全職員が再検討と確認を行っています。保護者には保育課程を入園の際に説明するほか、パンフレットにも記載しています。改定する際には、懇談会等で説明することにしています。
 保育課程に基づいて、年齢ごとに指導計画を作成しています。年齢別の指導計画では子どもの心身の成長を見守るとともに、子どもの主体性を育てていこうと考えています。子ども自身の意見や意思を尊重し、年齢や発達に応じた説明を行い、時には話し合いをして納得できることを大切にしています。保育活動でも子どもたちが自ら考え、選択できるような場面をできるだけ作るようにしています。職員は一人一人の子どもと向き合い、子どもがどんな風に感じ、どんなことを考えているか、表情やしぐさから感じ取るようにしています。個別作成した指導計画や保育のねらいは、年齢ごとの会議で職員の話し合いをして、柔軟に見直しを行っています。
 入園が決まった家庭には、入園前に保護者に連絡して来園してもらう日を決めて、確認の手紙を出します。時期は2月の上旬で、保護者にはあらかじめ「ご家庭での一日の生活の流れ」「食物類の制限に関するアンケート」「お子さんの離乳食と健康についてのお尋ね」等を記入した所定の様式の書類を提出してもらってから、面接しています。面接の前に職員は書類を読み、保育するうえで必要な事柄を把握して準備を整えています。面接では、保護者に書類の内容を確認するとともに、子どもの様子を聞き、子どもを観察して気になることがあれば記録を取っています。入園後は個人面談の機会を作り、保護者からの要望や子どもについて感じていることを聞き取りして、指導計画を立てる際に反映しています。

 

3 サービスマネジメントシステムの確立

 短縮保育の内容は入園のしおりに記載し、入園説明会の際に一通りの説明を行いますが、保護者一人一人と相談したうえで子どもの様子、保護者の仕事や環境に合わせて変更を行い、柔軟に対応しています。短縮保育の期間は概ね2、3週間となっています。0、1歳児の主担当職員は決まっており、子どもが手離したくないと思うぬいぐるみやおもちゃ、タオル等の持ち込みにも応じています。子どもの生活が家庭と園で無理なく引き継がれるよう、「健康観察カード」「生活記録カード」「れんらくちょう」に職員が毎日の生活の様子を記入しています。進級時には必ず現任の担任を一人残し、子どもの指導計画や経過記録を参照したうえで、引き継ぎを行っています。
 月間指導計画は各クラスの主任が主体となって評価をしたうえで、職員同士で話し合い、子ども自身の発達や周囲を取り巻く環境なども加味して、作成した計画の見直しを行っています。その際には全員の意見が反映されるように配慮します。各クラスで行った見直しは、月1回の職員会議で取りまとめを行い、発表し合っています。月案で行った見直しは、期ごとの振り返りをする際に再度話し合いを行って、次期の計画につなげます。指導計画を見直したときは、懇談会での保護者との話し合いの際に、見直しの内容を周知したうえで要望や意見を聞き、職員会議で内容を検討して、できるだけ反映するようにしています。
 保育所児童保育要録を小学校に送付しています。送付する際には園長が手紙を同封し、内容についての詳細な問い合わせに応じることを明記して、配達証明を付けて郵送しています。子どもの記録は「成長の記録」「心身の発達記録」「児童票」などに記載して、入園から卒園までの発達や状況が的確にとらえられるようにしています。成長発達記録類は一か所に保管され、長時間保育での職員の交代、非常勤職員が保育を担当する際や、土曜日の保育の際にも一貫した対応をすることができるようになっています。進級時に担任が変わる際には、それらの記録をもとに現任と新任職員が引き継ぎを行い、全職員が必要な情報を共有できるようになっています。

 

4 地域との交流・連携

神社の中の歴史ある保育園として、地元自治会や地域住民との結びつきは強く、子ども会のリサイクル活動にも積極的に協力するなど、日ごろから地域住民と密に交流して、園長は園に対する要望の把握に努めています。平成29年7月に泉区のこども家庭支援課が発行した「泉区幼稚園・保育園施設案内」(いずみっこひろば冊子)の作成にあたっては、園長が泉区や他園園長と協働して情報提供についてのあり方を検討し、泉区内の保育所や小規模保育事業、家庭的保育事業、認定こども園、幼稚園のそれぞれの違いや特色を網羅した、子育て家庭に優しく、わかりやすい冊子の発行を実現しました。
 運動会では未就園児向けの演目を用意して地域住民に参加を呼びかけ、職員と地域住民が直接触れ合う良い機会になっています。運動会後には、感じたことなどを職員間で共有し、子育てニーズについて話し合う場を持っています。また、園庭開放や一時保育の実施の有無について、地域住民から園に直接電話で問い合わせを受けることもあり、ニーズの把握に役立てています。現在、園庭開放や一時保育は管理面や運営面での支障があり実施していませんが、地域住民向けの子育て支援として地域住民とどのようなかかわりが持てるかということについては職員会議で検討を重ねています。園長・主任は、泉区の保育園紹介フェアに出向いて、地域住民に保育園解説の講演などを行っています。
 玄関外側に設置している地域向け掲示板には、地域の子育て関連イベントや研修会、予防接種などの情報や園の月間行事予定などをはり出して、最新情報の提供に努めています。育児相談は園長・主任が随時応じる体制になっており、泉区の地域子育て支援事業一覧「保育園に遊びにいこう」の中でも相談事業の実施園として広報されています。入園希望者が見学に園を訪れた際にも、子育てについての相談を受けることがあり、園長・主任が快く相談に応じています。

 

5 運営上の透明性の確保と継続性

 園のパンフレットには園の特色や年間行事、デイリープログラム、園の要項を掲載して情報提供しています。園独自のホームページも開設し、パンフレットの掲載情報に加えて、「Q&A」「情報公開」などさらに詳しい情報を掲載して、だれもが園の情報を閲覧できるようにしています。民間の情報媒体にも園の紹介ページを掲載し、随時情報を更新しています。園長が企画・編集に参画した泉区発行の「泉区幼稚園・保育園施設案内」にも園の情報が掲載されています。園内の掲示板には、顔写真付きの職員紹介を掲示して、見学者に職員体制について情報を提供しています。
 見学者には、色刷りのパンフレットを手渡して、園の基本方針やサービス内容について説明しています。入園に関する問い合わせや見学者には、主に主任が対応していますが、電話による問い合わせには職員のだれもが対応できるようにし、見学可能であることを伝えています。見学希望者には、ふだんの保育を見てもらえるように、行事のない平日の午前9時40分から11時までの時間帯をお勧めしていますが、午後の時間帯や土曜日に見学を希望される方には施設の案内が中心となることを伝えたうえで、受け入れています。
 「保育士の自己評価」シートを用いて、職員は年1回、自己評価を行い、職員間で相互に意見交換をしたり、自らの保育について助言を求めたりしています。職員の自己評価は自分に厳しく自省的傾向が強く見られるため、主任からは、総合的に見て以前よりも保育の質が高くなったと少しでも実感できた場合は、自信を持って自己評価すべきであると伝え、職員が自己肯定感を持ちながら業務にあたるように助言しています。職員間の意見交換の中で、職員全体での協議が必要と思われる事案については、職員会議に議題としてあげています。保育所の自己評価は、提出された職員自己評価をもとに、主任がまとめ、園内の掲示板に掲示して、保護者にも公表しています。

 

6 職員の資質向上の促進

現在、ベテラン保育士が多く勤務しており、横浜市の配置基準よりも多く手厚い人員を配置していることもあり、人材構成は安定しています。新規の人材補充にあたっては、世代の更新や常勤職員の雇用の安定、少子化による事業規模の縮小など長期的視野に立って勘案し、常勤、非常勤、派遣職員のバランスを考えながら採用しています。人材育成計画は、園長が策定した「キャリアパス」を基本にしています。キャリアパスには、「目指すべき姿」として、園の保育理念が掲げられ、「資質向上のための具体的な目標」と「研修計画」が職員の階層(経験年数)別にそれぞれ提示されています。職員は、年1回、「保育士の自己評価」シートによって自己の保育の振り返りを行い、園長・主任に提出して、確認を受けています。
 「キャリアパス」に基づき、園長が年間の研修予定表を作成しています。職員がさまざまな分野の研修をもれなく受講できるように、主任が配分を管理しています。研修参加は、常勤・非常勤職員ともに、基本的には職員本人の意思を尊重していますが、園として受講してほしい研修を職員に勧めることもあります。受講した職員は研修報告書を作成して園長・主任に提出し、その後、職員会議で発表したり、研修資料を回覧したりして、職員間で研修内容を共有しています。心肺蘇生の研修は定期的に繰り返し交代で全職員が受講しています。研修の成果は、費用対効果含めて検討し、内容によっては研修先を変更するなど見直しをしています。

 

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