かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

たつのこのはら保育園

対象事業所名 たつのこのはら保育園
経営主体(法人等) 社会福祉法人 大慈会
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 216 - 0005
宮前区土橋4-7-1
tel:044-920-9200
設立年月日 2013(平成25)年04月01日
公表年月 2017(平成29)年06月 〜
使用評価項目 川崎市版
評価機関名 株式会社 R−CORPORATION
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

【概要・立地面の特色】
たつのこのはら保育園は、社会福祉法人大慈会の経営であり、昭和28年から福祉事業に貢献し、昭和50年に社会福祉法人の認可を受け、長年地域に貢献している歴史のある法人です。たつのこのはら保育園は、平成25年4月、元水道局の官舎跡地に新設された、定員240名の川崎市一の大型保育園です。園は、田園都市線鷺沼駅から北へ徒歩10分程度、整備された住宅地の中に位置し、周辺には戸建て、マンションが立ち、自然も多く残る閑静なエリアです。園舎は2階建で、中庭に据えた園庭を四方で囲むように園舎が設計され、周囲の雰囲気に溶け込んだ外壁は、ガラス張りのラウンド型の出で立ちが印象的であり、明るく開放感溢れる保育園です。また、子どもの声が周囲に及ばないよう設計され、近隣に配慮した造りになっています。構成では、2歳児以上は各年齢2クラス制とし、1歳児は低月齢・中月齢・高月齢の3クラス制、0歳児は担当制で手厚く保育にあたっています。保育室は1階に2歳児以上、2階に0歳・1歳児クラスを配置し、複数のクラス制で部屋の区切りを介して交流を持っています。他設備では、ホール、プレイルーム、アートルーム、一時保育室、子育て支援センター、ランチルームを備え、2階の一部には屋上庭園も設備され、充実した保育環境が整っています。

【特に良いと思う点】

1. 大型保育園の組織的運営
たつのこのはら保育園は、川崎市内で一番、規模の大きい保育園です。大規模保育園の運営にはノウハウが必要と思われますが、この園では園長、主任保育士を中心としたヒエラルキー型組織が確立され、個々の業務内容、連携の仕組み、部門間の連携が明確になっており、大組織、しかも個別性の高いクラス運営が見事に、有機的に運営され、組織の力で「壁」を乗り越えた完成感があります。しかも、ヒエラルキー型組織にありがちな我田引水の無い、社会福祉法人大慈会の目指す、子どもを中心とした家族や地域の支援が実現できています。

2. 地域に対する心遣い
園の開設にあたり、保育方針の「協調、思いやり、相互援助」を十分に意識した設計、建設を心がけて進められました。市区の保育園増強の強い要望に沿って、この土地に大型の保育園の建設にあたり、「鷺沼」を好んで住まう住民、周辺に拘りのあるマンション等が建設されている中、住民への配慮を心がけ、駐車場の確保、声が騒音にならないようにした設計、交通標識の設置促進などを実施し、十分な配慮の下、苦情の少ない園運営を実現しています。園舎は、子どもの声が周囲に及ばず天に向いていくように設計されています。

3. 一時保育、子育て支援センター
地域の子育て支援のため、園では一時保育室、子育て支援センターを併設し、十分な設備を整えています。家庭で子育てをしている専業主婦や育児休業中の方の子育ての悩みを解消すると共に、利用可能な施設を提供しています。一時保育室(とことこ)は定員12名(内緊急枠2名)で受け付け、子育て支援センターは平日の午前(9:00〜11:45)、午後(13:00〜16:15)に開放し、子育て支援、育児講座、親子遊び、園庭開放、園児との交流、子育て情報の提供、未就園児へのサークル支援などを行い、地域の子育てに貢献しています。

【さらなる期待がされる点】

1. 異年齢保育の組み立てについて
異年齢保育については、大型園ならではの取り組みに検討を重ね、同年齢でのクラス制による活動においても工夫を重ねられ、縦割り保育に難しさもあるかと思います。現状では、うたとリズム、体操、造形指導、体育指導等を実施し、異年齢交流に取り組んでいますが、さらに、疑似兄弟的異年齢保育の取り組みの「形」が大型園でできるノウハウの発掘に、ご尽力を期待しています。

2. さらなる地域との連携を
園が位置する地域はマンションが多く、地域に向けた活動は地域性も加味しながら進めていますが、たつのこのはら保育園では一時保育室、子育て支援センターを併設している強みがあり、マンションの住民との連携は比較的高いと思います。子育て親子への支援に留まらず、地域をもう一周り大きく捉えた地域と「面」でのお付き合いや、共助体制が構築できればさらに、地域に対する貢献や地域の要望が吸い上げられることと思いますので、さらなる取り組みに期待しています。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重

●保育方針の第一義に「子どもの人権」を考え、子ども一人ひとりの気持に寄り添う保育を心がけています。また、子どもの発達を意識した人権への配慮を心掛け、心と身体の成長を考慮し、一人ひとりに合わせた保育を実践しています。職員は、子どものあるがままの姿を受け止め、常に子どもの心の内面に寄り添うよう心がけ、子どもの意思を尊重し、共感に努め、一方的な保育にならないように心がけています。子どもが意思を表明できるよう、法人系列園全体で日本語研修を行い、子どもが自分の思いを言葉にして表現をすることができるよう取り組んでいます。

●保育業務マニュアルに川崎市子どもの権利条例の一部文面、児童憲章、全国保育士会倫理綱領を明記し、職員は入職時の法人研修、職員会議等で子どもの人権への配慮について研修を受け、理解を深めています。虐待の早期発見については、保育業務マニュアルや虐待防止及び早期発見マニュアルを完備し、送迎時の挨拶や会話を大切にし、子ども・保護者の視点から留意し、情報共有を図って虐待防止に努め、必要に応じて精神面の援助等、予防的な援助にも努めています。また、虐待早期発見チェックリストにて視診を行い、報告体制、関係機関との連携等、情報共有体制を構築しています。

●個人情報に関して、重要事項説明書に明示し、入園時等に説明を行い、保護者から個人情報使用同意書により同意を得ています。プライバシー保護については、保育業務マニュアルに、子ども・保護者のプライバシー保護、権利擁護に関する基本的知識、社会福祉事業に携わる者としての姿勢・意識等を明記し、職員会議にて読み合わせを行い、共通認識を図っています。子どものプライバシーの配慮では、プライバシー保護の基本姿勢を踏まえ、子どもを尊重し、子どもの羞恥心に配慮し、設備環境を整備すると共に人的環境にも配慮するよう心がけています。

2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

●利用者満足の把握に向けて、玄関に意見箱を設置して意見を述べられる環境作りを行い年5回、行事後に感想を集計し、年1回、保育アンケートを実施して対話会を設けて質疑応答を行い、全保護者に議事録を配布しています。法人では、市場調査企業に依頼し、育児実態調査から求められる福祉サービスの分析を受け、ニーズを把握し、より良い保育の質の向上につなげています。個人面談では個人面談シートを活用し、要望や意見を抽出し、利用者満足に役立てています。

●苦情解決の仕組みについては、苦情解決窓口、苦情受付担当者、苦情解決責任者を定め、苦情解決第三者委員に川崎市保育会、川崎市行政を設置し、苦情解決体制を掲示し、直接苦情を申し出る事ができることを示し、園のしおりでも知らせしています。園では、複数の相談相手を保護者が選択できるように配慮し、お迎え時間にはできる限り事務室に職員が在室するようにし、相談等を受けられるように環境を整えています。また、相談には相談室や事務室、応接室を使用する等、プライバシーに配慮しています。

●子どもの保育、援助について、知り得た情報を基に、子ども一人ひとりの個人差を理解し、あるがままの姿を受容し、心の内面の動きや成長を捉え、きめ細やかな援助を心がけています。特別の配慮が必要な子どもには個別指導計画を作成し、発達に応じた環境、遊び、職員の配置に配慮し、子どもの可能性を大切にして生活の質を高められるよう保育にあたっています。

●登降園時には保護者との対話を心がけ、連絡帳を確認し、子どもの健康状態、視診での内容をクラスの引き継ぎ表に記入し、クラス担任や遅番職員と引き継ぎ表及び口頭で行い、一日の保育に反映させています。休息(午睡含む)の長さや時間帯は、年齢児ごとに調整し、子どもの状況やその日の体調に応じて個別に時間を調整する等、子どもの生活リズムを大切にしています。年長児は就学に向けて、徐々に休息時間を減らし、小学校生活に備えるようにしています。降園時はその日の子どもの様子を保護者に伝え、子どもの状況、伝達事項等については、生活記録表の保育活動欄に記入し、確実に保護者、担当職員に伝わるよう体制を整えています。

●長時間保育では、子どもの心身の健康状態を考慮し、子どもが安心且つ、安全に過ごすことのできる人的・物的環境を整えています。園では、登降園の受け入れ、延長保育等における職員の望ましい態度、連携、引継ぎ等に関して保育業務マニュアルに明記し、共通認識の基、朝の受け入れでは、子どもも保護者も安心して園で過ごせるように配慮しています。長時間保育については、安心・安全な生活を基本とし、休息や水分補給を適宜行い、子どもが健康に過ごせるよう配慮しています。延長保育では、動きの多い活動は避け、机上遊びを中心に楽しく過ごせるようにしています。

●食事の時間は、楽しい時間であるということを大前提に、長時間保育園にいる子どもの体調を考慮し、楽しく・安心した環境の中で「食べる」こと、「飲む」ことができるということを大切にして栄養の摂取に配慮しています。「食」に関する計画は、各年齢児クラスの指導計画や食育計画に明記し、実施しています。食物アレルギーを持つ児には、食物アレルギー除去食児の献立を作成し、専用の食器、トレー、名札を使用し、テーブルは他児と分け、誤配膳、誤食が無いよう3回チェックを行い、細心の注意を払って対応しています。

3 サービスマネジメントシステムの確立

●園の必要な情報は、川崎市ホームページ、宮前区の情報誌、入園のしおり、地域向けの掲示板により情報を提供しています。園のホームページでは園生活の情報、地域の子育て情報等を写真・図入りで分かり易く提供し、園内掲示板でも園情報を提供しています。また、園見学者にパンフレットを配布し、園の概要説明、施設案内を行っています。サービス利用開始後は、慣らし保育を実施し、子どものストレスの軽減等を考慮して5日間を目安とし、慣らし保育終了後は、職員と1対1のかかわりを意識的に増やすよう心がけています。

●指導計画の策定は、園長を責任者とし、計画策定マニュアルに沿って実施しています。保育課程はアセスメント結果を基に、養護と教育、子どもや保護者の要望やニーズ等を考慮し、関係職員が参加して作成し、保育課程を基に、各年齢児クラスの年間指導計画、月間指導計画、週案、日案と連続性を持って計画を作成しています。記録は児童票、面接記録、健康診断記録表、個人面談シート、個人面談記録、関係機関との連携記録、食物アレルギー児除去食チェック表等を個別にファイルし、共有及び把握をしています。

●提供するサービスの実施方法については、「大慈会の保育」冊子の理念に沿って標準的な実施方法により保育を実践しています。冊子は全職員が保持し、法人研修等で研鑽を深めています。また、たつのこのはら保育園の「保育業務マニュアル」を策定し、一定水準を確保した保育の提供に努め、保育業務マニュアルは各職員に配布し、各クラスにも備え、常に確認できるようにしています。マニュアルは職員会議以外にも必要に応じて閲覧可能とし、日常的に活用しています。

4 地域との交流・連携

●基本理念、保育方針に「地域に開かれた保育園」を示し、積極的に進めています。地域に向けた情報は、掲示板を園の入口に設置し、園の情報、川崎市や宮前区の子育てに関する情報、行事案内等を掲示して地域に発信しています。また、地域住民の方に、事業報告書及び行事等の事業計画を配布し、理解を得るように働きかけ、地域子育て世代の園行事に招待をしています。園は、地域子育て支援センターを併設し、一時保育室や園庭を開放して自由に遊びに来てもらえるよう伝え、地域の子育てに寄与しています。

●地域に対して、併設する子育て支援センターを通じて、絵本で子育て、ベビーマッサージ、親子ストレッチ、卒乳講座、歯みがき講座、折り紙であそぼう、よちよち赤ちゃん、こんにちは赤ちゃん、身体測定、水遊び、園庭開放などを行い、誕生会、うたとリズム、移動動物園、観劇会、保健講座、離乳食講座などの園行事の参加の呼び掛けや、AED設置などの情報提供をしています。ボランティアの受け入れに関する基本姿勢として、「職業体験・ボランティア・インターンシップ・実習受け入れマニュアル」を策定しています。

●関係機関との交流、団体との連携では、川崎市保育会や川崎市社会福祉協議会、宮前区社会福祉協議会等と連携を図っています。宮前区においては、認可保育所園長代表者連絡会議、認可保育所園長連絡会議、全体園長連絡会議、幼保小代表者会議、園長・校長連絡会、実務担当者会議、主任(園長補佐)会議、年長児担当者会議、看護師連携会議、栄養士連携会議、発達相談支援コーディネーター会議、子育て支援連携会議、子育て支援センター担当者会議などの連絡会に参画し、情報の収集及び、ニーズを把握しています。また、宮前区フェスタや宮前区社会福祉大会に、協力すると共に情報収集を行っています。

5 運営上の透明性の確保と継続性

●法人の基本理念及び、園の保育方針は、人権尊重、個人の尊厳を軸に、福祉サービスの内容や特性を踏まえた内容となっており、職員の具体的な行動規範としています。基本理念、園の保育方針は、ホームページ、園のしおり、パンフレットや園だよりに掲載し、事務室前にも掲示して、保護者に理解を促しています。職員に対しては、法人研修等で理解する他、事業計画、保育課程、保育業務マニュアルに明記し、周知しています。中・長期事業計画では、実現に向けた「目標」を明確にし、現状の課題を明確し、実現のための計画を立案し、また、経営環境の把握・分析を基に、中・長期の収支計画を策定しています。

●園長は、職務分担表に園長の役割と責任を明記し、園長の考えと共に、子どもの生命の責任を含めた全ての責任の表明を行い、サービスの質の向上に努めています。園長は、主任保育士、看護師、栄養士、事務員と連携を図り、人事、労務、財政等の面から分析、評価を図る責任者として積極的に参加し、経営や業務の効率化と改善に向け、指導力を発揮しています。また、職員の働きやすい環境整備に努め、就労状況を考慮したシフト編成を行い、円滑な園運営に尽力しています。

●年1回、法人アンケート及び自己評価に対する園長の職員面接を実施しています。第三者評価は、今後5年間に1回、受審予定とし、保護者の保育アンケートは第三者評価での項目に沿った内容で実施し、意見・要望等を抽出し、定期的に評価をしています。評価に関しては園長を中心とし、主任保育士、看護師、栄養士が担当し、幹部会議で分析・検討し、結果に対する改善策や改善実施計画は自己評価推進委員を中心に策定・実施する体制を組織的に確立しています。

6 職員の資質向上の促進

●人員体制の方針は、法人の基本理念、園の保育方針、理事長の作成する大慈会の保育を、人事管理の考え方の基本としています。採用は、川崎市保育会に加盟し、川崎市保育会の採用システムにより人材確保につなげています。園に必要とされる人材確保を目指し、資格以外にも年齢、経験年数、職務経験、人格等、園に必要な人材確保に取り組んでいます。資格を持たない職員に保育士資格取得や、子育て支援員制度の研修受講等、取得の促進を図り、協力する体制を整えています。

●中・長期計画に、法人の基本理念等を基に、職員に求める基本姿勢を明記しています。「大慈会の保育」の冊子には具体的な目指すべき方向性が明記され、職員に周知し、理解しています。研修受講後は研修報告書を作成し、職員会議で研修報告と伝達研修を行い、共有を図り、一人ひとりの資質向上に役立てています。研修内容は、評価・分析を行い、次年度の計画、研修レシピ作りに向けて見直しを図っています。

●職員の有給消化率や時間外労働のデータは、園長を中心として、主任保育士、事務員と確認し、分析・検討し、幹部会議にて改善策を検討し、職員会議で報告しています。改善策では、夏期のアルバイト雇用、有給消化やシフト軽減につなげるパート職員の雇用、職員の状況に合わせた就労形態、有給消化率につなげる職員配置などを実行しています。年に1回、職員面接を実施し、職員個々の意向や満足度を把握し、園長、主任保育士、産業医、衛生管理者等に相談できる環境を整え、心身のケアに配慮しています。

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