かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

中村愛児園

対象事業所名 中村愛児園
経営主体(法人等) 社会福祉法人 白峰会
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 232 - 0035
南区平楽133
tel:045-251-3870
設立年月日 1949年06月25日
公表年月 2017(平成29)年12月 〜
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 株式会社 学研データサービス
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

《施設の概要》
 園の運営主体は社会福祉法人白峰会です。開設は昭和24年6月ですので、はや70年近い歴史を持つ園です。横浜市営地下鉄の阪東橋駅から徒歩で15分ほどにあります。駅から園までの間には商店街があり、そこを通り抜け、平楽に上がる坂の途中に園舎があります。園舎からは空気が澄んでいれば富士山がのぞめます。
 園に隣接して「八幡町ふれあい広場」(横浜市所有)があり、そこを地域住民が管理しており、四季折々の花や野菜を育てており、子どもたちと地域の方たちとの触れ合いの場になっています。また、近隣には自然豊かな公園が多くあり、子どもたちの良き散歩コースになっています。
 定員は200名で8月末現在174名が在籍しています。園の特徴としては、外国籍の子どもたちが多く40名以上在籍しています。特別保育は延長保育や障がい児保育を実施しています。

《特に優れている点・力を入れている点》
○園内研修、園外研修が充実しています
 園内研修は毎年テーマを決め、実施しています。本年度は3つのテーマ、絵画、体操・音楽、運動です。テーマごとに取り組みたい内容を職員にアンケートをして決めています。絵画は「クレヨンに親しむ」という内容で行っています。そして、幼児クラスは、3か月に1回作品を貼りだし保護者に知らせています。運動は「異年齢で競技を行う」という内容で、運動会の時に披露しています。体操・音楽は「楽しく踊る」で遠足や運動会につなげています。
 神奈川県が法人の系列である横浜女子短期大学に保育センター(保育にかかわる調査研究機関)を委嘱しており、そこで体系的に立てられた研修を園外研修として全面的に受講するようにしています。初任者研修や経年研修、専門研修などそれぞれの職員にあった研修が企画されています。非常勤を含めた職員は全員受講し、報告会や報告書の提出などで理解を深めています。このように、園内、園外ともに研修を積極的に行い、職員の質を高めています。

○食に関する多彩な取り組みを行っています
 0、1歳児、2歳児、3〜5歳児と3段階に分けて、4半期ごとに構成した年間食育計画を立てています。それぞれの年齢の特徴に合わせたきめ細かい食育指導が行われています。
 厨房の手伝いも1歳児から行っており、芋洗いや皮むきなど食材に触れることで食事に興味が持てるようにしています。また、4、5歳児には箸の持ち方をスライドを使い栄養士が指導しています。年に1回食育集会も実施しています。このほか、食育かるたやパクパク人形を作る計画も立てています。また、栽培にも力を入れ、生長の気づきや自分たちが育てた野菜に愛着を持ち、苦手なものの克服につなげています。さらに、近くの商店街に出かけ、八百屋やケーキ屋などで仕事体験として見学することで、食材や食べ物に興味を持つようにしています。このように、食に関する多彩な取り組みを実施しています。

○クラス会議やリーダー会議、職員会議を定期的に実施することでコミュニケーションが深められています
 園の主な会議体は月1回の職員会議、毎週金曜日にその週の活動内容に関する評価・反省や次週に向けてなどをクラス内でクラスリーダーを中心に話し合う金曜会議、そして、翌週の月曜日に各クラスの代表が集まって、それぞれの活動を話し合う月曜会議などがあります。これらの会議によって、互いの保育内容を理解し合ったり、クラス運営の悩みを相談し合ったりしています。そして、月末に開かれる職員会議では気になることや配慮を必要とする子どもについて、具体的に話し合い対応を考える機会を多く持っています。常勤職員の職員会議は夕方から、中番、遅番は昼間の会議に出席し、非常勤職員の会議も昼間に同じ内容で行っています。こうした会議を行うことで、情報の共有ができ、職員全員が同じ方向を目ざし保育・教育を行うことができています。そのうえ、職員たちが互いに信頼関係を深め、明るい雰囲気でコミュニケーションを取り合っています。

《事業者が課題としている点》
 外国籍の子どもが多く、最近は日本語が全くわからず、数年日本にいても日本語が上達しない外国人の家庭が増えています。保育するにあたり、生活習慣の違いや伝達など難しいことが増えており、保護者の協力を得られにくい状況を課題と捉えています。今年度から、中国語(4年前にも一度取り組む)と英語の手紙の翻訳を依頼し、少しずつ保護者負担にならないように取り組んでいます。また、地域の子育て支援の活性化や外部講師を招いての保育についても課題として考えています。

 

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重

 中村愛児園の法人理念は「子どもは私達の宝です たえず大人に喜びと望みと光を与えてくれます 私達は真心をもって 日々よく育てましょう」、保育理念は「キリスト教の精神に基づいて子ども一人一人を大切にし、保護者から信頼され、地域に愛される保育所を目指します」となっています。掲げている法人理念、保育理念、保育方針と目標は、年度当初にクラス内で職員が読み合わせを行い、基本方針を理解し、それぞれの年齢の子どもの保育目標を確認し合っています。保育目標は事務室、出入り口、保育室に掲示しています。園では、延長保育や外国籍の子どもの受け入れなど地域の実情に対応して保育活動を行っています。
 「子どもの人権擁護マニュアル」があり、保育室に掲示しています。内部研修では職員同士でマニュアルを読み合わせるとともに、子ども一人一人を認め、思いを受け止め、向き合っていく保育について話し合っています。職員が子どもを呼ぶ際の呼称は統一してはいませんが、呼びかけるときには穏やかに、子どもの気持ちに寄り添うようにしています。子ども同士のトラブルに対しては、双方の言い分をよく聞き取り、できるだけ見守るようにしていますが、クールダウンが必要な時には仲裁に入ることもあります。言葉を使って自分の気持ちが表現できるような年齢の子どもの場合は、なるべく当人同士で解決するよう導いています。
 遊びや行事の役割などは性別による区別は行わず、服装に関しては「愛児園のしおり」に、服装は自由ですが着脱しやすいものを着せてくださいと記載しています。また、園長は男の子も女の子も同じように接して、性別にこだわる必要はないと考えています。体操や遊ぶ時のグループも男女混合にしています。園の行事として、母の日と父の日はありますが、家庭の中にその人がいなくても、子どもたちが愛情を持てるように教育していきたいと考えています。保護者と話す際も、役割を固定的にとらえた話し方をしないように、職員間で話し合っています。今後はジェンダーフリーの外部研修の受講を検討しています。

 

2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

 保育の基本方針は「子ども一人一人の発達の仕方を大切にし、心身ともに豊かな人間性を持った子どもに育てます」となっています。この地域は、神奈川県の中でも長い歴史を持ち、園は下町商店街に隣接しています。近年、近隣の新興住宅地ではサラリーマン世帯が増加して、延長保育を希望する保護者が増えています。外国籍の家族や子どもも多いので、外国の生活習慣への理解が必要です。保育課程作成には保育時間の長短や、子どもや家庭の状況を勘案して、全員がかかわっています。保育理念などは入園のしおりやパンフレットに記載するほか、入園説明会で説明しています。改定を行った場合は、年度当初の説明会で保護者に説明することになっています。
 保育課程に基づいて、年齢ごとの指導計画を作成しています。年間計画は前年度末の3月中にまとめ仕上げました。年間計画を軸として、職員が話し合って月案、週案を作成します。計画は子どもの発育状態や要望に応じて、柔軟に変更できるようにしています。0〜2歳児までの子どもには、行動や表情から遊びたいものや遊びたい場所を読み取り、子どもが希望するもので遊べるようにしています。3歳児以上の子どもは、楽器の演奏やごっこ遊びなどを通して、自主性や主体性を育て、何かを成し遂げた達成感を味わえるようにしています。職員は一人一人の子どもに寄り添い、向かい合って保育をすることを心がけています。
 全クラスを通して、保育室には各年齢の発達に応じたおもちゃ、ブロックやパズル、オセロ、トランプなどがきれいに並べられており、子どもたちが自分で取り出せる配置になっています。子どもがそれぞれ落ち着いて遊べるよう、机やじゅうたん、ゴザなどを使用したり、時にはパーテーションをコーナー保育に利用したりして、遊ぶスペースをわかりやすく確保しています。例えば、2歳児クラスでは、マットととび箱を並べておき、職員がそれぞれの用具の脇に立って補助しながら、跳んだり、ゴロゴロ進んだり、また、平均台では手を引いたりして、順番に遊んでいます。

 

3 サービスマネジメントシステムの確立

  年間指導計画に従って作成された月案、週案は、評価後、見直しを行っています。週末のクラス会議では年齢ごとに、子どもの発達や健康面、家庭の状況を評価し、反省を行った後、月曜会議でクラス代表が評価と反省の内容を発表します。その時にはほかのクラスの代表も参画して、次月への指導内容を検討しています。話し合いを行うことで、期ごとの振り返りや次の取り組みに対する意見が出され、検討の結果は記録して、園長に提出しています。1年に2度行われる懇談会や、日常の送迎で得られた保護者の要望や意向は、職員会議の議題として取り上げて情報共有し、次月の計画の中に追加したり、イベント実施の際のプログラム作成に生かしたりしています。
  配慮を必要とする子どもを積極的に受け入れています。個別のケースについては、月末に行われるクラス会議で、適切に保育するためにはどのような対応をしたらよいかを検討します。園内で起こった具体的な事例を出して内容について反省するとともに、担当の職員がさまざまな意見を出し、今後の指導についても話し合います。園内では絵画、運動、音楽の研修が実施され、グループごとに研修を受けて記録を残しています。また、定期的に外部研修を受け、障がいに関する最新情報やインクルーシブ教育について学んでいます。受けた外部研修は研修記録を作成して資料とともにファイリングし、職員が随時情報共有できるようにしています。
  苦情解決相談窓口は事務長と各クラス担当、相談事解決責任者は園長です。「愛児園のしおり」に相談・苦情についての記載をしています。2階入り口に意見箱を設置するほか、苦情解決規定、権利擁護機関など他機関の苦情解決窓口を掲示しています。毎年2度の保護者懇談会を設けて保護者の要望や意見を聞いています。また、コミュニケーションツールとして連絡帳も活用しています。保護者からの要望は記録して、月曜日の会議で内容や対処について話し合っています。自分で意見を表明するのが難しい子どもに対しては、一対一になって遊んで好きなものを探したり、苦手なものに一緒にチャレンジしたりして、目を見て向かい合います。

 

4 地域との交流・連携

 地域の祭礼に5歳児が参加して山車をひき、地域住民と交流しています。南区の南土木事務所の職員が園に来て子どもたちと花の種植えをして育て、それを公園の花壇に植えています。また、地域の高齢者や子どもたちの祖父母に、園が行っている「感謝祭」への参加を呼びかけています。このような催し物を通して、施設に対する要望を把握するように努めています。隣接している「八幡町ふれあい広場」は町内会が管理していますので、そこでも、地域の方々が栽培している野菜をもらったり、子どもたちが触れ合ったりしています。その中で町内会と親しくなり、地域の防災体制の一環としてこの広場を避難場所とするので、保育園の協力をお願いしたいという申し出があり、園長は了承しています。なお、南区の園長会や幼保小会議を通して、子育て支援ニーズの把握に努めています。
 「園便り」を、近隣の小学校3校と中学校1校に毎月届けています。また、町内会にも渡しています。この園便りを通して、園の活動を地域の方に知ってもらうようにしています。門前の掲示板にも園で行うさまざまな活動、季節の行事やお話し会、映画などについて、掲示して知らせたり、参加を呼びかけています。さらに、そういった催し物についてはポスターを作り、近隣の商店街の八百屋や花屋の店先に貼ってもらっています。育児相談については、子どもについての悩みや困ったことがあったらいつでも相談にのることを、電話番号を添えて、掲示板やパンフレットなどで知らせています。これらの認知度をさらに高めるために、現在、ホームページを作成する計画を立てています。
 病院は小児科医、外科医、脳神経科医など一覧表を作成し、事務室内に置いています。このほか、横浜市中部地域療育センター、保健所、児童相談所、警察署、消防署など関係する機関についても網羅しています。これらの機関との連携は園長が直接担当者になっています。特に、児童相談所とは定期的に情報交換を行い、虐待の早期発見に努めるとともに、虐待が疑われたら、その後の取り組みなども話し合うことになっています。横浜市中部地域療育センターからは、職員が巡回指導を受けています。保健所とは電話や来園を通して、配慮を必要とする子どものケースについて頻繁に情報交換を行っています。具体的には登園の状況や成長発達の状況、気になる行動などについて保健師から質問があり、それについてのアドバイスを受けています。

 

5 運営上の透明性の確保と継続性

 職員一人一人が自己評価をした結果については、職員会議や申し送り会議などで個々の課題を報告し合い、改善へ向けた取り組み方を話し合っています。また、クラスリーダーや主任、園長からアドバイスをもらいます。個々の自己評価を園長がまとめ、園としての課題を探ります。そして、各年齢の保育目標に沿った活動がなされているか点検し、「中村愛児園の自己評価結果について」という文書を作成して、保護者に配付したり玄関ホールに掲示して周知を図っています。その文書は、園の保育目標、今年の取り組み状況、取り組み(目標)と結果について、次年度の課題という項目で記載されています。
 園の運営規程の中に、キリスト教精神に基づく保育・教育、人権擁護・虐待防止、障がい者支援、個人情報保護などについて記載されています。また、就業規則の中に職員の服務に関する項目があります。このほか、全国保育士会倫理綱領もあります。このような文書で守るべき法や規範、倫理について職員に周知しています。また、園長は横浜市や新聞報道などから不正、不適切な事案について情報を得、そのつど情報を職員に流して注意喚起を促しています。さらに法人本部からも適宜情報が流れてきますので、その情報も職員に周知するようにしています。なお、運営法人の広報誌に決算報告書を記載し、職員や保護者、近隣住民などに配付しています。
 理念や方針、保育目標は、玄関ホールや事務室に掲示し、職員には文書を渡して周知を図っています。また、各保育室には保育目標を掲示しています。年度初めの職員会議では、園長が保育課程の説明をしていますが、その冒頭にも理念や方針、保育目標が記載されており、読み合わせを行っています。職員の入職時には、園長が、園の理念や方針、保育目標などについて説明しています。そのほか、年間指導計画を職員が作成するときに確認をしたり、必要に応じてクラス会議や職員会議などで取り上げ、話し合っています。なお、園長や主任は保育を見て回るときに、日誌、週案、月案、個別計画などに目を通し、理念や方針に沿った保育をしているかを確認しています。

 

6 職員の資質向上の促進  子どもの人数に合わせた職員配置をしており、補充する場合は、系列の横浜女子短期大学をはじめ保育専門学校に求人票を出しています。そのほかハローワークにも依頼しています。職員は年度初めに、年度末に検討して作成した保育課程の読み合わせを行い、理念や保育方針、保育内容などを確認し合っています。また、年度末には「個人目標シート」を作成して自己評価するとともに、園長に提出して面談を行い、達成度を確認し合っています。なお、個人目標シートは、本年度の振り返り、次年度取り組みたいこと、自分に求められていることとその達成度、自分の強みや弱み、研修希望、資質向上計画などを記載するようになっています。
 系列の横浜女子短期大学が神奈川県から委嘱され、保育センター(保育にかかわる調査研究機関)を開いて、保育士を対象とした研修を開催しています。保育センターでは県下の関係者が研修計画を検討して、横浜女子短期大学の学長のもとに最終的に立案されています。園は、この研修を活用しています。具体的には、横浜女子短期大学保育センター研修予定という表があり、新任保育研修をはじめ、各年齢別の研修、主任保育士や園長研修、カウンセリング、特別セミナーなど30数項目の研修があります。園長が職員一人一人の前年度の実績に基づき、研修への受講者を決めています。研修終了後は報告会を開くとともに研修報告書を提出しています。園内研修も定期的に開いており、今年度は、絵画、音楽・体操、運動の3つを計画して、実施しています。
 職務分担表を作成し、個々の職員がそれぞれの経験年数に合わせて果たすべき職務を明確にすることで、現場の職員に権限を委譲しています。具体的な職務分担としては、保育内容の各種指導計画、日誌の点検指導、ケース会議調整、行事関係、交通安全、図書関係、園便り関係、幼保小関係、防災関係、園芸担当、地域交流事業担当など詳細に決められています。なお、権限移譲をしていますが、その結果は必ず、主任や園長に報告するようにしています。また、個人目標シートや自己評価表をもとに園長が個別面談を行い、個々の職員の意見や提案、悩みなどを聞いたり、アドバイスをしたりしています。

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