かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

ちとせ保育園

対象事業所名 ちとせ保育園
経営主体(法人等) 社会福祉法人 ちとせ会
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 241 - 0033
旭区今川町60-2
tel:045-364-6332
設立年月日 1979(昭和54)年04月01日
公表年月 2017(平成29)年12月 〜
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 株式会社 学研データサービス
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

《施設の概要》
 園は、社会福祉法人ちとせ会により昭和54年4月に旭区に設立されました。0歳児(産休明け)から5歳児まで定員200名で、開園時間は、月曜日〜金曜日は7:00〜20:00、土曜日は7:00〜18:00(日曜・祝日は休園)です。創立者は、キリスト教の牧師であり、「この世に奉仕していくためにやらなければならないこと、神に命じられていること、それがすぐれた福祉と幼児教育を実践していくことで あり、また働く女性の幸せと、現実社会の複雑化した時代に埋没されそうになっている子どもたちの豊かな成長を願って『愛と希望と勇気』を与えていく」との固い信念に基づき設立されました。周囲は緑が多く、子どもたちは広い園庭で思いきり体を動かし、時には園バスを利用しての園外保育等を行っています。子どもたちは一人一人大切にされ、大きな家族のようにかかわり合いながら生活しています。花の日やクリスマスの地域訪問、地域といっしょに楽しむ夏まつり、いちご狩りやじゃが芋掘りなど、地域の方々に温かく見守られ、子どもたちは感性豊かに成長しています。

《特に優れている点・力を入れている点》
○5歳児の地域訪問や夏まつりなどにより、園は地域と良好な関係を築いています
 園は創立精神の中に地域社会とかかわることを挙げ、地域住民と良好な関係を築いています。5歳児は感謝の気持ちを伝えるため、クリスマスにはお世話になっている近所のお宅、近隣の高齢者施設や区役所、消防署、子育て支援拠点などを訪問してハンドベルの演奏をし、春には花を届けるなどして交流し喜ばれています。園で行われる夏まつりは保護者会主催、園・町内会・学童保育の共催で開催していますが、毎年1000人程度の来園があり、地域の夏祭りとして定着しています。子どもたちは近隣の農家でいちご狩りや芋掘りを行い、近隣の住民は気軽に園にゴーヤを持って訪れるなど、地域とのさまざまな交流があります。地域からの苦情には保護者会と協力して対処する体制ができており、迅速な対応に努めています。

○園と保護者会で子どもたちや行事に関する情報が共有された信頼関係が、保育の資質向上に結びついています
保護者で組織された保護者会は、保護者として自分たちができることや行事への参加について、保護者会発行の「おさなご」で周知するなど自主的な活動をし、自然な形で園運営に参加しています。そして、保護者間のコミュニケーションも取れるように力を入れています。保護者は保育者とは違う目線で子どもの成長や園での活動について見つめ、意見・要望や提案があれば、保護者会がとりまとめて園への意見・要望、提案として伝えています。園からの情報発信と、保護者会からの情報発信が、子どもの成長を喜ぶという共通の視点で行われており、園と保護者との間で良好なコミュニケーションが取られています。このように、子どもに喜びを与えられる保育を実施できることは、職員の資質向上にも結びついています。
○保育理念に沿って子どもたちは一人一人が大切に尊重され元気に成長しています
園では保育の特色として、キリスト教の”愛”の精神に基づき、全職員が子ども一人一人の成長、発達、個性を把握して、個々の状況に応じた細やかで温かな保育を実践しています。子どもの個性が発揮できるように、3〜5歳児は外部講師による音楽、絵画造形、体育レッスンを実施しています。特に絵画造形では、子どものイメージが湧き出るようなさまざまな素材、用具などを適切に使えるようにしながら、創造性や表現力を豊かにはぐくむようにしています。子どもの力を引き出す言葉かけなども公立保育園の元園長先生を講師に招き内部研修を実施しています。子どもたちは一人一人大切にされながら多くの経験を積み成長しています。

《事業者が課題としている点》
ベテランスタッフの後任育成の遅れや情報共有不足などが課題であると考えています。これに対し職務分担を見直すことで、中堅職員の意識改革に取り組むとともに、外部講師を招いて継続的に保育研修を実施し、中堅職員にも浸透させていきたいと考えています。また、すべての職員が、園の全体像を把握できるように情報共有に努め、マニュアルの充実と業務分担を細分化させ、経験によらなくても業務遂行できる体制を目ざしていきたいと考えています。

 

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重

『キリスト教の”愛”の精神に基づき、「保育所保育指針」に沿って、ありのままの自分が受け入れられている、 生かされているという自覚をもって生きることを大切にした保育を行います。互いに愛し合う生き方を培い、一人ひとりに与えられた力を社会で他者に役立て、他者と共に生きる人間形成を目指します』を園の基本方針とし、利用者本人を尊重したものになっています。この保育方針に沿って、年間、月間指導計画を作成しています。また、子どもが想像力を発揮し、友だちとたくさん遊べる環境の整備にも力を入れています。職員にはこの方針を記載したものを配付し、また玄関、職員休憩室にも掲示しています。年度末の職員会議では、全員で読み合わせをして共通理解を深め、保育に生かしています。
 園では、子どもの人権を十分に配慮するとともに、子ども一人一人の人格を尊重して保育にあたっています。園長経験者をアドバイザーに招き、子どもの人権についての研修を継続的に実施して、子どもの人権について意識付けを行っています。また、園長や副園長、主任等は、職員が必ず目を通すことになっている「朝の連絡票」に子どもの人権の尊重、言葉かけについて記載し、日々心がけるようにしています。保育現場では保育士の言葉や対応について観察し、必要時にはクラスで話し合い指導をしています。子どもの名前について「ニックネームで呼ばない、呼び捨てにしない」等について徹底しています。
 個人情報について、ボランティアや実習生には、受け入れ時にマニュアルに沿って確認を取っています。保護者には、入園のしおり(重要事項説明書)の中で「行事等の写真や動画について」として個人情報の取り扱いについて説明し了解を得ています。また、「個人情報の使用に関わる承諾書」に署名捺印をしてもらっています。職員には、「個人情報ガイドライン」に基づき、全職員で読み合わせを行い、個人情報の取り扱いや守秘義務の重要性について周知しています。個人情報が含まれる書類は施錠できる事務室のキャビネットに保管しています。

 

2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

 保育課程は、保育方針、保育目標に沿って、子どもの最善の利益を第一に考え、また地域の実態なども考慮して作成しています。園では、子どもたちの主体性を大切にした保育をしています。キリスト教精神に基づいた保育のもと、「他者を思いやる、やさしさ。すべてのことに感謝する。互いの違いを大切に、それぞれに与えられている能力や考えの多様性を認め合う。基本的な生活習慣を身につけるとともに、保育者や仲間、そして地域の人々とのふれあいを通して、自分に自信をもち他者を大切にしていくことを学んでいます。無限の可能性を信じ、さまざまなことに積極的にチャレンジする。 夢を持ち、最後まであきらめないで努力し、忍耐する、たくましさ。平和をつくりだす」を保育目標にしています。保護者には、年度初めの懇談会や入園説明会で園長から説明し、園便りでも周知しています。
保育課程に基づき、年間指導計画、月間指導計画を作成しています。指導計画の配慮事項欄には、子どもの発達に合わせて、気をつけて対応していく内容を記載し一人一人の子どもに柔軟に対応しています。さらに、0〜2歳児では個別指導計画を作成しています。行事や活動の導入の際には、言葉で説明し、また言葉では理解しにくい子どもには身振りなどから、子どもたちが理解しやすいようにしています。園では、可能な限り子どもたちに個別の対応をしています。職員は保育中の子どもの様子や子どもたちとのコミュニケーションの中で、一人一人の子どもがどんなことに興味があるかを探り、「やってみよう」という気持ちを大切にして指導計画に盛り込んでいます。
入園にあたり3月ごろに入園説明会を開催し、その後主任、担任が保護者と面接をしています。その際、子どもの様子も観察しています。入園説明会に参加できない保護者や中途入園の場合には、個別に対応しています。なお、面接内容は面接記入用紙に記録し、子どもの様子とあわせて職員会議で報告し共有しています。保護者には、面接の前に入園前の子どもの様子、これまでの養育者、成育歴、保育歴等3ページに及ぶ児童票に記入してもらい、これらの調査票に書かれた内容について面接で保護者に確認しています。さらに、子どもを育てるうえで気をつけてきたこと、大切にしてきたことについて聞き取りをし、把握した内容は日々の保育に生かしています。

 

3 サービスマネジメントシステムの確立

 新入園児の慣れ保育(短縮保育)については入園のしおりに記載し、入園説明会の中で「新入園児の保育時間」の内容に沿って保護者に話しています。仕事などの都合で短縮保育の実施が難しい保護者に対しては相談に応じ、保護者が納得したうえで保育を進めています。慣れ保育中の子どもの状況変化には個別に対応しています。自宅で使用しているタオルなど子どもの心の拠りどころとなる物の持ち込みにも対応しています。保護者とは連絡帳を通して子どもの様子を毎日詳しく報告し合い、子どもの生活が家庭と園とで無理なく連携できるようにしています。在園児への配慮として、進級時にはクラス担任のうちできる限り一人が持ち上がり、引き継ぎを進めています。担任が変わっても、子どもたちが落ち着いて生活し、安定して遊べるように副園長や主任も加わってていねいに見ています。
 職員は指導計画の自己評価欄を活用し、評価、見直しを行っています。クラス内や乳・幼児の各会議を実施した後、それぞれの記録を持ち寄って、園全体で会議を行っています。職員同士で話し合い、再評価や見直しをして、子どもの発達や状況を正確にとらえるようにしています。保護者との情報共有を大切にして、送迎時には園での子どもの様子を伝えるなど、日ごろから保護者とこまめにコミュニケーションをとるように心がけています。職員は常に保護者の思いの把握に努め、懇談会や入園説明会でも意見を募っています。また、連絡帳や日常の会話などから、保護者の要望、意見を把握し、改訂の際に反映させています。
 園には外国にルーツのある子どもが在籍することもありますが、日本の文化や生活習慣を押しつけたりせず、それぞれの国の生活習慣や考え方の違いなど、そのままを尊重しています。また、絵本や歌などを通して、世界にはいろいろな暮らしがあり、さまざまな人がいることを教えています。漢字がわからない保護者には、連絡帳をひらがなやローマ字で表記して対応したり、日本語での意思疎通が困難な場合には、横浜市の通訳ボランティアや国際交流協会に通訳を依頼する体制があります。

 

4 地域との交流・連携  園で開催する夏まつりは保護者会主催ですが、町内会などとも共催で行っており、夏まつりの実行委員会の際に町内会から園への要望を聞いています。また園庭開放などの際にも、保護者との会話から要望の把握に努めています。地域住民への育児相談も行っています。幼保小連携事業に参加して意見交換を行うほか、旭区鶴ヶ峰エリアの子育て支援に関する会議にも参加して検討を行っています。鶴ヶ峰エリアでの子育て支援事業「ミニ保育園ひろば」に保育士を派遣しています。
毎年、高校生の保育体験、中学校の職場体験・体験学習、小学生のジュニアボランティアなどを受け入れています。また絵本の読み聞かせボランティアも来園しています。「ボランティア受け入れマニュアル」があり、ボランティアに対して園の方針や子どもたちへの配慮、守秘義務などを説明しています。入園のしおりにボランティアについての園の考え方を載せ、保護者や職員が理解できるようにしています。受け入れと育成の担当は副園長や主任が行い、受け入れの記録はファイルにとじています。小・中・高校生のボランティアからは後日感想文をもらい園内で閲覧しています。
 利用希望者の問い合わせには入園のしおりを使用して保育方針やサービス内容について説明をしています。問い合わせの際に見学ができることを伝え、予約をお願いしています。見学の際はフリーの副主任が対応し、個々の見学希望者の要望に合わせて日時を設定しています。保育の様子がわかるよう、見学はなるべく活動の様子を見られる時間帯を勧めています。
5 運営上の透明性の確保と継続性

  職員が守るべき法・規範・倫理については「就業規則」「新規採用施設職員研修資料」などに記載し、また職員の休憩室には人権への配慮を心がけるためのはり紙をしています。経営、運営状況については、園のホームページで収支計算書、貸借対照表などを公開しています。他施設での不正・不適切な事例は新聞記事などをもとに職員会議で話し合い、資料をファイルして職員に注意喚起をしています。
 「園の理念」「保育方針」は「創立者の思い」「創立の精神・理念」とともに玄関ホールに掲示し、全職員に配付している入園のしおりにも記載して、職員が立ち返ることができるようにしています。また園長は理念・基本方針について、年度初めやクリスマス、新年といった節目に職員に話をしています。職員会議の際には理念に関係する聖書の一説を職員が朗読して、キリスト教精神に基づく保育について理解を深められるようにしています。園長は職員が理念・方針を理解できているかを確認しながら話をしています。
 毎月の保護者会の役員会に園長、副園長、主任が参加し、意見交換をするとともに、行事への協力をお願いし、保護者に関連する近隣からの苦情などを保護者会の会報に掲載してもらうなど、協力体制ができています。保育時間の変更や園の改装などの重要事項については、職員には職員会議で、保護者には保護者会の役員会や年度末の保護者説明会でていねいに説明を行い、必要に応じて掲示をしています。園の改装の際には、関係するクラスの職員が子どもたちへの影響を考えながら部屋の配置や間仕切りの高さを検討するなど、園をあげて取り組んでいます。

 

 

6 職員の資質向上の促進

 園では面接で職員の意向を聞き、必要な人材を補充しています。またフリーの保育士を配置し、必要に応じてクラスに入るなど手厚い保育をしています。人材育成の計画として法人が作成した「職員能力評価の仕組み」があり、全体、初任者、中堅職員、主任・ベテラン職員、指導及び管理職に対して、理念を踏まえた資質向上のための目標や具体的な取り組みが記されています。また個々の職員は、毎年「自己評価票」により自己の職務について振り返りを行い、「年度課題票」に年度課題を記入して年度末に省察、自己評価を行っています。
 研修計画は副園長が作成しています。職員の自己評価や年度目標を確認し、非常勤職員も含めて各職員にふさわしい外部研修に参加できるよう計画を立案し、神奈川県や横浜市、旭区、横浜市西部療育センターなど、年間30以上の講座に参加しています。内部研修は横浜市立保育園の元園長を講師に招いて研修を行っています。また外部研修の研修報告を職員会議で行い、報告書をまとめてファイルにとじて、職員間で情報共有を図っています。内部研修の成果は定着の状況を確認したうえで、講師に依頼して異なるアプローチの方法を考えてもらうなど、研修内容を見直しています。
 現場の職員には子どもたちの状況に応じた活動の変更などについて自主的に判断できるようにし、そのつど副園長や主任に報告をするようにしています。業務改善については常時提案を募り、園長のほか、副園長1名、主任1名、副主任3名を配置して意見を取り入れやすい体制にし、職員会議などで必要に応じ話し合っています。毎年9月に園長、副園長または主任、職員での面談を行い、職員の満足度や要望を把握しています。

 

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