かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

川崎市わーくす大師

対象事業所名 川崎市わーくす大師
経営主体(法人等) 社会福祉法人 電機神奈川福祉センター
対象サービス 障害分野 就労継続支援
事業所住所等 〒 210 - 0812
川崎区東門前1-11-6
tel:044-277-5444
設立年月日 2001(平成13)年04月01日
公表年月 2017(平成29)年11月 〜
使用評価項目 川崎市版
評価機関名 株式会社 R−CORPORATION
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

【概要・立地面の特色】
就労移行支援事業、就労継続支援事業B型である川崎市わーくす大師は、川崎市の指定管理施設(平成32年度まで)であり、社会福祉法人電機神奈川福祉センターが運営しています。電機神奈川福祉センターが運営する事業所は、障害者部門として川崎市わーくす大師を含めて4施設、就労援助(支援)センター3施設を神奈川県内に展開しています。川崎市わーくす大師は、京急大師線東門前駅から徒歩5分程度であり、川崎大師参道の東側にあたり、下町風情が残る静かな住宅地の中に位置しています。近隣には大師公園や小学校、幼稚園、保育園が点在し、歴史のある門前町として古くからの住民が住まう落ち着いた街並みです。地理的に川崎大師にほぼ近く、住宅地と商店街等が混然とした地域です。川崎市わーくす大師の建物は2階建てで落ち着いた佇まいであり、一見病院や行政のような出で立ちを醸し、多くの出入りを感じさせず、周りの住宅に溶け込んでいます。現在の利用数は、就労移行支援事業定員30名に対して34名、就労継続支援事業B型定員20名のところ22名が契約し、1日平均51.5名の利用者数となっています。

【特に良いと思う点】
1. 【高い就労実績】
川崎市わーくす大師は、就労移行支援事業、就労継続支援事業B型の2事業を通して就労を目指し、自立した社会生活が営めるよう支援しています。現状、就労支援でフォローしている会社は30社を超え、就労先に東京都の会社も増える等、就労の実績が非常に高い施設です。利用者の特性で発達障害のため就労が難しいケースでは、発達障害に特化した同系列事業所である「ウィングビート」と連携を取っています。川崎市わーくす大師では、就労支援だけではなく生活スキルの獲得を目指した教育等を実施し、職員一同、支援に尽力しています。

2. 【川崎市特別支援学校卒業生への配慮】
川崎市では特別支援学校卒業生の「在宅ゼロ政策」を推進しており、川崎市わーくす大師では要請を受け受け入れを行い、特別支援学校(川崎市9校)とネットワークを強化し、さらに市外(横浜市、東京都大田区)の余裕のある範囲内で受け入れも行っています。また、卒業後、就労を第一希望にする生徒については1、2年生の時代から積極的に実習を受け入れ、離職になった場合の受け入れ場所であることを生徒、保護者、進路担当に伝え、フォロー体制を整えています。

3. 【就労支援の実施】
川崎市わーくす大師の利用者トレーニングは、@「職場でのマナーを覚える」、A「自分でやれることを増やす」、B「仕事への自信をつける」を基本にして取り組んでいます。就労に向けては、第1段階に1.作業訓練、2.グループワーク講座、3.面接や履歴書の練習を行い、第2段階で企業実習や、就職前の特別訓練を実施し、段階的に自信をつけて企業就労へつなげています。入所の前半では「職場でのマナー、ルールを覚える」ことを目的にした全体ワークを通して基本を学び、後半は個々の課題に合わせた4〜6人のグループワークを実施します。また、治工具などを使った作業を通して働くことを疑似体験し学びます。

【さらなる期待がされる点】
1. 【休憩時間に対する支援の工夫】
川崎市わーくす大師は、準工場形式による生産が特徴です。施設では面談場所を必要とし、レイアウトの変更を行って面談室を設けました。作業では、工場形式に則り、休み時間は短い設定でもあり利用者は廊下等で過ごしています。形式を重んじ、時間的余裕も含め、特に休憩室を要しないようにも思えますが、健康や精神的な課題を持つ利用者の方を考慮して、工場形式の良さを残しつつ、休息できる場所、例えば本棚とソファー等を置く等、レイアウトの見直しを一考いただき、寛げる空間を考える余地がありそうです。

2. 【さらなる利用者の健康管理】
利用者の健康管理については常に留意しているとのことですが、利用者は必ずしも体が強い人ばかりではないため、特に、インフルエンザなど感染症が流行っている時には朝、体温を測るなど健康管理に努めています。しかし、作業所での限られた空間の中では感染のリスクも否めませんので、感染症に限らず、健康管理については集団生活を踏まえ、家庭との連携を密に図りながら一層の蔓延防止に努めていかれることを期待しています。

3.【対人関係・接遇の強化への工夫】
利用者の方は基本的に純粋な心を持つ方が多く、長所であると言えますが、就職に係る面接の場面においては面接担当官の問いかけに対して、直接的な表現をしてしまう傾向がうかがえ、面接担当官への印象の面や就労に支障がないよう、施設では就労面接における指導を工夫し、就労支援に努めています。就労支援、教育に力を入れる中、個々の利用者の特性を加味し、わーくす大師独自の接遇のマニュアルの検討を進めているとうかがいました。さらなる今後の成果を期待しています。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重

●利用者からの希望に応じて都度、個別面談を実施し、話を聴くようにし、利用者の意思を尊重しています。また、希望内容に沿って個別に対策を検討し、支援に努めています。職員は毎日、「利用者ニュース」にて利用者一人ひとりの情報を共有し、具体的な対応策については、朝礼や職員終礼で非常勤職員にも周知し、全体で共通理解を図り、利用者を尊重したサービスに努めています。

●虐待防止に関しては、「利用者ニュース」内に、利用者からの「苦情」として報告を上げて職員間で共有を図り、対応について検討し、早期発見につなげています。虐待に関する研修は、法人内部研修に担当職員が参加し、順次、全職員が受講する体制を整え、虐待防止に努めています。

●個人情報の取り扱いについては、重要事項説明書に掲載し、契約時に同意書を取り交わした上で、就労前実習、施設移行、病院等への情報提供を行っています。職員は、利用者の気持ちを理解し、相談しやすい雰囲気作りに努め、受容し、訴えを肯定的に捉え、配慮して支援に努めています。OB職員に対しては、法人本部作成の非常勤職員用マニュアルを活用して指導を行っています。

2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

●家族を含めた個別面談時にアンケートを実施し、年度末には利用者意向(満足度)調査を行い、利用者の満足度を把握し、活動に生かしています。保護者に対しては、パワーポイントを活用して「川崎市わーくす大師事業報告会」を開催し、利用者満足を把握する機会を設けています。また、目安箱を設置し、意見等は「利用者ニュース」に記録し、職員間で共有しています。施設では、川崎市第三者委員会に毎月苦情を報告する体制をとり、年3回第三者協力委員が巡回にきています。

●川崎市わーくす大師では、施設内のレイアウトの見直しを行い、プライバシーを確保した面談室を設定し、環境改善を実施しました。環境設定により、以前より面談の回数、時間も増え、利用者が日々の悩みや相談を気軽に安心してできるようになる等、サービス改善に努めています。職員は、利用者一人ひとり丁寧に聴き取り、得た情報は「利用者ニュース」に記録し、職員間で共有し、サービスの改善に反映させるようにしています。

●利用者とのコミュニケーションでは、利用者の性格、個性、障害特性に配慮して、話しかけと支援の仕方の工夫に努め、ホワイトボードや紙等、視覚的に情報が得やすいよう工夫しています。また、グループワーク等の手法も活用し、情報の真偽を整理しながら利用者本人の気持の理解に努めています。また、障害特性に応じて、睡眠や食事の記録を取り、客観的に振り返る判断材料にし、必要に応じて医療機関と連携を図り、医師の診断や治療を仰ぎながら支援に努めています。

●健康管理では、月1回、嘱託医による問診、触診、体重測定を実施し、年1回、健康診断を実施しています。特に、生活習慣病に留意し、体調不良の訴えがある場合には、家庭や支援者と連携し、健康管理に配慮しています。服薬管理が必要な利用者の場合は、個別に服薬カレンダー、服薬チェック表を作成し、誤薬がないよう確実に実施しています。

●就労移行支援事業では、利用者から職種の希望と訓練の様子から適正な把握を行い、利用者本人の特性に合った職場のマッチングを行うようにしています。就労後は、職場訪問や、面談を中心にフォローを行っています。就労者のたまり場「ほっとスポットかわさき」や、同窓会(年3回)等を実施し、定期的に交流を図っています。

●就労継続支援事業B型では、障害特性や理解度に応じた作業治具を用意し、多くの作業種を行えるように工夫し、支援しています。利用者に対しては、グループワークで働くためのルール確認を行い、朝礼、昼礼、終礼で労働安全教育として危険予知訓練(KYT)を実施し、5S(整理、整頓、清掃、清潔、躾)の教育を行う等、職場の行動規範の意識付けを行っています。作業は、年度の前半は大きく2班に分かれ、全体ワークで基本を習得し、後半は4〜6班に分かれてグループワークで作業を行い、能力向上のための仕組み作りが成されています。

3 サービスマネジメントシステムの確立

●法人のホームページや、川崎市のホームページにサービス内容を掲載し、情報を提供しています。施設見学者にはパンフレット、資料、VTRを活用してサービス内容を説明し、契約時は重要事項説明書、契約書に沿って説明しています。契約書等は平仮名で表示して配慮しています。サービス利用開始後は、それぞれの職員が声かけを行い、積極的に話しやすい環境作りに努め、利用者の不安やストレスが軽減されるよう配慮しています。面談室は1階、2階に各2ヵ所ずつ設け、利用者の特性に合わせて定期面談を実施し、場合に応じて個別に面談して対応しています。

●個別支援計画は、利用者に事前アンケートから希望を聞いた上で素案を作成し、策定では職員間で検討及び、確認を行い、利用者も関与しています。作成した個別支援計画は、本人、家族に説明を行い、承認を得てから実施しています。利用者に関するサービス実施状況は、パソコン・ソフト上の日々の「利用者ニュース」で共有化を図り、個別支援計画の実績はポイントを絞って記録しています。

●各種マニュアル(運営、緊急時・事故対応、感染症対応、服薬管理、防災計画・報告、実習生受け入れ等)を完備し、利用者の作業については、職員用マニュアル、作業手順書に沿ってサービスの提供をしています。運営マニュアルには目次、項目ごとの作業内容が図入りで示され、標準化を図るよう整備しています。

4 地域との交流・連携

●地域へは、法人ホームページ、川崎市ホームページにて川崎市わーくす大師の情報を提供しています。地域の中学校の特別支援級の体験実習を積極的に受け入れ、事業所の掲示版に案内を貼り、川崎区地域包括システム普及イベントの「みんなでつなごう!ちいきの輪」のチラシに行事を掲載する等、地域へ案内しています。また、関係機関では特に、特別支援学校、川崎市役所、相談支援センター、福祉センターへ事業報告書を提供しています。週2回、近隣の地域活動支援センターの手作りパンの販売を施設内で行い、利用者も昼食に購入し、交流をしています。

●施設見学者の受け入れはホームページ、保健福祉センター、かわジョブナビに掲載し、多くの見学者を受け入れています。ボランティアの受け入れは、希望があれば高校生や大学生の1日体験を受け入れ、守秘義務に関して事前説明を行い、周知しています。川崎市わーくす大師は、震災時等の受け入れも行っています。

●関係機関・団体との定期的な連絡会等では、川崎区自立支援協議会、川崎市しごとセンター(共同受注の窓口)、川崎市障害施設関係協会の施設長会に参加し、情報の共有、情報交換を行っています。地域の福祉ニーズは、川崎区自立支援協議会、川崎市しごとセンターなどを通じて把握しています。また、川崎市南部地区の関係機関と連携し、引きこもりやコミュニケーションに課題のある障害者に対して地域の見守り体制と居場所作りに取り組み、企画を実施しています。

 

5 運営上の透明性の確保と継続性

●理念、基本方針は、法人において、使命(ミッション)、誓い(コミットメント)を根幹にした目指すもの(理念)を定めています。目指すもの(理念)は、パンフレット、ホームページに掲載し、施設内(職員室等)にも掲示し、事業報告書に法人の理念、基本方針を明示しています。法人では各事業所の3ヶ年事業計画を策定し、それに沿って現在の情報等をベースに事業所の3ヶ年計画を作成して年度ごとに事業計画を策定しています。

●職務分掌については、キャリアパスの標準業務一覧(7段階の求められる職位像)の中に管理者の役割が明文化され、場面々で自らの責任を表明し、職員が果たすべき役割、適切な報告をするよう示し、円滑な業務につながるよう指導力を発揮しています。施設長は、職員のメンタルヘルスに配慮し、意見を言いやすい職場環境・雰囲気作りに努め、職員一人ひとりの業務の効率化を図り、授産作業の取引先との契約の見直し等にも取り組んでいます。また、特別支援学校との関係を重視し、特別支援学校への提言も行っています。

●川崎市指定管理施設として毎年、事業報告書の提出及び、訪問調査を受け、法人内部でも内部監査の取り組みを行い、定期的に評価を行う体制を構築し、評価は事業計画に反映させています。また、委員を設定し、管理職・必要な職員に対して、テーマを設けて体質改善に関する自己評価を実施し、年度末に振り返り及び総括を行い、次期計画に反映すようにしています。今年度、第三者評価を受審し、評価結果は改善計画につなげ、課題に取り組んでいきます。

6 職員の資質向上の促進

●人員体制は、法人本部と施設長中心に定め、関係法令を参考に採用プランを策定しています。人員配置は、職員の適材適所を見極め、職員の産休、育休を視野に入れ、定められた最低基準を上回る必要な人材・人員の確保に努めています。新人職員、中堅職員等の必要な資質については、キャリアパスの標準業務一覧(7段階の求められる職位像)に明示しています。コンプライアンスの順守は、関係法令を職員行動指針に沿って定期的に職員会議で確認し、周知しています。

●職員の質の向上では、標準業務一覧に沿って、各段階の職位像、個々に求める能力・資質に応じて研修の参加を勧めています。研修受講者は、研修報告書を提出し、職員会議で報告を義務化し、個々の質の向上に役立てています。研修報告書はイントラネットで共有化を図っています。研修内容は、成果を見極め、研修内容を精査し、次年度の研修計画に反映させています。

●施設長は、年2回、キャリアパス制度に沿って職員と個別面談を行い、個別業務振り返りの他、意向を聞き、把握しています。また、キャリアパス制度について、各職員が成長する道筋となることを分かりやすく説明し、啓発しています。施設長は、常に職員の就業状況を把握し、健康に配慮を行い、声かけや食事の際に談話を交えて相談しやすい雰囲気作りに努めています。福利厚生では、健康診断の補助を行い、希望により横浜市勤労者福祉共済組合の加入により福利厚生を整備しています。

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