かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

新町しほかぜ保育園

対象事業所名 新町しほかぜ保育園
経営主体(法人等) 社会福祉法人 寿会
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 210 - 0837
川崎区渡田四丁目9番の4
tel:044-223-8818
設立年月日 2016(平成28)年04月01日
公表年月 2017(平成29)年12月 〜
使用評価項目 川崎市版
評価機関名 特定非営利活動法人 よこはま地域福祉研究センター
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

【施設の概要・特徴】
新町しほかぜ保育園は、JR川崎駅より市バスで10分ほどの、住宅や商店が混在する地域にあります。園庭を囲む三方が一般住宅の環境ですが、公立園時代からの地域との交流により近隣からの理解を得ています。園は川崎市の民間移管により、平成28年4月に「新町しほかぜ保育園」として開園しました。運営法人は社会福祉法人寿会で、当園の他に川崎市に1園、神奈川県内に3園の保育園を運営しています。
開園時に新築された園舎は木造2階建てで、様々な工夫やこだわりで、子どもたちにとって居心地が良く安全性の高い設計になっています。床材は乳児にも優しい木の柔らかさから国産の杉板材を用い、壁は有害物質を吸収する効果から珪藻土を用いています。各年齢の保育室の他に2階には、独立した一時保育室と、広いホールがあります。
定員は130名で、生後5か月から就学前までの児童を受け入れています。開園時間は7時〜20時(月曜日〜土曜日)です。保育理念は「人と自然に接し 人を愛し 自然を愛し 自分から遊べる自主性 とらわれることのない 自由な心を持つ 大きな子に」としています。


【特によいと思う点】

●子どもの人権を尊重する保育の実践を第一義としています
保育の特徴を「子どもが子どもの時代を輝いて生きられるよう、子どもが主体的に生きられるように」としています。職員は年に数回実施される運営法人の理念研修において、子どもの人権を尊重する保育態度や言葉遣いについて学んでいます。職員会議では「保育従事者の心得〜信頼される保育従事者として〜」や「Bad word/Good word・nice配慮」を用いて日頃から職員間で意識共有しています。大人の満足感や達成感を得る為ではなく、子どもの笑顔の為の保育を実践しています。


●多くの体験を通し子どもの豊かな感性が育っています
子どもたちは様々な体験を通して豊かな感性を育んでいます。質の良い文化に触れる体験として、上質なピアノを用いた歌やリズム遊び、芸術指導者を招いて定期的に実施するワークショップなどがあります。音楽に合わせてのびのびとダンスをしたり、ダイナミックに絵の具を使いみんなで大きな作品を完成させたりするプログラムを、子どもたちは思う存分楽しんでいます。また自然に触れ合う体験では、熱心に昆虫やカエルを飼育しています。エサとなるダンゴ虫の飼育箱も作り、子どもの好奇心や想像する力を園全体で大切に育てています。


●配慮の必要な子どもを愛情豊かに支えています
配慮の必要な子どもたちを、園全体で愛情豊かに受け入れています。小学校の特別支援級を担当した経験を持つカウンセラーを隔月で招き、健常児を含む全ての子どもへの配慮や環境設定等、きめ細かなアドバイスを受けています。園生活を「みんな一緒」に楽しむために、集団活動が難しい場合においても特別に対応するのでなく、みんなが同じ場にいることが大切との意識を職員が共有しています。


【さらなる改善が望まれる点】

●苦情解決の仕組みの周知が期待されます
保護者からの意見や要望を聞き取る仕組みとして、個人面談やクラス懇談会の実施、ご意見箱の設置、保護者会役員会会議での意見交換など多くの機会を設けています。「苦情受付の流れ」として玄関ホールには、園内の担当者及び第三者委員の連絡先を記し掲示もしていますが、家族アンケートでは、約2割の保護者がこの仕組みを「知らない」と回答しています。保護者の周知へのさらなる工夫が期待されます。


●地域支援に向けた検討課題の実現に期待します
開設間もない園であり、今年度からの取り組み、中長期計画のある取り組みなどを、全職員が一丸となって意欲的に検討を重ねています。中長期の取り組みの大きな柱には地域交流・地域支援があげられています。すでに園が実施している地域支援についての広報の充実・高齢者との交流・地域の子育て支援拠点を目指す計画などについて具体的な準備を始めています。保育のプロ集団の力が地域を支える力となるよう今後の実践に期待します。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重

・保育理念に沿って、子どもの思いを汲み取ったり、一緒に考えながら保育を進めることを大切にしています。子どもの人権や人格を尊重することについて共通理解を図るため、理事長による理念研修を通して学びを深めています。また、職員会議では「保育従事者の心得」や「Bad word/Good word・nice配慮」を用いて、ありのままの子どもを受け入れる保育を実施しています。日常の中では、副園長や主任が中心になり職員に指導・助言をしています。


・「個人情報に関する新町しほかぜ保育園の方針」「守秘義務の遵守」を定め、職員に周知するとともに、全職員と「守秘義務誓約書」を交わしています。保護者には「個人情報保護について」を用いて入園時に説明し、「個人情報使用同意書」をもらっています。ホームページ等への写真掲載の可否も確認しています。日常の中では、イニシャルを用いて職員間で子どものことを話したり、引き継ぎに関するクリップボードを裏返して置き、他の保護者の目に触れないようにするなどの配慮もしています。


・子どもの気持ちに配慮して、排泄などの失敗時に子どもがいやな気持ちにならないように対応しています。子どもがブロックをケースごと床に落としたときには、落としてしまった子どもに保育士が優しく声をかけて、皆で片付ける様子が見られました。4、5歳児クラスではトイレを男女別に設置したり、着替えの際にはカーテンを閉めて外からの視線を遮るなどの配慮をしています。

2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

・職員は保護者の声を引き出し受け止めるために、保護者が話しやすい雰囲気となるように心がけています。日頃より送迎時の保護者には口頭で子どもの様子を伝え、保護者とのコミュニケーションを大切に捉えています。保護者会があり、隔月開催の保護者会役員会議には、要請により園長・副園長・主任が出席しています。園の現状を保護者に伝えると共に、保護者からの意見や要望を直接聞く機会ともなっています。


・苦情解決の仕組みとして、園内に苦情受付担当者と苦情解決責任者を置き、外部の苦情解決第三者委員として地域の民生委員・児童委員2名を定めています。玄関ホールには、苦情解決に関する園内の担当者及び第三者委員の氏名と連絡先を明記して掲示しています。しかし今回の家族アンケートでは、この仕組みを「知らない」と回答した保護者が23.1%と、やや高めの結果です。保護者への周知に関してさらなる工夫が期待されます。


・職員は子ども一人一人の家庭環境や生活のリズムを把握し、保育園での共同生活を子どもが無理なく受け入れられるように援助をしています。子どもに対して否定語を用いず、穏やかな言葉遣いで子どもの心に寄り添っています。特別の配慮が必要な子どもの保育については、担当する職員が専門知識を外部研修で学んだり、外部の専門家から定期的に助言をもらいながら他の子どもたちとの生活がスムーズに過ごせるように園全体で支援をしています。

3 サービスマネジメントシステムの確立

・園のホームページがあり、保育の基本方針や提供するサービス内容・園児の活動の様子などをわかりやすく掲載しています。入園時の保護者への説明は、嘱託医による入園前健診と同日に、重要事項説明書に基づいて行っています。合同の説明会ではなく園長又は副園長が個別に丁寧な対応を行っています。入園後の年間指導計画や月間指導計画は、園の保育課程及び保育理念に即して策定しています。また、看護師による「保健年間計画」、栄養士による「食育実施計画」、担当職員による「異年齢児保育計画」についても策定しています。


・保育業務に関する各種のマニュアルを作成しています。内容は「保育従事者の心得〜信頼される保育従事者として〜」や「危機管理マニュアル」として、職員の心構えや、子どもの健康管理・衛生管理・感染症対応、防災・環境整備などを記載し、わかりやすく具体的なものになっています。これらのマニュアルは、事務室及び各保育室に備え、職員が必要な時に活用できるようにしています。年度末にはマニュアル見直しの為の会議を設定し、職員間で検討を重ねています。


・利用者の安全を確保する取り組みとして、地震・火災・不審者侵入などを想定した防災訓練を、園児参加で毎月実施しています。加えて今年度より、職員対象の不審者対応訓練を地元警察署の指導で実施する計画があります。また、民間警備会社と契約し園舎周囲に防犯カメラを設置し、事務室内のモニター画面で安全確認を行っています。救急救命講習については、川崎区役所主催や民間企業主催のものに加え、看護師による園内講習と、年間に数回の機会を設け、全職員が受講できるように考慮しています。

4 地域との交流・連携

・事業計画の重点目標に「地域との交流」「地域の子育て支援」、中期計画に「地域に根ざした保育園」や「文化の発信」、長期計画に「子育て家庭への相談機能を充実させる」「地域の子育て文化を担う」を掲げ、段階的に地域との交流・連携を深めることができるように計画をしています。今年度は、民生委員・児童委員や老人会と交流を持つことや、一時保育、園庭開放、にこにこ広場(親子のふれあい遊び)の定着を目標にしています。保育のプロ集団の力が地域を支える力となるように、今後の実践に期待します。


・一時保育、育児相談、園庭開放(月〜金の「一緒に遊ぼう」)、地域の親子のふれあい遊び(月1回の「にこにこ広場」)などの地域子育て支援事業を通して、園の有する機能を地域に提供しています。一時保育は、専用の保育室を用意し、専任の担当者を配置して丁寧に対応しています。その他に、父親の育児参加を後押しする区の事業「ジョイフルサタデー」を年1回開催するほか、地域の小規模保育室との交流保育や、民生委員主催のサロンへ保育士派遣なども行っています。


・地区園長会議、子育て支援担当者会議、発達支援コーディネーター会議、幼保小連絡会議、幼保小実務担当者会議、年長児担当者会議、看護師連絡会議、栄養士連絡会議などに、園長や副園長、主任、担当者が分担して参画しています。これら会議や、一時保育、育児相談、地域子育て支援事業のアンケートを通して、地域の福祉ニーズを把握しています。

5 運営上の透明性の確保と継続性

・公立園から移管して2年目ということもあり、入職時の新人研修や、4月の職員会議、理事長による理念研修などさまざまな機会を通して職員への理念の周知を図っています。非常勤職員に対しては、会議等の議事録を回覧することで、共有しています。保育課程や指導計画に、保育理念、保育方針、保育目標を明示することで、職員が計画作成や自己評価の際に意識できるように取り組んでいます。保護者には、入園時や懇談会、園だよりを通して分かりやすく説明し、園内各所に理念等を掲示するなどして知らせています。


・法人の中長期の展望に基づき、園独自の中長期計画を策定しています。事業計画は、中長期計画や前年度の事業報告、自己評価を基に今年度の重点目標を定めて作成し、理事会と評議会で承認を得ています。現状は、園長がこれらの計画を作成していますが、今後は、副園長や主任などの意見を交えて作成していく手順を作ることで、より組織的な事業計画になると思われます。


・園長は、「環境改善のための取り組み」の書面を作成して、今後の人材確保、事務や会議の簡略化やパソコンの導入、各種制度を導入した賃金改善、保育の質の向上の確保、エコ活動などの改善活動について、方向性を明確にしています。また、会計士事務所の助言を受けて、財務状況の把握や効率化に努めています。節電や節水、ゴミの削減、グリーンカーテンなどのエコ活動を通し、経費の削減に努めており、保育室に「せっすい」と掲示して、子どもたちの意識も高めています。

6 職員の資質向上の促進

・法人の人材育成の方針に基づき、必要な人材の採用や人員体制の構築を行っています。有資格者の配置に努め、新卒の職員は、理事長の面接と実習を経て採用しています。現場経験のある職員は、園長の面接により採用をしています。人事評価は、園長と副園長、主任が査定に関わり、昇進・昇格については、理事長と法人の園長会が承認しています。特に評価が高いケースは、法人の基準に沿って、賞与に反映しています。実習生の受け入れは、保育士のほか調理師の実習も受け入れています。


・中長期計画に「職員の資質の向上」などを掲げ、具体的な実施事項を「職員の資質向上」にまとめて、職員の質の向上に向けた基本姿勢を明示しています。職種や階層別の研修計画や職員個々の希望を加味して、副園長は個人別の外部研修計画を作成しています。常勤職員は、年1回外部研修を受講できるように配慮しています。園内研修として、理事長による理念研修や救命救急法、嘔吐処理、声楽家による童謡の研修などを行い、職員の資質向上に向けて取り組んでいます。


・「環境改善のための取り組み」に職員の処遇改善について明記し、その一部を職員に説明しています。改善例として、指導計画等の評価の欄を小さくすることで職員の負担を軽減したり、会議の内容を事前に周知することで会議時間の短縮を図ったり、パソコンの台数を増やして作業が行いやすい環境を整備するなどしています。また、園長と副園長が年2回職員と面談をして、職員の意向や要望を聞いています。日常の中では、副園長や主任が保育現場に入って、業務の進捗状況を把握してフォローに入るなどしています。

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