かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

ゆめ和柳町ほいくえん(2回目受審)

対象事業所名 ゆめ和柳町ほいくえん(2回目受審)
経営主体(法人等) 社会福祉法人 ゆめ和
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 236 - 0026
金沢区柳町1-13
tel:045-784-8802
設立年月日 2006(平成18)年04月01日
公表年月 2017(平成29)年11月 〜
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 株式会社 学研データサービス
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

《施設の概要》
 当園は社会福祉法人ゆめ和の系列園です。開園は平成18年4月で、12年目を迎えています。京浜急行電鉄金沢八景駅から徒歩8分、国道16号線を左に入ってすぐ、16号線と並行する住宅街の角で道を隔てて海からの運河に面した立地です。園舎は窓が広く採光は十分で、障子風仕切戸や雪見障子など、和風を取り入れた保育室となっています。定員60名(平成29年7月1日現在は64名在籍)で、産休明け保育、延長保育、障がい児保育、一時保育などを実施しています。園の理念に、日本の伝統文化を大切にした「生活保育」をうたっています。
 近隣の環境は、特急の停まる駅に近く、マンションや商店の並ぶ幹線道路から中に入った整然とした住宅街の入口にあり、海が近く、散歩に行く公園も多くあり、子どもたちは伸び伸びと過ごしています。


《特に優れている点・力を入れている点》
○保育理念にある「人として必要な力」を養うための「生活保育」を全職員が工夫、協力して行っています
 子どもたちは保育園生活を通じたさまざまな体験から、成長していきます。遊びの中から、道具の使い方や遊びのルール、順番を守るという社会的ルールなどを学んでいます。散歩に行く公園で虫を探したり、どんぐりを拾ったり、草花を知ったり、潮干狩をしたりして自然を学んでいます。保育活動で保育士が「片づけを頑張るなら、もう少し遊べるけど、どうする」と子どもたちに問いかけ、遊びを終えるとみんなで速やかに片付け、整理整頓の大切さを学んでいました。野菜を栽培し、給食時に苦手な野菜を少しでも食べた子どもは大いにほめてあげています。けんかの時は、「叩いていいのかな」と子どもに考えさせることもあります。異年齢交流では年上の子どもが年下の子どもにやさしく接しています。利用者アンケートにも「生活習慣を上手に指導していただき、園のおかげです」とありました。


○「自由保育」という子どもたちの自主性や主体性を伸ばす目的の交流保育を継続して行っています
 毎週金曜日の午前中に、「自由保育」と呼ぶ保育活動があります。子どもたちの自主性や主体性を伸ばす目的で、自分たちで好きな遊びを自由に楽しんでいます。面白そうと思った遊びには、異年齢の子どもでも気軽に声をかけ仲間に入れてもらい、自然に交流保育が行われています。年度初めには3〜5歳児でスタートしますが、徐々に状況を見て2歳児、1歳児と参加の幅を広げていきます。職員は遊びに入れない子どもには関心の持てる遊びができるよう支援しています。職員は自由保育の中で子どもたちの動きや自分たちの動き方、準備の仕方などを振り返り、次の活動につなげています。


○子ども一人一人の経過記録をはじめ、各種会議などの記録を詳細にとって今後の取り組みに生かしています
 職員には各種記録を詳細にとることが習慣になっており、職員会議、乳・幼児打合せ会、給食打合せ会、クラス懇談会などの会議録や日々の保育日誌、子ども一人一人の経過記録など、どれもしっかりと記録が残されています。例えば職員会議などの会議録には、日付や出席者をはじめ、職員一人一人の発言内容、記録者の感想や今後の課題などが記載されており、さまざまな決定事項や取り組みの経緯がつぶさに把握できるだけでなく、保育の振り返りに活用したり、今後の取り組みに生かすことができています。また、子ども一人一人の個人ファイルは入園から卒園までの状況がわかるようになっています。これらの記録は必要に応じて全職員が見られるようになっており、保育の質を保持するために欠かせない貴重な財産となっています。


《事業者が課題としている点》
 ゆめ和のこだわり“伝える”は「保育士間で仕事を伝えること」「保護者に保育を伝えること」とし、人を介して言葉や動作で伝えることを実践してきました。しかし、伝えきれていない現状があります。例えば、大事にしている“生活保育”を伝えるにあたっては、明確なものさしがなく、共通認識が持ちにくいなどの課題があります。これらの解決には、細やかなコミュニケーションが重要になり、常に確認し合っていくことが必要と考えています。「伝える」が「伝わる」になる努力がよりいっそう求められていることを認識し、今後は、理念から反れないよう、目安となる手順書やマニュアルの見直しなども検討していくことを考えています。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重  保育理念は「今の時代だからこそ、情報に振り回されず、日本の伝統文化を大切にした『生活保育』を進めます」「子どもたちが大人になった時『人として必要な力』を養い、一人一人の個性を尊重しつつ、発達に即した『生活保育』を進めます」とし、利用者本人を尊重したものとなっています。保育目標は「人を愛せる子ども」「一人でもいられる子ども、皆ともいられる子ども」「仲間と知恵を出し合いながら協力し合える子ども」としています。これらについて、園長は年度末の次年度準備会議で常勤、非常勤を含めた全職員に伝え、共通理解を図っています。保育理念は玄関ホールと職員更衣室に掲示して、いつでも確認できるようにしています。保育理念のキーワードとなる「生活保育」を全職員が意識して取り組んでいます。
 業務・安全マニュアルに「正しい言葉づかい、年齢にあった言葉の選択を心掛け、子どもたちにも伝えていく」と明記し、子どもに対する言葉づかいについて日常的に各種会議で話し合っています。職員は、「ダメ」といった禁止の言葉の代わりに、「○○をしてみようか」と子どもにしてもらいたい活動を提案するなど、子どもがいつも前向きに行動できるような言葉がけを意識的に行っています。また、職員はおだやかな態度で子どもの発言に耳を傾けるようにしています。子どもに注意をするときの声のトーンなどで気になるときには、園長自ら「子どもに近寄って話をしたり、身振りで伝える方法もある」などの事例を職員に話し、子どもの人格を尊重した保育に職員全体で取り組んでいます。
 業務の手引書に「守秘義務について」の項目があり、「園内で話した内容については外部に漏らさない」など個人情報の取り扱いについて全職員に周知しています。また、保護者に向けて入園説明会、進級説明会で説明しています。園では、個人情報保護の観点から、行事や子どもの活動の写真販売は行っていません。保護者には、園での子どもの様子を目で見て、心や脳裏に焼きつけ、そのときの思い出を親子で語り合ってほしいことをていねいに説明しています。個人情報に関する記録類は、鍵のかかるキャビネットに保管しています。
2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

 保育課程に基づいて年齢ごとに年間指導計画、月間指導計画、週日案を作成しています。職員は日々の子どもの様子を保育日誌に細かく記入して、その時々のクラス全体の状況や子どもの要求に応じて計画を見直しています。例えば、タンバリンなどの楽器遊びに取り組んだ翌日も、子どもたちの意思を汲み取って、引き続き楽器遊びを取り入れるなど、指導計画には柔軟性を持たせています。指導計画を変更した場合には青色のペンで追記し、振り返りの際に変更箇所がわかりやすいよう工夫しています。このほか毎週金曜日に実施している自由保育を通して、子どもの自主性や主体性の育成につなげています。
 0〜2歳児クラスは乳児打合せ会、3〜5歳児クラスは幼児打合せ会を月2回実施し、子どもの発達や一人一人の育ちを明確にして指導計画の評価・見直しを行い、次月の指導計画に反映するよう話し合っています。日々の活動は保育日誌に記入し、例えば体調の思わしくない子どもがいた場合にはその日の指導計画を変更するなど、柔軟に対応しています。園では年3回のクラス懇談会のほかに、年度末に保護者アンケートを実施して、指導計画に対する保護者の意向を把握するようにしています。過去には東日本大震災の影響により、例年実施していた潮干狩りを取りやめたところ、復活を望む保護者の声が寄せられ、園で慎重に協議を重ね、保護者アンケートで是非を問うなどして再び計画に取り入れることになったこともあります。
 0歳児と1歳児の保育室の間は柵や棚で仕切り、また、それぞれ木製のパーテーションや本棚、クッションマットを活用してコーナーが作られています。2歳児の保育室では、状況に応じて職員お手製の段ボールのパーテーションを活用しています。食事と睡眠のスペースはわけていませんが、食事が終わると職員が床をきれいに拭き上げ、布団を敷いて午睡をしています。朝夕の保育の時間や毎週金曜日の自由保育では、異年齢間の交流があります。3歳児の保育室を0、1歳児の保育室の隣に配置することで、3歳児には自然と年下の子どもをいたわる気持ちがはぐくまれ、2歳児の保育室を4、5歳児の隣に配置することで2歳児には年上の子どもたちの行動を間近で見られるようにするなど、保育室の配置にも工夫が見られます。

3 サービスマネジメントシステムの確立  子ども一人一人に個人ファイルが作成されています。児童・家庭台帳、児童調書、個人面談記録、経過記録、児童票など決められた書式に詳細が記録され、入園後の成長がこの1冊でわかるようになっています。個人ファイルは全職員が見られるようになっています。進級時にもこのファイルをもとに新旧担当間の引き継ぎが行われ、特に児童票に記載された「現在の課題や留意点」の事項については、ていねいに申し送りを行っています。全職員がその日に共有すべき伝達事項は事務室内の掲示板にメモ書きを貼付しています。さらに、日中のけがの情報は特別に黄色のメモ用紙を使用して、職員の目に留まりやすいよう工夫しています。5歳児は保育所児童保育要録を就学する小学校に送付しています。
 重要事項説明書に「障がい児保育について」の項目を設け、一人一人の個性を尊重し発達に即した保育をすること、生活や遊びをともにすることで子ども同士が協力し、育ち合うことをめざしていること、関係機関と連携していくことを明記しています。配慮を要する子どもを受け入れた際には、個別のケースについて職員会議で話し合うほか、必要に応じて保護者面談を行い、今後の保育について相互に共通認識を持てるようにしています。配慮を要する子どもについて、外部研修の受講後は研修報告書を作成し、内部研修を実施する際には資料を作成し学習しています。研修報告書や研修資料などは一旦「確認ファイル」にとじて、全職員が情報共有するようにしています。
 食物アレルギーのある子どもには生活管理指導表に基づいて対応しています。除去食の献立は毎月保護者と確認し、食事の提供は業務・安全マニュアルに定めた手順に沿って行っています。園ではアレルギーの有無にかかわらず食器は共通のものを使用していますが、トレイは区別しています。また、給食室から保育室に渡す際には声に出して確認し、最後に配膳して必ず職員が隣につくなど誤食防止に努めています。アレルギーのある子どもの情報は事務室の掲示板に掲示し、全職員が確認しています。アレルギーに関する研修を受講し、必要な知識は職員会議や研修報告書を通して全職員が共有しています。
4 地域との交流・連携  毎月の職員会議や法人の理事会で、園で提供している子育て支援サービス(月3回の園庭開放、月1回の交流保育、一時保育、など)について、前月の利用者数を報告し、内容や把握した子育て支援ニーズなどの話し合いを行っています。さらに、提供したサービス内容を見直したり、これまでに把握した子育て支援ニーズをもとに、園庭開放の日などに玄関ロビー脇の絵本・相談コーナーの利用もできるようにしています。園庭開放では3歳未満の家庭の利用が多く、一日に12人の子どもが利用する日もあります。年に1、2回外部講師による「子どもと絵本」などの育児講座を開催しており、園の道路側などにポスターを掲示して、地域の方々の参加を得ています。
 金沢区こども家庭支援課に園のリーフレットを置かせてもらい、園の「子育て支援事業〇月の予定」として交流保育、園庭開放の開催日時と育児相談受付けのポスターも掲示しています。金沢区の「キラキラMAP」や横浜市の「ヨコハマはぴねすぽっと」などにも園の情報を提供しています。育児相談は相談者の都合を考慮して、特定日とせず、主に主任か園長が対応しています。園庭開放の日や園見学の日などに赤ちゃん返りや離乳食の進め方などの育児相談があり、相談コーナーで対応しています。開催日時などを案内する園の「子育て支援事業〇月のお知らせ」や育児講座のポスターは園だけでなく、区役所、隣りの柳町地域ケアプラザの町内向け掲示板に貼り出しています。
 利用希望者からの問い合わせには園の重要事項説明書やリーフレットなどを事務室に置き、これに基づいて園の目的や運営方針、保育理念、サービス内容などを説明しています。問い合わせには主に園長または主任が常時応対しています。利用希望者には見学ができることを案内し、子どもたちの園内の活動の様子がよくわかる午前中の見学を勧めていますが、見学者の都合がつかない場合は、保育に支障のない範囲で、できるだけ希望に沿うようにしています。見学者には園のリーフレットを渡して、園長や主任がていねいに園の運営方針や理念、園の特徴、サービス内容などを説明して、園内を案内しています。
5 運営上の透明性の確保と継続性  個々の「職員の自己評価」を集計し、平均値を算出し、全職員で確認し、話し合っています。自己評価の中から「散歩に行く公園の安全対策」などの問題点が明らかとなり、「公園における事故予防マップ」を作成し、活用しています。「職員の自己評価」の結果を基に職員ごとに作成した職員の「事業報告」は法人の事業報告や来年度の事業計画作成に役立てています。また、年度末に「保護者アンケート」を実施して保護者の満足度や意見・要望をうかがい、結果を進級説明会で報告しています。「保育所の自己評価」は「職員の自己評価」やクラス別の年間指導計画などの保育の自己評価、保護者アンケートを総合して記載し、次年度の課題や改善点を示して園内に掲示し、公表しています。
 毎年3月に行う全職員が集まる「次年度準備会議」では、法人の「業務の手引書」により、職員の心得や社会人としてのマナー、確認事項などの項目で、法、規範、倫理の研修を行い、周知を図っています。法人の経営、運営状況は理事長より次年度会議で全職員に説明があり、横浜市管轄の社会福祉法人として情報公開されています。他施設や世間で発生した子どもの虐待などの不適切な事例は、新聞記事などを基にミーティングを行ったり、全職員が見る情報ファイルにまとめて注意喚起し、早期発見や対応策を確認しています。
 保育理念を玄関ホールに掲示して、常に職員や利用者の目に触れるようにしています。保育理念は全職員に配付される「業務の手引書」や重要事項説明書にも記載して、入職時や年度末の次年度会議などで園長や理事長より周知、確認がなされています。保育課程や年間指導計画の最初にも保育理念や保育目標が記載され、毎月の指導計画の見直しの都度、保育理念を確認しています。園長は職員との個人面談の際に、職員が保育理念や保育目標を理解して職務にあたってきたか、確認をしています。
6 職員の資質向上の促進  研修計画に「研修の基本方針」を記載し、保育所保育指針総則からの研修の重要性を引用して職員に示しています。横浜市や金沢区の研修一覧などから、今年度は非常勤職員からも外部研修参加を募っています。アレルギー対応など業務に必要な研修は園から指名して受講してもらっています。内部研修は各月のテーマを決めて職員会議の中で学んでいます。外部研修参加者は研修報告を作成し、職員会議で発表したり、毎日職員が必ず見る「確認ボックス」で回覧したりして、成果の共有を図っています。嘔吐物処理の実践報告の有益事例など、研修の成果を評価して、以後の研修の選択につなげています。
 職員は年度初めに「職員の自己評価」表の「自己課題」欄に年度目標を記入します。「職員の自己評価」は、「職員の心得」「仕事内容」「組織の一員として」の3分野に分け、それぞれに評価の視点を記載した小項目が計25項目あります。職員はこの項目に従って年3回、4段階で自己評価し、毎回評価結果のコメントを記入しています。この結果を基に年度末に職員個人の「事業報告」を作成しています。自己評価の結果を基に、主任や園長と面談し、目標の振り返りと必要な助言、指導を受けています。また、障がい者福祉や幼稚園園長など多様な経験を持つ法人理事から内部研修を受けたり、横浜市南部地域療育センターなどから配慮を必要とする子どもの指導を受けたりしています。職員の自己評価の集計結果は、園の自己評価に連動しています。
 園では、職員の能力向上のための「自己評価」を行うのと並行して、職位・階層に応じて身につけるべき能力などをキャリアパス(キャリアアップのモデル)で明文化しています。これは、左側に「初任者、中堅職員、ベテラン職員、主任・園長」の階層を記し、横に「社会人として」「専門職としての基盤」「法人のこだわり」「保育実践に求められる力」の4区分に分けて、階層別に求められる能力を期待水準として示しています。通常の業務は現場の職員に任されています。しかし、事故や苦情など状況判断を要する突発的な出来事は、主任、園長に速やかに報告、連絡、相談することを徹底しています。年2回園長は職員と面談を行い、職務への満足度や要望、悩みなどを把握しています。

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