かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

鶴ヶ峰保育園(2回目受審)

対象事業所名 鶴ヶ峰保育園(2回目受審)
経営主体(法人等) 社会福祉法人 ちとせ会
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 241 - 0022
旭区鶴ケ峰1-64-1
tel:045-373-6523
設立年月日 2004(平成16)年04月01日
公表年月 2017(平成29)年10月 〜
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 株式会社 学研データサービス
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

《施設の概要》
 当園は、社会福祉法人ちとせ会により平成16年4月に横浜市立保育園から民営化されました。0歳児(産休明け)から5歳児まで定員60名で、開園時間は月曜日から金曜日7:00〜20:00、土曜日7:00〜18:00(日曜・祝日は休園)です。キリスト教保育を基盤とし、保育理念に「”愛”の精神に基づき、『保育所保育指針』に沿って、ありのままの自分が受け入れられている、生かされているという自覚をもって生きることを大切にした保育を行います。互いに愛し合う生き方を培い、一人ひとりに与えられた力を社会で他者に役立て、他者と共に生きる人間形成を目指します」を掲げ 子どもたちの笑顔があふれる保育を目ざしています。地域の子育て支援活動も行い、子どもたちは家族のようにかかわり合いながら生活しています。周囲は静かな住宅街で市民の森に隣接し、かぶとむしが園に飛んでくるような自然豊かな保育園です。


《特に優れている点・力を入れている点》
〇行事ごとの記録が整理され、マニュアルとして活用する事ができます
 園行事のファイルは、内容だけではなく備品や会場の作り方などが写真を加え細かく記録されています。さらに、備品をどのように片づけたかなどの「準備ファイル」があります。このように、今までの行事について準備段階から記録され、だれが見てもわかりやすくなっています。例として、園の誕生会では子どもにメッセージを書きますが、誕生会の行事ファイルにはメッセージも記録されていますので、昨年度と同じ内容にならないようにすることができ、もし担任が変わった場合でも内容がスムーズに伝わります。このように、細かな記録を見ることで行事の準備に費やす時間が短くなり、職員への負担が軽減されるよう工夫されています。さらに行事でのさまざまなパターンを記録していることで、園の独自の行事マニュアルとして活用ができます。


〇子どもたちは一人一人大切にされながら元気にのびのびと過ごしています
 “愛”の精神に基づいた保育方針に沿って、園では日ごろから子ども一人一人の思いを大切にする保育を実施しています。特に子どもに対する言葉かけを重視し、児童憲章を読み合わせたり「子どもの人権の尊重」について振り返りを行い確認し合っています。子どもたちは0歳から、食事介助や遊びの際に保育士から「これ?」と聞かれ、自分の意思を伝えるように支援され、ていねいに対応されています。また、5歳児になるとお泊まり保育での遊びについて考えたり、子どもたちがほかのクラスとのつながりを感じられるようにしています。保護者も保育士も声かけについて常に意識して子どもに接するなど、取り組みの成果が出ています。


〇広い視野で地域支援活動をしています
 園は隣人愛の具体的な実践の場として地域社会にかかわり、ともに成長していくという考えを持っています。地域支援活動としては、地域の未就園児に向けて園庭開放や育児相談、育児講座などを行っています。また、地域のボランティア団体が園で行う絵本の読み聞かせ会や育児講座、園行事の夏祭り、運動会、クリスマス会などには、近隣の旭区役所こども家庭支援課などにもポスターを掲示させてもらい、地域の方々の参加を募っています。旭区などが主催の育児講座に出前保育で参加もしています。クリスマスの時期には5歳児が2日間をかけて、地域の高齢者施設や、日ごろからお世話になっている消防署、警察署、旭区役所など関係機関に、歌と合奏のプレゼントをしながら感謝の気持ちを伝える、社会性を身に付ける活動をしています。


《事業者が課題としている点》
 近隣の方々との交流について、計画的かつ継続的な実施を課題と捉えています。運動会やイベントなどに参加してもらえるような情報提供の方法を検討したいと考えています。また、人材育成のための中長期計画の策定を課題と捉えています。職員の自己評価や面談などを通して、人材育成のプログラムや計画を策定したいと考えています。さらに、非常勤職員が多くなっている現状を踏まえて、理念や方針、業務内容など、より細かな伝達や指導を課題と捉えています。担当者を決め、非常勤職員の悩みや疑問などを吸い上げることも考えています。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重  「”愛”の精神に基づき、『保育所保育指針』に沿って、ありのままの自分が受け入れられている、生かされているという自覚をもって生きることを大切にした保育を行います。互いに愛し合う生き方を培い、一人ひとりに与えられた力を社会で他者に役立て、他者と共に生きる人間形成を目指します」を保育方針とし、「他者を思いやる、やさしさ」「すべてのことに感謝する」などの6項目の保育目標を掲げています。園の理念や保育の方針は、玄関や事務室、各クラスに掲示しています。職員は職員会議で読み合わせを行い、職員一人一人の行動規範としています。
 職員は園内研修や横浜市や旭区の研修に積極的に参加し、子どもの自尊心を傷つけたり人権を否定するような言動をしないように、職員会議で周知しています。また、全職員に配付している児童憲章を職員会議で読み合わせたり、職員休憩室には子どもの人権について掲示しています。理事長や園長から、今年度の法人としてのテーマ「広い心」について話をすることもあります。特に、言葉づかいについては具体例をあげて対策を立てています。例えば、威圧・命令口調ではなく、穏やかな温かみのある声で子どもたちに話しかけています。子どもの年齢や発達に応じてわかりやすい言葉で話をするよう努め、職員間で相互に言葉づかいや言動に注意を払っています。
 「個人情報マニュアル」「個人情報ガイドライン」に基づき、読み合わせを行い、全職員に個人情報の取り扱いや守秘義務の重要性について周知しています。ボランティアや実習生にも、マニュアルに沿って受け入れ時に個人情報について確認を取っています。保護者には、保育園のしおり(重要事項説明書)の中で個人情報の取り扱いについて説明し、了解を得て署名捺印をもらっています。個人情報が含まれる書類は施錠できる事務室のキャビネットに保管しています。連絡帳などは取り扱いに注意し、個人情報が含まれる書類の処分は全てシュレッダーで処理しています。保育中でも個人情報の含まれる話をするときには十分注意するよう心がけています。
2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供  保育課程に基づき年齢別の保育目標を立て、養護(生命、情緒)、教育(健康、環境、言葉、人間関係、表現)について年齢ごとに年間指導計画を作成しています。この年間計画をもとに月間指導計画や週間指導計画を作成し、保育を実践しています。また、指導計画には子どもの意見や意思を柔軟に反映しています。3〜5歳児は、年に数回リクエストメニューが実施され子どもたちが話し合いながらメニューを決める体験を行ったり、絵文字の時計をクラスに置き自主的に子どもが活動できるように配慮しています。自分の意思や要望がうまく伝えられない子どもには、ふだんから信頼関係を築くようにかかわり、言語化できるように働きかけをしています。日々の保育を通して、自主性や主体性が育つようにしています。
 クラス担任が中心となり、子どもたちの発達状況に応じて年間指導計画、月間指導計画、週間指導計画を作成しています。作成に関しては園長や主任もかかわり、指導計画を読んで気づいた点は再検討を促すなど、きめ細かく作成しています。毎月の職員会議で各クラスの様子を伝え、全職員で共有しています。年間指導計画は年度末に全職員で振り返りを行い、次年度の計画に生かしています。月間指導計画と週間指導計画は、職員会議で複数の職員がかかわり、評価、改定を行っています。また、保護者へはクラスの活動を伝えるボードで週の予定や保育の活動を伝えていますが、送迎時の会話や面談、連絡帳、アンケート結果などから意向をくみ取り、計画に反映させています。具体的には午睡の時間、トイレットトレーニング、箸の使用などについて指導計画に反映させています。
 遊具は年齢に合った安全なものを用意し、子どもの発達や季節、集団の状況に合わせ使用しています。そして、子どもが自主的に選びやすく、手の届きやすい高さにあり自由に取り出せるようになっています。保育室はマットや机、ロッカーを利用してコーナーを作っています。また、遊具の片付けなど生活するうえでの決まりごとが在園中に自然に身に着くように配慮し、遊具のしまう場所には写真を貼るなどしています。子どもがそれぞれに落ち着いて遊べる環境作りに努めており、保育室の押入れ下のスペースは子どもが落ち着いて遊ぶことができます。さらに、事務医務室の横には絵本のコーナーがあり、子どもがほっとできる空間になっています。
3 サービスマネジメントシステムの確立  入園説明会で保護者に短縮保育の必要性を説明し、入園直後には子どもの不安な気持ちに配慮して短縮保育(慣れ保育)を実施しています。期間は保護者の就労状況や子どもの様子を見ながら実施しています。また、入園に際して子どもと保護者が新しい環境にスムーズになじめるように、園全体が協力しています。1歳児の新入園児の受け入れ担当者は決まっています。新入園児が園生活に慣れるまでは、子どものお気に入りのタオルやぬいぐるみなどの持ち込みを受け入れています。食事・睡眠・排泄など園での子どもの様子はていねいに保護者に説明し、連携を密に取っています。進級に際し1歳児と2歳児のクラスでは、子どもの不安軽減のためにできるだけ担任が持ち上がるようにしています。
 5歳児の卒園に際しては、「保育所児童保育要録」を主に担任が作成し、園長や主任もかかわり完成させ、小学校に提出しています。子ども一人一人に「児童票」「個人経過記録」「健康台帳」「成長曲線記録」などがあり個別にファイリングしています。児童票には家族構成、連絡先、就労状況などが記載され、入園後の成長の記録は、期ごとに個人の経過記録に記載しています。身体測定や健康診断の記録もつづり、事務室の鍵のかかる書棚に保管しています。職員は必要時に記録を見ることができるようになっています。年度末の引き継ぎは旧担任と新担任の間で個別の申し送りが行われ、そのほかの細かい申し送りは各担任が保育状況や反省などをまとめて文書化し、全職員で確認し情報を共有しています。
 現在は子どもを囲む環境は多様で、外国にルーツのある子どもやさまざまな環境で生活する子どもが在籍することもあります。園では日本の文化や生活習慣を押しつけたりせず、それぞれの生活習慣や考え方の違いを尊重しています。また、国や地域の文化や保護者の考え方など、クラス担任が保護者と確認しながら保育を進めています。子どもたちと外国の絵本を読んだり、生活習慣の違いを話したりすることもあり、いろいろな暮らしがありさまざまな人がいることを教えています。漢字がわからない保護者には、連絡帳をひらがなやローマ字で表記したり、日本語での意思疎通が困難な場合には、横浜市通訳ボランティアに通訳を依頼する体制があります。
4 地域との交流・連携

 地域の子育て支援ニーズについては、地域の民生委員や町内会長、小学校長、保育園長、幼稚園長などで構成する地域連絡協議会に園長が参加して、施設に対する要望などを把握したり情報交換しています。地域の子育て家庭に向けて実施している園庭開放や育児相談、一時保育などに参加した保護者から、子育て支援ニーズを聞いて把握しています。旭区や横浜市の園長会などでも地域の子育て支援について情報交換しています。また、近隣の保育園との交流があり、毎年担当職員が会合を持ち、地域の子育て支援について情報や意見交換を行っています。
 園の目標の中に「隣人愛の社会的実践の場として、地域社会に関わり、共に成長していくことを目的とする」とあります。年度末の年間指導計画を見直す職員会議では、「地域との関わり」の項目について地域の子育て支援ニーズなど、全職員で検討し話し合っています。地域のニーズに応じて、一時保育や園庭開放、育児相談を行っています。また、ボランティアによる絵本の読み聞かせや運動会、夏祭りなどの園の行事に、地域の方の参加を募っています。旭区の保育資源ネットワーク事業で近隣の親子を対象にした育児講座や育児相談に園として参加したり、横浜市鶴ヶ峰地域ケアプラザでの子育て支援事業「かるがもサロン」に保育士が支援参加したりしています。
 旭区のこども家庭支援課に園のリーフレットを置かせてもらい、育児講座のポスターなどを貼らせてもらって地域の方々に情報提供しています。園のホームページでは園の概要や保育内容を紹介するとともに一時保育や育児相談などの案内をしています。育児相談は相談者の都合を考慮して特定日とはせず、原則として平日の10時から12時までとしています。園の夏祭りや運動会など行事の時には、町内会や小学校などの地域の関係機関に招待状を送り、参加してもらっています。

5 運営上の透明性の確保と継続性  年度末に行った職員の自己評価の結果は「課題票」の年度目標(課題)の結果に反映させています。保育の年間指導計画や月間指導計画、日誌、個別指導計画などのクラスごとの自己評価の結果は、クラスミーティングや職員会議で話し合っています。自己評価の話し合いの中から、3歳児のおもちゃや絵本などを取り出しやすくするため棚を増やすなど、改善が進みました。職員や保育の自己評価結果を踏まえ、年度末に「保育所の自己評価」をクラスごとに作成し、これを主任と園長が取りまとめて、最終の保育所の自己評価としています。また、保育所の自己評価の一環として保護者アンケートを実施し、園の自己評価とともに結果を保護者に文書で知らせています。アンケート結果は一定期間ホームページでも公表しました。
 玄関ロビーに「全国保育士会倫理綱領」を掲げ、保護者に「プライバシーの保護」などを表明し、これを全職員にも配付しています。職員の採用時には業務マニュアルに沿って新人研修を行い、理事長や園長から、子どもの人権の尊重や守秘義務、服務の心得などについて説明しています。年度初めの内部研修でも、園の理念や方針の確認とともに、守るべき法や規範、倫理などを確認しています。経営や運営状況について園のホームページで情報公開しています。他施設での虐待など不適切な情報を得た時には、新聞記事などを基にすぐにミーティングを行い、早期発見や対応方法の再確認をしています。
 園の保育理念、保育方針、保育目標と今年度のテーマを玄関ロビーに掲示して、職員や保護者が常に確認できるようにしています。また、これを記載した入園のしおりを全職員に配付し、園長は年度初めの職員会議で説明しています。毎月の職員会議では、司会の職員がこれを最初に読み上げ、周知徹底を図っています。園で実施している職員の自己評価で、職員は園の理念、方針、目標を理解しているか確認しています。また、毎年10月末と期末に行う園長面談で職員が園の理念、方針、目標を理解して保育を実践してきたか確認しています。
6 職員の資質向上の促進  毎年10校近くの福祉専門学校や看護学校、短期大学などから保育や看護の実習申し出があり、受け入れています。受け入れは「ボランティア・実習マニュアル」に基づいて行っています。実習生には園のリーフレットや園のしおり(重要事項説明書)を渡し、受け入れ担当の園長または主任がオリエンテーションを行い、守秘義務に関する誓約書を受け入れています。事前にどんな実習生が入るのか、口頭や園だよりで職員や利用者に知らせています。入園のしおりには「保育学生等の保育参加」の項目を設けて、実習生やボランティアを受け入れる意義と、保護者の理解と協力依頼を載せてています。実務指導は配属されたクラスの担当職員が受け持ちます。最終日には担当者と実務指導者も入り、総括を行い、記録に残しています。
 園長は園の運営に必要な人材が確保されているか常にチェックし、不足が予想される場合には法人本部と連携して、保育の専門学校や短期大学、ハローワークなどで補充を図っています。現在園の職員のほとんどが当園での保育実習経験者で、募集にも直接、間接に寄与しています。採用時や期初の全体会議で理事長から理念や方針、年度ごとのテーマ(今年度は「広い心(寛容)」)について話があり、この理念、方針、年度のテーマの浸透や再確認を図り、保育の実践や人材育成につなげています。人材育成については、各職員が年度の振り返りをする自己評価を行い、年末や年度末に園長と面談をして自己評価の確認が行われ、今後の目標設定に役立てています。
 自己評価は横浜市の様式による「課題票」と自己評価表を使用しています。「課題票」で年度の課題や目標を立て、年度末に、自己評価表とともに振り返りをしています。「保育士の自己評価」は、保育理念や子どもの発達援助、保護者支援などの大項目と、細分化された小項目の評価基準があり、これに沿って自己評価を行います。また「保育所の自己評価」は各クラスごとに評価作成したものを、主任と園長が取りまとめて一本化しています。幼保小連携事業では、近隣園どうしの職員がより良い保育サービスのために交流したり、勉強会を開いたりしています。園長経験者の外部講師や旭区役所の臨床心理士などから保育の指導や相談を受けています。

詳細評価(PDF498KB)へリンク