かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

アスク日吉本町開善保育園(10回目受審)

対象事業所名 アスク日吉本町開善保育園(10回目受審)
経営主体(法人等) 株式会社 日本保育サービス
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 223 - 0062
港北区日吉本町2-46-11
tel:045-562-0895
設立年月日 2005(平成17)年04月01日
公表年月 2017(平成29)年08月 〜
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 特定非営利活動法人 ナルク 神奈川第三者評価事業部
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

【施設の立地・特徴】
【立地】
 アスク日吉本町開善保育園は、横浜市営地下鉄グリーンライン日吉本町駅から徒歩約5分、閑静な住宅街の中にあり、近くには小学校や昔ながらの商店街があります。平成17年4月1日に株式会社前進会が開園し、平成20年に株式会社日本保育サービスが経営を継承した保育園で、定員140名に対して、現在141名が在籍する大規模園です。鉄筋コンクリート造りの3階建てで、建物の南側の庭と屋上を園庭としています。周辺の丘陵地帯には、自然に恵まれた「鯛ヶ崎公園プレイパーク」や、多くの公園が点在し、子どもたちの散歩や遊びに適した環境にあります。

【特徴】
 設置法人から派遣される専門の講師による英語、体操、リトミックに加えて、園職員によるクッキング保育で、子どもたちの楽しむ心や学ぶ楽しさを育んでおり、さらに5歳児が週に1回バイオリンの練習をし、生活発表会で演奏しています。また、前設置法人からの理念「子どもには情熱をもってその心をよく観察し、創意工夫をして優美に接しましょう」のもと、モンテッソーリ教育の教材を用いて子どもが十分に指先を使ったり、自分なりに考えて遊ぶことのできる「おしごと」の時間を設け、集中力や自己開発力を高められるようにしています。

【特に優れていると思われる点】
1.子どもの発達に見合った乳児の保育室の環境設定の工夫
 平成28年度の事業計画に「乳児クラスの環境設定を整える」を掲げ、年齢や発達に見合った環境づくりについて、乳児クラスを中心に検討しています。
0歳児、1歳児それぞれのクラスで子どもの発達過程を確認し合い、一つ一つの発達段階(0歳児の仰向けから腹這い、這い這い、お座り、つかまり立ち、伝え歩き、歩き始める時期、1歳児の探索活動旺盛な時期)で、子どもが目を輝かせ、手を伸ばし、さわって遊べるものが用意されているかを振り返り、安全なものは低い棚に置き、子どもが自分で取り出せるようにしています。また、感触を楽しめるもの、音が出るもの、引っ張ったり、たたいたり五感で楽しめるものとして、発達に応じた手作りおもちゃも備えています。1歳児クラスは指先の発達を促すコイン落としや布を引っ張り出すおもちゃなども用意し、発達の様子をみながら、年3回ほど入れ替えています。
2歳児クラスからはクラスを静と動の空間に分け、走り回れる場所、少人数でおままごとやパズル、ブロックなどの出来るコーナーを設け、お絵かきやぬり絵、折り紙もできるように机といすを設置しています。
職員は、乳児クラスの環境設定を工夫していく中で、子どもとともにそれらに加わり、遊びを発展させていけるように意欲的に取り組んでおり、次年度は幼児クラスの環境設定の整備を課題としています。

2.動植物の飼育や栽培・園外活動など、自然に触れ地域や社会に関わる体験
園内では、ジャガイモやブロッコリー、オクラなどの野菜を栽培し、収穫して給食やクッキングに利用したり、スタンピングに使っています。幼児クラスであおむしに名前を付けてチョウになるまで成長する様子を観察し、最後は外に放して飛んでいく様子を見送っています。かぶとむしを飼育して観察日記を書き、飼育ケースを掃除して餌をやり、卵からかえった幼虫を育てています。死んでしまったときは墓を作り、命の大切さに気付いていくようにしています。散歩で捕獲したり園庭で見つけたカタツムリやカマキリを図鑑で調べたり観察してから放しています。
園外では、公園の木々の変化や沿道の花壇の花などを観察し、落葉を拾うなど、身近な自然に触れる機会を持っています。幼児は、斜面緑地を活かした自然豊かな鯛ヶ崎公園プレイパークに出かけ、ハンモック遊びをしたり、トンカチを使ったり、季節に応じて焚火や散水による水遊びを楽しんでいます。

3.異年齢のかかわりを大切にした保育
6月から、3〜5歳児を「つき・そら・ほし」の3クラスに分け、原則として週に1回、丸1日縦割りクラスで過ごす日を設けています。保護者には、クラス編成表を玄関に掲示し、縦割りのクラスだよりを年に2回ほど発行して、縦割りの目標や活動の様子を伝えています。異年齢で自由遊びや製作活動を行い、一緒に食事を取り、お着替えをし、散歩や芋ほりなどにも出かけています。子どもたちの関係が深まっていくにつれ、一緒に鬼ごっこをしたり、手をつないで公園を散策するようになり、日常的にも廊下や玄関などで名前を呼び合い、言葉を交わすなど、自然な関わりができています。
また、縦割り保育とは別に、日常の保育の中でも、乳児と幼児でペアクラス(0歳と3歳、1歳と5歳、2歳と4歳)を作り、一緒に散歩したり、保育室に遊びに行ったりして交流する機会を設け、運動会ではそのペアで入場行進を行いました。

【特に改善や工夫などを期待したい点】
1.子どもへの対応の振り返りを
 職員は、子どもに接するとき、穏やかに分かりやすい言葉で話しかけるように心掛けています。しかし、全職員が常にそのように対応していると言い切れない場面も見受けられました。研修や日々の保育の振り返りにより、子どもへの言葉遣いや態度、食事の場面での対応などに対して、園長による指導、職員間での話し合いやチェックを積み重ねていくことが期待されます。

2.安全に配慮した保育環境のさらなる整備を 
保育室の床がクッション材でなく、かなり固いため、各クラスにあるケガの記録のファイルでは、転倒した際の打撲や擦りむき、舌や唇を噛むなどアクシデントが多くあり、大きな事故につながる恐れのあるヒヤリハットも多くみられました。職員は子どものケガや事故のないように、常に気を配り、乳児の保育室には一部マットも敷かれていますが、十分ではありません。また、屋上園庭のゴムマットがかなり劣化しており、幼児が走り回った際に転んでけがをする頻度も高くなっています。子どもの安全に配慮した、さらなる保育環境の整備が期待されます。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重

・設置法人の4項目からなる運営理念に加え、前経営法人の保育理念「子どもには情熱を持ってその心をよく観察し、創意工夫して優美に接しましょう」を引き継ぎ、さらに、子どもの「自ら伸びようとする力」「後伸びする力」「五感で感じる保育」の充実を基本方針としており、これらはいずれも子ども本人を尊重したものとなっています。園は独自の目標を「健康な身体をつくる」「友達や保育士とのかかわりの中で豊かな心を育てる」とし、日々の保育にあたっています。

・職員は子どもに優しく、ゆっくり話しかけ、せかしたり、強制したりしない配慮をし、子どもの思いに寄り添い、ゆったりした気持ちで接するよう努めていますが、一部職員に活動の進行を優先するような場面が見受けられました。

・個人情報保護マニュアルがあり、全職員は、個人情報の取り扱いについて周知しています。重要事項説明書に「個人情報の利用について」と「写真等の取扱いにおけるプライバシー保護等への配慮について」を記載し、保護者への説明および了解を得ています。

・虐待対応マニュアルがあり、職員は入社時研修で学んでいます。虐待が明白になった場合や疑われる場合は、設置法人に連絡・協議のうえ、港北区子ども家庭支援課、横浜市北部児童相談所に通告・相談できる体制を整えています。

2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

は年2回行い、希望があれば個人面談期間以外でも対応しています。クラス別懇談会を年2回行い、保育の内容、目標や取り組み、子どもたちの発達の様子などについて説明し、参加できない保護者には懇談会記録を配付しています。

・子どもが何をしたいのか、どのように進めたいのかを把握し、必要なことは十分に説明して、子どもが納得して主体的に取り組むことを大切にしています。また、月齢や個々の理解度を把握し、子どもが理解できるような方法で伝えるようにしています。子どもの自主性を尊重して、子どもの希望を取り入れ、室内遊びを園庭遊びに変えたり、散歩先の公園を変更するなど、計画には柔軟性を持たせています。

・職員は、苦手な物がある子どもには「一口食べてみよう」などの声を掛け、食べられた時はほめ、食の細い子どもには事前に量を減らして、食べる意欲と完食の喜びを味わえるように配慮しています。手づかみやスプーンを使って自分で食べたいという気持ちを大切に、子どもの食べる意欲や行動を援助しています。

・眠れない子どもには無理に寝かせることはなく、職員がそばについて、安心して眠れるように対応したり、静かに絵本を職員と一緒に見るなど、休息がとれるよう配慮をしています。乳幼児突然死症候群(SIDS)予防の対策として、0歳児は5分ごと、1、2歳児は10分ごとに呼吸チェックを行い、睡眠記録簿に記録しています。

・排泄チェック表を作成し、個々の子どもの排泄のタイミングを把握して対応しています。トイレットトレーニングは、保護者に排泄には個人差があることを話し、2歳から無理のないように進めています。おもらし時は、失敗を優しく受け止め、他の子どもの目につかないように着替えるなど、子どもの心を傷つけない対応を全職員が心がけています。

3 サービスマネジメントシステムの確立

・入園前に園長と主任、必要に応じて栄養士も加わって親子面接を行い、子どもの様子や親子の雰囲気などを観察し、職員と共有しています。保護者から提出してもらった「家庭調査票」「児童健康調査票」「お子様の状況について」や入園前面談シートにより、子どもの入園までの状況を把握し、全職員が必要に応じて確認できるようにしています。

・年齢別に、年間指導計画、月間指導計画、週案を作成しています。月間指導計画、週案共に評価・反省の欄を設けて、必要事項は次月(週)の指導計画に反映させています。0〜2歳児は、毎月、個別指導計画を作成し、幼児についても特に配慮が必要な子どもには、個別指導計画を作成しています。指導計画の見直しは、クラスリーダーを中心に話し合い、園長、主任のアドバイスを取り入れています。また個別の課題がある場合は職員会議で話し合い、ほかの職員からの意見も参考にして柔軟に変更、見直しを行っています。

・食物アレルギーのある子どもについては、入園の際に、かかりつけ医からの「生活管理指導表」と保護者の承諾書を提出してもらい、それを基に除去食を提供しています。アレルギーのある子どもの食事はトレイの色を変え、テーブルを別にして職員がついています。配膳時に調理室と保育室の職員、保育室の複数職員でアレルギーチェック表に基づいて確認しています。

・健康に関するマニュアルがあり、毎朝の受け入れ時に子どもの様子を観察しています。園での日々の体調は、0、1歳児は朝・午睡前・午後の活動後の3回の検温結果を含め、保育日誌に記録しています。2〜5歳児は特に変わったことがあれば保育日誌に記録しています。年2回の健康診断と年1回の歯科健診を行い、一人一人の「個人健康記録票」及び「歯科健康診査票」に記録しています。
健康診断、歯科健診の結果は口頭で保護者に伝え、受診が必要な場合は、保護者に書面を渡して話をし、再受診などを勧めています。

・毎月、消防訓練を実施しています。9月には保護者との引き取り訓練を実施し、併せて災害伝言板、災害用伝言ダイヤルの模擬訓練を行っています。避難場所の駒林小学校や地域防災拠点には年1〜2回、子どもたち全員が徒歩で行っています。不審者侵入対応訓練を年2回実施しています。園外活動での不審者対応訓練も実施しています。

・「苦情対応マニュアル」が整備され、苦情・要望の対処方法が明文化されています。園単独で解決することが困難な場合は、設置法人運営本部や港北区子ども家庭支援課と連携して対応する体制が整っています。苦情などがあった場合、対応の内容を「クレーム受理票」(苦情受付簿)に記入し、すぐにリーダー会議、職員会議を開き、解決策を話し合い、全員で対応できるようにしています。

4 地域との交流・連携

・育児相談を行っていることを園の前のフェンスに掲示し、ホームページで案内しています。港北区のホームページの「港北区内認可保育園子育て支援のご案内」にも情報提供しています。

・港北区認可保育園11園が参加して実施する育児支援交流会「にこにこ広場」に職員3名を派遣する中で、地域ニーズを把握しています。また、港北区内公私立保育園合同の育児講座「わくわく子育て広場」にも職員2名を派遣しています。

・園で行う夏祭りでは、ポスターを近隣のコンビニエンスストアや商店に掲示してもらい、地域の親子など10組余の参加がありました。港北区の公私立保育園合同の「わくわく子育て広場」に参加し、地域の就学前の乳幼児と保護者に保育園での遊びなどを紹介したり、保育園紹介パネルを出展しています。

・幼保小連携事業の指定園として、公立保育園・小学校と連携し、学校訪問などを通じて交流しています。園の運動会は駒林小学校の校庭を借りて行い、日吉台西中学校の職場体験も受け入れています。地域のケアプラザで開催される「にこにこ広場」の育児コーナーに園のおもちゃなどを貸し出しています。

・ボランティア受け入れマニュアルが整備され、受け入れに際して園の方針を説明しています。毎年、運動会には地域のボランティア団体を受け入れています。また、夏休みの中学生ボランティア体験2名を受け入れました。ボランティア受け入れの担当は園長と定め、ボランテ終了後には反省会を行って、意見や提言をもらっています。

5 運営上の透明性の確保と継続性

・職員が守るべき法・規範・倫理などは保育園業務マニュアルや就業規則で明文化されており、職員は入社時研修により周知しています。また、設置法人にはコンプライアンス委員会があり、園と職員を指導し、あわせて不正などを直接通報できる仕組みを整えています。

・職員は理念・基本方針を入社時の研修で学び、園長が職員会議、昼礼などで随時説明して周知に努めています。

・園の中長期的な方向性として、平成28年度〜30年度までの中長期計画を策定しています。長期目標として「さまざまな実体験を通して、自己肯定感や他者への思いやりを育む」「子どもたちが自発的に成長発達できるような、人的・物的環境を整える」「地域に根差した保育園を目指す」を掲げています。

・設置法人本部のホームページで設置法人全体の経営・運営状況(財務諸表、施設概要、サービス内容など)の情報を公開しています。

6 職員の資質向上の促進

・設置法人本部作成の「保育士人材育成ビジョン」に基づき、各職員の持つ知識や経験に照らし、目標を明確にした人材育成計画が策定されています。職員は年度初めに目標を立て、実績や達成度について半期ごとに自己評価し、園長の評価およびアドバイスを受け、次年度の目標につなげています。

・設置法人で階層別研修や自由選択研修を計画、実施しています。外部の研修案内を職員がいつでも閲覧できるようにしてあり、職員は「幼保小接続期研修」や「乳幼児保健研修」などの外部の研修に参加しています。受講後は必ずレポートを作成し、職員はいつでも閲覧できるようになっています。

・園長は職員の改善提案や意見を職員会議や日常会話の中で把握し、いつでも職員と個別に話ができる環境を整えています。園長は職員との個人面談を年3回行い、職員の満足度・要望などを把握しており、また、いつでも相談に乗れる体制をとっています。

・保育園業務マニュアルに園長・保育士の職務分担を明文化しています。園長は可能な限り、現場職員に権限を委譲しています。緊急時は担当職員が判断し対応しますが、対応処理についての最終的な結果責任は園長が負う体制になっています。

・実習生受け入れマニュアルが整備されており、受け入れ時には、園の基本的考え方・方針について説明しています。受け入れの担当は主任で、育成の担当はクラスリーダーであり、受け入れの記録が整備されています。平成28年度は、専門学校の2校から実習生を受け入れました。

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