かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

赤い屋根保育園(2回目受審)

対象事業所名 赤い屋根保育園(2回目受審)
経営主体(法人等) 社会福祉法人 同塵会
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 234 - 0054
港南区港南台5-3-1
tel:045-833-9991
設立年月日 2004(平成16)年11月01日
公表年月 2017(平成29)年08月 〜
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 特定非営利活動法人 ナルク 神奈川第三者評価事業部
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

【施設の立地・特徴】
・立地及び施設の概要
 赤い屋根保育園は、JR根岸線港南台駅より徒歩8分の、横浜市港南台地区センターや横浜市立港南台ひの特別支援学校に隣接した一角にあります。周囲には閑静な住宅地域が広がっています。
園は平成16年11月1日に開設され、0歳から5歳児を定員120名のところ、現在129名が在籍しています。
園の入り口には専用の駐車スペースが設けてあり、また、隣の地区センターが利用していない時間帯は地区センター駐車スペースも使うことができます。
園の近くには樹木や自然を有する公園があり、子どもたちの発達に合わせて、日常の散歩で利用しています。園舎の南側には陽光を遮るものがない2,000平方メートルを越える園庭を有し、築山やジャングルジム、鉄棒、砂場、アスレチックなどを配置して、子どもたちは自由時間には思いきり走り回っています。
 
・特徴
園は「モンテッソーリ教育」を取り入れ、さらに「英語教育」も実施して、子どもの自主性を尊重し、自分で選択する機会をできるだけ多く与えるように職員は努めています。また園は地域子育て支援センターを受託して、地域への保育専門家としての貢献にも努めています。

【特に優れていると思われる点】
1.一人一人の思いを受け止める保育
  職員は日常の保育でカリキュラムに固執せず、一人一人の子どもの気持ちを大切にし、子どもの自発性を生かした保育に徹しています。子どもの発言に時間がかかっても、辛抱強く聞いたり、気持ちを伝えられずに我慢しているときは、職員が抱きしめるなどして子どもを受け止めて、子どもの生き生きとした生活につながっています。

2.年齢に見合った発達を前提とした異年齢児保育の実践
  全職員で保育のすべてを検討した20ページ(A3版)に及ぶ保育課程を作成し、年齢に見合った子どもの発達の姿を明確にしています。その上で、3〜5歳児は日常的に異年齢児の3クラスで過ごしています。子どもたちが家庭的な雰囲気で暮らしているような園生活の環境を作るために、3年間かけて試行錯誤を繰り返してきました。その結果、クラスの中でお互い助け合ったり、教え合うことが自然にできています。この中で保育課程が実践されているか、職員は密に情報交換し、一人一人の子どもを支援しています。

3.子どもの自由な発想を育てる保育環境の工夫
  各保育室には年齢に見合った玩具、教材、絵本を分散して、どれでも手に取りやすい形で提供しています。また、年齢や発達、子どもの興味に合わせて遊べる場を、保育室内のコーナーや室外のホールや階段下に設けています。製作でも子どもの発意でセミに興味を持てば図鑑で調べてセミの木を作ったり、子どもの考えを取り入れて劇遊びの魔法使いのお面を製作したりしています。園庭には、運動機能を伸ばす遊具や実のなる色々な樹木、小動物がいる池があって、子どもたちは自然の中で自由に遊べる環境で過ごしています。

4.積極的な地域貢献
園は入口門の壁に、『みんなであそぼう こそだてひろば 赤い屋根保育園 当園では、育児に関する様々な支援をしています。一人で悩まないで、気軽に相談してくださいね。●育児相談 ●親子サロン ●園庭開放 ●育児講座 ●園児との交流 電話番号』と書かれた大きな看板を出し、地域の子育て世代に利用を案内しています。特に、「一時保育室」「親子サロン室」など特別の部屋を設けて、地域の親子を常時迎え入れる体制ができているほか、2階の広い遊戯室を使った、離乳食講座、外部講師による歯磨き指導、わらべ歌で遊ぼう、アートで遊ぼう、などの講習会には多くの地域の子育て世代が参加しています。

【特に改善や工夫などを期待したい点】
1.人材育成ビジョンの早期確立を
  園には、入職年数、保育経験年数に対して「期待される保育スキルレベル」を明記した「人材育成ビジョン」がありません。基礎職位、中堅職位、上級管理者職位別の育成ビジョンの策定が期待されます。

2.園と保護者の情報交換の工夫
園では保護者と子どもの送迎時に適切な情報交換ができるように、引き継ぎノートを作り、職員のシフト間で保護者への伝達事項を引き継ぐようにしています。今回の利用者アンケートの「送り迎え時のお子さんの様子に関する情報交換」の項目で、否定的回答が合わせて16%に達していました。子どもの生き生きとした様子を保護者に伝えられる工夫を期待します。

 

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重

・設置法人の保育理念は「人権や主体性を尊重し、自ら伸びゆく可能性を信じて、お子様のために誠意の限りを尽くします。子どもが現在をもっとも良く生き、一生を通して学び続ける姿勢を持ち、幸せな人生を送るための土台を築いていきます。」とし、園目標を「人を信じる力の育み」「自立心の育み」「自発性の育み」「意欲の育み」「勤勉性の育み」「平和を愛する心の育み」」として、またその結果として得られるであろう「望ましい子どもの像」6カ条を定めて子どもの最善の利益を尊重した保育を実践しています。

・職員は、子どもに命令口調や大きな声を出したりせず、柔らかい言葉遣いで話しています。子どもの気持ち、発言をよく聞くことを、職員は大切にしています。また押し入れの下や棚で囲ったコーナーなど、友達の視線をさえぎって落ち着ける場所が保育室内にあります。ほかの子どもと離れて子どもと一対一で話せる場所として、ホールや廊下、相談室、地域支援相談室、図書コーナーなどがあります。

・個人情報保護管理規程があり、全職員に周知しています。個人情報が含まれる書類や連絡帳は保護者に手渡ししています。園外園内に関わらず、個人情報に関わることは口外しないようにしています。書類は事務所の施錠できる書庫に保管管理し、園外に持ち出さないようにしています。

・職員は横浜市の「人権研修」を受講し、虐待に関する定義や知識について認識を深め、虐待の早期発見のため、子どもの着替え時などの観察には特に注意を払っています。虐待が疑われる場合や虐待が明白になった時は園長が港南区こども家庭支援課、福祉保健センター、児童相談所に連絡し指示を仰ぐこととなっています。

2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

・保護者との個別面談は期間を決めて希望の日程で行っています。保護者とは0〜2歳児は個別の連絡帳で情報交換しています。3歳児以上は、自分で話すことも大切と考えて全員には連絡帳はありませんが、必要な子どものみ連絡帳で情報交換しています。

・保育課程は保育理念、園目標にそって策定されて、子どもの発達を踏まえ細かく検討し、現在もその後の未来についても最善となるように考えています。保護者や地域との関係を大切にし、長い時間保育園を利用する園児が多いことから、朝や夕方も可能な限り担任制をとって対応するようにしています。

・モンテッソーリの教具を各保育室に揃えて、子どもは自由に取り出して遊べるようにしています。3〜5歳児は、週に1回モンテッソーリの日を作り、言語・算数・文化分野に分け教具を使って系統立てて感性や創造性を育んでいます。自由遊びの時間にも、子どもたちは好きな教具で遊んでいます。製作途中の場合は棚の「途中の箱」に置いておくこともできます。

・日本の伝統文化に触れるため、5歳児がお茶の稽古をし、祖父母を招待してお茶をふるまっています。

・子どもの自由な発想で、遊びが発展しています。子どもが星座に興味を持てば、クラスで星座作りに発展させ、劇遊びで子どもたちが作ったお面をかぶってセリフを自ら考えています。

・トイレットトレーニングは、一人一人の排泄のリズムをとらえ、一斉にトイレに行くことを強要していません。園では布オムツを使い、不快を感じると大人が対応してくれる触れ合いの場ととらえています。保護者には連絡帳で排泄状況を知らせ、家庭と連携してトイレットトレーニングを進めています。1歳児では排泄チェック表を使って個別に対応しています。

3 サービスマネジメントシステムの確立

・見学は随時可能な旨、港南区役所広報に公示し、「パンフレット」「チラシ」などに掲載し、区役所に置いています。希望される方の希望見学日、時間に対しては、有効な見学プログラムなどを園から示す場合もありますが、原則、希望者の希望日時に合わせています。

・入園時には、保護者との面接を通して、家庭とともに子どもの育ちに関われるように、保護者と信頼関係作りを大切にしています。また面接は子ども同伴で来てもらうようにお願いしています。面接では今までの生育の過程や既往症などを中心にヒアリングを行い、記録に残しています。

・指導計画は乳児(0〜2歳)は個人別に、幼児(3〜5歳)は発達状況に応じて、保育課程に基づき年齢ごとに年間、月間、週案、日案として作成しています。3〜5歳児の幼児については縦割りで3グループに分けた異年齢保育を主体としており、各年齢別年間指導計画に基づいて月間指導計画、週案、日案を立てています。配慮を要する子どもで支援を必要とする子どもについては個別支援計画が作成されます。

・アレルギーを有する子どもについては、入園時に保護者から医師の診断書、除去食指示書の提出を受け、個別面接の中でアレルギー疾患の状況を詳しく把握し、これらの情報をもとに園長、担任、看護師、派遣栄養士が協議をし、給食食材の照らし合わせや除去食の献立を立てています。医師からの指示書は6か月〜12か月で更新を依頼しています。

・年2回の内科の健康診断、年1回の歯科健診の結果は記録し、保護者にカードで知らせしています。感染症への対応や登園停止基準を感染症マニュアルや重要事項説明書に明記し、入園説明会や懇談会で保護者に周知しています。

・地震に備え、ガラスは強化ガラス、照明器具は落下防止対応をし、棚は突っ張り棒や滑り止めを使用しています。ピアノは、転倒防止器具を使用しています。毎月の避難訓練に加えて、年1回全クラスの子どもが避難誘導訓練を行い、地域防災拠点である港南台第二小学校に集合します。

・入園説明会で園での苦情受付窓口及び、園外の第三者委員について必ず説明し、権利擁護機関として苦情窓口の相談が横浜市青少年局保育運営課、港南区こども家庭支援課にあることを伝えています。園では意見箱を設置し、また、保護者との懇談会の場を設け、行事後にはアンケートに記入してもらい保護者意見の汲み上げに注力しています。

4 地域との交流・連携

・夏祭り、運動会、卒園式などの園行事には、近隣の方、自治会、社会福祉協議会など招待しており、子どもとふれあう機会をもっています。港南区役所、区内の保育園、ケアプラザ、民生委員から構成される「港南台子育て連絡会」では、七夕祭りなどの運営に参加し地元の各機関と計画的に交流しています。

・港南区役所の広報紙やホームページに赤い屋根保育園の育児支援内容や園の情報を掲載しています。地域の子育て支援会社が発行する子育て雑誌やNPOWEBマガジンには園情報を掲載しています。園のホームページには園のサービス内容の詳細、延長料金、職員体制など、必要な情報を掲載しています。

・地域の運動会にはベンチ、パラバルーンを貸し出したり、七夕祭りのときはテント、おもちゃ、大型紙芝居を貸し出して、積極的な地域貢献を実施しています。地区センターには休園日には園の駐車場を開放したり、平日の朝、保護者の車が込み合う午前9時までの間、逆に駐車場を借り受けたりして、地域とは友好的な関係を継続しています。

・港南区中央公園での指定管理者職員が子どもの遊びを世話してくれる横浜市「生き生きプレイパーク」は子どもの人気が高く、年に何回も利用しています。近くのスーパーや花屋、ホームセンターなどへ園児ともども、食菜栽培の苗の調達やクッキング保育の食材調達に出向き、子どもたちはお店の人と交流しています。

・子どもたちは近隣の小学校の運動会に参加したり、小学校で行う避難訓練の際には、防災の話を校長先生から頂いています。就学を控えた5歳児は小学校を訪問し、教室を見学したり、小学一年生とゲームをするなど楽しい時間を持ち、子どもの不安をなくし、就学への期待感を育てる活動としています。

・港南区のほかの保育園とは年長児や1、2歳児を対象に「なかよし交流」を年5回ほど行い、また、地区センターまつりには、3〜5歳児が参加したりしています。

5 運営上の透明性の確保と継続性

・設置法人の不正・不適切な行為を行わないよう守るべき法・規範・倫理などを職員は入職時の研修で学び、配布される「職員のしおり」や「マナーテキスト」にも詳しく掲載されています。他園で事件や事故が発生した際には、ミーティングで報告し、職員へ啓発しています。また横浜市のコンプライアンス推進室からの情報も必要に応じて報告し、職員の心構えを促しています。

・園は独自に地域の産業廃棄物業者との契約でゴミの収集を受けていますが、横浜市「3R夢(スリム)プラン」に準じてゴミの分別を行っています。子どもたちも、横浜市資源循環局の話を聞いたり、省エネのポスターを貼りだしたりしています。また、陽光を遮るゴーヤによるグリーンカーテンを育てたりして、省エネ活動をしています。

・園では園目標に「自立心、自発性の育み」をうたって、子どもたちの意思を大切に、役割分担や製作物の選択の自由と子どもに任せられるものは子どもに任せ、「自主性」「主体性」の育成に努めており、入園前説明会、年度初めの懇談会で保護者に説明しています。

6 職員の資質向上の促進

・設置法人では年間研修計画を策定し人材育成計画としており、各職員がクラスリーダー、行事担当、役割担当を担うことで、保育所の理念・方針をふまえた責任感が根づき、自己の力を磨き、成長する機会を与えていると考えています。園では職員一人一人の自己研鑚に関して、本年度より「自己目標」管理をスタートさせました。評価については10月半ばに園長と各職員の個人面談を行い、「自己目標」達成度の振り返りを行いました。最終評価は本年度末に行う予定です。

・港南台「子育て連絡会」が園隣りの地区センターで行う園外研修には、可能な常勤職員・非常勤職員は受講するように促しています。地域の人を招待して開催している、ホール開放の「わらべうた研修」には、可能な職員には声をかけて、参加してもらっています。必要に応じて感染症研修などに関し、出前講座を依頼し、多くの職員が受講できるように計らっています。各職員はリズム、障がい児研修、わらべうたなどの外部自主研修に参加し、研修内容を職場で共有するため、必ず研修報告書にまとめ、回覧かまたは、職員が講師役を担い、園内で知識の共有ができるように努めています。

・園長は研修レポートをまとめ、港南区の研修受講計画見直し立案など、受講する研修内容のより充実化を図っています。非常勤職員も港南台地区研修会や園内での出前研修など機会があれば参加するように促しています。

・港南区における保育園同士の交換見学や実習などを通して、参加する職員は他園の良い所を勉強し、園で活かすように努めています。系列園を含めて、設置法人の運営哲学により「モンテッソーリ教育」を取り入れることを方針の一つにしているため、外部から専門講師を招聘し、講演を受講し勉強する機会を設けています。

・実習生を積極的に受け入れており、学校希望、本人希望も入れて「実習プログラム」を作成し実習を行います。実習最終日には実習生と園長、主任、クラス担任を入れた反省会を行い、保育の見直しや気付きの機会にしています。

詳細評価(PDF640KB)へリンク