かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

東門前保育園(2回目受審)

対象事業所名 東門前保育園(2回目受審)
経営主体(法人等) 公益財団法人 神奈川県労働福祉協会
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 210 - 0812
川崎区東門前1-8-2
tel:044-266-8984
設立年月日 2011(平成23)年04月01日
公表年月 2017(平成29)年06月 〜
使用評価項目 川崎市版
評価機関名 株式会社 R−CORPORATION
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)
【概要・立地面の特色】
東門前保育園は公益財団法人神奈川県労働福祉協会(以下、法人)の経営です。法人は昭和32年に神奈川県庁内に日雇労働者福利厚生協会として発足し、現在は日雇労働者等の就労支援部門、保育を通じた子育て支援部門、その他、神奈川県立かながわ労働プラザがあり、現在、保育部門として、横浜市、川崎市に3園を運営しています。東門前保育園は昭和35年に1番目の保育園として開設された歴史ある園です。この辺りは川崎大師の門前町として、また、京浜工業地帯の一角として古くから栄えている地域であり、園は、京浜急行大師線東門前駅から徒歩2〜3分の住宅地の中に位置し、公園、幼稚園、商店街等、古い街並みが今も残っています。東門前保育園は、定員60名の中規模園で、園舎は2階建てで、南に広い園庭があり、立派な果実の木々や、玄関脇にはブラックベリーの木もあり、豊かな自然に囲まれています。園では、異年齢保育を基調とし、乳児は2グループ、幼児は異年齢で縦割りの2グループを設け、合計4グループで保育を展開しています。また、大きなホールが設備され、寝食分離の方針で3歳、4歳児はホールで午睡をしています。保育士は明るく、笑顔のある保育を行っているのが印象的です。
【特に良いと思う点】
1. 複数担任制での異年齢保育の取り組み
園の特徴として、異年齢保育を基調にして実施しています。0歳児〜6歳児に対して4保育室という構造上の根本的理由を逆発想により、異年齢での保育体制は効果を上げています。乳児については、最も月齢で差がつく1歳児を2つに分け、低月齢児を0歳と一緒にして手厚く支援し、高月齢児は2歳児と一緒に体を動かして遊べる体制にしています。幼児は3歳〜5歳児を2つのグループに分け、複数担任制で保育にあたり、兄弟関係を体験できる良い機会になっています。また、複数担任制は保護者も担任と話せる機会が持ちやすく功を奏しています。
2. 日本の伝承文化を大切にした保育
園では、日本に伝承されてきた遊びを保育に取り入れ、子どもの成長を促しています。現代のテレビゲ
ームのように伝承遊びには教則本はありません。また、一人っきりの遊びと違い、友達同士の関わりの
中でルールを学び、仲間意識を養い、協調性を学ぶ機会になり、心と体の発達につなげています。0歳
児から童歌に親しみ、1対1の触れ合い遊びから徐々に集団での遊びにつなげ、連続性のある遊びを推
進しています。日本の文化を大切にし、楽しみながら自然と様々な力が育っていく良さと、現代の子ど
も達に文化を伝えていく保育を進めています。
3. 流れる保育
保育理論の1つとしてハンガリーの「コダーイ」が提唱した『流れる保育』という理論があります。園
では、保育が「遊び」「食事」「睡眠」等、一つ一つの項目が細切れにならないよう、一日の活動が流
れて進められていくよう、コダーイの教えに基づいて保育を推進しています。一斉保育を行わず、子ど
もの自主性を尊重し、時間や内容を選択できる保育を進め、子どもがどのような製作をしたいか、遊び
を行いたいか等、子どもたちに投げかけ、意見を聞き、興味・関心を引き出すように取り組んでいます。
【さらなる期待がされる点】
1. 異年齢保育と年齢別保育について
園の良い取り組みとして異年齢保育が挙げられますが、異年齢保育は利点も多いですが、補わなくてはならない点もあります。それは年齢による能力差です。年齢別保育では同じ程度の能力の子どもが競うことで能力の大きな向上が見られるのですが、異年齢保育では年下児の能力に合わせたり、引き戻されたりする点にマイナス面が表れます。上の子を敬う、下の子の面倒を見る良さを活かすためにもマイナス面を補う努力が望まれます。
2. さらなる地域との連携を
地域との連携では東門前1、2町目町内会に加入し、町内の盆踊りや公園掃除に参加しています。公園掃除では通常は職員が参加し、年2回程度、保護者の協力も得、掃除の手伝いを行っています。また、近隣の小規模保育園(ひよこ保育園)との交流保育も実施し、保育園として地域に寄与しています。さらに、地域に守られながら育ち行く子どもの将来と、この地域を地元として戻れる場所として、保護者も地域活動に積極的に参加していける体制を目指し、地域との連携を強化し、子ども、保護者を交え、地域との連携体制の構築を期待しています。
3.さらなる職員の資質向上
一人ひとりの職員の資質は1日半の調査では分かる筈も無いですが、職員面接での保育士、栄養士は明るく、子どものために意欲を持って取り組む姿勢を確認し、また、施設観察の際の保育にあたる保育士も明るく笑顔で子どもに対応している姿が確認できました。但し、限られた人数の保育士での保育環境は、それぞれの保育士に万能であることが要求されます。特に、正規、非常勤職員等が一緒に仕事をしており、利用者にとっては非常勤でも東門前保育園の先生であり、園の質の向上には非常勤職員のレベルアップと共に標準化を図り、さらに向上に推進していかれることを期待しています。
評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重 ●園では、子どもの人権の尊重の考え方と共に、一斉保育を行わず、子どもの自主性を尊重し、子ども自身で時間や内容を選択できる保育を推進し、遊び、食事、睡眠など一日の活動が「流れる保育」を共通理解の基、実践しています。行事や誕生会では、子どもが製作したいもの、遊びたいことの意見を聞き、優先して内容を決めるようにしています。遊具は、各年齢、発達に応じた玩具を提供し、定期的に見直し、入れ替えを行っています。
●虐待の早期発見については、マニュアルを作成し、朝の視診を大切にして子ども・保護者の変化に気付くよう留意しています。年1回、個人面談を実施し、家庭の様子、悩み等に耳を傾け、密にコミュニケーションを図るようにしています。職員は、虐待に関する対応、報告体制の共通認識を持ち、意識を高めています。
●個人情報に関して、重要事項説明書に明示し、入園時に説明を行い、保護者から同意書を得ています。プライバシー保護については、個人情報保護規定に基づいて遵守し、職員会議で確認及び周知し、職員は理解しています。保護者に対しては、園外に情報提供が必要な場合は説明及び、同意を得ています。子どもの写真に関しては業者を通してネット販売にしています。利用者のプライバシーの配慮では、子どもへの声かけは、基本的に肯定的な言葉で接し、乳児は一人ひとり担当制にて特に、0歳、1歳児に手厚い配慮を心がけています。
2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供 ●利用者満足の把握に向けて、毎年、年度末にアンケートを実施し、保護者会の役員会に出席して意見を聞く機会を設け、年数回、個人面談を実施し、要望や意見を受け止め、保育に反映させています。保護者会の役員会では、一緒に相談しながら夏祭り、運動会、餅つき大会等の行事を共催で行っています。今年度、2回目の第三者評価を受審し、保護者のアンケート結果や評価の結果を得て、利用者満足の向上に役立てていきます。
●園では、複数担任制を採用し、子どもや保護者とのコミュニケーションを密に図り、信頼関係を築き、話しやすい雰囲気を心がけ、相談等を受けられる体制を構築しています。保護者からの意見や相談は、個別の部屋を活用してプライバシーに配慮し、報告体制を整え、速やかな回答に努めています。子どもの意見等については、その場で対応及び、解決することを大切にしています。
●子ども一人ひとりの成長や状況を把握し、家庭的な雰囲気を大切にし、子どもが安心してゆったりと過ごせるような環境作りを心がけて保育にあたっています。子ども同士のトラブルの際は、保育士は子どもの気持ちを受け止め、双方が納得して活動できるように援助しています。配慮が必要な子どもには個別指導計画を作成し、発達の過程や生活環境等を理解・受容し、ケース会議で共通理解の基、個々の子どもの発達に沿った保育を心がけ、研修で研鑚を図り、より良い支援につなげています。
●登降園時には挨拶や声掛けを行い、家庭での様子を確認し、「引き継ぎ表」にて職員間で共有して保育にあたっています。0歳〜3歳までは連絡帳を活用して保護者と連携を図り、4歳、5歳児は連絡メモやホワイトボードにて1日の様子を伝えています。休息(午睡含む)の長さや時間帯は、子どもの状況や、その日の体調に応じて配慮し、乳児は連絡帳にて就寝、起床時間を確認し、必要に応じて午前寝を取り入れ、子どもの生活リズムを大切にしています。年長児は就学に向けて、4月から午睡を控え、小学校生活に備えるようにしています。
●延長保育は、落ち着いた雰囲気作りで、少人数になるまで各クラスで過ごし、のち合同とし、好きな遊具で安心して遊べるようコーナーを作り、毎日、同じ職員を配置して子どもが安定した気持ちで過ごせるよう配慮しています。各クラス複数担任制により、担任が保護者に対応できる体制を確立しています。
食育では、園庭で育てた野菜を収穫し、給食室との連携を図り、給食で提供して興味・関心につなげ、テーブルや椅子は成長段階に応じて調整する等、美味しく食べる姿勢も食育の視野に入れて取り組んでいます。幼児はバイキング形式で提供し、就学を見据えてトレーを使用し、配膳や片づけを行っています。アレルギー除去食については、誤配膳、誤食が無いよう確認を行い、細心の注意を払って実施し、他児と同じ献立を工夫して提供しています。また、宗教食、配慮食にも対応しています。
3 サービスマネジメントシステムの確立 ●園の必要な情報は、川崎市ホームページ、川崎区の広報、入園のしおり、ホームページ、パンフレット、園及び地域の掲示板により情報を提供しています。園見学者にもパンフレットを配布しています。入園前に面談を行い、家庭状況、子どもの状況や特徴を把握し、職員間で情報を共有し、家庭での差を減らすよう子ども一人ひとりに配慮しています。サービス利用開始後は、慣らし保育を実施し、子どもが環境に慣れ親しめるよう努め、子どもの不安等の軽減に配慮しています。
●保育課程を基に年間指導計画を作成し、月案、週案、日案に展開して実施しています。保健計画、食育計画の作成については職員会議で確認し、共有しています。乳児及び、幼児の配慮が必要な子どもには個別指導計画を作成し、個々に合った支援を行っています。サービス実施状況は日常の記録(児童票、発達記録、日誌、個人記録等)を行い、記録は園長が確認し、記録の取り方はリーダーが指導し、必要に応じて保育長、園長も指導を行い、保育の在り方を客観的に見直せるよう、保育に生かす記録として研鑚しています。
●提供するサービスの実施方法については、保育課程、年間指導計画を各クラスに掲示し、日課表に沿って保育を実践しています。また、事務分担表を作成し、園内の業務分担について明記しています。東門前保育園では、独自に「門前ファイル」を設け、基本ルールを記載し、変更・改訂の場合は周知し、共通認識を図っています。入職時、新人研修の際は門前ファイルに沿って基本的ルールを周知し、共通理解の基、保育にあたっています。
4 地域との交流・連携 ●地域に向けた情報は、掲示板を園の外に設置し、園の情報や行事等の案内を掲示して地域に発信しています。また、川崎区の広報、法人のホームページに東門前保育園の情報や行事等を紹介しています。毎年、園見学は多く、園見学者にパンフレットを配布し、園の情報を丁寧に説明しています。地域子育て支援では、園庭開放、プール開放、行事、離乳食試食会、健康相談等を実施し、地域の親子に参加できるよう提供しています。
●東門前1、2町目町内会に加入し、町内の盆踊りや公園掃除に参加しています。公園掃除では通常は職員が参加し、年2回程度、保護者の協力も得、掃除や廃品回収の手伝いを行っています。また、近隣の小規模保育園(ひよこ保育園)との交流保育も実施し、保育園として地域に寄与しています。
●関係機関との交流、団体との連携では、川崎区施設長連携会議、主任会議、子育て支援会議、年長児担当者会議、看護師連絡会、栄養士連絡会等、各会議に定期的に出席し、情報を共有しています。地域の福祉ニーズを把握するための事業及び活動を行い、民生委員(福祉委員連携会議にて)児童委員と連携を図り、地域の子育て情報、ニーズの把握に努めています。
5 運営上の透明性の確保と継続性 ●理念、保育方針は、ホームページ、パンフレットや入園の案内に掲載し、目につきやすい位置にも掲示して、保護者に理解を促しています。職員に対しては、園内研修、職員会議等で確認し、共通認識を図っています。中・長期計画は法人で策定され、計画を基に園運営を遂行し、今後、園舎の改築を法人と連携して進める予定です。子育て支援事業、設備整備、職員体制に関しては、職員会議や代表者会議等で討議及び検討を行い、改善に向けて見直しを実施しています。
●園長の業務と責任を明文化し、園長は、事務分担表を作成して分掌業務を明確にし、子どもの生命の責任を含めた全ての責任の表明を行い、サービスの質の向上に努めています。園長は、運営改善に関しては、現場の声に耳を傾け、園長、保育長、リーダー、栄養士、看護師で会合を開催し、直接的な意見を真摯に受け止め、改善に向けた問題点を抽出し、職員配置、環境整備、協力体制等の改善に向けた運営に尽力しています。
●毎年、園全体の自己評価チェック表を継続して実施し、職員個々の自己評価は、振り返りと課題を明確にし、話し合い、年2回、園長と面接を実施して助言を受け、次期に反映させています。計画策定には、年度末実施の保護者アンケート調査結果内容、保護者会役員会の意見や自己評価から反映させるようにし、さらに、計画に沿って週末、月末、期末、年度末に職員会議で反省、見直しを図り、課題を明確にして次の計画に反映する体制を構築しています。
6 職員の資質向上の促進 ●人材の採用、人員体制については、法人で系列全園の要望等を把握の基、人事方針を策定し、保育園配置基準に基づいて、必要な職員採用を行っています。法人では、方針及び業務が円滑に実施されるよう余裕ある人員配置に配慮し、定数以上の非常勤職員及び短時間職員を採用しています。遵守すべき法令・規範・倫理等は倫理規定、職員就業規程、個人情報規程を策定し、職員会議等で周知を図り、理事長から倫理について話を受ける機会を得、理解を深めています。
●年間研修計画を策定し、定期的に園内研修を実施し、職員教育に関する基本姿勢は事業計画や倫理規定に明記し、職員の資質向上、専門性を高めるよう取り組んでいます。研修受講後は研修報告書を作成し、回覧にて共有化を図っています。園内研修では、神奈川県LD(学習障害)発達支援センターから講師を招き、LD(学習障害)全般について学ぶ等、研鑚を図り、保育に生かしています。
●園長は、職員の日々の様子を確認し、声掛けを行うなど配慮に努め、年2回、全職員との面接により要望、意向を把握し、より良い職場環境作りに尽力しています。シフト作成にあたり、有休の希望を確認の上、勤務表の反映に努め、また、有給休暇の消化バランスを確認し、シフトに配慮しています。福利厚生では、福利厚生センターへ加入し、非常勤職員を含めて年1回、健康診断を受診し、病休、病後、育休等を補償し、仕事の軽減、時短の促進等を実施し、職員の心身のケアに配慮しています。

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