かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

横浜市金沢八景保育園(4回目受審)

対象事業所名 横浜市金沢八景保育園(4回目受審)
経営主体(法人等) 社会福祉法人 しののめ会
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 236 - 0026
金沢区柳町1-3
tel:045-784-4031
設立年月日 2002(平成14)年04月01日
公表年月 2017(平成29)年07月 〜
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 特定非営利活動法人 ナルク 神奈川第三者評価事業部
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

【施設の立地・特徴】

・立地および施設の概要
 横浜市金沢八景保育園は、京浜急行またはシーサイドラインの金沢八景駅から、シーサイドラインの高架を見ながら平潟湾に沿って歩くこと約8分の場所にあります。金沢八景駅周辺は商店、マンションが立ち並ぶ地域ですが、駅を離れるにつれ静かな住宅地となっています。金沢八景保育園周辺は道沿いに海が見えて開放感があり、野島公園など公園が多数ある、自然も豊かな環境です。横浜市立大学のキャンパスは広域避難場所にもなっています。
 園に隣接して八景公園があり、平成27年にはその一角に、津波避難施設ができました。園舎は柳町コミュニティハウスと合築の3階建て建物の1、2階部分です。1階が0、1歳児、2階が2〜5歳児の保育室となっています。広い園庭があり、平成28年10月には2つ目のデッキテラスと築山を整備しました。園庭の隅には畑も整備され、季節の野菜を育てて食しています。


・園の特徴
 平成14年に指定管理者として運営を開始し、平成29年度からは第4期目の選定継続が決まっています。平成23年の現園長就任後から、選ばれる保育園となるために、徹底した「子ども主体の保育」を特徴とする「八景保育園の保育」の質を高めることを目指しており、横浜市の職員配置基準を上回る保育士16名を配置しています。
 定員は0歳から5歳まで各10名ですが、待機児童解消に協力し、現在69名が在籍しています。保育方針として、人間関係の基礎を養うことを掲げ、年齢別のクラスのほかに、0、1歳児、2歳児、3〜5歳児のクラスを並行して定め、発達の異なる子どもたちが、常に自分が何をやりたいかを自主的に考え、保育室の中を自在に移動しながら、一緒に生活しています。それゆえ職員も「全職員で子どもを育てる」意識をもって保育をしており、上のクラスへの移行も年齢や月齢で区切らず、一人一人の発達に合わせて、その子に適した時期にするようにしています。毎年、保育の中心となるテーマを決めて保育を展開しており、平成28年度の保育園テーマは「発見〜みんなと日本〜」でした。


【特に優れていると思われる点】
1.徹底した「子ども主体の保育」と、それを実現するための環境整備
 指導計画によって、子どもに必ず経験してほしい課題活動や、大まかな生活の時間の流れは決めていますが、常に子ども主体であることを大切にし、職員は様々な仕掛けをしながら、子どもが自ら考えて行動するのを見守っています。園内には、今年度のテーマに因んだ、書き込みができる日本地図や、感謝の言葉を貼りつけられる本物の木でできた「サンクスツリー」、面白い人形や自然物を素材とした装飾、虫や熱帯魚の飼育箱が置かれ、「えさをあげてね」「こんなものもつくれるよ」など、子どもに向けたメッセージがあちこちに見られました。時計や時計の絵本、カレンダーなどを置いた「じかんこーなー」を始めとするさまざまなコーナーを保育室に常設し、園庭の築山にスロープをつけるなど、子どもの興味や関心をそそり、遊びたい意欲をかきたてられるような環境づくりに工夫を凝らしています。食べる、寝るなど生活の場面でも、職員が決まった時間に声をかけて、一斉に動くことはなく、自分で時間を決めて主体的に行動することを尊重するよう、関わり方にも細心の注意を払っています。


2.保育の質を高めようとする職員の意欲的な取組み
 中堅職員が中心になって保育者としての行動規範「こころざし」〜子どもが楽しく生活するために〜を自主的に作成し、全職員が行動を共通のものとできるよう工夫しています。「こころざし」では、職員が子どもに「こうなってほしい」というモデルを示していくことや食事、子どもとの関わり方、環境について、求められる行動や、なぜそうするのかを詳細に明文化しています。職員は、それができているかを互いに振り返り、園長の助言も受けながら、内容の見直しの検討も進めています。職員が同じ志を持って、保育の質の向上に意欲的に取り組んでいます。


3.保護者に園の保育についての理解を深めてもらうための積極的な情報発信
 入園説明会や保護者懇談会、個人面談、保育参観や保育参加を通じて、保護者に保育方針を説明しているほか、園長は毎月の園だよりで具体的に子どもの様子やこの園の保育についての考え方を記述し、保護者に保育方針が伝わるよう積極的に発信しています。年度末の保護者懇談会では、パワーポイントを使って一年間の様子を写真入りで伝え、保育内容・目的を分かりやすく説明しています。子どもたちの写真、製作物には詳細にコメントをつけて展示し、行事の様子を収めたUSBの貸し出しを行ったり、ホームページのブログで日々の保育の様子を伝える努力をしています。園舎内には、保護者に向けてのメッセージの文書や、勧めたい本も置かれています。前年度末に実施した保護者の声を受けて、今年度からは、保育室まで行かなくても、その日のすべてのクラスの保育の様子がわかるように、エントランスにコーナーを設け、日々の子どもの活動を写真や文章で紹介しています。
 今回の利用者家族アンケートでは、87%の保護者が、保育目標・方針を知っていると回答し、そのうち94%の保護者が、その内容に賛同できる・まあ賛同できると回答しています。


【特に改善や工夫などを期待したい点】
1.保護者からさらに苦情・要望の訴えやすい仕組みを
 園長は保護者に対して、園だよりで一般的な園行事の連絡のみではなく、自ら園内での子どもたちのほのぼのした状況もお知らせしたり、また、苦情要望に対しては即刻対応して保護者と良好な関係を保っています。さらに保護者が苦情・要望を訴えやすい仕組みとして、外部の権利擁護機関のお知らせを年間通して行うことと、第三者委員を法人外の方に依頼することの検討を期待します。


2.地域とのさらなる関係構築を
 地域の中の保育園として、町内会等と協働の企画を実現するなど、計画的な交流をすることで地域との関係をさらに深め、保育所に対しての地域の理解が進むことを期待します。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重

・園の基本方針・保育目標は、安全・安心、信頼をモットーに地域との共生を目指すことを基本理念とし、人間関係の基礎を養い、物事に感動する美しい心を育て、誰からも愛され、愛せる、心身ともにたくましい子を育てることを掲げ、利用者本人を尊重したものとなっています。


・この園では、子どもの主体性を旨とし、子どもの自分からやりたい気持ちを常に尊重して対応しており、職員は見守りに徹し、職員側からせかしたり、何かをすることを強要したりすることはありません。必要なときには子どもと向き合ってゆっくりとわかりやすい言葉で話をしています。


・守秘義務について、職員には入職時にマニュアルを配付し、意義や目的を説明し、周知しています。ボランティア・実習生にも、受け入れ前のオリエンテーションで説明しています。


・虐待の定義が明記された園独自の児童虐待等対応マニュアルが全職員に配布され、虐待が疑われる場合や明白になった場合には関係機関と連携し速やかに対応できる体制となっています。

2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

・保護者の意向は、入園前の面談、連絡帳や日々の送迎時の対話、9月の個人面談で聞き取り、指導計画に反映しています。


・トイレットトレーニングは、子どもがトイレで排泄できたとき、自分から気づいてトイレに行けたときに始めるなど、個々の成長に合わせてタイミングを見ながら進めています。


・園の方針として、年齢や月齢でなく、その子の発達を注視して対応しており、2歳児の2階保育室への移行も、一斉にするのでなく個別の発達状況に応じてしています。


・指導計画によって、子どもに必ず経験してほしい課題活動や、大まかな生活の時間の流れは決めていますが、常に子ども主体であることを大切にし、職員は様々な仕掛けをしながら、子どもが自ら考えて行動するのを見守っています。職員から先に声をかけて、決まった時間に一斉に動くことはありません。


・玄関付近に意見箱を置いているほか、園のホームページからメールで意見や要望が送信できます。懇談会(4月、2月)、個人面談(9月)、年度末のアンケートなど、保護者から意見や要望を聞く機会を多く設けています。

3 サービスマネジメントシステムの確立

・園で共通の「新入園児アセスメントシート」を用い、子どもの生活歴や授乳・離乳の状況などを詳しく聞き取り、把握した情報を児童票に記録して職員間で共有しています。


・0・1歳児、2歳児、3〜5歳児のクラスごとに、年間保育計画、月保育計画、週案、デイリープログラムを作成しているほか、0〜2歳児については、個人別に月保育計画を作成しています。


・毎日10分会議、毎月クラス会議、クラスリーダー会議、職員会議があり、職員間で保育の進捗状況を共有し、子どもの発達や状況に応じて、指導計画の作成・評価、見直しを行っています。


・各家庭でA6判のノートを用意してもらい、0〜2歳児までは、毎日、体温や排泄、生活時間、活動、食事の内容、子どもの様子などを、家庭と園の双方で書き込み、連絡を取り合っています。3歳以降も必要に応じて活用しています。


・子どもや家庭の個別の状況・要望、入園後の成長発達の記録、進級時の申し送り事項等が児童票にまとめてあります。児童票は、事務室で施錠保管され、全職員が必要時に閲覧し、子どもの情報を把握することができます。


乳幼児突然死症候群対策として、0歳児は5分、1歳児は10分、2歳児は15分ごとに睡眠中の呼吸の有無、寝ている向き、うつぶせ寝を仰向けになおすなどのチェックを行い、睡眠安全チェックシートに記録しています。

4 地域との交流・連携

・保育園外の掲示板やホームページで、園庭開放、なかよし広場、体験給食、育児講座、育児相談などの情報を案内しています。今年度は乳児・親子ブラッシング教室も6月と11月に開催しました。園庭開放、なかよし広場等の利用者から育児相談があれば、いつでも対応できる体制にしています。


・園行事 8 フェス(夏祭り)は地域の方にも知らせ参加を呼びかけています。


・金沢図書館や3階のコミュニティハウスの図書コーナーに、年長児が、午睡をしなくなった時期の活動として、絵本を借りに行くなどしています。


・園に飾る花は地域の花屋に買いに行き、散歩で出会った地域の方とあいさつする、隣接する八景公園や園の周辺のごみ拾いをするなどして、地域の交流を図り、友好的な関係を築いています。


・平成27年度はインターンシップ2名、ボランティア36名(近隣高校生による吹奏楽の演奏披露)の受入れがあり、平成28年度も1月に受入れ予定があります。実習生は、大学、短大、専門学校等、複数校から依頼を受け、毎年受け入れています。

5 運営上の透明性の確保と継続性

・平成23年度〜平成28年度についての横浜市金沢八景保育園中長期計画が作成されています。


・社会福祉法等が改正され、社会福祉法人のあり方が見直される中で、運営法人しののめ会としても地域福祉を担うために、何が必要かを常に検討しています。平成23年度以降、他の法人とは異なる特色ある保育への転換をしてきたこともその一環です。手厚い人員配置を維持しながら、働きやすい労務環境を整備する方法を継続的に検討しています。


・園長は東京都の保育所の第三者評価の情報や、設置法人の会計士からの一般企業の経済情勢や労務環境、運営・経営手法の情報を収集したり、横浜市内の保育関係者等有志による勉強会「横浜の保育を考える会」に参加し、意見・情報交換をしています。


・園長は、主任、クラスリーダーを園の将来を担う幹部職員と捉え、園の財務について理解を深めてもらい、効率的な経営をしながら、将来にわたり利用者に選ばれる保育所であるためにはどうしたらよいかを重点課題として議論しています。

6 職員の資質向上の促進

・「金沢八景保育園職員人材像」が策定されており、経験年数に対応する、目標とする職務および必要な研修が明文化され、全職員に配付されています。


・毎年、全職員は園独自の自己目標シートに沿って、年間目標や課題を明らかにし、主任による中間評価、園長による最終評価を行っています。


・非常勤職員にも、保育現場で必要なマニュアルを配付しているほか、年度末の職員会議には、非常勤職員を含む全職員が参加し、理念、方針、保育目標を実現していくための、保育の心得や手順が詳細に書き込まれた事業計画を配布して説明しています。


・事業計画の中で、「保育計画から保育実践への連動」「計画→実践→評価→改善(PDCA)の理解と定着化」と明記し、職員に自己評価を通して実践の改善やその後の計画作成に反映させていくPDCAサイクルについての理解を促し、実行しています。


・年間保育計画、年間食育計画、月保育計画、週案・保育日誌とも、それぞれ「ふりかえり」、「月の反省及び次月への検討事項等」、「週反省・検討事項」の欄が設けられた書式が定型化され、自己評価し、文章化ができるようになっています。


・中堅職員が自主的に作成したマニュアル「こころざし」の見直しにあたっても、自らの保育を振り返り、職員間で意見交換をしています。


・同じ保育観を持つ園と、継続的に交換研修や園見学を実施し合い、相互に啓発し合う仕組みがあります。


・毎年秋頃、職員が設置法人本部に次年度意向書届を提出し、園長と職員との個人面談する仕組みがあり、職員から満足度や要望のほか、業務改善についての提案や意見も聞き取っています。

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