かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

海老名市立わかば学園

対象事業所名 海老名市立わかば学園
経営主体(法人等) 社会福祉法人県央福祉会
対象サービス 障害分野 障害児多機能型事業所
事業所住所等 〒 243 - 0422
海老名市中新田383−1
tel:046-235-2703
設立年月日 2000(平成12)年04月01日
公表年月 2017(平成29)年04月 〜
使用評価項目 東京都版
評価機関名 日本コンサルティング株式会社
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

【事業者が特に力を入れている取り組み】
@ 家庭訪問で世帯の状況を確認し、利用開始時の親子の戸惑いに十分配慮しています
利用開始前の家庭訪問では「しおり」を持参し、サービスの概要などを説明して質問に答えています。効果的な療育内容と回数、保護者の療育ニーズを把握し、様々な条件下で可能な限り最善の対応を取っています。インテーク(初回面接)は複数の職員が担当し、主に経験豊富な職員が個別の事情に配慮しながら聞き取っています。相談から通園、個人からグループなど進級時は子どもの環境が変わるため、雰囲気に戸惑う子どもが初めての場所に慣れるまで時間を十分に取っています。親子通園から分離する際は笑顔で過ごせるようになるまで時間をかけています。


A 子どもの発達状態に合わせた偏食の改善など、食の課題に熱心に取り組んでいます
障がい特性による偏食や独特の食事方法を好む子どもいますが、著しい偏食への課題は日常生活において大きな比重を抱えるため、改善に向けた取り組みは無理強いすることなくゆっくり進めています。その際は「小学校入学時には苦手を克服する」といった長期的な目標を設定しています。毎月の給食会議には給食担当職員、提供事業者代表、支援に携わる職員、事務が参加し、旬の食材や季節の献立、食形態など細部に渡って検討しています。職員会議の検討事項から「野菜を食べない」といった課題に対し、チャレンジメニューの設定などを検討しています。


B 法人独自のツールを用いて子どもの気持ちに寄り沿った支援を職員で検討しています
倫理行動マニュアルの児童版では職員の日常の言動が振り返れるように例が示されており、完成時に全職員に配付しています。マニュアル音読や法人で作成した人権擁護に関するDVDの鑑賞、法人研修への参加などを定期的に実施して職員の意識を高めています。また、ケース会議では法人独自の人権擁護ツール(よりそうシート)を使用し、ある子どもになりきって「やってほしいこと」、「やってほしくないこと」などを考えて記入しています。記入した内容をもとに会議では子どもとの関わり方を話し合い、子どもの気持ちに寄り添った支援につなげています。


【特に良いと思う点】
@ 地域の中で積極的な活動を行ってきたことでその認知度と信頼を高め、安定的な運営につながっています
事業所は海老名市の指定管理を受けており、市の中心機関として機能するという方針で運営を行っています。地域の中では、自立支援協議会の部会の事務局として重要な役割を担っています。さらに、昨年度新たに相談支援事業所連絡会を立ち上げ、新規事業所との関係性を築く新たな機会として積極的に活動しています。中でも園長は外部からの信頼関係を保つため、率先して行動してきています。こういった活動を長く続けてきたことで施設の地域での認知度や信頼は高まっており、サービス提供力に見合う利用者数を確保することができ、安定的な運営につながっています。


A 子ども一人ひとりの将来の姿を思い描き、発達や成長を無理なくゆっくりと支援する療育実践に取り組んでいます
療育面での支援の充実は、子どもの発達に不安を抱える保護者やその子どもに安心できる場所を提供しています。様々な側面から子どもの現状を捉え、保護者と共通理解を深めています。子ども一人ひとりの成長や発達の姿を把握し、専門職を交えた検討から、個別支援計画を立案し、随所に工夫されたプログラムを実施しており、将来の姿を考えながら、保護者と共に子どもの成長を見守る姿勢で支援しています。子どもの自己表現の可能性を引き出し、特に基本的な生活習慣の獲得では子どもの長所と個性を尊重した支援を実現しています。


B 質の高い療育提供と子どもや保護者が安心して相談できる場の提供を目指して取り組んでいます
子どもが日々の生活に見通しを持って活動に参加し、少しづつ達成感を得ることができるようにカリキュラムを用意しており、その内容を保護者と共有しています。豊かな感情表現や生活意欲、生活体験を形成するために保護者との協働は欠くことのできないことと考え、情報共有に努めています。子どもの今の姿を保護者に見てもらいたいと考え、職員の解説付きのビデオ見学会を開催しており、行事支援の依頼、給食試食、懇談会や家族のための勉強会も行っています。連絡帳や送迎時の保護者との会話で療育を丁寧に説明し、個別の相談にも気軽に応じています。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重

@利用開始の契約時には「個人情報の提供について」を用いて、同意を必要とする理由と提供する情報の範囲、提供先、提供条件を説明し、同意を得ています。「がくえんたより」に名前を掲載する場合も、内容を確認しています。事業所内には個別ケース記録をはじめ、予定表や写真などもあり、例えば検査結果を知らせる場合や療育手帳のコピーなどの取り扱いなどは職員間で十分注意しています。また、親子通園や保護者のお迎えの時に報告をする際には、他の保護者にプライバシーが漏れることが無いように配慮しています。


A子どもが基本的な生活習慣を獲得する上で、意思表示できるようコミュニケーション力を育てています。言葉での意思表示が難しい子どもも多く、例えば拒否の例で「嫌だ」を表現する子どもが、単に声や体を使って「嫌」を表現する所から、誰かに向かって拒否を伝えることが出来るだけでも、大きな進歩と捉えています。小さな一歩を認め、次のステップを引き出しており、その際子どもを傷つける言動がないようにしています。細かな行動レベルで禁止事項を羅列されやすい子どもを委縮させることなく、職員が意図を持って行動する事を徹底しています。


B価値観や生活習慣に配慮した支援として、外国籍の保護者のために通訳を依頼したことがあげられます。また、東日本大震災の時には要望に対し、放射線量の測定を市に依頼しました。時には保護者に学習会の参加を勧めており、障がいへの理解を深めてもらうことで家庭における子どもの権利を尊重することにも貢献しています。障害の特性によってはお互いの行動が理解できずに子ども同士のトラブルが発生することもありますが、職員は子どもたちの個性を理解した上で、工夫して対応をしています。子どもの羞恥心への配慮として女児に同性介助をしています。

2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

@利用を希望する子どもと保護者の数は多く、登録を待っている人が増えています。職員は利用希望者一人ひとりが個別の事情を抱えていることを理解し、保護者の希望や思いを丁寧に聞くように心がけています。利用開始前の家庭訪問では「しおり」を持参し、重要事項説明書と利用契約書で、事業所の概要や職員体制、サービスの概要などを説明し保護者に同意を得ています。特に負担金は各世帯により異なるため、多様な場面を想定して説明しています。保護者に意向確認を行いつつ、必要なことは記録してさらに理解を深められるようにしています。


A計画は見立て・面談・個別支援計画作成という流れで作成されています。「見立て」では職員が個別の課題や現状を話し合い、理解を深めています。事業所独自の「個別年間目標シート」には、基本的生活習慣・運動・遊び・コミュニケーションなどの6領域に対してできること・できていないこと・できそうなことを記入し、「できそうなこと」の中から目標を立てています。子ども一人ひとりの特性や興味・関心と保護者の希望を理解し、学園で達成できそうなことを目標として設定することで、本人の自主性を尊重した負担感の少ない計画を作成しています。


B療育相談のうち個別相談は職員2名が担当し、グループ相談は親担当、子ども担当それぞれに職員を配置しています。通園クラスでは14時の終了時間に職員がコメントを記入した連絡帳を渡しながら、保護者にその日の活動を知らせています。今回評価の利用者調査では保護者の満足度が高く、自由記述には相談の場があることへの安心感や個別の支援に関して感謝の言葉が寄せられています。年3回の家族懇親会の他に毎月わかばの会を開催し、行事の際には父親懇親会も実施しています。保護者の意見や要望を聞き、小さなことも支援に活かしています。

3 サービスマネジメントシステムの確立

@事業所では苦情受付担当者、苦情解決責任者、第三者委員を決め、写真と連絡先付きのポスターを作成して利用者等に周知しています。契約の際は、重要事項説明書をもとに説明しています。同時に市や県、かながわ福祉サービス運営適正化委員会など事業所外の相談先も伝えています。また、意見箱を設置し、積極的に意向を収集しています。現在苦情はほとんど寄せられませんが、対応方法は苦情解決に関する規則と職員ハンドブックで明確にしています。意見や要望については、個別面談等で保護者が抱えている課題や不安を聴いて支援記録に残し、個別に対応しています。


A放課後等デイサービス事業、児童支援事業それぞれで年1回利用者満足度調査アンケートを実施しています。実施後は、内容を集計し、結果をまとめています。満足度を5段階で評価する他、自由意見で要望を聞き、今年度に実施可能なこと・来年度以降に実施を検討していること・現在実施困難と思われることの3つにわけて利用者に回答をしています。今年度は情報交換の場が欲しいという意見に対して、懇談会を新たに設けました。また、個別相談の新たな時間を設定したりしています。この調査は毎年実施し、サービスの改善に取り組んでいます。


B火事・地震・事故・衛生管理などの緊急時対応マニュアルが法人で整備されています。事業所では防災計画により、職員の役割が明確になっています。その計画に基づき、月1回の防災訓練を行っています。災害時等には保護者にメールで情報を一斉配信できる仕組みを整備しています。事故に関しては、法人の委員会中心に事例を集めています。その情報は随時事業所にメールで伝えられています。また、年度単位で分析した結果は法人の機関誌に掲載して全職員に配付しています。事業所では安全運転管理者を配置しており、年1回の講習を実施しています。


C法人が作成し入職時に職員に配付している「職員ハンドブック」には、法人理念・使命・基本方針と共に、利用者支援のマニュアルと支援者側のマニュアル一覧を記載しています。事業所内では危機管理、感染症対策、苦情解決制度等は明確になっており、給食、送迎、避難訓練、実習生対応の手順書を活用しています。「療育のねらい」や「支援計画立案手順」は慣れた職員が多いため全く問題なく行われています。新年度にクラス体制を検討する際にマニュアル類の点検と見直しを実施しています。職員業務分担表があり、それぞれの担当が行う業務も明確です。


D一人ひとりの子どもの情報は統一した書式で全領域を網羅するようになっており、個別にファイルし、毎回の利用の様子も丁寧に記録しています。通園クラスでは前期・後期ごとに、6領域に関して目標の達成率をパーセンテージで表した「あゆみ」に職員のコメントを添えて渡しています。記録ソフトはネットワークで共有化しており、個別ファイルも常に閲覧可能にしています。また、連絡事項は職員用ノートの記入や白板への書き込み、朝の打ち合わせ等で共有しています。毎週職員会議を行っており、ケース検討を実施しています。

4 地域との交流・連携

@「海老名市立わかば会館」の中には法人が運営する地域活動センターや高齢者向けの体操教室を行う体育館などがあります。建物3階にある当学園の存在は地域住民の多くが知るところとなり、「地域の福祉拠点」として機能しています。子どもたちは、地域にある公園に散歩に出かけており、プールやポニーのお世話体験や公共交通機関を利用した外出もあります。また、消防署の見学にも行きました。調理活動の食材をスーパーやコンビニエンスストア、地域の商店で購入するなど地域の社会資源を利用し、多様な経験や交流ができるようにしています。


A事業所は、海老名市自立支援協議会の部会である「チーム育つ学ぶ」の事務局となっています。この部会は市内の事業者や保護者などの団体で構成され、地域の共通課題に関して協働して取り組んでいます。以前は「放課後支援のあり方」に関して調査を行っており、現在は「子どもの発達に関する情報提供のあり方」を新たなテーマとして取り組み始めたところです。また、市内12の児童に関する団体で構成する相談支援事業所連絡会では、現在はそれぞれの運営課題を共有して関係性を深めている段階ですが、今後の協働のために体制を整えています。


B地域の福祉ニーズは自立支援協議会や福祉を作る会で収集しています。どちらも市の職員が参加し、市内の福祉ニーズの現状について説明があります。自立支援協議会では、本会議と代表者会議が年3回ずつ実施されています。福祉事業全体の動向については、理事長から随時様々な情報がメールで送られてきており、情報を得ています。また、業界専門誌も購読して情報を収集しています。事業所では、集めた情報をもとに外部環境の分析を行って事業計画を作成しており、情報を整理して今後のあり方の参考としていることがうかがえます。

5 運営上の透明性の確保と継続性

@海老名市の指定管理で運営を行っており、四半期に一度は市への状況報告を行っています。また、市を中心に年2回療育担当者会議が開催されており、市内の関係機関が集まり、現状を報告しあっています。このように施設の情報開示が行われており、関係機関とのつながりも多い状況です。さらに、このようなつながりの中で保育園への備品の貸し出しや施設の入っている会館内4事業所での勉強会の開催など、地域の福祉に役立つ取り組みを実施しています。ボランティアについても担当者を決めており、海老名市社会福祉協議会を通じて受け入れをしています。


A市の指定管理者として法人が受託した「海老名市立わかば会館」のホームページには、会館概要などと共に、3階のフロアにある当学園の概要が掲載されています。ホームページには建物内の見取り図及び対象者、年齢、開園日時、方針、内容などを載せています。法人のホームページには法人理念と沿革、前年度の事業実績報告、決算報告、事業計画、プライバシーポリシーなどを掲載しており、通所事業・生活支援・相談支援などの各分野の事業所の紹介や地図などもエリア別に掲載しています。また、法人全体の事業所紹介冊子にも情報を掲載しています。


B事業所で取り扱う個人情報に関しては契約時にその範囲や利用目的を利用者等に説明し、個人情報の提供に関する同意書に署名をもらっています。法人の個人情報保護規程があり、その中で個人情報の取り扱いが明確に示されています。さらに、規程では個人情報の開示請求に対する対応方法も明確になっています。また、職員に対して就業規則などで守秘義務を明示して意識を高めています。実習生等には事前にオリエンテーションを行い、実習生用にまとめた簡易な説明資料を使用して個人情報の保護について説明しています。

6 職員の資質向上の促進

@ケースを検討するための会議を月1回程度実施し、職員一人ひとりの日頃の気づきや工夫について互いに学び合う機会としています。全職員が年1回は必ず自分で事例を出すことにしており、主体的に取り組めるようになっています。また、研修参加後の朝の打ち合わせでは参加者が報告して内容を共有しています。さらに、年2回「ブックレポート」という取り組みを行っており、職員自身の学びにつながりそうな本を年間2冊読み、全員が1人で5分で紹介することでそれぞれの興味を引き出しています。


A法人全体で中堅職員の育成に力を入れており、職員の研修受講を促進しています。療育相談は経験年数の長い職員と、経験の浅い職員がペアを組んで臨んでおり「話題の引き出し方」や「交渉の仕方」などを先輩職員から直接学び、お互いの知識を共有し合っています。園長、主任、副主任の連携も良く、職員から信頼されています。安全性に配慮した支援ができるよう、職員は感染症対応や嘔吐物処理方法、発作を伴う疾病などについて学んでいます。また、ヒヤリハット報告を活用し、子どもの怪我に対する予見や怪我をしない能力の育成を検討しています。


B一日の流れの中では子どもの様子や人数で部屋の使い方を変える事も多く、職員が相談しながら進めています。4月の初めには職員が「運営プレゼンテーション」をする機会を作っており、職員自身の支援方針や対応を「私はこうしたい」と、場面ごとに自分の言葉で発表しています。職員の提案によって、子どもの状況に合わせた療育室のレイアウト変更を年度ごとに実施しています。子どもへの支援内容や保護者対応で不明な点は、職員同士で相談し解決できる環境となっており、職員間の良好な関係の下、支援水準は高く保たれています。

詳細評価(PDF844KB)へリンク