かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

ふきのとう舎(2回目受審)

対象事業所名 ふきのとう舎(2回目受審)
経営主体(法人等) 社会福祉法人県央福祉会
対象サービス 障害分野 多機能型事業所
事業所住所等 〒 242 - 0022
大和市柳橋5-3-1
tel:046-269-8880
設立年月日 1983(昭和58)年04月01日
公表年月 2017(平成29)年03月 〜
使用評価項目 東京都版
評価機関名 日本コンサルティング株式会社
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

【事業者が特に力を入れている取り組み】
@ 「セリシール」製品の売り上げは好調で、工賃アップが見込まれています
外部講師を招き、作業研修として1年をかけて、事業所の強み、弱み、今後の方向性など丁寧に話し合い、検討を重ねた結果、昨年4月から正式に「セリシール」(フランス語で桜の意味)として豆腐とコーヒーの製造、販売を本格化しています。どちらも信頼のおける業者からの豆の購入・製法にもこだわった「中身で勝負」の製品となっています。各種イベントの出店販売、法人内の3ヶ所のカフェやレストランに納入、コーヒーは信用金庫のキャンペーンの粗品に採用されるなど、売り上げは好調で、昨年度以上の工賃アップが見込まれています。


A 外出・外食レクリエーションの機会を年3回から4回に増やしています
 事業所内行事の外出・外食のレクリエーションでは、利用者の希望を取り入れ、ボウリング、カラオケ、湘南方面の水族館、横浜みなとみらいの食品博物館などさまざまなレクリエーション施設に出かけ、見聞や視野を広げています。3つの作業室の枠を超えた利用者同士や職員との交流の機会としても有効な取り組みを、今年度は、これまでの年3回を4回に増やし、さらに交流の機会を増やしています。さらに利用者の要望を踏まえた1泊旅行も実施しています。作業を離れ、楽しんでリフレッシュし、次の日からの作業に向かっています。


B 食の楽しみ、健康への配慮と両面から丁寧な支援を心がけています
 日本の伝統的な行事や季節感を演出した食事の提供を心がけています。また、毎月テーマを決めた選択食や年に2回バイキングを実施しています。誕生会ではケーキをふるまったり、花見では弁当を広げたりと食を楽しむ機会を多くつくっています。また、利用者の食習慣や生活習慣の見直しなど管理栄養士と看護師が中心となり個別に働きかけています。健康を保ち、生活習慣病を予防していくことも踏まえ、低カロリー食、減塩食、ご飯の量の加減、除去食(アレルギー対応)など一人ひとりの状態に合わせて提供しています。


【特に良いと思う点】
@ 外部デザイナーとの提携による「作業研修」セリシールブランドの開発に、支援員全員が参加し、積極的に目標達成に取り組んでいます
 事業所の主力生産品であるコーヒー豆や豆腐をどうしたらもっと売れるかという目標に向かって事業所の支援員全員が参加するプロジェクトを立ち上げています。毎月1回外部デザイナーを囲んでの「作業研修」という名の会合を3年計画で運営していますが、職員の自主性を発揮させるため、意識的に所長は参加しない形を取っています。障害者施設の商品にブランドを付け拡販してゆくという挑戦的な目標のため、職員の意識やモラルも向上しています。更に所長の命令や指示の無い環境・場面であるため、職員の積極性や一体感醸成にも効果を発揮しています。


A ホームページ開設や事業所便りの発行、オンブズマンや実習生の受け入れ、第三者評価の結果公表など情報開示に積極的な事業所です
 利用者や家族向けに毎月事業所便りを発行し、事業所内の出来事を掲載しています。ホームページもリニューアルして施設で何を行っているかが外部からも分かるようにしています。その中で個人情報をカットしたWEB版事業所便りも掲載されています。ボランテイアや実習生の受け入れにも積極的で、地域のオンブズマンの訪問も定期的に行っています。外部にオープンな姿勢が様々な局面で確認できます。また、昨年から受審している第三者評価も継続的に行い、調査者の評価結果を受け止めて、業務改善に繋げてゆこうとする前向きな姿勢も見られます。


B ブランド開発や利用者数の増加が事業所の底上げになり、財政の安定にも繋がっています
 コーヒーや豆腐販売のブランド開発や受注作業増により利用者作業収入は全事業前年比110.0%の伸びとなっています。このような変革に伴い、利用者延人数も増えており、前年比108.0%増となっています。今年度は昨年に比べて、生活介護、就労継続支援B型の利用者に加えて、就労移行支援の利用者が増えています。常に新しい利用者獲得のために、養護学校や相談支援事業所をこまめに回り、事業内容や特徴を丁寧に説明し結果が出ています。ブランド開発や利用者増など、事業所の底上げになり、財政の安定にも繋がっています。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重

@利用者の個人情報の取り扱いについては、「個人情報提供同意書」にてサービス利用前の説明時に、サービス計画に沿って円滑にサービスを提供するために他の事業所および医療機関等との連絡調整や市町および関係機関に情報提供をし、法令に基づいた管理、対応をおこなうことで同意を得ています。ホームページに掲載している写真は、利用者の顔が分からないようマスキングをしています。利用者の個人情報に関する書類は事務所の鍵のかかる書庫にて保管管理をしています。


A利用者個人宛に送られて来る文書は見えないように封筒に入れて渡しています。 男女別のロッカー室があり、ドアとカーテンを取り付け、私物の保管や着替えなどで利用しています。トイレは男女別に設置しています。利用者からの相談事には他の利用者に聞かれず、落ち着いて話ができるよう相談室や会議室を利用しています。利用者の気分が乗らない時など、職員は無理強いをせず、なぜ嫌なのかという理由を探ったり、やる気になるような言葉かけを心がけています。


B法人の理念の一つにソーシャルインクルージョン(障がい者等を社会から隔離排除するのではなく、社会の中で共に助け合って生きていこうとする考え方)を掲げており、人権に関し意識を高く持っています。全職員が入職時に法人の「倫理行動綱領」を配付されており、定期的に読み合わせをしています。法人として毎年「人権を考える報告会」を開催し、今後の取り組みを確認し合っています。虐待被害や見守りが必要な場合は、大和市の担当課に相談し、対応する仕組みがあります。

2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

@利用を開始する前に2週間程度を目安に実習期間を設けているので、利用者は作業に関し大きな不安を持つことなく、作業に慣れていきます。家族や社会との繋がり、幼児期、小学校時のエピソードなどサービス利用前の生活状況が分かる「通所時利用者基礎調査票」など事前の提出書類も参考に不安軽減の支援につなげています。生活介護、就労継続支援B型利用者の家族向けに、利用開始1ヶ月後にアンケートを配付し、家庭での本人の様子など情報をもらい、支援に役立てています。


A利用者の作業の様子など記録をする「個別支援記録」は常勤・非常勤にこだわらず記載をしています。「個別支援記録」の書式には今年度の支援目標と支援方法を掲載しており、計画に基づいた記録ができる仕組みをつくっています。計画に沿った具体的な支援内容と、その結果利用者の状態がどのように推移したのかについて職員は意識し、記録をするよう努めています。


B障がい特性やその人の性格など他の利用者との関わりを好まない利用者のことを考慮し、壁で半分に仕切っている作業室があります。さらに一人用のブースを作り、落ち着いて作業ができるようにしています。音に過敏な場合はイヤーマフを使用し、自分で調整しています。その他、筆談、書面、イラスト、写真など、一人ひとりに合わせたコミュニケーションをとっています。さらに、家庭で用いている独自のボディーランゲージや手話など、家族から情報をもらい、利用者とのコミュニケーションを深める手段として役立てています。


C作業室ごとに利用者自治会を作っています。毎月第3金曜日に会を開催し、レクリエーションでの外食先の検討など話し合っており、作業室での活動がスムーズにいくようにと、利用者間に少しずつ意識が芽生えてきています。また、玄関に「みんなの声BOX」を設置していますが、「男性用の更衣室が暑い」という意見には、扇風機を取り付けることで解決をしています。一泊旅行の行き先、外食で食べたいものも寄せられています。出された意見や改善策は毎月発行の「ふきのとうだより」でフィードバックしています。

3 サービスマネジメントシステムの確立

@運営法人の「苦情に関する規則」に準拠し、利用者の苦情に適切に対応する体制を整備しています。苦情受付担当者、苦情解決責任者、第三者委員の苦情解決委員が決められ、その人たちの顔写真が掲載された苦情解決制度のポスターが事業所内に掲示しています。また、利用者の意見を聞く投函箱「みんなの声ボックス」を設置し、投書があれば月毎に利用者・家族に配布している事業所便りに掲載し、情報開示に努めています。


A防災訓練は地震想定や火災想定など年4回行われています。利用者の避難、管理者の関係先への連絡にポイントを置いた訓練を行っています。また、事故防止のため、ヒヤリハット報告を積極的に行い、その再発防止や対応策を事業所全体に周知するとともに分析・検証も行っています。平成28年度上半期のヒヤリハット報告件数は80件となっています。感染症については手洗い・うがいの励行などの注意喚起を所長が中心に行っています。


B毎月の職員会議兼予算会議、作業会議、給食会議、月2回の支援会議、リーダー会議と定期的な会議が充実しています。3つの作業室によって多少のバラつきはありますが、基本週1回の作業室会議の定着化を目指し、取り組み始めています。利用者へのサービス向上につながることが期待されます。常勤職員は法人内の「県央福祉会研修規定」の職員研修方針に基づいた職務研修、各種研修のほか、自己研鑚の為の外部研修の機会があります。非常勤職員には所長以下常勤職員が積極的にコミュニケーションを図り、相談に応じるなどアドバイスをしています。

4 地域との交流・連携

@県央東地区での他の障害者施設の施設長会や部課長会に参加して、情報交換や共同での職員研修を行っています。昨年は当事業所の所長が講師となり、40人ぐらいを対象にした中堅職員研修の講義を行っています。また、当地区のオンブズマンのネットワークにも参加し、他の施設の職員や利用者との交流の機会も持っています。


A第三者による評価を継続的に受審し、その結果を利用者・家族に報告すると共に、ホームページでも公表しています。又、事業所便りの発行、その内容も掲載されている事業所独自のホームページの開設など利用者・家族を始め関係者への情報提供も積極的に行っています。10月下旬には、法人内の他の事業所と共同で地域向けイベントの感謝祭を毎年行っています。感謝祭では事業所や他の法人施設で生産している商品の模擬店などを開設し、多数の地域の方々が来場しています。これらの場面を通じ、事業所内の情報を地域に積極的に開示しています。

5 運営上の透明性の確保と継続性

@運営法人の理念やビジョン、ミッション(使命)や職員の行動指針は、事務所内に掲示されると共に、全職員に入職時に配布する「職員ハンドブック」に明記し、職員へ周知しています。また、当事業所の事業計画書の中にも、法人や事業所の年度重点目標と共に、冒頭部分に記載し、その周知徹底をしています。日常の会議の中では、毎日の朝夕の打ち合わせの際に、所長は様々な話題の中で、目指すべき理念やビジョン、期待する職員像を織り込みながら語る様に努め、職員への浸透に努力しています。


A事業計画書の内容は法人や事業所各事業の年度重点目標、実施運営メンバーや利用者定員、支援と作業活動計画、利用者支援、危機管理、給食、会議・打ち合わせ、保健衛生、研修、地域活動、行事(外出・旅行)など事業活動全体を網羅しています。日々の活動はこの事業計画に基づいて行い、その進捗状況確認も日々の各種会議で行っています。また、毎月の収入や支出などの計数面の管理も法人内の一定の規則に沿ってその報告・確認作業も確実に行っています。


B法人職員全員に配布されているハンドブックの中の、倫理行動綱領と倫理行動マニュアルに、法人職員として守るべき法・規範・倫理、例えば人権尊重や虐待防止に関する考え方が記載されており、その周知徹底に取り組んでいます。新人職員入職時の徹底した研修に加え、当事業所では、年1回その内容の思い起こし・復習のために定例会議での順番制による音読を実施しています。また、大学の先生との共同開発による人権尊重のためのツールを使って、人権に関する項目への自己評価・セルフチエックを毎年実施しています。


C法人のトップである理事長が中期計画に基づいた次年度事業計画を立て、その内容が所長会議やメールを通じて毎年1月頃に事業所の所長に提示します。当事業所の年度計画は、この法人の年度方針を踏まえて、まず所長が原案を作成し、それを主任・課長層に提示し内容の確認を相互に行うという形で作成しています。内容については日頃の各種会議の中で現場や利用者・家族の意向を所長が汲み取っていることを前提にしています。事業所の年度事業計画書は法人への提出期限やその作成方法も決めています。


D事業所の情報は主にホームページから知ることができます。ホームページは、法人が目指している基本理念、ふきのとう舎の名前の由来、施設概要、活動内容、新着情報、製品紹介など、写真掲載を交え丁寧に、常に最新の情報が提供できるようにしています。

6 職員の資質向上の促進

@常勤職員は法人採用、非常勤職員は各事業所採用との方針の下、補充的な採用活動を随時行っています。非常勤職員の採用にあたっては所長面接の他、5日間の実習による適性チェック、候補者のエリアマネージャーによる面接などの方法で、適性を見極めた人材確保に努めています。採用後は、全体の新人研修で法人の考え方を学んだり、職員ハンドブックにより、社会人としてのマナーや福祉業界での心得等を学ぶ環境が整備されています。全体の新人研修後は現場のOJTにより先輩の指導を受けながら成長できる環境になっています。


A法人内では各職員の経験に合わせた階層別研修や全員参加が原則の全体研修や実践報告会があり、多くの職員が参加しています。また、外部の研修については所長が研修を選定し、適当と思われる職員に参加を呼び掛けています。


B今回の第三者評価の職員調査の結果では「職場の人間関係が良い」「雰囲気がとても明るい」「風通しが良い」などの意見がありました。また、残業もこの一年で月7時間減少するなど職場の雰囲気が良くストレスの少ない職場になっている様子が窺えます。

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