かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

川崎市宮前平保育園(9回目受審)

対象事業所名 川崎市宮前平保育園(9回目受審)
経営主体(法人等) 川崎市(指定管理委託 株式会社 日本保育サービス)
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 216 - 0006
宮前区宮前平2-11-6
tel:044-854-4855
設立年月日 1976(昭和51)年12月01日
公表年月 2017(平成29)年04月 〜
使用評価項目 川崎市版
評価機関名 特定非営利活動法人 ナルク 神奈川第三者評価事業部
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

【施設の立地・特徴】
【立地】
川崎市宮前平保育園は東急田園都市線宮前平駅から徒歩10分の高台にあり、0歳児から5歳児まで定員150名で、現在149名が在籍しています。昭和51年12月1日に川崎市立宮前平保育園として開園し、平成21年4月1日に公設民営化され、(株)日本保育サービスが指定管理者として運営を受託して8年目の保育園です。
【特徴】
1、2歳児は月齢ごとの各2クラス、3歳児はアットランダムに2クラスに分けて、保育を行っています。専門講師による「体操」「英語」「リトミック」のほか、栄養士と職員が相談しあって行うクッキング保育、食育などを取り入れ、子どもの楽しむ心や学ぶ楽しさを育むプログラムを提供しています。

【特に優れていると思われる点】
1.異年齢活動の充実
中長期計画の中で異年齢活動の充実を掲げ、3〜5歳児を縦割りの4グループに分け、「幼児活動年間計画」を策定して、夏祭りのおみこし作り、感触遊び、こども祭り、伝承遊びなどの活動や遊びを行っています。異年齢での活動や遊びを通して、年齢の下の子どもは上の子どもをみることで、自分も来年はあんなことができるようになるという憧れを持ち、また、上の子どもは下の子どもの面倒をみるなど保育に良い影響が表れています。保護者へはカラー刷りの異年齢だよりを発行し、様子を伝えるとともに理解と協力も得るようにしています。

2.地域ニーズに即した一時保育サービスの提供
地域の子育て支援ニーズに即し、一時保育を積極的に受け入れています。0歳児から受け入れ、1日の定員は7名で現在66名ほど登録しています。一時保育担当にはベテランの職員を配置し、専用の保育室で子どもたちは過ごしています。預け入れは乳児が中心ですが、幼児は園児たちと交流する機会も作っています。現在は預け入れの要望が多く、予約日当日にキャンセル待ちとなることもある状況であり、地域ニーズに即したサービスとなっています。

3.コーナー保育への取り組み
職員が海外研修で、効果的な部屋の仕切り方、コーナーや棚の設置方法、玩具の置き方などを学び、それを参考にしながら、1年間かけてコーナー保育の充実を図ってきました。子どもが自分の好きな遊びを見つけそれで遊ぶことに喜びを感じられるようコーナーを作り、子どもの好きな遊びをいくつか用意して、子どもが自分で取り出しやすいよう棚をつくっています。おもちゃはシリーズを決めて豊富に用意し、古くなり取り出しにくくなった棚は修理、新しくするなど絶えず改善するようにしています。

【特に改善や工夫などを期待したい点】
1.子どもの園生活の様子を直接伝えるためのさらなる工夫
その日の子ども一人一人の状況は、保護者にできるだけ、直接伝えるように努めていますが、保護者アンケートでも30%の保護者が「不十分」と回答しています。全職員で話し合い、保護者に子どもの園生活での様子を個別に伝えるためのさらなる工夫が望まれます。

2.保護者からの苦情・要望受付記録の整備
保護者からの苦情は「クレーム受理票」に記録することになっていますが、「クレーム受理票」に記録するような案件でなくても、再発防止を必要とするケースやほかの職員に周知しておかなければならない意見・要望については、データとして記録し、蓄積・整理保管して問題の解決に活かすことが望まれます。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重

・子ども尊重の基本姿勢は、保育園業務マニュアルの中に言葉かけなど具体的な実施方法として反映されています。また、夏祭り、運動会、生活発表会など親子で楽しめる行事、お泊り保育、クッキング保育など、子どもや保護者の思い出に残る活動を取り入れています。

・職員は、入社時にプライバシー保護や個人情報保護に関するマニュアルについて研修を受けています。また、毎年、主任児童委員(民生委員)を園に招き、新入職員に人権についての研修をしてもらっています。設置法人のホームページに子どもの写真を掲載することについて、入園時に保護者の同意を得ています。また、写真などの取り扱いにおけるプライバシー保護への配慮を保護者にお願いしています。

・設置法人作成の「虐待対応マニュアル」があり、虐待が疑われる場合には、速やかに園長に報告・相談できる体制を取っています。朝の受け入れ時や衣服の着脱の際は観察を丁寧に行い、小さな変化もつかむよう努めています。虐待が疑われるようなケースがあれば、設置法人の本部、市・区の見守り課・児童相談所と連携を取っています。

2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

・年3回、季節ごとに期間中に開催した行事や保育についての意見等について、保護者にアンケートを実施しています。アンケートで得た意見は、保護者会や年3回定期的に開催される運営委員会で公表するほか、昼礼・職員会議・該当クラスで対策を話し合い、改善につなげています。また、年2回の個別面談、子育て相談等で保護者からの意見や要望を把握しています。

・「入園のご案内」で相談窓口として法人本部の連絡先、宮前区役所保健福祉センター、第三者委員を記載し、園内には、苦情受付担当者として主任の名前、苦情受付責任者として園長の名前を掲示しています。

・体操、鬼ごっこ、ボール遊びなどを意図的に準備し、子ども自らが選択して遊べるよう働きかけています。自分で選択しておもちゃを取り出して遊んだりコーナーを用意したり、図書スペースを設けたり保育環境を整備しています。海外研修に派遣された職員が効果的なコーナー設定の方法などを学び、得た知識を園での保育に生かしています。

・職員は登園時に保護者から子どもの様子や情報を聞き取り、聞き取った情報は各クラスの「ライン表」に記入し、クラス担任や看護師に口頭でも伝え、引継ぎしてその日の保育に活かしています。

・子ども一人一人の状況は、保護者にできるだけ直接伝えるように努めていますが、保護者アンケートでも30%の保護者が「不十分」と回答しています。全職員で話し合い、保護者に子どもの園生活での様子を個別に伝えるためのさらなる工夫が望まれます。

・保育時間が長い子どもには水分補給や休息を十分取り健康的に過ごすよう配慮しています。午睡をしっかりとるように努め、体調面の変化を把握するようにしています。19時をめどに、乳児と幼児に分かれて過ごすようにしています。年齢や人数に配慮し、家庭的な雰囲気の中で過ごせるよう、木製の棚を利用するなどコーナー設定の仕方やスペースの利用を工夫し、年齢ごとに安全なおもちゃを用意して、職員が一緒に遊びながら仲立ちとなり、子ども同士の遊びをつなげるなどして、異年齢の子どもとも楽しくかかわっています。

・食事の終了時間を「時計の針が指定した数字のところに来るまでに食べ終わろうね」など言葉をかけ、また子ども一人一人の摂取量、嗜好を把握して盛り付け量などを調節して、無理なく食べることができるようにしています。職員の食事も同じメニューで、料理の感想を話題にして共感するようにしています。園内研修を行い、アレルギー児への提供方法やエピペンの使用方法を確認しています。専用トレイに名札を立て、除去食にはラップをかけて記名し、テーブルを分けるなどして、栄養士と職員間の確認、職員同士の確認などを行っています。

・けがや病気に関する絵本を使って予防法を伝える、散歩時に交通ルールや安全についてふれる、遊具の危ない使い方をしないようにするなどを通じて、子どもたちに身の回りの危険について確認しています。ヒヤリハットについては、けがなどは看護日誌で記録、注意しなければ大きな事故につながるようなものはその日の昼礼で職員に素早く伝えるほか、幼児、乳児会議で報告しています。

3 サービスマネジメントシステムの確立

・設置法人のホームページや園のパンフレットで、園の理念や概要、利用条件などの情報を提供するとともに、利用希望者の問い合わせには、園長が対応し、午睡の様子も見てもらえるように、見学日は原則として水、木曜日の午後1時からとし、それ以外の日でも希望に応じて見学を受け付けています。

・入園説明会で、「入園のご案内(重要事項説明書)」により、保育プログラム、年間行事、延長保育や夕食、補食などのオプションについての料金など詳しく説明しています。入園に関する書類の取り交わしや基本料金については、川崎市と保護者の同意のもとで行っています。慣れ保育の期間は、保護者の都合や子どもの様子により、3日から1週間をめどに、徐々に在園時間を長くしてもらっています。在園児に対しては進級に向けての不安やストレスの軽減を図るため、可能な限りクラス担任を持ち上がりにしています。

・クラスリーダーが年間指導計画を作成し、月間指導計画、週案は各クラス当番制とし、月、週の担当者を決めて作成しています。指導計画の策定はクラスで話し合い、乳児会議、幼児会議、職員会議、昼礼、給食会議、リーダー会議を開催し、子どもの意向を考えながら実施し、評価反省をしています。

・苦情や要望は入園説明会、運営委員会で報告し、運営委員会の議事録は保護者に配布し、周知しています。対応策は職員会議で検討し、改善すべきことは速やかに改善しています。連絡帳を通じての要望や相談の場合は、昼礼でノートの回覧などを行い職員に伝えています。また、園長は保育の現場を午前中に2回巡回し、保育にもあたり実際を把握し、口頭での要望や相談の際にも対応できるようにしています。

・保育園業務マニュアルに「災害時の対応、緊急時(ケガ・病気・事故)の対応」を明記しているほか、リスクの種類に応じた、事故防止・対応マニュアル、感染症対応マニュアル、食物アレルギー食対応マニュアルが整備されています。園内で起きたケガや事故はアクシデントレポートに記載して、職員間で未然防止策を検討しています。安全チェックリストに基づき、定期的に園内の安全点検を行い、危険箇所が見つかれば改善しています。ヒヤリハットについては、昼礼で報告し、事故の未然防止を図っています。

4 地域との交流・連携

・毎週水曜日に園庭を開放し、一時保育を実施しています。特に一時保育については、地域の保育ニーズに対応し積極的に受け入れており、現在66名の登録があります。また、近隣の保育園(小学館アカデミーみやまえだいら保育園、もりのこ保育園、宮崎台保育園、アスク宮前平えきまえ保育園)との交流保育を園が主導して行い、移動動物園や人形劇を招いたり、プールを開放したりして交流しています。

・設置法人の「保育園業務マニュアル」にボランティアの受け入れについて定めており、受け入れ方針、意義などの基本的事項を明記しています。毎年、中学生の職業体験を受け入れており、川崎市立北高校茶道部によるお茶会も開催してもらっています。また、園の入り口の花壇の世話や花の植え替えを長年、地域のガーデニング倶楽部の方にボランティアでお願いしています。

・宮前区の認可保育園園長会議や幼保小園長校長連絡会に園長が参加し、5歳児担当職員は年長児担当者会議や幼保小連携会議に参加して、就学に向けての情報交換をしています。宮前区主催で主に0、1歳児対象の「赤ちゃん広場」に職員を派遣し、参加している子どもとのふれあい遊び、保育士同士の情報交換や地域の方の育児相談も受け付けています。宮前区の子育てフェスタ会議には、園の栄養士が2名参加しています。

5 運営上の透明性の確保と継続性

・保育園業務マニュアルの中の職務分担表に、園長始め職員の職務が明記してあり、園長は職員会議などで表明しています。園長は、自ら保育に参加する機会をつくり、クラスの問題点を担任職員と共有し、職員会議や現場指導を通して具体的に行動し、職員を指導しています。

・理念・基本方針は、パンフレット、重要事項説明書、保育課程などの文書に記載し、設置法人のホームページに明示しており、玄関に掲示しています。安全・安心への配慮や子どもの自立支援に向けた発達援助などを掲げた運営理念・基本方針には、目指すべき保育の方向や考え方が明示されています。取り組むべき課題として、「保育の充実」「保護者支援」「地域支援」の3項目を掲げ、5年間の中・長期計画を策定し、具体的な内容になっています。中・長期計画を踏まえた単年度ごとの事業計画が策定されています。事業計画は各項目とも実行内容を具体的に策定し、項目によっては数値目標を設定のうえ、実施状況の確認ができるようになっています。

・設置法人がサービスのコスト分析や利用者の推移、利用率などの分析を行っているとともに、園としてもこの園での状況を分析しています。園としての課題である保育環境の充実(コーナー遊び、絵本、玩具)や異年齢保育の充実を平成28年度中期計画や事業計画に反映し、取り組んでいます。また、全社的な経費節減策を受け、節電対策や備品購入希望に対する必要性を検討し、職員会議で話し合っています。

6 職員の資質向上の促進

・設置法人が作成した「保育士人材育成ビジョン」に各階層別に求めるねらいや目標を定めています。経験、専門知識、能力、経験に応じて役割を期待水準として明示しています。職員は自由選択研修や外部研修などから個人別年間研修計画をたてています。研修計画は半期毎に評価・反省し、園長のアドバイスを得て、次の計画に反映しています。

・設置法人によって自己査定制度が整備され、職員は年3回の自己査定を通し、人事考課制度を理解しています。園長や主任が窓口になり、休暇やシフトの希望、相談に応じています。シフト作成時には、できる範囲で職員本人の休暇希望に沿うようにしています。特に夏季には、保育予定日や保育時間の変更を前もって保護者に知らせてもらい、職員の休暇取得について理解と協力を得るように努めています。

・実習生受け入れ責任者や受け入れ窓口をマニュアルに従って定め、オリエンテーション時には個人情報保護や人権の尊重などを説明し、個人情報保護に関する誓約書も得ています。保育士養成実習のプログラムは、実習の都度、学校側の要請、実習生本人の意向に沿ったプログラムを派遣学校側と協議して作成しています。

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