かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

生麦保育園(2回目受審)

対象事業所名 生麦保育園(2回目受審)
経営主体(法人等) 社会福祉法人 尚徳福祉会
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 230 - 0052
鶴見区生麦4-25-12
tel:045-502-1770
設立年月日 1975(昭和50)年06月10日
公表年月 2017(平成29)年04月 〜
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 日本コンサルティング株式会社
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

【施設の概要】

生麦保育園は横浜市より民間移管を受け、2014年4月から社会福祉法人尚徳福祉会が運営しています。京浜急行生麦駅より徒歩10分程度の閑静な場所にあります。前面道路を挟んで向かい側に小学校があり、5歳児が就学に向けての学校体験をするなど、交流しています。近隣には鶴見川や魚河岸、公園があり、様々な戸外活動に取り組める環境にあります。また、のびのびと遊べる園庭もあり、子どもたちは鬼ごっこやボール遊び、砂場遊びなど戸外で活発に過ごす他、園内の畑で野菜を育て収穫する体験もしています。給食は地元業者から、旬の食材や魚を多く取り入れ、栄養士管理の下、子どもたちに提供しています。園で収穫した野菜も調理、提供しています。障がい児やアレルギー、外国籍等、配慮が必要な子どもおり、除去食や宗教上の禁食の徹底にも力を入れています。健康面では毎朝看護師が全クラスを巡回し、子どもの体調を確認しています。内科健診や歯科健診は年2回行っており、歯科衛生士による歯磨き指導も取り入れています。


【特に良いと思われる点】

1.地域との繋がりを大切に、地域の中で子どもたちは育っています
地域に開かれた園として、地域のさまざまな年代や立場の人々との交流の機会を大切にしています。年数回の「地域ふれあい会」は地域の高齢者と4,5歳児がゲームをしたり、昔の遊びを教えてもらうなど交流をしています。公園愛護会の協力を得て、子どもたちが近隣の公園の植樹や花壇作り活動に参加しています。地域の他園との交流のほか、小学校、中学校との教育連携も図られています。さらに毎月、地区センターで開催している就園前の親子向けの「生麦にこにこサロン」には5歳児クラスがお世話係で参加しています。日常の散歩でも、近隣の公園のほか、鶴見川や土手、魚河岸など鶴見の地域性のある場所に出かけています。子どもたちは、さまざまな交流や豊富な体験、地域との繋がりの中で育っています。


2. 子どもたちの自主性や意思を尊重する環境をつくっています
保育室は、子どもたちの成長や興味に応じてコーナーを変更していく、お気に入りの絵本の場面を園庭で再現し、想像力を膨らませながら子どもたちで遊びを発展させていく、自由遊びで完成したブロックの制作品を飾りたいとの思いには、玄関を展示場所として提供しいろいろな人に見てもらう、雨で体育館開催となった運動会も子どもたちの「外でやりたい」という希望に急遽幼児のプログラムを変更して対応するなど、職員は、子どもたちの自主性や意思を尊重する環境をつくって
います。子どもが中心の保育の実践を確認する各会議は話しやすい雰囲気を大切にしており、遠慮なく発言しあうことで、情報の共有を図っています。園長のリーダーシップの下、職員間の風通しの良い関係とモチベーションの高さがあり、全職員で子どもたちの成長を見守っています。


3.職員自己評価の実施および園長面談や全職員の個別研修計画により次代の園運営への人材育成が進んでいます
常勤職員、非常勤職員を問わず理念や方針、園の目標および保育姿勢については職員会議はじめ保育課程、指導計画の作成や振返りにより職員は理解を深めています。全職員には「保育スタッフの心得チェックリスト」が配布され、当園の業務基本マニュアルとして周知されています。園では年間を通して職層別の研修を実施しています。園長は職員の自己評価チェックリストや園長面談、職員との日常的コミュニケーションや主任との会議により、職員の経験や能力、現状の課題を把握しています。よって、全職員参加の法人研修とは別に、外部研修のテーマに合わせて年間の研修計画を策定し、職員個別の育成を図っています。また、クラスミーティング内容や子どものケースについては毎日の申し送りや周知表および職員会議で情報を共有して、必要に応じて主任や園長だけでなく他のクラス担当も保育協力しています。当園では保育の柔軟な体制が日常化できており、次代の園運営への人材育成が進んでいます。


【今後の取り組みが期待される点】

1.次代を担う子ども達への教育として、省エネルギーや緑化およびリサイクルへの取り組みは明文化により目的や考え方を周知することが望まれます
当園では環境に配慮した取り組みとして、保育室の遊具や制作活動の素材として廃材利用がされています。野菜くずは園庭での野菜や花の栽培に肥料として活用するなど、ごみの減量化に取り組んでいます。夏の遮光目的の緑化効果を図ったり、電灯やエアコンのこまめなチェックによる電気や水道の無駄遣いの防止を励行しています。パネルシアターでは色々な「もったいない」を気づくなど、省エネルギーへの教育にも取り組んでいます。玩具のリサイクルなど、環境に配慮した取り組みも実行しています。これらさまざまな取り組みは目的や考え方を明文化することで、次代を担う子ども達への教育と位置づけ、保護者にも周知が望まれます。


2.事業計画・事業報告をより具体的に作成する事が期待されます
事業計画では、まず「事業所の方針」を掲げ、次に事業内容についての計画を法人が関わる計画と園独自の計画を記載しています。そして最後に平成27年4月1日から掲げている中長期計画の記載があります。これらの記載により、将来の園の方向性に関しては確認する事ができますが、計画の具体性という面では課題が残ります。また、法人単位で事業報告を作成していますが、来園した子どもの人数の報告が目立ち、計画に対する実行報告という面では課題が残ります。今後は具体的内容を明記した計画書の作成とそれに対する結果報告書の作成による計画と振り返りの充実が期待されます。


3.育児相談は定期的な日時を設けての対応が期待されます
園の専門性を活かし、地域住民に向け育児相談を実施していますが、随時の対応としています。相談日を定期的に設け、相談日には相談を受ける職員が必ず待機しているなど、今まで以上に充実した育児相談を実施する体制作りが期待されます。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重  子どもの人権の尊重については、保育士業務マニュアルに記載し、子どもに対して相応しくない態度や言葉遣いが生じないように、「保育スタッフの心得チェックリスト」を目安として職員間で注意喚起を養っています。職員相互に子どもへの接し方や対応で気づいた場合は話し合う機会が日常的にもたれ、職員会議で事例検討などにより周知されています。園の保育の方針である「子どもが遊んでいる時、保育士は手や口をはさむことなく、集中している時は声をかけない」ことにより、子どもの気持ちや発言を受けとめる保育が実践されています。
 事務所の一部や地域支援室の一角など、保育室を離れて個別に対応できる場所を用意しています。必要に応じて、保育士と子どもが一対一で威圧感なく話しあえたり、絵本や玩具も用意して、子どもが気持ちを切り替える事ができるよう工夫をしています。場合によっては、事務所や地域支援室内を間仕切りにより1人になれる場所を作る場合もあります。また、クラス担当を越えて情報を共有しているため、子どもたちはどの職員とも親しく、職員全員で子どもを見守る体制が出来ています。おもらしの着替え等は、他の子どもにわからないように保育士がそっと片付ける場面では、他の子ども達を他のクラス担任が見守るなどスムースな連携がみられています。
 個人情報取り扱いマニュアルでは個人情報保護に関する方針を定め、園内研修を実施して守秘義務の意義や目的を全職員が認識しています。ボランティアや実習生にも参加時に説明して個人情報保護移管する誓約を交わしています。保護者には入園時に個人情報保護方針を説明し、個人情報の取扱いに同意を得て署名を交わしています。子ども達や保護者に関する記録は、施錠できるキャビネットに保管し管理しています。
2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供  各クラスは、屋内外を清潔に保ち、空気の入れ替えを適宜行っています。保育室には子ども達に適切な温湿度が確保されるよう加湿器を配置しています。保育室前は広い開口で陽光は十分ですが、テラスには遮光ネットを備えて夏の照り返しを防ぎ、天井にはファンを設置して室内温度の上昇を抑えています。また、園での活動が近所に騒音にならないよう、相互に注意しあうなど、配慮もしています。
 0歳児クラスには、畳と床のスペースがあり低い棚の配置によりコーナーに分けて少グループでの保育を行っています。他のクラスでも低い棚で間仕切り、コーナー毎に遊ぶなど、子どもが集中できる空間を作っています。週1回、4歳児と5歳児の保育室のパーテーションを開放して3歳から5歳が合同でリズム活動や月1回「にこにこまんグループ」と呼ばれる異年齢交流での保育を行っています。
 食事は、苦手なものがある場合には本人に確認をして量を調整しています。一口でも食べられた時や完食できた時は誉めています。授乳時に使用する哺乳瓶の乳首は家庭と同じものにしています。離乳食は子ども一人一人の発達や食べるペースに合わせて対応しています。
 3歳児クラスから後片付けを始め、5歳児クラスは盛り付け当番があります。トウモロコシの皮むき、そら豆のさや出しなど多くの食材に触れる機会をつくり、園の畑で栽培した野菜を調理してもらったり、クッキングにも取り組んでいます。自分たちで関わった食材だけに食も進みます。節分には4,5歳児クラスが力を合わせ、3メートルもある恵方巻作りにも挑戦しています。
 給食は和風の献立を中心に、旬の食材や魚を多く取り入れています。行事食や伝統食のほか、幼児はバイキングあり、それぞれに合わせた盛り付けにしています。子どもの状況に応じて配慮食を個別に提供しています。食材は、市立保育園時代からの信頼のおける地元の業者から取り寄せています。子どもたちの残食は、栄養士が記録する「給食日誌」で確認していますが、日常的に栄養士がクラスをまわり、子どもたちの様子を観察しています。給食会議や職員会議で保育士とも情報交換をし、食材の切り方、味付けなど月2回のサイクルメニューの次回の改善や献立作成につなげています。
3 サービスマネジメントシステムの確立

 特に配慮を要する子どもは毎年積極的に受け入れ、何らかの障がい、アレルギー、外国籍など、今年度は18名程が在園しています。毎月のケース会議で話し合い、課題と援助方法を全職員で共有しています。また障がい児保育等専門的な研修には積極的に参加し、研修報告や資料を職員用周知表としてファイルして、いつでも情報の確認ができるようにしています。
 障がい児の保育のためには、廊下や水回りには手すりを設置しています。固有の障がい特性を考慮した個別支援計画の作成や見直しについては、保護者の同意のもと、横浜市東部地域療育センターの巡回訪問を受けて、アドバイスを受けています。また、提供された個別対応への専門的な情報は、担当職員だけでなく、ケース会議や職員会議にて全職員で討議共有し、園全体で見守りを可能としています。障がいのある子どもとない子どもが自然に関わりを持てるように、子どもたちには分け隔てなく、同じように対応するようにしています。虐待対応マニュアルはじめ、虐待相談・通告受付表やチェックリスト、児童虐待連絡票、などを整備しています。職員誰もが虐待の類型・早期発見のポイント、発生もしくは疑わしい場合の対応を認識しています。横浜市中央児童相談所とは日ごろから連絡をとり、通告や相談しやすい体制に備えています。虐待の芽チェックリストを活用して、早期発見や予防および必要とする保護者支援、関わり方など職員会議等で話し合う機会をもっています。
 アレルギー疾患のある場合は、保護者から主治医の指示書を受けて適切な対応を行っています。各種アレルギー対応についてはマニュアル化して全職員で知識や情報を共有しています。食物アレルギーについては、誤食事故防止のために除去食材や代替え食材を一覧表で確認しています。配膳では個別に運び、専用トレイや食器、名札により職員2名がダブルチェックして安全を確保しています。また、除去食については、保護者と担任や栄養士および園長は、毎月の個別面談により状況を確認しています。

4 地域との交流・連携  園庭開放、一時保育など園が実施している地域の子育て支援サービス利用者や園見学者からアンケートをとったり、生麦地区育児支援イベントへの参加などを通じ、地域の子育て支援ニーズを把握するように努めています。鶴見区園長会、民間保育園園長会、幼保小連絡会、鶴見区社会福祉協議会の会合に園長が出席し、地域の情報を得ています。
 年度末の職員会議で地域子育て支援活動の報告をし、地域ニーズについて話し合い、次年度の活動に活かしています。園では、一時保育、園庭開放、交流保育、育児講座(歯科医や看護師)、離乳食講座、絵本貸し出しを定期的に行っています。一時保育の受け入れは1日4名ですが、希望者が多くキャンセル待ちが出ています。
 育児相談は随時の対応としています。今後は定期的な日時を設けての対応が期待されます。園で実施している地域支援活動については、園の掲示板のほか、地区センター、地域ケアプラザ、鶴見区地域子育て支援拠点などにリーフレットを配布し、幅広い情報提供に努めています。
 年に数回行っている「地域ふれあい会」は老人会と連携しています。公園愛護会と協力し、子どもたちが貝の浜公園の植樹や花壇作り活動に参加しています。小学校とは5歳児クラスが就学に向けての学校体験のほか、幼保小連携を通し、子ども同士の交流について話し合っています。中学校とは職業体験の受け入れや年に1度保育士が講師として赴き、保育士職業について講話をしています。毎月、地区センターで開催している就園前の親子向けの「生麦にこにこサロン」には5歳児クラスがお世話係で参加しています。地域の他園との計画的な交流機会も持っています。さまざまな取り組みにより園に対する理解促進や子どもたちが地域の人々と交流を図ることができるように努めています。
 利用希望者の問い合わせや見学希望には、主に園長が対応しています。問い合わせ時に園長が不在の場合には折り返し連絡をすることもあります。丁寧な説明を心がけているので見学は個別に対応しています。希望者の都合に応じ、午前、午後のほか、土曜日も対応しています。見学時にはパンフレットと保育支援ブックを配付しています。
5 運営上の透明性の確保と継続性  組織および職員が守るべき法や規範、倫理等は服務規定に明文化して、「保育スタッフの心得チェックリスト」として全職員に配布しています。掲示もして日常的に意識づけています。決算報告など経営情報は業務報告として職員に周知され、法人のホームページで情報開示しています。他園や福祉事業等で不正や不適切な事案が生じた場合は、園長会議議事録や新聞記事などを掲示したり職員会議で話し合い、発生予防啓発としています。
 保育理念や保育方針および園の目標を明文化し掲示するとともに書面化したものを「園のしおり」に掲載して全職員に配布しています。年度末から次年度に向けた職員会議では全職員で確認しながら理解度を深めています。職員採用時には、理念や基本方針、保育目標を理解してもらえるか評価しています。毎月の保育指導計画の振返りでは、理念や方針、保育の目標に則っているか確認を行い、職員が実施の自己評価チェックでも「理念や方針を正しく述べる事ができるか」評価しています。
6 職員の資質向上の促進  園の人材構成のチェックとしては、年2回園長による全職員の面談を実施して、職員の自己評価表に基づいて、目標の達成や課題、反省点など話し合っています。職員の採用はホームページからリンクする法人の採用情報サイトで募集し、海外含む職員研修を紹介しています。職員採用時には保育理念や方針に共感し理解できるかを確認し、新人研修はじめ年間の研修や毎日の保育や振り返りへの指導およびアドバイス等の育成体制を整えています。個々の資質向上に向けた目標は園長面談で定め、チェックリストを使い自己評価を年3回行い、年度末には各項目について達成度を評価しています。
 法人や外部の研修受講については、全職員の参加希望を募り、職員の目標や状況に合わせて園長と主任で研修計画を作成しています。園内研修は全職員が参加できるよう毎月実施しています。日本保育協会や行政等が開催する研修には、常勤非常勤の区別なく参加し、報告書を園内で回覧または職員会議で報告しています。社会福祉協議会等の大会や他園や小学校での研修にも参加して園の幼保小連携計画などに活かされています。海外研修も含め法人や外部研修への参加者、園内研修のテーマは評価して、次の研修計画をも直しています。
 保育の質の向上を図るためには保育士一人一人が高い専門性と豊かな資質を持つことが重要として、年3回、保育に関する自己評価表を記入し、課題を見つけ年度末の職員会議で話し合い、園の自己評価としてまとめています。保育日誌や月の指導計画、週の指導計画には実践をふり返る欄を設け、子ども達への対応について改善や良かった事例を毎月の職員会議では報告して、考え学ぶ機会としています。
 また他園の事例や専門職からの問題提起などで会議や園内研修として勉強の機会がもたれています。法人の園長会議での当園の取り組みへのアドバイスや研修への参加により指導を受ける機会があります。
 職員は、「自己評価チェックリスト」に記載の160項目を越える保育士としての心得や知識、能力、理解度や姿勢など自己を毎月評価し、自分の課題や次なる目標を設定しています。保育の振り返りは、活動や結果に留まらず、子どもの発育や意欲、取組む課程を重視しています。振り返り内容はクラスミーティングや職員会議等に報告し、進捗や対応を評価し、改善や次なる目標へつなげています。園の自己評価は、理念や方針および保育課程に則って行い、年度末には、保護者に実施した「保育園現況アンケート」の集計結果とともに、書面で配布しています。

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