かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

社会福祉法人永耕会 デイセンター永耕

対象事業所名 社会福祉法人永耕会 デイセンター永耕
経営主体(法人等) 社会福祉法人永耕会
対象サービス 障害分野 生活介護
事業所住所等 〒 250 - 0214
小田原市永塚408
tel:0465-42-8889
設立年月日 2002(平成14)年04月01日
公表年月 2017(平成29)年03月 〜
使用評価項目 推進機構評価項目ガイドライン準拠版
評価機関名 公益社団法人 神奈川県社会福祉士会
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

施設の概要:
 事業所はJR御殿場線下曽我駅から徒歩8分の閑静な住宅街にある。平成14年4月に社会福祉法人永耕会が「知的障害者通所更生施設」として開設した。平成24年度より生活介護(定員50名)、自立訓練(定員10名)となり、平成28年3月31日現在、生活介護(定員50名、登録64名)である。登録者64名全員が療育手帳を所持し障害程度A判定が64%を占めている。また、75%は障害支援区分4以上である。また、利用者の平均年齢は42.9歳である。「一人ひとりが目標に向かって笑顔で過ごせるセンターを目指して」を理念に掲げている。職員は、利用者が自分の人生を築いていく過程で、少しでも充実感・達成感を抱けるように、一人ひとりの人生作りの手伝いを使命として日々の支援に努めている。


優れている点:
@ 活発に日中活動を推進している。現在陶芸グループ、パン工房グループ、外園芸グループ、ボールペングループ、ビデオの分解やシュレッダー作業のマルキグループ、散歩を中心に情緒面の安定やコミュニケーションスキルの向上を目指すトマトグループの6グループに分かれて日中作業に取り組んでいる。利用者の希望や身体特性に応じてグループを編成している。地域のボランティアの支援もあり、陶芸グループでは30年も法人のボランティアとして支援してくれる人がいる。毎月小田原市庁舎での販売会に、施設で焼いたパンや陶芸グループの個性豊かな作品及び外園芸グループが栽培した季節の野菜等を出店し販売している。パン工房グループは、ラムネパンやラーメンパンなど創造性豊かなオリジナルパンを販売し地域住民に好評である。パン生地をこねる利用者の真剣な表情が印象的である。平成28年11月に施設の一角に地域交流の窓口としてショップ「らぼ」を開店し、毎週水曜日に地域に住民へ焼きたてパンや陶芸作品、新鮮野菜の販売を行っている。
Aストレングスに視点を置いた個別支援計画を策定している。職員会議で利用者のストレングスを生かした支援について話し合い、職員間の情報共有を図っている。利用者のできないことに目がいき、それを補うための支援に偏りがちな事から、利用者の得意とすることに視点を置いてそれをもっと伸ばすことで生活支援を組み立てる事を話し合っている。ロールプレイやグループワーク演習を通して職員が意見を出し合うことで、今まで気づかなかった利用者のストレングスが多くあることに気づき、利用者への適切な支援とは何かについて学んでいる。利用者が職員に対し何でも気軽に話ができる雰囲気づくりを大切にし、そこから利用者の希望やストレングスを把握することにしている。ストレングスの視点による個別支援計画の策定を心がけている。個別支援計画の課題に沿って実践されていることを半期ごとにモニタリングし、評価結果を次の計画に反映している。
B全職員を対象に何でも意見が言える雰囲気づくりに取り組み、成果を出している。経験豊かな年輩職員が長い年月の間で利用者と親しくなり、無意識のうちに「くん、ちゃん」で呼んでいる状況があった。「くん、ちゃん」呼びが、親など目上の人が使う言葉であることを職員に周知し、呼称問題に組織を挙げて取り組んでいる。若い職員が経験豊かな先輩職員に、現場で呼称問題を指摘することにはどうしても抵抗があったが、「キャンペーン」と声をかけることで、職員相互に指摘しやすい雰囲気づくりを行った。キャンペーン活動を通して職員間のコミュニケーションがスムーズになり、呼称問題解決の成果につながった。また、キャンペーン活動を通して、「気づきキャンペーン」「何でも提案キャンペーン」等職員の前向きの発言が多くなった。


独自に工夫をしている点:
@人権擁護の取り組みに力を入れている。人権擁護委員会を立上げ、法人全体の組織をあげて人権擁護の強化に努めている。平成28年度施設の事業計画に、利用者の人権と人格を尊重し、虐待のない適切な支援を行うことを明記し、職員に周知している。平成27年度職員による利用者への虐待行為があったことへの反省から、二度と人権侵害は起こさないという強い決意のもとで新たな支援体制を構築している。ケースワークによる職員の人権擁護に関する意識の強化を図っている。現場職員のための障害者虐待防止、不適切な支援について寸劇やグループワークを取り入れている。職員は、具体的イメージで不適切な支援とは何かを学んでいる。職員同士が自身の意見を率直に述べ合い、人権擁護について意識の共有を図っている。


改善を要する点:
@生活支援マニュアルの整備によるサービス支援の標準化が望まれる。食事、排泄、健康管理及び生活環境整備に関する支援マニュアルを整備し、利用者個々の障害特性や高齢化の動向等に配慮し、生活介護に関するサービス支援の標準化の推進が望まれる。
Aリスクマネジメントマニュアルの整備が望まれる。感染症対策、防災及び災害時緊急時対応マニュアルは作成されているが、利用者の障害特性等に応じたリスクマネジメントマニュアルは作成されていない。利用者一人ひとりのリスク管理、事故やヒヤリハット管理マニュアルを整備し、緊急時に備える対策が望まれる。
A 苦情解決第三者委員の助言・解決に向けた仕組みの整備が望まれる。第三者委員に苦情報告を行うことになっているが報告されていない状況である。第三者委委員の役割と機能の在り方についての整備が望まれる。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重 @法人人権検証委員会を立ち上げ、利用者の人権が守られ、人格が尊重される組織づくりに努めている。平成28年度事業計画に、利用者の人権と人格を尊重し、虐待のない適切な支援を行うことを明記し、職員に周知している。
A「永耕会虐待・人権侵害発生時の対応マニュアル」及び「虐待発生時対応マニュアル」を作成し虐待防止に努めている。マニュアルに虐待発生時の対応手順を明記し、虐待対応担当者を任命し虐待の可能性や虐待を認定したときの対応や関係機関への通報について明記している。
B法人全体の管理職会議を毎週開催し、また、月に1度は理事長も参加し、職員による体罰等の行為がないことを確認している。利用者に対する体罰などの虐待行為をなくす事はさまざまな形で職員に周知し意識の強化を図っている。
C身体拘束は行っていない。「身体拘束・行動制限規定」を作成し、職員に周知し身体拘束の防止を図っている。利用者本人との距離感に配慮し、利用者の一人の時間を大切にし、利用者と職員相互にストレスをためることがないように注意している。
D利用者に対する「くん、ちゃん」の呼称については、職員同士が相互に気づいた時点で注意しあえる雰囲気づくりを行っている。平成28年10月に組織全体で「くん、ちゃん」呼びをしないキャンペーンを実施し成果につながっている。
2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供 @障害支援区分調査票に基づきアセスメントを実施し、利用者支援のニーズを生活状況や日常動作等の区分ごとに明確にしている。また、アセスメントやカンファレンスの結果をもとに個々の利用者の対人関係に関する支援目標を定め、個別支援計画に反映している。個別支援計画は、利用者のストレングスに視点を置いて作成している。職員会議でストレングス視点での個別支援計画の作成について話し合い、職員間の意識を共有していることが記録されている。
A半期ごとに個別支援計画の達成状況をモニタリングし、「個別支援計画の振り返り」シートに支援目標の達成度を評価している。個別支援計画の課題ごとに、継続か達成かを表記し、支援の成果と今後の対応について明記し、次の個別支援計画に反映している。
B本人の思い・希望を日常生活支援の状況の中で判断し日誌やケース記録に書きとめている。意思表示の困難な利用者の思いを汲み取ることに時間のかかる場合は、朝の時間や昼休みの時間などに時間を作り声掛けをしてできるだけ本人のニーズを見つけられるよう心掛けている。ケース記録や日誌の記録をカンファレンスで振り返り、個別支援計画に反映している。
C家族の希望は、年1〜2回行われる面接で確認している。また、連絡帳を活用し家族のコミュニケーションを図り、要望の把握に努めている。日誌や連絡帳の記録をカンファレンスで検討し、本人の日常生活動作を評価し個別支援計画に反映している。身寄りのない方やグループホーム利用の方については、関係機関の相談支援センターの情報提供を受け、支援計画に反映している。
3 サービスマネジメントシステムの確立 @「福祉サービスに関する苦情解決に関する要綱」を作成し、苦情対応窓口、苦情解決責任者及び第三者委員の職務を明示し、施設内に掲示し利用者に周知している。苦情受付ポストは玄関の外に設置しているがほとんど利用されていない状況である。
Aリスクマネジメントに関するマニュアルは作成していない。施設全体の利用者を取り巻くリスクとその対応をマニュアル化し、組織的にリスクマネジメントを推進することが望まれる。これまでの経験により利用者個々の障害によるリスクを確認し、職員同士の会話により情報共有することで結果的にリスク回避につながっている。利用者一人ひとりの身体状況・障害状況によるリスクを把握し、ケアプランに反映し、日々の支援での個別リスクに対応する仕組みの構築が望まれる。
B「デイセンター永耕 感染症が疑われるときマニュアル」を作成し、感染症に関する職員の行動、感染者の動き等について明記し感染症の防止に努めている。年2回の健康診断とインフルエンザ予防接種を実施している。本年度、昨年度と感染症の流行はなかった。
B 緊急時対応マニュアル「緊急時の対応について」「緊急時(救急車要請を含む)対応について」を作成しそれぞれ各作業場に提示し、職員が対応できるよう周知し緊急時に備えている。AEDの設置を検討している。また、「永耕会不審者侵入時の対応マニュアル」を整備し、不審者を発見したときの対応について明記し職員に周知している。
D災害時避難訓練は、9月、12月、3月と年3回行っている。「永耕会防災計画」整備し、防火自主点検票、緊急時連絡先を明示し職員に周知している。また、大規模震災時の行動指針を作成し、災害の発生から時間を追っての行動について明記し緊急時に備えている。
4 地域との交流・連携

@地域社会との交流を通して障害者の地域理解に努めている。地域障害者文化事業への参加し、小田原市庁舎販売会、近くのスーパーでのパン販売等地域住民との交流に積極的に取り組んでいる。市庁舎販売会には毎月参加しパンや陶芸、農作業で収穫した野菜等を展示している。
A担当職員が、「ボランティアコーディネーター」の資格を取得し、ボランティアの受け入れを積極的に地域に拡大し、住民に地域の障害者福祉への理解を深めてもらうことを目指している。毎年10月に実施している永耕祭は、地域に浸透しており住民にボランティアとしての参加を呼びかけている。利用者・保護者とボランティア及び職員が一緒になって活動し祭りを盛り上げている。30年来のボランティアもおり、地域イベントとしての楽しみの一つとなっている。
B新たに平成28年11月から、毎週水曜日に、施設のパン工房の焼きたてパンや陶芸作品等自主製品を販売するショップ「らぼ」を開設している。ラムネパンやラーメンパンなどオリジナルの焼きたてパンや季節の野菜、個性あふれる陶芸作品など、施設から地域への情報発信の窓口と考えている。
C外園芸グループは、近隣の3つの畑を借りて使用しており、近隣の人から、農作業を教えてもらったり、代わりに高齢世帯の木の剪定をしたり、できた作物を届けたり、その食材で料理したものを頂いたりと交流している。また、絵画、書道、手芸のクラブ活動は、ボランティアの講師を招いて活発に活動している。

5 運営上の透明性の確保と継続性 @ホームページに施設の理念・基本方針を掲載し、また、利用者が自分の人生を築いて行く過程で、少しでも充実感・達成感が抱けるように、利用者一人ひとりの人生作りを支援することを明記し施設運営の方針を周知している。ホームページに施設の日中活動をグループ別にわかりやすく紹介し、また、法人全体の組織や事業概要を掲載し、施設運営の透明化を図っている。
A広報紙「月刊デイセンター永耕」「永耕会たより」を発行し、保護者に配付しコミュニケーションを図っている。広報紙に施設長の施設運営の方針や、利用者支援やクラブ活動などの利用者状況を紹介し、また、感染症予防に関する情報を提供している。
6 職員の資質向上の促進 @内部研修に積極的に取り組んでいる。平成27年度は、発達障害や自閉症に関する研修等10回の内部研修を実施している。また、外部講師を招いてケース検討会を年間5回開催し、課題の見立てから支援の共通認識が持てるようにスキルアップを図っている。
A平成27年度は6回の外部研修に延べ8名が受講している。県が主催する虐待防止・権利擁護研修、サービス管理責任者研修等を受講している。受講者は外部研修の成果を職員会議で説明し、職員間の情報共有を図っている。
B実習生受け入れ担当と、指導担当の職員は別の職員で対応している。実習生の受け入れ時にガイダンスを行い、知的障害について、説明を丁寧に行っている。実習生には手引き(指導要領)を配布している。毎年15名程度の実習生を受け入れており、年度末に実習記録をとりまとめ文書化している。

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