かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

すぎな会愛育寮(2回目受審)

対象事業所名 すぎな会愛育寮(2回目受審)
経営主体(法人等) 社会福祉法人すぎな会
対象サービス 障害分野 生活介護・施設入所支援
事業所住所等 〒 253 - 0125
厚木市小野2136番地
tel:046-247-0311
設立年月日 1962年06月01日
公表年月 2017(平成29)年03月 〜
使用評価項目 推進機構評価項目ガイドライン準拠版
評価機関名 公益社団法人 神奈川県社会福祉士会
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

施設の概要:
 すぎな会愛育寮は、小田急線本厚木駅からバスで15分程度、愛名入口バス停から徒歩2分の自然に囲まれた大変閑静な所にある。ソニーの創業者井深大氏が創設した障害者支援施設を母体とし、昭和42年「社会福祉法人すぎな会」設立と同時に、定員40名の「すぎなかい愛育寮」として設立された。平成21年11月に定員60名の障害者支援施設(施設入所支援・生活介護)となり現在に至っている。平成28年4月現在の愛育寮の入所者は60名、短期入所者4名である。
 すぎな会は、「すぎなのごとく、根気よく、たくましく」を企業理念とし、厚木市で二つの障害者支援施設とデイセンター、10ケ所のグループホームを運営している。「施設から地域の中へ」を施設運営のビジョンとして、地域住民としての利用者の生活を支援している。


優れている点:
@施設内は利用者と職員の明るい表情と元気な声で溢れている。この施設の伝統としての明るい雰囲気作りが定着している。昼食後のひと時に利用者がエレクトーンを演奏している。職員が演奏者に寄り添っている。食事の献立など利用者自治会が希望をまとめて職員と話し合っている。農業活動や創作活動などの活発な日中活動が利用者の満足感につながっている。余暇活動も活発である。利用者と職員が話し合いドライブの行先を決めている。利用者と職員の活発なコミュニケーションが施設全体の明るい雰囲気につながっている。
Aエンパワーメントを重視した個別支援計画を策定している。アセスメントシートの項目毎に利用者の希望や意向を明確にしている。日頃の生活面から捉えた社会性を判断し、文化面、運動面、作業面での本人のニーズを把握し、個別支援計画に反映している。一人ひとりの考え方、生活様式に関する好み等を尊重し、自己決定を個別支援に反映させている。個別支援計画の策定に際しては、「個別支援計画要望受付表」を利用者の家族に記述してもらい、家族の希望や要望事項を尊重し、利用者個々のエンパワーメントに視点を置いた個別支援計画を作成している。
B「フロア別支援マニュアル」を整備し、利用者個々の障害特性に配慮した支援内容を詳細に明記し、職員間の情報共有と支援の一貫性に努めている。マニュアルには朝7時の起床から午後9時20分の一日の最後の打合せまで、時間の経過に沿って担当職員と利用者一人ひとりの支援内容を記述している。食事はアレルギーや食形態を一人ずつチェックし、入浴は予定の時間を確認している。服薬は本人の特性に応じて服薬もれをチェックしている。利用者個々の日々の生活状況を随時パソコンに入力し、職員はパソコン上のケース記録を活用し情報共有を図っている。
C活発に日中活動を展開している。日中活動は本人の希望により農業グループと創作活動グループに分かれている。農業グループは26名が所属している。季節の野菜を栽培し、自然農法による無農薬野菜を職員や家族向けに販売し、また、施設のイベントで調理し利用者が季節の味を楽しんでいる創作活動は、現在22名が所属している。利用者全員のネームプレートを作成したり、バースデーカードをプレゼントして利用者に喜ばれている。紙粘土作品や紙漉き作品、松ぼっくり作品など利用者特性にあふれており、地域の各種のイベントで販売している。平成27年の売り上げは、農業グループは20,500円、創作グループは133,978円であった。


独自に工夫をしている点:
@余暇活動を利用者は楽しんでいる。ドライブや散歩外出サークルがあり、音楽鑑賞等のイベントを随時開催している。平成28年3月には弦楽四重奏コンサートを実施し、12月の愛育寮祭りではハーモニカコンサートやマジックショー、すぎな太鼓演奏会を実施している。3月は毎年海老名市のホテルでビュッフェ形式のパーティーを楽しんでいる。ホットケーキ作りやカキ氷、中庭での焼き芋やフランク大会、流しそうめんやカレーパーティ、年2回の食べ放題の肉祭りなど、とにかく盛沢山である。ドライブも盛んで利用者と職員が話し合い行先を決定している。余暇活動を楽しむ中で利用者と職員の信頼関係が深まっている。

改善を要する点:
災害時の緊急事態の被害拡大防止に関する対策の具体化が望まれる。防災や避難訓練は年6回の火災、地震を想定した訓練を実施し十分に対策を講じている。加えて地域支援体制についてマニュアル化し、緊急時の被害拡大に備える対策を期待したい。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重 @職員は年2回人権チェックリスト自己点検表を用いて自身の行動を振り返り、自己点検の結果を人権委員会で取り上げ職員の人権意識の徹底を図っている。人権委員会では、2ヶ月に1回人権に関する標語を作成し掲示して職員に周知している。また、人権委員会主催で人権擁護に関する研修を実施し、研修を行った場合には必ずアンケートを取ってまとめを行い、職員の人権意識の強化を図っている。
A新人職員研修で人権に関する教育を行い、定例の支援会議や職員会議で周知している。不適切だと思われる呼称や行為は、随時支援員同士で注意を促す環境、雰囲気を作っている。
B「身体拘束等行動制限に関する取り扱い要綱」を整備し身体拘束行為の防止に努めている。新任職員には新任職員研修の中で、周知徹底をしている。
C居室でのプライバシー確保については、1人部屋と2人部屋があり、2人部屋はカーテンやタンス等で仕切り、プライバシー空間が確保できるようになっている。ドアには全室、内鍵がついており、自分で管理できる方には、鍵を渡している。また、職員は「個人情報保護規定」に基づき、利用者のいる所では利用者個人に関わる話はしないなどの配慮をしている。
2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

@個別支援計画は、個別支援計画作成の手順に基づいて作成している。策定にあたりアセスメントを行い、また、定期的にモニタリングをして個別支援計画の見直しに反映している。アセスメント表には、日常生活動作、生活技術及び健康管理、社会技術及び社会参加、意思伝達及び対人関係、問題となる行動などの項目があり、利用者一人ひとりのニーズを把握している。個別支援計画の内容を寮の支援マニュアルに反映している。支援マニュアルはサービス変更の都度更新している。
A居室や食堂、相談室等、毎日の生活の中で出てくる利用者の思いやニーズ等は、その都度、時間を取り、ゆっくりと相談に応じ利用者面談記録に記載している。普段の生活の中で、話しやすく、明るく和やかな雰囲気の中、日常会話からも利用者の意向を汲み取り、その人らしい生活が送れるように配慮した支援を行っている。
B個別支援計画書の年間予定を作成し、個別支援計画作成前に、本人と面談を行い、要望を聞いている。個別支援計画作成、中間まとめ、最終まとめ時に本人に提示し確認している。家族に要望受付表を送り、要望と計画の作成についての意見をもらい、反映させている。本人や家族が気になる点があった際には、中間まとめや最終まとめにて見直し、次年度の計画に反映している。
C利用者個々の自立に視点を置いて個別支援計画を検討し作成している。本人の日常生活のリズムに配慮し、アセスメントシートの項目毎に、意向や希望を明確化している。日ごろの生活面から捉えた社会性を判断し、文化面、運動面、作業面での本人のニーズを把握し反映し、一人ひとりの考え方、生活様式に関する好み等を尊重し、能力を最大限発揮できるようにしている。
D各寮の支援マニュアルに利用者個々の障害特性に応じて食事や排泄入浴等の支援内容を明記している。嚥下障害があるためお粥と刻み食を提供すること、箸でなくスプーンやフォークを使用すること、薬との兼ね合いやアレルギー・好みに関する注意事項など、提供する時にあたって注意や配慮することについて支援マニュアルに記載されている。マニュアルはパソコンに保管され職員はいつでも支援内容を確認することができる。
E余暇活動は、土曜日、日曜日、祝日に実施している。毎週近隣のコンビニにおやつの買い物に行き、毎月1回ドライブや個別対応の買い物に行っている。2〜3ヶ月に各階フロアごとにホットケーキや焼き鳥などを作って楽しむ機会を持っている。また、全体で、肉祭りやボランティアによるコンサート等のイベントを企画している。その他、毎週木曜に散歩の時間を設けている。毎年1回ホテルで打ち上げ会を催しており、その日は全員おしゃれをして参加している。

3 サービスマネジメントシステムの確立 @3名の外部の苦情解決第三者委員を選任している。利用者からの苦情申出については面接、電話、書面で随時受付け、苦情の内容については、全て書面に記録し、申出人との話し合いによって解決に努めるようにしている。苦情を受け付けた場合は支援会議で取り上げ、対応を決定している。タンスの中にほこりがあったとの苦情に対して、タンスの中まで掃除をするよう手順を変更したり、濡れた衣類がかばんに入れてあったとの苦情に対して、洗濯物の取扱の変更を行ったなどの事例がある。「みんなの声」という苦情・意見箱が設置されている。
Aリスクマネジメント推進会議でヒヤリハット報告を分析し、今後の対応方針について話し合い、さらに支援会議等で検討し利用者支援につなげている。嚥下能力の低下により食べ物を喉に詰まらせた利用者に対して、食形態をお粥・刻み食に変更した事例がある。リスクマネジメント委員会を中心に事故の再発防止に取り組んでいる。
B感染症対策については、毎月開催される法人主催の衛生健康委員会で話し合われている。感染症が発症した時の対応について、ノロウィルス対応については全職員に配付しているが、そのほかの感染症の対応については、看護師が対応し事故発生時の手順などを記した危機管理対応マニュアルがあり、パソコン内で必要に応じ随時確認することができる。指定医療機関の一覧表は重要事項説明書に記載しており、事務所と玄関に掲示している。事故発生時には速やかに家族及び身元引受人へ連絡を行い、当日のケース記録と事故報告書を記載している。
C年6回、デイ活動中、夜間、日中を想定し火災と大地震災害の避難誘導訓練を行っている。火災避難誘導訓練時は、消火訓練・備蓄庫の場所・在庫の確認・緊急車両の誘導場所の確認・非常トイレの組み立て・非常時のかまどの設置・避難場所となるテントの組み立て等を実践している。火災場所を数ヶ所想定し、異なる避難経路の確認を行っている。地震想定の避難訓練日の昼食は非常食を食べていることで非常食の見直し等に繋がっている。実施要項は2週間前までに作成・配布され職員に配布されている。また利用者へもわかりやすくプリントにて事前に掲示している。
4 地域との交流・連携 @地域の方を招待するイベントとして、すぎな祭、納涼祭り、地域ふれあい会がある。すぎな祭は収穫祭として始まり、手作りの農耕汁をふるまうほか、縁日やイベントも実施している。毎年300人ほどの近隣の方々が参加している。納涼祭では、当日は20名ほどの近隣の方々が浴衣を着て一緒に盆踊りを楽しんでいる。地域ふれあい会(日ごろの感謝を込めて地域の方々に食事を提供するパーティー)では、日ごろの感謝の意を込めて地域の方にパーティー形式で食事を提供している。毎年50名ほどの方が参加している。
Aボランティア担当職員がボランティア受入れの窓口になっている。農業活動と創作活動のボランティアが2名ずつ定期的に来所している。また、太鼓指導ボランティア、マッサージのボランティア、歌・ダンス・手品等イベントのボランティアが随時来所している。有償ボランティアとして、毎週水曜日に理髪のボランティアが来所している。
B地域の方々に福祉を理解してもらうための講習会や研修会を法人主体で開催している。愛育寮として地域ふれあい会で、施設の仕事や活動についてパワーポイントなどを使用して地域に紹介している。
5 運営上の透明性の確保と継続性 @ホームページに法人の経営理念や運営方針を掲載している。また、組織や施設のサービス内容、日中活動の支援内容を掲載し利用者や地域住民の施設に対する理解に努めている。法人全体の事業報告や決算情報をホームページに掲載し、施設運営の透明性を図っている。
Aサービスの自己評価として、年2回全職員が人権チェック自己点検表を記載し、人権委員会がまとめを行い、支援会議などで話し合っている。結果は利用者の家族などに開示している。平成24年に福祉施設サービス第三者評価を受審し、利用者の家族に開示するとともにホームページで公表している。その後、施設としての自己評価は行っていないが、行政監査に向けて監査項目のチェックを行っている。
6 職員の資質向上の促進 @法人の規程集に施設理念、行動指針、職員倫理綱領、職員行動規範が掲載されており、規程集は全職員に配付している。法人の理念、方針については、新任研修で説明するほか、年2回行われる法人全体の職員会議と法人主催の研修で繰り返し説明を行い周知している。
A障害の理解や支援に関する研修、スーパーバイザーやリーダー研修、人権や支援計画書に関する研修など多岐に渡って外部の研修を受講している。外部研修に参加した際は、研修報告書に研修の内容及び所感を記載し、閲覧できるよう回覧し、支援会議などで伝達研修を行っている。
Bケースワーク技法などの基本的な援助態度を取得するための研修については、新任職員、初任者(1〜3年)、中堅職員(おおむね6年以上)、管理職と階層別に分け研修を計画している。研修方法は、OJT(職場、職務を通じての研修)・OFF-JT(職務を離れての研修)・SDS(自己啓発のための研修)により実施している。研修を円滑に実施するために研修委員会を設置している。平成27年度実績で、自主研修2件、業務研修(内部研修含)77回、延参加人数168人となっている。
C実習生指導担当職員を配置している。事前にオリエンテーションを実施し、見学と共に実習プログラムを配布、日々の指導については、受け入れ担当フロアの支援員が担当している。実習生とは「実習受け入れに関する協定書」を取り交わしており、協定書には、目的、実習内容、実習生の義務、守秘義務、実習生の権利などについて記されている。守秘義務については誓約書をもらっている。昨年度は福祉関係の専門学校3校、短大4校、大学3校の学生を十数名受け入れている。

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