かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

横浜市野庭第二保育園(2回目受審)

対象事業所名 横浜市野庭第二保育園(2回目受審)
経営主体(法人等) 横浜市
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 234 - 0056
港南区野庭町601
tel:045-842-9543
設立年月日 1978(昭和53)年07月01日
公表年月 2017(平成29)年03月 〜
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 特定非営利活動法人 よこはま地域福祉研究センター
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

【施設の概要】
横浜市野庭第二保育園は市営地下鉄「上永谷駅」から徒歩で13分の野庭団地の一角にあります。団地の周囲にもマンションが立ち並び、高速道路を隔てて日野団地にもつながっています。保育園の隣には小学校があり、園庭から小学生がグランドで体操をしたり、遊んでいる様子が見えます。野庭第二保育園は昭和53年(1978年)に横浜市立保育園として開園し、地域の公立保育園として多くの子どもたちを養育してきました。鉄筋コンクリート二階建て、築後40年を経過していますが、28年度、大規模改修をおこない、外壁が一新しました。園庭は広々として砂場や築山、芝生など変化にとんでおり、すべり台やベンチ、プールなどがあります。また、花壇や子どもたちが作物を育てる畑もあります。定員は120名で、開園時間は平日が午前7時から午後7時、土曜日は午前7時30分から午後6時30分です。港南区の育児支援センター園であり、地域の幼保小の交流・連携や園庭開放、絵本の地域貸出、育児講座や育児相談、保育所プチ体験、子育ての居場所への部屋の提供などを実施するほか、民間の保育所と連携する保育資源ネットワーク事業に積極的に取り組んでいます。


1.高く評価できる点  
●活発な地域交流の環境づくりを進める中、さまざまな体験を通して子どもたちが元気に遊んでいます 
園の保育課程には「地域の特性」と「地域とのかかわり」の欄を設けて地域の実態と周囲の環境について明らかにしています。そして積極的に地域住民と交流するように努めています。地域での子育てを支援するため、交流保育、園庭開放を毎日実施しており、特に夏休みのプールには多くの子どもと保護者が来園して、園児と一緒に利用します。交流保育では毎月“にっこりでぃ”や“リズム遊び ”“こどもの日の集い”“七夕”“水遊び、泥んこ遊び”“正月遊び”“節分”などを地域の親子と園児の交流を目指して実施しています。さらに毎月1回「プチ体験」を実施して園児と一緒に給食を体験したりしています。地域住民に向けての育児講座は「おもちゃ講座」「保育園探検隊」「歯磨き上手かな」「お話し会」など年6回開催しています。子育て居場所「あっぷっぷ」にサロン室を貸したり、絵本貸出しもおこなっています。正門の横には掲示板を設置して、園が実施している地域子育て支援の様々な事業を紹介して参加を呼び掛けています。近隣の保育園とは「年長児交流」を計画的に実施しています。子どもたちは、園内探検やリレー遊び、ゲーム、ドッジボール、交通安全教室などを経験し、年度末に“4歳児紹介”をして次年度につなげています。交流保育や園庭開放などを通じて、子どもたちは園内にとどまらない広い社会性を身につけていきます。


●手厚い人材育成の仕組みが子どもの自主性を育てる成果を生みだしています 
園の研修体系は横浜市こども青少年局や港南区こども家庭支援課が策定した研修のほか、港南区内の近隣の育児施設によるグループ研修などの手厚い外部研修の仕組みがあります。グループ研修は野庭周辺の施設間連携により進められており、職員は業務の時間内で参加できる仕組みです。また、近くにあるよこはま港南地域療育センターから、年2回巡回訪問が訪れ、課題のある子どもの療育・支援について助言を受けるとともに、職員や保護者も療育センターの研修に参加するなど、近隣の施設間の連携が進んでいます。研修には非常勤職員も正規職員と同じように参加できます。本年度は在職5年未満の職員全員を港南区こども家庭支援課の障害児保育研修に派遣して、基礎的な知識や実習体験を積んでいます。こうした手厚く、充実した外部研修の体系があります。園の研修計画は毎年、複数の研修担当者が合議して、非常勤を含む全職員を対象として策定します。園内研修は、自分たちの業務を振り返り、「気づき」を改善につなげていくことを「ねらい」としています。本年度は「園目標」「子どもの人権」「ノロ対策」「歯磨き」「防災」を計画しましたが、それらに加え、「メンタルヘルス」「救命救急」「手作りおもちゃ」など、外部研修や仕事で得た内容を追加して実施しています。園では、健常児と障害児と低年齢児が一緒に手をつないで輪になって遊んだり、あるいはセミに興味を持った子どもがセミを折り紙で作り、みんなでセミやクワガタを作り、さらに保育室内に隠すチームと探すチームとに分かれ虫取り大会に発展させるなど、子どもの自由な発想を受け止め、育む柔軟な支援対応をしています。さらに、アプローチカリキュラムでは、遊びを通じて就学に向けた準備ができるよう、緻密な計画を策定し実現する保育士のチームワークが見られます。子どもの自主性を育てる人材育成計画がこのような実践の成果を生んでいます。


2.独自に取り組んでいる点
食育に独自の工夫がみられ保育との連携も進んでいます 
園では年間食育計画を作成して子どもたちが食事や食材、調理、食文化とその過程に関心を持つよう、年齢に応じたクッキングを実施しています。調理職員は毎日子どもたちの食事の様子を見て、声掛けをするなどしています。特に新メニューのときは各保育室を回って喫食状況を見て確認しています。グリーンカーテンとして植えたキュウリやゴーヤ、子どもたちが種をまいて、収穫した野菜も給食に出しています。調理職員が保育室で魚をさばいて見せたり、「オープンキッチン」をおこなう等、子どもたちが食材に関心を持つよう工夫しています。


3.工夫・改善が望まれる点 
●シフト制を軌道に乗せるとともに特性を生かす工夫が求められています 
今年度から職員配置についてシフト制が導入されました。その結果、さまざまな課題が発生していますが、ミーティングを少数でおこなうことでコミュニケーションが深まったとか、朝夕の送迎時に保護者と直接顔を合わせることができるようになったなど、サービスの質の向上の糸口になる結果も出てきています。制度変更をチャンスとしてとらえてさらに改善・工夫を進めていくことが期待されます。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重 ・園の保育理念には「乳幼児の健全な心身の発達、最善の利益と養護と教育を一体的に行うこと、そして家庭や地域社会との連携・育児支援を行うこと」が明記されています。また、保育方針では、「健康で安全で情緒が安定した生活環境、安心と信頼感を持ち自己肯定感を育てること、そして地域のネットワークを作り社会資源を活用した子育て」としており、いずれも利用者本人を尊重したものとなっています。
・保育士は一人一人の気持ちに寄り添い、言葉にできない思いを感じ取り、子どもの気持ちや考えを言葉や態度から汲み取るよう配慮しています。園内研修で具体例を示して子どもの人権や子どもの気持ちを学び、会議やミーティングで話し合っています。子どもの人格を辱めたり、自尊心を傷つけてはならないことを全職員が共通理解として認識しています。
・遊びや行事の役割、持ち物、服装などで性別による区別をしていません。クラス内での順番やグループ分けなどは、男女の区別なく活動がおこなわれています。
2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供 保育課程では保育理念や保育方針、園目標や保育姿勢など保育に関する基本方針が明示され、地域の特性とともに「地域とのかかわり」の欄を設けて地域の実態と周囲の環境について明らかにしています。保育課程では「おおむね6か月未満」から「おおむね6歳」までの8段階に発達過程を分け「養護・教育」「食育」「保育士等の配慮」について記載しています。
・3歳未満児については、個別指導計画を作成しており、3歳以上児についても課題のある場合には、個別指導計画を作成しています。個別支援計画の作成は保護者と面談をおこなって、子どもが受診している医療機関や専門機関などの情報を共有しながら要望や意見を聞いて計画に反映しています。
・入園時の短縮保育は乳児は3日間、幼児は2日間を基本に必ず実施しています。保護者にあらかじめ説明し同意を得ていますが、家庭環境や保護者の就労状況に配慮して期間を短縮するなど柔軟に対応しています。
・築40年と建物の老朽化が進んでいますが、今年度改修工事をおこなって、外観が一新されるとともに外壁のヒビ、穴などを修復し安全面で向上しました。清掃マニュアルやチェック表の一層の整備を進めており、屋内外とも清潔な状態が保たれています。
・おもちゃや教材などは子どもの手の届く場所に置かれ、自分で取り出して遊べるようになっています。布製のボールや袋物、人形、ままごと道具、ブロックなどが箱やカゴに収納され、子どもたちが片付けやすいよう工夫しています。
・年間食育計画があり、キュウリやナス、ゴーヤ、インゲン、さつま芋、人参、カブ、ブロッコリーなど野菜の世話をして育て、植物の生長や収穫の喜びを体験し、クッキングをする等の機会を作っています。カブトムシやカイコを飼育して、図鑑で調べたり、カイコのまゆを卒園式のコサージュに作るなど保育活動にフィードバックしています。
・発達過程に応じて運動能力を高められよう、リズム運動をしたり、固定遊具や巧技台などを使って身体を動かして遊べる環境を作っています。4、5歳児クラスは、体育協会指導員が年3回来園して訪問運動指導を受けています。
・子どもたちが食事やその過程に関心を持つよう年間食育計画を作成して、年齢に応じたクッキングを実施しています。また、収穫した野菜を調理して給食に出したり、調理員が保育室でオープンキッチンを行うなど給食に関心を持つよう工夫しています。5歳児は当番活動としてその日の献立を発表し、配膳と片付けの手伝いをしています。
・午睡時は子どもの顔が確認できるよう、カーテンで明るさを調節しています。保育士は子どもが安心して心地良い眠りにつけるよう、そばにいて体に触れるなど見守っています。乳幼児突然死症候群対策として、0歳児クラスは5分間隔、1、2歳児クラスは10分間隔で睡眠時の呼吸や顔色、状態をチェック表に記録しています。
・一人一人の排泄のリズムを捉え、個人差を尊重しています。乳児クラスは一斉にトイレに誘うのでなく、一人一人の排泄の様子を見ながら声を掛けています。幼児は園外に出るときは促しますが、強要しないよう心掛けています。保育園での排泄状況を送迎時に口頭で伝えたり、連絡ノートに記入したりして保護者と常に連携を取っています。
・園長は入園説明会や年度初めにおこなわれる懇談会で各クラスを回り、保護者に保育の基本方針を説明する機会を設けています。また、毎月発行される「園だより」や各保育室に掲示される「今月のクラスのねらい」などで保育方針が理解されるよう、配慮し作成しています。
・日常の保育の様子を写真に撮って保育室や廊下に掲示しています。また、行事の取組として子どもたちがアイデアを出し合い話し合う様子、決めて作っていく姿が伝わるよう写真やコメントを加えた大きな模造紙を掲示して保護者に伝える努力をしています。
3 サービスマネジメントシステムの確立 ・入園時の保護者との面接は担当の職員が対応しており、乳児については調理職員も同席します。子どもの様子は「入園時聞き取り表」などを使って観察したことを記載しています。面接時の記録は職員のミーティングで共有しています。
・保護者に児童票を記入してもらい、家庭での様子や健康状態、育児などに関する課題などを把握しています。入園後の子どもの成長発達については経過記録や保育日誌、配慮児記録等に記録しています。
・配慮を要する子どもについては、ケース会議をおこなって、内容によっては保育士や専門職だけでなく保健師や行政の担当職員も含めて検討しています。個別指導計画は子どもの特性を経過記録や保護者の意向、保護者の希望などを踏まえた専門機関の意見などを踏まえて作成しており、保育会議で確認・決定しています。
・園の設備については玄関入口にスロープや手すりを配置し段差をなくしており、バリアフリーのトイレもあります。子どもが落ち着けるスペースや障害に対応した椅子などの備品を用意しています。保育士の支援の下、クラスの子どもと、障害のある子と同じクラスの子に加え異年齢の子も交えて一緒に遊んでいる様子も見られます。
・虐待への対応については「虐待防止ハンドブック」に従って対応しています。虐待が明白なときは保健師、ケースワーカーや民生委員、港南区福祉保健センターこども家庭支援課担当職員などと連絡を取り対応しています。虐待の疑わしい場合や見守りが必要な場合は、配慮児記録を作成して職員間で情報を共有し、関係機関とともにケース会議を開催するなどの対応もしています。
・「保育園のしおり(重要事項説明書)」の中で、食物アレルギーの対応について記載し、保護者に説明しています。食物アレルギーのある子どもについては、医師の生活管理指導表に基づいて、担当職員、調理職員、園長が毎月、保護者と面談をして、献立や除去食の確認をおこなっています。
・園の苦情解決制度は横浜市が作成した「苦情解決要綱」と「苦情解決の手順」に基づいています。「苦情解決の手順」には苦情解決マニュアルも含まれています。
・保護者に対しては「園のしおり(重要事項説明書)」の「苦情解決制度について」の項目で説明し、苦情解決制度について玄関などにも掲示しています。苦情解決の第三者委員については「園のしおり(重要事項説明書)」に委員の名前と電話番号を記載し直接要望・苦情を申し立てることができることを説明しています。
・「健康管理マニュアル」の中に『毎日の健康観察のポイント』の項目があり、保育中の観察事項、視診のポイント、発熱時・下痢などの対応等を掲載して、それに基づいて一人一人の健康状態を把握しています。職員は、園での子どもの健康状態について必要に応じて保護者に電話連絡したり、降園時に口頭で状況を伝えたりして、保護者と降園後の対応を話し合っています。
・安全管理に関するマニュアルとして「安全管理マニュアル」「保育・教育施設班活動マニュアル」があり、「事故防止」「散歩時の安全」「ケガ」「不審者」「災害」などの対応について明示しています。マニュアルは各保育室に整備されています。職員は、屋内・屋外の安全点検表を毎日記録し、クラスごとの安全チェックリストを月1回実施して安全に配慮しています。毎月、火災や地震、不審者対策などについて避難訓練を実施しています。
4 地域との交流・連携 ・積極的に地域住民と交流するように努めています。園長は地域防災拠点会議や自治会祭りなどに参加して顔見知りの関係を築き、施設に対する要望を把握する機会を作っています。子どもたちは、「公園愛護会」の人々と協力して行事をおこなったり、地域の敬老会と交流を図っています。
・地域の子育て支援ニーズに応じて、交流保育、園庭開放を実施しています。地域の親子と園児の交流を目的に、交流保育“にっこりでぃ”や“リズム遊び ”“こどもの日の集い”“七夕”“水遊び、泥んこ遊び”“正月遊び”“節分”などを実施するほか、毎月1回「プチ体験」を実施して、園児と交流し、給食を一緒に食べる機会を設けています。地域への施設開放として、子育て居場所「あっぷっぷ」にサロン室を提供しています。また絵本貸出しをおこなっています。
・地域住民に向けて、「おもちゃ講座」「保育園探検隊」「歯磨き上手かな」「お話し会」などをテーマに育児講座を年6回開催しています。
・育児相談は、地域住民や園庭開放、交流保育、プチ体験の利用者などを対象に毎日実施しており、相談はいつでも受け付けていることを門扉横に掲示して知らせています。
5 運営上の透明性の確保と継続性

・園の理念、基本方針、目標はホームページやパンフレット、入園の案内「ようこそ野庭第二保育園へ」などで見ることができ、各クラス内に掲示してあります。
見学の際にはパンフレットを用いて案内しています。
・外部から保育の技術の評価・指導についてはよこはま港南地域療育センターの巡回訪問が年2回あり、専門家からのアドバイスを受けています。また、子どもの健康面については港南福祉保健センターと連携をしています。
・園としての自己評価では、保育方針と園目標、28年度の課題である(1)子どもが過ごす環境の見直し、(2)保育の質の向上、(3)園舎の老朽化対策の3側面についておこなっています。保育士等職員一人一人の自己評価結果や保護者アンケートの結果を踏まえて、次年度の課題・改善点を引き出しています。
・横浜市職員服務規程の定めに従って、法・規範・倫理等について周知しており、園内研修などで園目標や人権などについて話し合いをしています。また、運営状況についてはホームページを更新して公表しています
・園の重要な意思決定については園長は保護者の会の港南区役員会に出席するなどして意見交換をおこなっています。また、懇談会や「園だより」を通じて経過を伝えています。今年度は大規模な施設の改修工事があり、目的や経過などを説明して保護者の意見を聞いています。職員には、意思決定の目的や経過についてもミーティングなどを通じて周知しています。

6 職員の資質向上の促進 ・横浜市では保育士人材育成ビジョンを策定しており、職位と期待する役割・姿勢、必要とされる知識・技術、人材育成の取組(研修)が示されています。参加した研修等について各自の研修手帳に記入して達成の水準が分かるようにしています。
・園の研修体系は横浜市のおこなう研修と港南区が策定した研修、区内の近隣の育児施設によるグループ研修などの手厚い外部研修の仕組みがあり、そのうえで園内研修があります。研修の受講は園のサービスの質的向上や自己研鑽にとどまらず、キャリア形成ともリンクしているため積極的におこなっています。
・園の研修計画は毎年、複数の研修担当者が合議して、非常勤を含む全職員を対象として策定します。研修の成果を評価して、毎年研修内容を見直しています。業務の中で必要となった研修は計画になかった場合でも参加するなど、柔軟に対応しています。研修に参加した職員は研修報告書を作成して回覧したり、会議の場を利用して説明するなど、研修の内容を職員間で共有できるようにしています。
・自己評価表には保育理念、発達援助、保護者支援、保育を支える組織基盤の各項目について多くのチェック項目があります。また、「課題票」があり、年度の課題・省察・自己評価を書いて、園長がコメントを記入します。中間の振り返りと年度末の2回、園長と個人面談をおこなっています。
・子どもの状況や職員の能力向上に合わせて権限移譲をして、経験やスキルを高める仕組みがあります。例えばOJTのトレーナーが成長してきた職員に、クラスリーダーを任せて体験させ、振り返りをおこない、責任を明確にしつつ、保育への意欲を高めることなどが実施されています。

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