かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

川崎市有馬保育園(3回目受審)

対象事業所名 川崎市有馬保育園(3回目受審)
経営主体(法人等) 川崎市
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 216 - 0002
宮前区東有馬5-16-1
tel:044-888-3751
設立年月日 1971(昭和46)年12月01日
公表年月 2017(平成29)年03月 〜
使用評価項目 川崎市版
評価機関名 株式会社フィールズ
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

<施設の概要・特徴>

 有馬保育園は昭和46年12月に宮前区有馬に開園した、地域になじんだ歴史ある定員90名の公立保育園です。
 近隣は閑静な住宅や団地があり、子どもたちの散歩や、年間を通して自然に触れることができます。園舎は少し高台の見晴らしの良い場所にあり園舎は2階建て、1、2階は各保育室ともにテラスがあり明るい室内です。広い園庭にはジャングルジムなどの固定遊具、プールがあります。子どもたちは自分たちで工夫し色々な遊びを楽しんでいます。
 保育理念は「ひとりひとりの人権を尊重し・・」「地域の子育ての一拠点として・・」という子どもと家庭への援助、地域への貢献を基本理念として明示し、保育方針は「保護者と協力して子どもの健やかな成長をまもります」等、3項目からなっています。保育目標は「からだもこころも元気な子ども」をはじめ2項目からなっています。リズムへの取り組み等、公開保育を民営、公立園にむけて実施して地域の保育の質の向上にも取り組んでいます。


<特によいと思う点>

1.子どもたちの想像力、主体性を育み、楽しい保育を実施しています
 園では、子どもが楽しみながら完成の共有感を持てるよう年間でテーマを決めて、行事や日々の保育を実施しています。
 今年は宇宙をテーマとして、園長先生に届く宇宙人からの手紙、宇宙人が泳ぎを教えに来てくれるなど、場面を想定して楽しく取り組んでいます。運動会では宇宙へ行くことと子どもの体力作りを考慮した演目がありました。職員もこのテーマを理解し協力し取り組んでいます。保護者も宇宙人の格好で運動会に参加するなど協力的に参加をしています。
 年間を通じて楽しみながら取り組むことで、保育目標である「からだもこころも元気な子どもに」につながり、しなやかなで丈夫な身体づくりとなっています。


2.保育士、栄養士、看護師による三者が連携を図り、基本的な生活習慣の大切さを伝えています
 保育士、栄養士、看護師による三者連携の「元気もりもり集会」が年に3回あります。異なる部門の職員が、わかり易く専門の分野について子どもたちに説明をします。
 冬の健康については看護師が手洗い、うがいなど、栄養士は食べ物によるバランスの良い食事を取ることなどを伝えています。保育士は子どもが理解しやすいよう身近なことを交え、テーマに沿って子どもが基本生活の大切さに関心が持てるようにしています。
 職員は子どもたちの興味が視覚的にとらえやすいように、キャラクターを作るなど工夫をして取り組んでいます。


3.地域との交流がさまざまな形で行われています
 地域の中で、積極的に交流活動を行っています。「ちびっこニコニコの会」(健康体操の団地高齢者グループと園児との交流)を行い、地域の高齢者との異世代交流を行っています。この活動は高齢社会のニーズに積極的に対応したものとして、地域に喜ばれています。都市化した核家族の家庭が増えているなかで、子どもにとっても、親と違った地域の大人と接し、様々なことを知る機会となっています。また、障害者支援施設とも交流の機会を持ち、多様な人々や社会とふれあう経験を学んでいます。今後は園を活用してもらう機会を増やし、地域の社会的資源としての機能に期待されています。


<さらなる改善が望まれる点>

1.保育知識・経験、園独自でやってきた要素を受け継いでいく方法が期待されます
 勤続年数も長く、経験豊富な職員が活躍して保育の質が高められています。こうした力を維持・継続するためにより良い記録への検討が期待されます。チームとしての体制をどのようにしたらよいか、会議の持ち方、連絡の仕方、記録方法の仕組みなど、日々の細かな事項にも職員が持つノウハウを伝えさらに向上する仕組みを検討し、運営規定に盛り込まれること期待されます。


2.ご意見箱の活用などの情報交流方法の検討を期待いたします
 職員と保護者は日頃からコミュニケーションが図られているため、苦情、要望などは直接職員に届けられることが多く、ご意見箱の活用がほとんどない状況です。表立っては伝えづらいことや、直接伝えるには躊躇してしまうような些細な意見などもあります。保護者から意見が寄せられやすい意見箱の検討が望まれます。
 保護者には園児の生活状況を知りたいとの意見もあります。ご意見箱も含めた情報交流の方法を検討することが望まれます。要望・苦情だけでなく、良かったこと、様々な投稿もできるような新しい方法により、利用者(保護者・子ども)と園との信頼関係をさらに深めることを期待します。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重

配慮が必要な子ども、気になる子については個別の配慮を実施し、長所を伸ばすように支援しています。子どもの主体性を大切にし、子どもの気持ちを肯定的に受け止めるように一人ひとりを大切にしています。子どもの個性を大切にするのと同じように家庭についてもそれぞれの価値観を尊重しコミュニケーションを取るように努めています。保護者とも共通の理解を持てるように「園だより」で人権について触れたり、クラス懇談会でも「川崎市子どもの権利に関する条例」について話し合う機会を持っています。


子どもの気持ちに寄り添う保育を実施しています。言葉で自分の気持ちを表せない子どもは、その様子から何を求めているのかを把握しています。子どもが、集団から離れて、くつろいだり遊べる空間として、事務所にコーナーを作っています。夏場のシャワー時には外部の視線をさえぎるようなカーテンの使用、また、排泄に失敗した場合はさりげない対応をして子どもの自尊心に配慮をしています。常に子どもの気持ちを理解するようにし、一緒に喜んだり、褒める事を大切にしています。

2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

利用者の意向について、玄関に意見箱を設置し、保護者の要望や意見を言える体制を整えています。寄せられた意見は全職員に周知し、内容によっては園全体の課題として会議で検討しサービス向上に取り組んでいます。職員と保護者とのコミュニケーションが取れている為、ご意見箱の活用はほとんどなく、要望などは直接職員に届けられています。保護者からの行事後のアンケートから、園への要望・改善点を把握し、保護者からの意見を検討して改善を図り、次年度に活かすよう取り組んでいます。要望意見は記録され、職員間で情報共有して日々の保育につなげています。


子どもたちが創造性を育み自主的に遊べる環境を整えています。園では、子どもが楽しみながら感性の共有感を持てるよう年間でテーマを決めて行事や、日々の保育を実施しています。全職員がテーマに沿って協力し、子どもと共に取り組んでいます。園に在籍する発達相談支援コーディネーターの資格を持つ職員が必要に応じて地域療育センター、児童相談所などの関係機関との連携をとっています。配慮を必要とする子どもを受け入れ、ほかの子どもたちとともに育ち合う環境を大切にしています。

3 サービスマネジメントシステムの確立

園の情報は、川崎市ホームページや園のしおり、リーフレット、園見学、体験保育などを通して保育園の情報提供をしています。また、広報誌や宮前区ホームページに情報を提供しています。子育て支援事業については宮前区のポータルサイトにも情報を提供しています。近隣の保育園との年長児交流や、小学校訪問を行うなど就学に向けての取り組みをしています。保育所児童保育要録は主に担任が作成し、就学までに身につけて欲しい事の情報を職員が小学校の授業参観に行くなどして得て、保護者に情報を提供し、就学に向けて支援を行っています。


入園時に保護者が記入した児童票を参考に面接をして保育士は子どもの様子を確認しています。必要に応じて、栄養士、看護師も同席し、確認を行っています。これらの子どもの情報は、会議や会議記録を通して全職員で周知し日々の保育に活かしています。川崎市公立保育園保育指針をもとにして保育課程を全職員作成し、その後各クラスごとに細かく各計画が作成されます。クラスごとの年間指導計画には、健康、食育の年齢に見合った計画も加え策定しています。3歳未満は個別指導計画が実施されています。


子どもに関する実施状況は、川崎市の規定に基づき、観察個人記録、保育所児童保育要録、面談記録、離乳食、アレルギー除去食、ケース検討の記録を適切に行っています。子どもの状況等に関する必要な情報はミーティング、乳児職員会議、幼児職員会議等の会議で共有し、状況に応じては緊急会議を設け情報を周知しています。出勤した時は、クラスごとの引き継ぎ簿、保健日記、ミーティングノートなどを確認して情報を共有しています。


子ども、保護者ともに一人ひとりの思いを大切にし、それぞれの状況を配慮して意見を言いやすい雰囲気に努めています。日常的にも保護者との信頼関係を築けるように心がけています。苦情解決に向けたマニュアルがあり、職員に周知しています。保護者には苦情解決の仕組みを保護者会で話しをする他、玄関に掲示し、重要事項説明書、「有馬保育園のしおり」にも明記し情報を提供しています。職員は苦情等の情報を共有して、早急に対応に努めています。

4 地域との交流・連携

園は情報開示を積極的に行い、園庭開放、遊びの広場の開催、育児相談など、園の持つ機能を活かして保育所を利用していない子どもやその家庭を支援しています。これは、地域住民に運動会の協力依頼を丁寧にしたり、日ごろの関係づくりによって住民の理解が深まり、さらに、こうしたことを保育所のサービスとしてとらえる積極的姿勢があるからでもあります。また、近隣施設へ保育士を派遣するなど、地域支援機能を果たしています。


地域での連携、交流がさまざまな形で行われています。地域各機関、職種間(民生委員、療育センター、幼稚園、小学校、保育園)をはじめとして、直接地域住民との交流が、子育てを担う母親ばかりでなく、ちびっこニコニコの会のように団地住民である近隣高齢者と園児という範囲まで行われていることです。世代間交流がしっかり計画され実施後検討を加えられて成果を上げています。


公営園として地域の保育にかかわる課題だけでなく広く福祉ニーズを捉えて、行政の施策と関連した基本的な考えの下、地域の各専門職や地域の住民との協力、連携を図る地道な努力が行われています。理念にうたわれているように、保育園は地域の拠点としての役割を果たしています。

5 運営上の透明性の確保と継続性

柱となる2つの理念は、園内玄関や各保育室に掲示して毎日目にすることで職員の行動規範となっています。保護者には、保護者説明会において、理念、保育方針、保育目標を具体的にわかりやすく伝えて、生活習慣をつけていくことや見守ることの大切さ、家庭と共に成長の喜びを共感する姿勢を示しています。


事業計画は川崎市立保育園としての長期計画に基づき、年度ごとに理念、方針を確認、検討し全職員で指導計画に反映しています。検討会議は担当ごとに定期的に開催し、パート職員にも配慮した形で運営しています。また、人材育成計画の下で研修を自主的、積極的に行って、職員に専門職としての意識をもって仕事をしてもらうようにしています。


園では「運営管理・業務分担表」にて各階層の役割を明確にしています。園長は職員と話合い、前向きになるよう指導助言しています。1つ1つをPDCAで検証する手法などで、職員が意欲をもち協働して保育に取り組めるように配慮しています。職員も各職種で工夫をし、良い点は徹底して真似し合う保育環境を作り出しています。

6 職員の資質向上の促進

職員は入職3年目までは、育成担当者がつき、OJTの取り組みを行っています。現職研修は、川崎市の主催、課題別(人権・アレルギー・リスクマネジメント)グループ別の園内研修(保育を語る、社会性、環境)、外部講師を招いて行うものもあります。研修への取り組みは、職員が自主的に行っており、特に園内研修3グループでの研修は意欲的に行われています。


研修を実施した後は、研修報告書を提出し、園長がコメントを記入して確認しています。研修内容を会議で発表して全員で内容を共有しています。研修内容は園の中で実践しており、園での取り組みを他園の職員にも報告する報告集会も進めています。職員が講師となって報告することが職員の学びをさらに深めています。


有給休暇の取得状況や時間外労働のデータについては、業務の偏りがないか、休憩時間をどう取るかなど、園長が目配りしています。園長は園長補佐や職員と話し合い、調整を行って、働きやすい職場環境づくりに努力しています。職員の意向については年3回の人事評価面談や、新年度の意向調査を通し、話し合いを重ねて把握しています。

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