かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

川崎市生田・生田乳児保育園(3回目受審)

対象事業所名 川崎市生田・生田乳児保育園(3回目受審)
経営主体(法人等) 川崎市
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 214 - 0037
多摩区西生田3-15-10
tel:044-966-2502
設立年月日 1967年07月15日
公表年月 2017(平成29)年03月 〜
使用評価項目 川崎市版
評価機関名 株式会社フィールズ
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

<施設の概要・特徴>

 川崎市生田・生田乳児保育園は小田急線「読売ランド前」駅から7分ほどの坂道を登った所にあります。園の周辺は緑の多い住宅地となっており、季節の自然に触れることが出来ます。
 園は、昭和42年(1967年)7月に川崎市によって開設されました。鉄筋コンクリート造り平屋建ての園舎は園庭を囲んで乳児園舎と幼児園舎に分かれています。園舎は、築49年経過していますが、手入れを行い清潔に保っています。広々とした園庭には、実のなる木が植えられ、滑り台等の遊具や砂場、あずまや(そらいろハウス)、プールなどが設置されています。園庭の一角では子どもたちが野菜を育てています。園の定員は生後5か月〜小学校就学前の95人で、開園時間は7時半〜19時(月曜日〜土曜日)となっています。
 保育目標として「心身共に健康な子ども」「豊かな感性を持ち、素直に表現できる子ども」「自分の考えを伝え、友達のことも考えられる子ども」、保育方針として「一人一人の子どもの心を大切にしていく保育」「子どもを中心に、保育者と保護者が信頼を深め共感し合える保育」「地域と関わり合ってすすめる保育」を掲げています。


<特によいと思う点>

1.子どもが主体的に活動できるよう環境を整え、子どもたちは自分の思いを自由に表現し、園生活を生き生きと過ごしています
 園は、子ども主体の保育が実践できるよう環境を整えています。創作活動においては、作るものを指示するのではなく、何を作るか選択する自由を大切にして、作り始めたら完成するまでの時間も確保しています。
 幼児クラスはお腹がすいたと感じた子どもから食事に入るランチルーム方式をとっています。食べる量も子どもが自分で決め、年長児は自分で盛り付けています。食事を早く終えた子どもは玄関ホールでコーナー遊びを楽しむことが出来ます。子どもたちは自分の思いを自由に表現し、園生活を生き生きと楽しんでいます。


2.職員は目指す保育の実現に向けて方向性を統一し、連携して保育にあたっています
 理念・方針を年度初めの全体会議で確認・決定し、年度末の会議で実践できたか振り返っています。乳児・幼児会議では一人ひとりの子どもの様子について複数の視点で検討し、理念に沿った保育が実践できるよう話し合っています。結果はリーダー会議で検討・共有し、全体会議で討議・確認する流れになっていて、情報を確実に共有できる仕組みがあります。
 乳児・幼児会議には調理師・栄養士・看護師が分担して出席する、ケースカンファレンスで発達相談支援コーディネーターの資格を持つ保育士がアドバイスするなど専門性を活かす仕組みもできています。


3.ブランチ園として、公立園で培ってきた専門性を積極的に地域に還元しています
 園は多摩区に2つあるブランチ園の1つとなっていて、地域の子ども・子育て支援に積極的に取り組んでいます。
 園の育児支援として園庭開放や身体測定・遊ぼう会、育児講座などを実施するとともに、区役所や民生委員・児童委員と連携し、食事つき保育体験などの育児支援事業を展開しています。
 また、地域子育て支援センター等の関係機関や地域の子育て支援団体にも、保育士を派遣するなどの協力をしています。職員は積極的に地域に出て行き、地域で子育てする家庭の子育ての不安の解消や仲間作りにその専門性を還元しています。


<さらなる改善が望まれる点>

1.想定を上回る大災害に備え、地域との連携体制を強化していくことが期待されます
 園では、緊急対応マニュアルを整備し、毎月、地震や火事など多様な想定をした防災・避難訓練を実施しています。一時避難所への避難に加え、暗闇体験・飛散体験・伝言ダイヤル訓練等を実施しています。また、町内会長とも連携をとって、避難場所の見直しを検討しています。
 園の地理的な状況もあり、大災害時に乳児を連れた避難は難しいと思われます。大災害に備え、避難しやすい一時避難所や行政や町内会との協力体制の検討をさらに進めて、利用者の安全を確保していくことが期待されます。


2.職員が自らが将来像を描けるようなキャリアパスの明確化を図ることが期待されます
 職員はキャリアシートを用いて、年度始めに目標設定をし、年度末に目標の達成状況を自己評価しています。人事評価は人事評価シートを用いています。職員は、川崎市や多摩区の人材育成研修計画に沿って、年齢や経験、希望等に合わせた研修に参加し、自己研鑽に励んでいます。
 ただし、保育士自身がライフプランに基づいて将来像を思い描き、ステップアップしていくための明確なキャリアパスの策定は今後の課題となっています。保育士資格を活かせる職域が拡大していることもあり、キャリアパスの明確化を図ることが期待されます。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重

保育理念に「子どもの人権尊重」を掲げて、職員は一人ひとりの子どもの自由な意思表示を大切に保育にあたっています。大人の一方的な価値観で保育をすることがないよう、複数の職員が子どもに関わり、子どもの様子を観察することで、多角的な視点で子どもの姿をとらえるようにしています。職員は、ケースカンファレンス等で話し合いを重ね、子どもが無理をしないで保育園での生活を送れるよう支援しています。職員は会議での振り返りや川崎市の人権研修などで人権についての理解を深めています。


児童虐待対応マニュアルがあり、虐待の定義や見分け方、通告義務などについて職員間で周知しています。また、職員が、川崎市や多摩区の虐待についての研修を受講しています。虐待を発見した場合や疑わしい場合には、多摩区役所や川崎市北部児童相談所、川崎西部地域療育センターなどの関係機関と連携する体制ができています。 子どもの受け入れ時には、保育士は子どもの身体や態度、発言などを観察し、気になる事例があった場合には、園長に報告するとともに職員間で情報共有し、虐待の防止に努めています。


入園時に、個人情報使用同意書を用い、行事等紹介写真、園・クラスだより等への掲載、市のホームページ等への掲載、写真販売などの項目ごとに利用目的、提供状況、事後の処理について説明し、保護者に利用の可否を確認しています。園児作品や写真、映像等を園外で扱う場合には、事前に保護者に連絡し確認しています。相談機関との連携や巡視の申請についても事前に保護者の同意を得ています。職員は多摩区の情報セキュリティ研修や川崎市の自己点検シートなどで、個人情報の適切な使用に関しての理解を深めています。

2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

情報の提供を増やし、日常のコミュニケーションを多く持つことで、意向の集約を図っています。さらに、受け身ではなく、役割を持つことで、より意向が明確になるよう努めています。保護者については、保護者面談・懇談会・行事参観のほか、保育体験・保育参加の機会を設けています。子どもについては、自ら遊びや食事時間を選択したり、役割を担ったりする機会を増やしたりすることで、自主性を育んでいます。行事については、園と保護者会の両方でアンケートを取り、改善すべき点を翌年の行事に反映させています。


自由な発想ができるような環境を大切にしています。創作活動においては、作るものを指示するのではなく、何を作るか選択する自由を大切にして、作り始めたら完成するまでの時間も確保するよう努めています。特別の配慮が必要な子どもの保育にあたっては、発達相談支援コーディネーターの研修を受けた職員を三人配し、担任と連携しています。また療育センターに勤務経験のある職員の助言で、療育センターとも積極的に連携をしています。障害のある子どもも必要以上に特別扱いしないことで、他の子どもが仲間意識を持ち、お互いの成長に結びついています。


大人がやって見せたり、異年齢児とのかかわりの中で、子どもが基本的な生活習慣が身につけられるよう働きかけています。午睡時間は一人ひとりの体調や発達特性に合わせています。登園時・退園時は必ず職員が保護者に声をかけ、園児に関する情報を共有しています。退園時に担任が対応できないときは、遅番の職員が引継ぎノートの情報を保護者に伝え、また保護者からの情報を翌朝のミーティングノートに記載します。保護者が外国籍の場合は、個人ノートや電話などの活用で、情報交換に漏れがないようにしています。


延長保育については、まずは乳児・幼児の保育室で、人数が少なくなった時間帯は幼児も乳児室で一緒に過ごしています。延長保育時は甘えたい気持ちを満たせるようにしており、特に0、1歳児は、1人の保育士が1人か2人を見る体制にしています。保育室には、上履きを脱いで遊ぶスペースも設け、家庭的雰囲気を大切にしています。また、細か過ぎる遊び道具を出さないようにしたり、夕方に制作したものをお迎えの保護者に見せるまで片づけないようにするなど、ゆったり遊べるように配慮しています。


幼児クラスではランチルームを設定しています。ランチルームでは子どもは食べる時間帯・食べる量を自分で決めることで、食べる意欲を高めています。BGM、テーブルの花やフルーツで食事場所の楽しい雰囲気づくりにも努めています。保護者には配布物や写真、食事サンプルで食事や食育の情報を提供するだけでなく、実際に保育体験・保育参観で献立を味わってもらっています。食育では、魚の骨取りや栽培物の収穫などから、クッキーパーティーのような、年長児が作って年少児にふるまう活動もあります。

3 サービスマネジメントシステムの確立

サービス選択のための情報として、川崎市のホームページや掲示板での案内に加え、説明会時に入口付近のディスプレイで園の写真や動画を流し、保育内容の可視化に努めています。入所や園の利用については、全体向けの説明のあとに、個別面談で説明しています。また、外国籍の保護者にも配慮し、理解してもらう方法で個別に対応しています。入園後は一週間を目安に慣れ保育を行いますが、標準のスケジュールで一律に進めるのではなく、保護者と連携しながら、子どもの年齢や集団生活への適応の度合いに合わせて設定しています。


保育は、市の運営の手引き及び園の運営方針を基本とし、各クラスの指導計画を全職員が会議の場で共有した上で実施しています。週日指導計画には保育者の援助と配慮が具体的に記載して、クラスの担当者全員が留意点も共有できるようになっています。健康管理や安全衛生など個別の業務については、必要な事項を定めた市の12のマニュアルに従って実施しています。市のマニュアルでカバーできない項目がある場合は、園のマニュアルを作成しています。これらのマニュアルは、研修等で職員に周知を図っています。


市の方針に基づいて、事故発生時の対応に関するマニュアルを整備し、各職員の非常時の役割を定めています。保育園の管轄は市の子ども未来局ですが、緊急対応の場合に備え、多摩区役所とも連携しています。安全確保について、職員・子ども・保護者がそれぞれ学ぶことを明確にして取り組んでいます。防災訓練は危機管理担当者が多様な想定で毎月行い、さらに暗闇体験・飛散体験・伝言ダイヤル訓練・不審者訓練も行っています。一時避難所への避難に加え、町内会長とも連携をとって、より近くにある町内の避難場所への避難も検討しています。


玄関前に「コミュニティーボックス」と名付けた意見箱を設置し、意見を自由に入れられるようになっています。苦情受付担当者、苦情解決責任者に加え、第三者委員の氏名・肩書・電話番号を重要事項説明書で示し、説明会や掲示などでも周知を図っています。出された意見に対しては精査し、迅速な対応に努めています。短期間での対応が難しい要望についても、実施予定時期を伝えて、検討結果を知らせています。子どもについても同様に対応し、建設的な声を改善につなげています。

4 地域との交流・連携

園は多摩区ブランチ園として、地域の子ども・子育て支援に積極的に取り組んでいます。園での育児支援としては、園庭開放や身体測定・遊ぼう会、食育講座、健康講座、絵本の貸し出しなどを実施しています。また、ふれあい動物園、運動会、夏祭りなどの園の行事に地域住民を招待しています。その他に、区役所と連携し「プレパパ・プレママ体験」、「親子でランチ」(食事つき保育体験)「父親講座&離乳食講座」、民生委員・児童委員と連携し「ママとあそぼうパパもね」を実施するなど、保育の専門性を積極的に地域に提供しています。


ボランティア受け入れ体制を整えて、地域の絵本の読み聞かせボランティアを週1回受け入れています。中学生の体験学習や高校生・大学生のインターンシップ、シルバー人材センターからの受け入れも行っています。幼保小連携事業で、小学校や保育園と交流しています。また、地域の小規模保育園に園庭を貸し出したり、高齢者施設を年4回子どもたちが訪問するなどの交流もあります。地域みまもりセンターが主催する地域の防災イベント「防災ウォーク」に協力・参加するなど、園は地域と関係作りを積極的に行っています。


職員は、地域子育て支援センターの育児講座で講師をつとめたり、主任児童委員が実施する子育て支援広場や地域見守りセンターの青空保育で遊びの提供をするなどし、地域の関係機関と連携しています。地域のNPO法人が実施する子育て支援事業にも協力しています。職員は積極的に地域に出て行き、地域で子育てする家庭の子育ての不安の解消や仲間作りに貢献しています。また、公開保育やリズム研修等の園内研修で近隣保育所の職員へ保育の向上のため学びの場を設け、交流しています。

5 運営上の透明性の確保と継続性

保育方針と保育目標を園内に掲示するとともに、パンフレットやしおりなどに掲載しています。年度始めの全体会議で理念や方針を確認し、年度末の全体会議で保育内容が沿っているかを振り返っています。園長、園長補佐は保育の様子を見て回るとともに、指導計画や日誌をチェックし、職員が理解しているかを確認しています。保護者に対しては、年度始めの保育内容説明会や年2回のクラス懇談会などで具体的に分かりやすく説明しています。具体的な場面をビデオで見せるなど視覚にも訴え、保護者の理解が深まるように工夫しています。


川崎市の中・長期計画と年度ごとの「運営の手引き」に基づき、園長が単年度の運営方針を策定しています。運営方針には、理念や方針に沿った、運営内容、運営管理、組織運営などの方向性が明示されています。組織図に園長の職務と役割を明示して、園長は、職員が自らの業務の必要性や根拠を理解して取り組めるよう、業務の意義や期待される効果等を伝えながら、仕事を割り振っています。担当や係、プロジェクト等があり、職員に権限を委譲し、職員が自分で判断し持てる力を発揮できるように配慮しています。


指導計画や日誌などには自己評価の項目があり、保育士が自己の保育を振り返られるように定型化しています。また、「年度反省」の用紙があり、職員は年度末には自己と園の反省を記載して提出します。個々の職員の評価結果から明らかになった課題は、全体会議などで職員間で検討しています。重要改善課題は次年度の運営方針に反映するとともに、プロジェクトのテーマにし、組織全体で改善に向けて取り組んでいます。具体的な事例としては、ランチルームの取り組みを見直して環境整備をし、マニュアルを作成したケースなどがあります。

6 職員の資質向上の促進

職員が遵守すべき法令・規範・倫理などが明記された「川崎市職員服務ハンドブック」を職員に配付するとともに、会議などで周知しています。職員は、川崎市の研修を毎年受けるとともに、年2回服務チェックシートを用いて自己点検をしています。職員は、キャリアシートを用いて、年度始めに目標設定をし、年度末に目標の達成状況を自己評価しています。人事評価は人事評価シートを用いています。園長は年2回個人面談を実施し、目標設定と評価を行うとともに、個々の職員の仕事に対する思いや意向を聞いています。


川崎市の人材育成方針を基に、園長補佐が園長と相談し、職員の年齢や経験、職種、現在の課題、希望等を考慮し個別の研修計画を作成しています。職員は、川崎市や多摩区、白峰学園保育センター、地域療育センターなどが主催する各種研修に積極的に参加しています。職員は、毎年テーマを決めてプロジェクトを組み、チームごとにテーマに沿った学習をしています。研修に参加した職員は、研修報告書を作成し、会議等で報告しています。また、研修の成果をまとめ、園内や公民保育所職員に発表しています。


職員の有休取得状況を常にチェックし、早目に行事等の予定を組んでいくことで職員が休暇を取りやすい環境作りをするとともに、職員皆が平均して休暇が取れるよう、有休取得の声掛けをしています。また、事務の時間を取れるように職員配置を工夫したり、夕方に行う全体会議の進め方を見直すなど、時間外勤務を減らすための取り組みをしています。川崎市によるストレスチェックを全職員が受診し、必要に応じて産業医が面談しています。また、「心の相談室」があり、職員はいつでもイントラネットや電話で直接相談することができます。

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