かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

ベネッセ日吉保育園

対象事業所名 ベネッセ日吉保育園
経営主体(法人等) 株式会社ベネッセスタイルケア
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 223 - 0061
港北区日吉4-1-1 慶應義塾日吉キャンパス 協生館1階
tel:045-560-6506
設立年月日 2009(平成21)年04月01日
公表年月 2017(平成29)年03月 〜
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 特定非営利活動法人 市民セクターよこはま
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

【施設の概要】
 ベネッセ日吉保育園は、東急東横線および横浜市営地下鉄グリーンライン「日吉」駅から歩いてすぐの慶応義塾日吉キャンパス内の協生館の1階にあります。同建物内には、3つの大学院のほかコミュニケーションプラザ、スポーツセンター、店舗などが入っています。隣には同じ運営法人の一時保育室があります。
 ベネッセ日吉保育園は、2009年(平成21年)4月に開園しました。運営法人は株式会社ベネッセスタイルケアで、首都圏を中心として保育園事業を数多く展開しています。
 園はビルの中にありますが、窓の外にはキャンパスの緑が広がっていて、明るく広々とした印象です。園庭は広く、0・1歳児用と2〜5歳児用に分かれていて、安全に遊べるように配慮しています。隅には、畑があり子どもたちが野菜を育てています。
 定員は、70名(0歳児〜5歳児)、開園時間は平日(月曜日〜金曜日)は7時〜20時、土曜日は7時30分〜18時30分です。      
 保育理念として「『よりよく生きる力=Benesse』の基礎を育てる」、保育目標として「自分で考え、すすんで行動する子ども」「友だちと楽しく遊ぶ子ども」「感性豊かな子ども」、保育方針として「子どもの『個性と人格を尊重』し、主体性を育てます」「自然な生活の営みの中で子どもが『安定感・安心感・落ち着きを持てる室内環境』をつくります」「深い信頼関係に根ざした『豊かな人とのかかわり』を重視します」「身の回りの『社会・自然を通しての学び』を大切にします』を掲げています。 


◆高く評価できる点
1、保育士は子ども一人一人を大切に保育をしていて、子どもたちは自分を素直に表現し、園生活を楽しんでいます
 子どもが大切にされたと感じられる経験を重ね、自己肯定感を感じられるよう、保育士は、子ども一人一人の気持ちを大切に保育にあたっています。保育室内には棚やパーテーションを用いて数か所のコーナーを設け、子どもが落ち着いて遊べるように環境設定しています。子どもたちは、友達とごっこ遊びをしたり、一人でゆっくりと絵本を読んだり、一人であるいは数人で積み木を用いて大きな作品作りに挑戦したりと、それぞれが自分のしたい遊びを選び、集中して遊び込んでいます。
 乳児は担当制を取り、食事やトイレなどの生活面での保育士との一対一の関わりの中、ゆったりと安心し、落ち着いて毎日を過ごしています。保育士にたくさんスキンシップを取ってもらい、たくさん話しかけてもらっていて、子どもたちは言葉や表情で自分の思いを素直に表現し、保育士に甘えています。
 3歳〜5歳児は異年齢の合同クラスとなっていて、子ども同士の関わりの中で、お互いを思いやる気持ちが育っています。観察時にも、年上の子どもが年下の子どもを手助けしたり、年下の子どもが年上の子どもの話を真剣に聞く姿が、様々な場面でみられました。また、朝夕にはサークルタイムと称して皆で輪になって集まり、子どもが自分の発見を皆に発表したり、クラスの活動やもめごとの原因などの課題について話し合う時間があり、子どもたちは自分の思いを言葉にする大切さや、相手の発言を聞くこと、色々な意見があることなど学んでいます。
 
2、様々な取り組みを通し、職員は保育の方向性を一つにしています
 園は、職員が同じ方向性を持って保育にあたれるよう理念や方針の研修に力を入れています。玄関に保育理念、保育目標、保育方針を掲示するとともに、全職員に「ベネッセの保育の考え方」を配付し、年度始めの非常勤職員を含む全職員が参加する園内研修で読み合わせをし、園長が具体的な事例をあげて分かりやすく説明しています。また、折に触れて、園内研修や職員会議で理念、方針に立ち戻る機会を作っています。昨年度は、園内研修のテーマとして理念、方針を取り上げ、1年間かけて「ベネッセの保育の考え方」を用いて、保育の実際の場面がどのような根拠に基づいているかを確認しました。クラスミーティングには担任だけでなく、園長、主任も参加し、具体的な指導計画が理念や方針に沿っているかを確認し、必要に応じて質問を投げかけ職員の理解を深めています。
 年度末には職員一人一人の自己評価をもとに、クラスで年度のクラス運営や子どもの気持ち、保護者対応等の項目について、自己評価をし、理念に沿った保育が実践できるように振り返りを行っています。このような取り組みを通して、職員はお互いの気持ちを言葉で伝え合い、子どもへの思いの共有を図っています。
 職員はお互いの方向性を常に確認し、コミュニケーションを大切に、保育にあたっています。


3、保護者へ積極的に情報発信することで、保護者へ園の方針が浸透しています
 園では、保護者に園の方針を理解してもらうために積極的に情報発信をしています。入園説明会や年度初めの懇談会では、園長が理念や方針について説明するとともに、保育課程を配付し、保育課程に基づく指導計画を紹介し、保護者が子どもの発達や保育内容について見通しが持てるようにしています。
 保護者懇談会は春と冬の年2回行い、春には年度のねらいを伝え、冬には、子どもたちの成長の様子と次年度の連絡を行っています。各回ともビデオを上映し子どもたちの園での様子を保護者に見てもらっています。その日の各クラスの保育の様子は、事務室前の掲示板に写真とコメント入りで毎日掲示していますが、その横に月案を掲示し、月のねらいや配慮事項に沿って保育が実践されていることを、保護者が理解できるようにしています。
 園は、乳児だけでなく、幼児についても毎月、個別指導計画を作成しています。個別指導計画は、乳児は毎月のクラス便りに「今月の様子」と「翌月のねらい」を記載する欄があり、個別に記載して保護者に手渡し、保護者と共有しています。幼児は、期ごとに「期の姿」と「次期の課題」を記載して「成長の記録」に貼付し保護者に報告し、共有しています。
 今回の保護者アンケートにおいても、園の保育目標・保育方針を「よく知っている」「まあ知っている」と答えた保護者の割合は合わせて97.7%で、その保育目標・保育方針に全員が「賛同できる」「まあ賛同できる」と答えています。また、総合的な満足度も97.8%と高く、園の方針が保護者に浸透し、支持されていていることを確認することが出来ました。

               
◆独自に取り組んでいる点 
1、大学キャンパス内にあるという立地が活かされている取り組みが多数あります
 園は大学キャンパス内にあり、子どもたちは、大学敷地内の森・並木道・原っぱ等の自然豊かな遊び場で年間を通して、思いっきり身体を動かし、木登りや虫とり等の体験をしています。また、大学生主催の子ども向けのサマースクールへ園児が参加したり、大学生がボランティアとして訪れるなど交流の機会が多数あります。このような交流は子どもたちや保育士の刺激になるだけでなく、大学生にとっても小さい子どもの存在に触れる機会となっています。
 また、大学との共催で育児講演会を開催したり、学生の子どもの行動と脳波や心拍数との関連に関する研究への協力(保護者が受諾した子どものみ)などの交流もあり、大学キャンパス内にあるという園の立地が活かされています。今後も、大学との関係性を大事にしながら、福祉に対する学生の理解関心を深めるなど、大学から得るプラス面を園の運営にさらに反映していくことが期待されます。


◆改善や工夫が望まれる点
1、地域の育児支援への取り組みを地域に発信するためのさらなる工夫が期待されます
 園は育児支援として、月2回園庭開放を実施しています。園庭開放時には育児相談を受け付けています。それに加え、年3回、園長・看護師・栄養士による「育児相談会」を開催しています。また、年2回、有識者を講師として招き、子育て講演会を開催しています。
 育児支援についての情報は、ホームページに掲載するとともに、園庭前の掲示板での掲示や、子育て支援イベント会場にチラシを置くなどしています。ただし、大学キャンパス内という立地もあり、掲示などが出来る場所が限られていて、園の存在が分かりにくいという課題があります。保護者支援で培った園の力を子育てに悩む地域の子育て家庭に還元し、保育所に求められる地域の育児支援という役割を果たすためにも、園の育児支援についての取り組みを大学だけでなく地域に広く知らせるための工夫をされることが期待されます。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重 ・子どもの人権尊重については、運営法人で定めた「ベネッセの保育の考え方」があり、これに基づいて子どもとの関わり方を学び合う機会を数多く設けています。保育中に子どもを急かすような場面は見受けられず、子どもが自ら行動できる成長の姿を見据えた保育を行っています。
・子どもが友だちや保育士の視線を気にせずに過ごせる場所を、保育室内、廊下や玄関ホール等に意識的に作っています。棚で仕切ったスペース、絵本棚の前のベンチやソファー等を数か所に設け、子どもがほっとできる空間を作っています。
・運営法人では全職員対象に、法人のガイドラインに基づいた、個人情報保護に関する研修、及び確認テストを実施しています。
・虐待に関するマニュアルを整備するとともに、虐待に関する外部研修に参加した職員が、園内研修で報告し、職員間で共有しています。虐待が明白になった場合や疑わしい場合、見守りが必要な場合には、港北区こども家庭支援課や横浜市北部児童相談所と連携しています。
2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供 ・保育室内は棚やパーテーションで仕切り、数か所のコーナーを設けています。机と椅子のあるお絵かきや製作のスペース、キッチンセットや洋服が並ぶごっこ遊びのコーナー、ソファーやクッションを備えた絵本コーナー等、子どもが自分のしたい遊びに集中できるように工夫しています。
・0歳児クラスから、散歩の時間を多く設定しています。子どもたちは大学敷地内の森・大木の続く並木道・原っぱ等や、敷地外の散歩コースまで、自然豊かな遊び場で年間を通して、木登りや虫とり等の体験をしています。
・子どもの表現力を培うために、月2回のリトミックの時間や、お絵かき・習字・製作などの時間を設けています。園内には、子どもたちの楽しい作品が数多く展示されています。
・3歳〜5歳児は異年齢の合同クラスです。クラス内では、年上の子どもが年下の子どもを手助けしたり、年下の子どもが年上の子どもの話を真剣に聞く姿が、様々な場面でみられます。午睡をしない時期になった5歳児が、0・1・2歳児クラスの午睡あけの手伝いをしたり、幼児クラスで行う「おかいものごっこ」に、乳児クラスの子どもたちがお客さんで参加したりするなど、異年齢の関わりは日常的に行われています。
・0歳児クラスの食事介助は1対1の対応です。(後期の離乳食の段階で2対1に移行)一人一人の子どものペースに合わせ、それぞれに十分な時間をとった対応をしています。
・0・1・2歳児については、排泄チェック表をつけ、一人一人の排泄リズムを把握しています。トイレットトレーニングは、およその目安を排尿間隔が2時間になってからとし、子どもの発達状況に応じて保護者と連携して進めています。
・保護者懇談会は春と冬の年2回行い、春には年度のねらいを伝え、冬には、子どもたちの成長の様子と次年度の連絡を行っています。各回ともビデオを上映し子どもたちの園での様子を保護者に見てもらっています。
・保護者への情報提供として、3〜5歳児クラスでは、年2回、「期の姿」と「次期の課題」として子ども一人一人の成長の様子を個別に配付しています。0・1・2歳児クラスは、毎月のクラスだよりに「前月の姿」「今月のねらい」欄を設け、一人一人について記載し保護者に届けるという丁寧な対応を行っています。
3 サービスマネジメントシステムの確立 ・0・1・2歳児に対しては主担当制を取り、睡眠、食事、排泄などの生活面について主に担当する保育士を決めています。0・1・2歳児は毎日、幼児は必要に応じて、連絡ノート「成長の記録」を用いて、保護者と情報提供しています。
・子どもの発達や状況に合わせ、年間指導計画、月案、週案を作成しています。また、全園児に対して、毎月、個別指導計画を作成しています。
・保護者に対して毎年、「顧客満足度調査」を実施しています。アンケートの内容は、保育内容・職員の対応・情報提供や伝達・食事・安全衛生管理等、幅広い設問で構成されています。結果については園の全体会議で分析し改善点を検討しています。
・運営法人が定めたマニュアル集「安全衛生基準」があり、健康管理、衛生管理、掃除、安全管理などの各種マニュアルが整備されています。職員は、全体職員会議で毎年、マニュアルの読み合わせをしています。
・各クラスには「アクションカード」として、万一の場合に落ち着いて行動するための手順カードを備えています。乳幼児救命法、蘇生法など数種類の手順を絵入りでわかりやすく作成し、必要な時に誰でもがすぐに手にできる場所に備えています。
・事故が発生した場合には速やかに担任間でミーティングを持ち検証を行っています。その後、園長・看護師が加わって今後の改善策の検討会や全体会での報告等を適切に行っています。ケガについての報告書は看護師が分析し、前期・後期でデータ化して全体会議で報告し、再発防止策を話し合っています。
4 地域との交流・連携 ・地域への子育て支援サービスとして、月に2回、園庭開放を開催しています。
・幼保小教育連携事業に関する会議・研究会及び研究発表や、港北区内公私立保育所による育児講座「わくわく子育て広場」への実行委員としての会議参加等、地域支援への積極的な関わりを続けています。
・年に2回、有識者を講師として招き、子育て講演会を開催しています。
・育児相談は毎月の園庭開放時の他、年に3回、園長・看護師・栄養士による「育児相談会」を開催しています。しかし、毎週の実施には至っていません。
・学校との交流としては、近隣小学校の1年生と年2回の交流会をもっています。中学校・高校とは職業体験の受け入れを通じた交流があります。園は大学キャンパス内の立地であり、大学生のボランティア受け入れ、大学との共催で行う講演会開催、学生主催のサマースクールへの園児の参加、さらに、子どもの行動と脳波や心拍数との関連に関する研究への協力(保護者が受諾した子どものみ)等々、大学との交流は数多くあります。
・地域交流としては、駅前商店街の商店を訪れ、「おかいものごっこ」のイメージ作りに店内を見せてもらったり、スポーツジムからハロウィンの招待があったりと、親しい交流をしています。
5 運営上の透明性の確保と継続性

・玄関に保育理念、保育方針、保育目標を掲げています。「ベネッセの保育の考え方」に明記し、非常勤職員を含む全職員に配付しています。入職時には、運営法人研修で理念・基本方針を周知するとともに、年度始めの全職員参加の園内研修で、園長が具体的な事例をあげて分かりやすく説明しています。
・年度末には、園独自の様式を用い、職員一人一人が自己評価をし、クラスミーティングで話し合い、クラスとしての自己評価をしています。年度末の職員会議では、クラスごとに発表をし、園としての1年間の振り返りをしています。
・就業規則の服務心得や行動基準、個人情報ハンドブックなどに職員が守るべき法・基準・倫理などが明記されています。全職員に配付している「ベネッセスタイルケア行動宣言」にも明記されています。
・保護者代表が参加する運営委員会で事業報告をしていますが、経営、運営状況などの情報を積極的に公開することはしていません。
・運営法人の外部顧問には様々な部門の専門家がいて、運営に関する意見や情報を得ています。大学キャンパスという立地の関係から大学関係者を運営委員として迎え、情報や意見を得ています。

6 職員の資質向上の促進 ・運営法人の人材育成計画に基づき非常勤職員を含む全職員の個別の職員育成研修計画を作成しています。また、人事制度の一つとして等級制を採用していて、等級要件を明示したチェックシートを用い自分で確認できるようになっています。
・毎月、年間のテーマを決めて園内研修を実施しています。職員は、横浜市や港北区、横浜市総合リハビリテーションセンター、白峰学園保育センターなどの外部研修に積極的に参加しています。また、運営法人の研修にも該当する職員が参加しています。外部研修に参加した職員は研修報告書を作成するとともに、園内研修で報告しています。
・年間指導計画、月案、日誌などには自己評価の欄があり、定型化されています。保育士は、結果ではなく、子どもの育ちや意欲、プロセスを大切に日頃から保育にあたっていて、自己評価もその視点に沿って行われています。自己評価の結果は次期の計画に反映しています。
・運営法人による職員満足度調査(ES調査)を行っています。職員会議で、職員の改善に向けた意見を聞いています。園長、主任は日々の職員との会話の中からも意見、要望を把握しています。また、年3回の園長面談でも、職員の満足度や要望を把握しています。

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