かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

利正寺保育園

対象事業所名 利正寺保育園
経営主体(法人等) 宗教法人 利正寺
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 220 - 0061
西区久保町3-13
tel:045-231-3409
設立年月日 1948年05月16日
公表年月 2017(平成29)年03月 〜
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 株式会社フィールズ
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

[施設の概要]
 利正寺保育園は、昭和23年に委託所として開園し、翌年の昭和24年に横浜市の認可を受けました。2歳児から就学前児童を対象とし定員は78名で、現在は73名が在籍しています。
 園は、相鉄線・西横浜駅から徒歩5分程の比較的交通量が少ない道路に面した商業地区の中にあります。園舎は重量鉄骨造り3階建ての1・2階を使用し、園庭には、すべり台や上り棒などが一体化した大型遊具を設置し、子どもの発達に合わせて遊ぶことができます。
 気温の変化を感じ取る事や、土踏まずをしっかり形成する事ができる裸足保育を、取り入れています。また、専任講師による英語保育、体操指導、マーチング指導を保育課程の「特色ある保育」の計画に基づいて取り入れており、子どもたちは異文化に触れたり、マット・跳び箱・なわ飛び、カラーガード・太鼓演奏などの、子どもの体力に合わせた活動に取り組んでいます。


≪優れている点≫
1.食育活動により、食事の大切さを理解しながら、食べる意欲、興味や関心が得られるようにしています
 4、5歳児の給食の前には、栄養士が3つの栄養素のボードを使って、その日の給食の食材について説明をしています。図鑑を使ってその日の食材の説明をしたり、絵や写真、実物を使って子どもがその日の献立に興味が持てるように工夫しています。
 保育士や栄養士は子どもが苦手な物を無理強いすることはせず、子ども自身が「食べてみよう」という意欲が持てるような言葉かけをしています。また、子ども一人一人の喫食量に応じて配膳量を調整し、完食出来た達成感、満足感、喜びなどが感じられるよう工夫しています。
 野菜を育て、収穫し、その野菜を給食で味わうことで興味や関心が得られるような取り組みを行っています。5歳児は調理室に入り、野菜を洗い、皮を?くといったお手伝いの経験をしています。園児全員で梅ジュースを作ったり、「カレーパーティー」では、4、5歳児がカレーライスを作って園児みんなで食べるなど、楽しみながらできることを取り入れています。
 給食後には、食べ終わった食器を入れた籠を持って給食室に行き、「ごちそうさまでした。ありがとうございました。」と挨拶をして、作ってくれた人へ感謝の気持ちを伝えています。


2.異年齢保育により、子どもが互いに育ち合う気持ちが育まれています 
 保育方針の「集団生活に慣れ、子ども社会でのきまりを守る子どもを育てる」を実現するために、4、5歳児は、年齢に合わせた製作などのクラス活動以外は、一つの保育室で過ごしています。
 朝夕の自由遊びは、2歳児〜5歳児が、園庭で一緒に遊んでいます。4、5歳児は、小さい子どもたちに危険が及ばないよう工夫して園庭の大型遊具や玩具で遊んでいます。
 避難訓練では、5歳児が2歳児と、4歳児が3歳児と手をつないで避難誘導しています。運動会では、2歳児の「かけっこ」で、5歳児が2歳児をスタート位置まで誘導するなど、日常的に異年齢で過ごす機会を設け、交流できる場を積極的に取り入れています。そういった中で子どもたちは自然と低年齢児に対するいたわりや思いやりの気持ち、年長児に対してのあこがれの気持ちが芽生えお互いの育ちにつながっています。


3.積極的に地域交流を行い、地域支援に取り組んでいます 
 地域の未就園児を対象として園庭開放、絵本の貸出し、西区出前合同育児講座への参加、西区幼保小教育交流事業内で行っている園長20数名へ公開保育を実施しています。
 4、5歳児が運動会で披露するカラーガード・太鼓演奏などのマーチングパレードを、地域の商店街のお祭りで毎年披露しています。西区地域活動ホームの作品展へは、全園児が描いた作品の出品をしています。稲荷台小学校の一年生と相互訪問交流を行い、中学生の職場体験の受け入れを行っています。また、地域の自治会に保育室の貸し出しなど、地域との交流を積極的に行っています。


≪努力・工夫している点≫
1.裸足(はだし)保育を実践しています
 積極的な健康増進のために薄着を習慣づけ、戸外遊びを多く取り入れています。室内はもちろん園庭でも気温の変化を感じ取る事や、土踏まずをしっかり形成する事ができる裸足保育を取り入れています。裸足保育は平成元年よりスタートし、薄着の習慣づけと共に乳幼児の発達への一環としています。裸足で園庭で遊んだ後はオゾン水で足をきれいに洗い清潔を保っています。


≪課題や改善することが期待される事項≫
1.経験・ノウハウを活かすマニュアルを作成して、適正に徹底することが望まれます
 開園から69年、時代に合わせた保育への取組み方を続けています。その間培ってきた経験やノウハウを活かして、現状に合わせた保育を行っています。
 しかし、それらの情報を文書化して共有できる仕組みが十分ではない状況です。特に、衛生管理に関するマニュアルが未整備の状況です。感染症に対しては登園禁止基準や対応方法を明記したマニュアルがありますので、衛生管理についても職員が一貫した対応が取れることが望まれます。衛生管理マニュアルとして顕在化し、薬品などの進歩に合わせ見直すことにより感染症予防にもつながります。また、マニュアルに基づき清掃などを定期的に行い、その記録を残して徹底することが必要です。
職員の業務マニュアル、衛生管理マニュアル、個人情報保護・管理マニュアルなどに、これまで積み上げてきた経験やノウハウを文書化し、徹底することが望まれます。


2.個人情報取り扱いに関するガイドラインの作成が期待されます
 個人情報の取り扱いや守秘義務の意義や目的を職員に周知はしていますが、個人情報の取り扱いについてのガイドラインが整備されていません。個人情報に関する記録は施錠出来る場所に保管されていますが、守秘義務の順守の重要性について、保育に関わる全職員に徹底されることが望まれます。
 保育内容をビデオや写真などに撮って、日常の保育の様子を伝える努力をしていますので、子どものプライバシーや肖像権への配慮、個人情報漏えい防止などの、個人情報取り扱いに関するガイドラインの作成が望まれます。保護者に対して、個人情報の具体的な取り扱いについて、入園説明会や父母会で保護者に説明し、写真等の個人情報使用承諾書を得ておくことが望まれます。


3.後継者の育成と職員の保育技術の向上が期待されます
 今までの経験やノウハウを文章化し、それをもとに人材育成の中長期計画を策定・運用して、職員の保育技術のさらなる向上を図ることが望まれます。
 次代の組織運営に関しての課題を、計画的に実施する為に、園運営に関する中長期計画を策定し、実行することが望まれます。若い人材を確保する為にも、人材育成計画・キャリアパスなどを作り、手厚い職員配置で園を運営していることを積極的に情報開示することが望まれます。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重

「年齢に合ったカリキュラムにより日々の保育を進める」「子ども一人一人の個性を尊重し、理解を深め、教育・養護の両面からその子に合わせた対応を心掛ける」を保育方針として職員の取るべき姿勢を示しながら、子どもの自主性、思いやりのある子どもを育てることを目指しています。


子どもの呼び方は家庭での呼び方を用いており、呼び捨てにはしないよう主任が、職員を指導しています。子どもへの接し方については、主任が職員会議等で話し、全職員が共通理解のもと、子どもの人格を尊重するよう心がけています。職員と一対一で子どもと向き合う時やゆっくり話したい時は、仕切りを用いたり場所を変えています。必要に応じて設置法人本部の会議室を利用して、プライバシーが守れるように工夫をしています。


様々な家庭環境の子どもがいるので、父の日・母の日ではなく、「家族の日」として家の人に感謝を伝える日を設けています。園長は職員に、お父さんの仕事やお母さんの仕事等の固定概念を植え付けない声掛けをするように指導しています。性別での区別、性差による役割分業意識を植え付けないように指導しています。

2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

保育課程は、職員から意見を聞き、職員会議で検討した結果を基に、園長と主任が保護者支援、地域との交流、立地環境を考慮して、子どもの最善の利益を第一義に作成しています。保育課程に基づき、年齢ごとの年間・月間指導計画、週案を作成しています。職員は、その日の子どもたちの様子で遊びの内容など、指導計画を柔軟に変更しています。


職員は、保育室内外の清掃・消毒を定期的及び随時に行っています。清掃用具は、使用後にオゾン水を用いて、殺菌・滅菌処理しています。全保育室に空気清浄機を設置し、室温、湿度は決まった時間に測り記録しています。2、3歳児クラスでは、食事の場所と午睡の場所を分けています。4、5歳児は、夏場以外午睡無しで生活しています。4、5歳児はクラス活動以外は、保育室のパーティションを開けて一続きにして一緒に活動しています。


特別に配慮が必要な幼児は、個別指導計画を作成し、3ヶ月ごとに見直しています。トイレトレーニングは一人一人の発達状況に合わせて、連絡ノートで保護者との連携を密に取り、子どもの性格や家庭環境に配慮して進めています。保育活動中のトイレは、子ども自ら尿意を職員に伝え、その都度トイレに行ける環境を作っています。


おもちゃや絵本などは豊富に用意し、子どもの様子を見ながら飽きないようにこまめに入れ替えています。見立て遊びなど、次はどうしようか、と子ども自身が考えて、さらに次の遊びに発展させていけるように教材や遊具を用意しています。夏は園庭に日よけ、紫外線防止用遮光ネットやミスト散布装置を園庭に設置し、快適に過ごせるように工夫しています。

3 サービスマネジメントシステムの確立

入園面接時に、ならし保育の必要性を確認して個別に対応しています。子どもが落ち着けるタオルなどの持込みを認め、徐々に園内の物に愛着を持てるよう支援しています。入園時に提出された健康調査票、家族構成など提出書類一式は、個別にファイルし、施錠保管しています。入園後の子どもの発達記録は、保育日誌の個人記録に記載し、保育所児童保育要録につなげています。保育所児童保育要録は、5歳児担任が作成し、園長・主任が確認・承認して、各小学校に持参しています。


重要事項説明書で、障がい児保育について「共に育ちあうことの大切さが実感できる保育」として積極的に受け入れています。障害のある子どもや生活習慣や文化の異なる子どもに対しても、違いを一つの個性として認め、子どもたちが自然に触れ合えるよう支援しています。食物アレルギーのある子どもには、主治医の「アレルギー疾患生活管理指導表」の指示に基づき、除去食を提供しています。見直しは、医師の指示に従って6ヶ月ないし12ヶ月ごとに行っています。除去食を提供する場合、メニューによっては調理器具も別の物を使い分けています。


苦情解決要綱として、第三者委員を交えて対応する仕組みがあります。卒園児の保護者と近隣の医療機関の院長に第三者委員を委嘱しています。相談・苦情受付担当者は主任で、相談・苦情解決責任者は園長です。職員は、気軽に話し合える雰囲気づくりを行い、気になる保護者へは職員から声掛けを行い、意見を聞いています。行事後の保護者アンケートや、父母会で保護者からの意見・要望を募る機会を設けています。


感染症対応マニュアルがあり、登園禁止基準や保育中に感染の疑いが生じた場合の対応がマニュアルに明記されています。各保育室には、「嘔吐物処理セット」があり、使い方を写真入りで分かりやすく掲示しています。月1回地震や火災を想定した避難訓練を行っています。地震対策として、家具は壁に固定し、棚は滑り止めマットを使用しています。出入り口は電子ロックをしており、暗証番号で施錠管理しています。子どものケガや事故が発生した場合、職員は状況を主任に報告し、主任が保護者に連絡します。保護者と連絡が取れない場合は、子どもの安全を最優先に対処する仕組みが有ります。

4 地域との交流・連携

地域の未就園児を対象として園庭開放、絵本の貸出し、3ヶ月児から2歳児の親子を対象とした講座で、手遊び・体操や育児相談、西区出前合同育児講座への参加などを実施しています。4、5歳児が運動会で披露するカラーガード・太鼓演奏などのマーチングパレードを、地域の商店街のお祭りにも毎年参加し披露しています。近隣小学校の一年生と相互訪問交流、中学生の職場体験を受け入れ、地域の自治会に保育室の貸し出しなど、地域との交流を積極的に行っています。


ホームページに、園紹介、年間行事、園見学案内、園庭開放、保育の特徴などの情報を掲載しています。見学者には、パンフレットを渡し、主任又はソーシャルワーカーが重要事項説明書を用いて園の基本方針、保育の特徴などを説明しています。電話での問い合わせがあった時は、園見学が随時対応出来る事を伝え、主任、ソーシャルワーカーが対応しています。園の活動に支障が無い限り、見学者の希望に合わせて日時を決めています。子どもたちの活動の様子が分かる午前中を勧めています。


実習生受入れマニュアルがあります。受入れ担当の主任は、実習生にオリエンテーションで園の方針、保育目標を説明しています。実習中に疑問に感じたことは、その都度職員と話し合い疑問点を解消しています。実習終了後は、担任、主任と実習の振り返りを行っています。保護者には、入園時に実習生を受け入れている事を説明し、受入れ時は掲示で知らせています。ボランティアの受け入れ実績はありません。

5 運営上の透明性の確保と継続性

重要事項説明書に、保育所の自己評価を年1回、第三者評価を5年に1回受審することを明記しています。保育所としての自己評価は、保育目標の「集団生活に慣れ、子ども社会の中できまりを守りながら、のびのびと過ごせ思いやりのある子どもを育てる」、保育方針「年齢に合ったカリキュラムにより日々の保育を進める」「子ども一人一人の個性を尊重し、理解を深め、教育・養護の両面からその子に合わせた対応を心掛ける」を念頭に行われていますが、昨年度は実施出来ていません。


就業規則に、法令遵守などが明文化され、職員会議で周知すると共に事務室に保管して、確認出来るようにしています。主任は園長代理として、西区園長会議や報道から、国、横浜市の施策や社会動向の情報を得ています。主任は西区園長会議での他園の事故事例、地域の情報などを入手し、職員会議の議題として取り上げ、情報共有しています。


第三者評価の自己評価の結果から、経験やノウハウを業務マニュアルとして文書化することが大切であり、業務マニュアルの作成を検討しています。次代の組織運営に関して管理職層は、後継者の育成と新卒保育士確保が園運営の重要課題と捉え、後継者の育成、職員の更なる保育技術の向上を検討していますが、中長期的な計画はまだ出来ていません。

6 職員の資質向上の促進

主任は園長代理として、初任者、中堅、主任クラス、管理職層別に求められる知識・技術と、それを実現するための研修計画を作り、人材育成に努めています。職員配置は、個人の能力と、子どもたちとの相性を考慮して決めています。非常勤職員もベテランで話し易い職員が多く、職員間のコミュニケーションは、良く取れています。非常勤職員も園内研修に参加し、資質向上に努めています。職員の優れている点や課題を認識出来るよう個人面談を年1回行い、目標設定とその達成度の自己評価を行い、達成度の相互確認をしています。


月間指導計画、週案、保育日誌には、職員の評価・反省欄があり、子どもたちが活動にどの様に取り組んでいるかを職員がそれぞれ記録しています。それぞれの計画に対しての子どもの活動に対しての評価・反省とともに、保育士一人一人の支援方法や対応についての自己評価・反省を行える仕組みを設け職員個々が自己評価できることが望まれます。


職員の能力、適性に応じて、自主的に判断してクラス運営や、行事の運営を職員に任せています。職員提案を取り入れて、職員のスキルアップややりがいを感じられるよう配慮しています。「配慮が必要な子どもに落ち着くための方法として」の研修に職員が参加し、視覚での認識範囲を狭くすることが大切として学び、パーティションで仕切る、三つ折りマットでコの字型にするなどで、外からの刺激を少なくすることで、子どもが落ち着きを取り戻しています。

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