かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

横浜市東部地域療育センター(2回目受審)

対象事業所名 横浜市東部地域療育センター(2回目受審)
経営主体(法人等) 社会福祉法人 青い鳥
対象サービス 障害分野 地域療育センター
事業所住所等 〒 221 - 0044
神奈川区東神奈川1-29
tel:045-441-7711
設立年月日 2003(平成15)年09月01日
公表年月 2017(平成29)年03月 〜
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 特定非営利活動法人 よこはま地域福祉研究センター
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

【施設の概要】
地域療育センターは、心身に障害のある児童及びその疑いのある児童の地域における療育体制の充実及び福祉の向上を図るため、設置されています。センターでは、(1)児童に対する療育訓練 (2)児童に関する相談及び指導 (3)児童の医学的、心理的、教育的及び社会的な診断、治療、検査、判定及び評価 (4)地域への巡回相談及び指導を行っています。児童福祉法の児童発達支援センターと医療法の診療所とから成り立っています。(横浜市地域療育センター条例より抜粋)


横浜市東部域療育センターは、JR東神奈川駅、京浜急行線仲木戸駅から徒歩約2分程の、駅に近接した場所に立地しています。「かなっくウォーク(駅前歩道橋)」がセンター建物へ直結しているほか、入口は2階となっており、エレベーターを使用してセンターの各フロアへ移動出来るようになっています。また、同じ建物内には、別法人が運営する障害福祉事業所の「希望(きぼう)更生センター」と「横浜光センター」、神奈川区地域子育て支援拠点「かなーちえ」も設置されており、センターと相互に連携しながら事業運営を行っています。
当センターは、社会福祉法人青い鳥により、平成15年9月に開所しました。同法人は、前身の『財団法人神奈川県児童医療福祉財団』において、全国初の通園施設「青い鳥愛児園」と、全国初の療育相談機関「小児療育相談センター」を開設しました。その後、『社会福祉法人青い鳥』を設立し、横浜市内では、南部地域療育センターに続き中部地域療育センター・東部地域療育センター、さらに横須賀市と川崎市でも療育センターの運営を受託しています。
施設の建物は、鉄骨鉄筋コンクリート造7階建の4階から7階を使用し、施設内容は、指導室、集団指導室、相談室、診察室、訓練室、水治療室、検査室、母親研修室等が設置されています。
施設種別とそれぞれの定員は、児童発達支援センター(定員50人)、医療型児童発達支援センター(定員40人)、診療所(診療科目:児童精神科、リハビリテーション科、耳鼻咽喉科、摂食外来)となっています。
そのほかに、児童発達支援事業所「パレット」(定員12人、週48人)が、JR鶴見駅下車徒歩約7分、京浜急行線京急鶴見駅下車徒歩約5分のところにあります。利用対象は知的な遅れがない、または少ない子どもで、家庭生活及び保育所・幼稚園などの集団生活において支援が必要な4〜5歳児となっています。なお、利用にあたっては、事前に横浜市東部地域療育センターを受診する必要があります。


1.高く評価できる点

● 子どもと保護者が地域で安心して暮らすための、きめ細やかな支援を提供しています 
当センターでは、「子どもの個々の発達特性を踏まえ、地域の中で暮らすことを考慮した地域療育の実践」という支援方針に基づき、子どもと保護者が地域で安心して暮らすことができるよう、様々な支援を実施しています。
子どもとその家族の状況に応じて、家庭生活を送る上で有効な制度やサービスについて積極的に情報提供を行い、制度やサービスの活用を行う際には個別に相談に応じるなど、保護者が安心できるような関わりに努めています。例えばセンター独自に「福祉制度・社会資源のご案内」という資料を作成して、療育に直接関わることだけでなく、地域生活や今後の成長過程で活用できる情報をまとめ、療育訓練・保育・教育等に関する経済的支援や保護者の負担軽減につながるような具体的な情報を集約し、保護者に配布したり外来の待合室に配置しています。
また、保護者向け勉強会等では、子どもの成長過程や保護者のニーズの変化等に応じて、保護者の要望を聴取し、適宜プログラムの内容に反映するなど、地域生活を想定した実践的な内容構成に配慮しています。保護者プログラムでは、保護者自身が企画立案に携わるなど、保護者の視点や主体性を尊重した内容となるよう意識しています。例えば外出を通じて商店街や公園などの公共資源を上手に活用できるようサポートし、子どもが地域で安全に過ごすための体験機会も設定しています。
進路決定にあたっては、区子ども家庭支援課や福祉保健センター、小学校・幼稚園・保育所等の関係機関とも随時連携しています。また、通園バスを活用して公立保育所や障害福祉施設の見学会を開催し、それぞれの施設の特性を理解すると同時に、子どもとサービス・支援内容とのマッチングを図るための視点を学べるようにするなど、子どもと家族がよりよい選択を行うことができるよう支援を行っています。
このように、様々な情報提供と具体的なサービスの活用に向けたサポートを通じて、それぞれの家庭や保護者・子どもを支援するきめ細かな対応は、センターの支援方針の具現化として、高く評価できると考えます。


● 3施設運営のノウハウを活かし、子どもの発達特性を考慮した療育を実践しています 
当センターでは、診療部門の訓練内容や通園のプログラムの実施にあたり、法人が取り組む横浜市内2施設を含めたこれまでの経験・実績を活かし、子どもが自分らしい姿で、主体的に行動できるようにするための関わりの工夫を随所に取り入れ、子どもたち一人ひとりの発達特性や個性を尊重した支援に努めています。
療育プログラムでは、統一されたワークシステムを取り入れ、常に左から右へ、上から下へなど、子どもたちが作業エリアを理解し、見通しを立てて安心して活動に取り組めるように配慮しています。写真や絵などの他に発達の状況により、日常生活で使用する実物(調理器具など)やぬいぐるみなどの具体物を活用したり、視覚による刺激だけでなく、匂いや手触りなども重視しています。また、スヌーズレン(光や音、温度、触覚などを組み合わせ、リラックスできる感覚刺激空間)も導入し、楽しみながら感覚の活性化を図る取り組みを行っています。訪問調査では、子ども一人ひとりがとても楽しそうに、満面の笑顔で参加している様子が確認されています。
また、法人が取り組む横浜市内の2療育施設を含めたこれまでの経験と実績で培った工夫が、視覚的・物理的構造化を意識した訓練室やホールをはじめ設備設計の面でも随所に活かされています。例えば、移動が容易で、かつ通園の各クラスが時間差で活用できるよう、園庭を中心に配置した館内構造となっています。設置されている遊具等は子どものケガ防止に配慮し、突起物をなくし丸みを付けた遊具を採用しているほか、転落防止のための柵や、親子で並んで利用できる、幅のある階段を導入するなど、安全性と利用の仕方にも配慮し、子どもの成長発達に必要な設備を想定した構造となっています。


2.独自に取り組んでいる点


● 児童発達支援事業の一部として、知的障害を伴う発達障害児の集団療育に取り組んでいます 
児童発達支援事業「パレット」では、知的な遅れがなく(少なく)園生活や家庭生活などに支援が必要な児童に対して、就園先と連携を取りながら、子どもと保護者の園生活や家庭生活を円滑に進めるために集団療育の機会を提供しています。
更に当センターでは、知的障害を伴う発達障害児の集団療育の場として「からふる」を実施し、待機児対策の一環として、地域の幼稚園・保育所を利用する子どもたちの支援を行っています。
幼稚園や保育所といった集団生活の中で、友だちとトラブルになってしまったり、一斉活動に参加できなかったり、自分の気持ちを伝えたくても伝えられず自信をなくしている児童が、わかりやすい活動の中で成功経験を積み重ね、その結果、家庭や園の中で自信をもって生活していくことを目指してします。保護者とともに子どもへの理解を深め、家庭生活、地域生活でのかかわりの工夫をともに考え合い、また、情報交換のための保護者懇談会なども実施しています。


3.今後の取り組みが期待される点 


● 利用ニーズ増加に伴う課題解決のためのさらなる検討と改善が期待されます  
当センターは、現在横浜市内にある療育センターの中で、圧倒的に利用申し込みが多い状況となっています。より多くのニーズに応えようとすればするほど、さらに待機期間の短縮が困難となり、巡回訪問回数の縮減を強いられる結果となるなど、改善が図られないまま、現在の状況が常態化しつつあります。
今回の利用者アンケートでは、診察頻度及び時間、診断と今後の見通しの説明、訓練指導の頻度などについては、不満を示す回答が3〜5割台と多く、自由意見でも、診察予約の取りづらさのほか、医師に対しては、十分な説明や心理面への配慮を望む意見が複数確認されています。また、地域資源の情報提供に関し、多くの保護者が家庭生活や就学、将来の不安を感じるといった意見とともに、積極的な情報提供を要望する意見も複数寄せられています。
巡回訪問による技術支援に関する項目では、助言の内容の分かりやすさに対し満足度は非常に高く、巡回訪問の効果を高く評価している一方で、巡回訪問の実施時期や実施回数については、不満が満足を上回る結果となり、自由記載でも、巡回訪問の回数増加や実施時期に関する要望、相談対応の充実化への期待など、センターとの連携強化を望む意見が多数確認されています。
利用者のニーズに応えるべく、診療部門をはじめ各部門の職員が連携して対応枠の拡大に尽力し、幼稚園・保育所、学校、民間事業所との連携を進め、子どもとその家族の生活に密着した支援に努めているなど、改善に向けた支援策を模索していることが、ヒアリングから確認されました。
こうした職員の改善提案も活かしながら、横浜市の指定管理者として、民営の長所や特徴を発揮し、真に地域療育の総合センターとして、その役割を果たすためのさらなる検討と改善が期待されます。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重 ・法人理念「道なきところに道を」のもと、センターの運営方針として「子どもたちとご家族の暮らしを尊厳をもって受け止めます」「子どもたち個々の発達特性を尊重し支援技術を磨きます」「子どものライフステージの連続性に応じた療育体制を築きます」「子どもたちとご家族が地域で自立し安らかに暮らすための“地域療育”に貢献します」の4つを掲げ、子どもと家族の多様性・個別性の尊重と地域生活を支える療育支援の実践を明文化しています。
・センターを利用する保護者が、不安や戸惑い・葛藤を抱いていることを理解し、保護者の気持ちに寄り添い、共感する姿勢を全職員の共通認識としています。プライバシーに十分配慮した関わりに努めるとともに、各々の家庭環境や両親の考え方、子育ての価値観を尊重し、安心感を得られるような関わりに努めています。
・「児童相談所と東部センターの連携マニュアル(虐待対応)」を策定し、虐待の定義や関係機関との連携体制、有事の具体的対応について明確化しています。横浜市や神奈川区・鶴見区の児童虐待・DV防止連絡会など、子どもの虐待防止に関する連絡会議に参画し、児童相談所や区福祉保健センター等の関係機関と日常的な連携を図っています。
2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

・子どもの支援計画は、情緒面や運動能力、コミュニケーション、集団適応など複数の視点からアセスメントを実施し、子どもごとに個別の課題を明確化して目標を設定しています。支援計画は、各療法士の訓練内容に応じて実施計画書を策定するほか、通園部門では個別支援計画を策定し、総合目標と発達課題に沿った長期・短期の目標を設定して、課題の達成に向けた計画的な支援を実施しています。
・地域支援課が把握している地域の情報は、待合室等にわかりやすく掲示するほか、センター独自に「福祉制度・社会資源のご案内」というチラシを作成し、保護者が活用できる情報等について簡単にまとめ配布しています。また、保護者プログラムの中に地域支援プログラムを盛り込み、公園での遊びや保育所交流、保護者自身が企画を立てるなどの体験を通して、地域生活で実践的に活用できるように工夫しています。
・保護者向けの勉強会等の内容は、毎年、クラス職員と情報交換を行い、見直し・改善し、クラスの実態に即した勉強会となるよう工夫しています。例えば生活リズムや基本生活動作など日常生活に直結する内容から、地域生活に関することなど、保護者のニーズの変化にも合わせるように心がけています。
・訓練指導等に関する説明は、各療法士から実施計画書に基づき、日々の食事や着替えなど、なるべく身近なことから取り上げ、保護者にとってわかりやすく事例を挙げて行っています。保護者からの質問には、気になっていることを十分に聞き取り、保護者の頑張りを認め、子どもの全体的な発達を見ながら、実現可能なところから取り組んでいくなど、家族の精神的、心理的な負担、健康状態等へ配慮して対応しています。
・子どもの個性や障害特性、発達の状況等に応じて、落ち着いて過ごせるように時間配分や環境設定に配慮しています。また、職員は、一人ひとりの障害の状況や特性を十分理解し、写真や絵または具体物等を用いるなどコミュニケーションツールを活用し、意思の疎通に努めています。

3 サービスマネジメントシステムの確立 ・法人の苦情対応規程のほか、センター独自に「苦情受付から苦情解決までの流れ」を策定し、苦情受付と対応手順を明示しています。苦情受付窓口の設置及び対応について、センター内に掲示を行うとともに、通園部門の重要事項説明書等にも明示して説明を行っています。
・通園施設の利用終了時には、就学前に就学先との情報交換を行えるよう、学校職員がセンターでの子どもの様子を見に来る機会を作るなど、支援の継続性を保ち、子どもや保護者の不安を軽減するための配慮に努めています。
・意見箱の設置のほか、診療や通園の場面、送迎バスの車内などで随時保護者から意見を聞いています。寄せられた苦情・要望は主任会議等で検討するほか、苦情解決委員会を招集し対応を協議しています。
・事故防止と発生時の対応に備え「横浜市東部地域療育センター危機管理マニュアル」を策定し、緊急時の対応とともに事故防止への配慮と具体策を明示しています。センター内で発生した事例はケガ・ミス・ヒヤリハットの3つに分類し、月ごとに統計を取り発生頻度や時間帯等の傾向を分析しているほか、事例をもとに施設設備の改修や支援体制、業務手続の変更など、実情に即した具体的な対応を実施しています。
4 地域との交流・連携 ・幼稚園・保育所からの依頼に基づき、技術支援を目的とした巡回訪問を実施していますが、訪問希望が多く、各園につき年に1回の訪問になっています。巡回訪問の時期や実施回数等については、今回の関係者アンケートでは「どちらかといえば不満」「不満」という意見が50%を占める結果となり、ニーズに応えるための工夫が期待されます。
・神奈川区・鶴見区の自立支援協議会や児童虐待・DV防止連絡会、学校教育事務所情報交換会など、地域の関係機関との連絡会議に多数参加し、情報収集とセンターへの要望把握に努めています。
・区福祉保健センターとの連携のもと、1歳6ヶ月検診は2人、4ヶ月検診は7人の枠をとり、毎月療育相談を実施しています。日常的にワーカーや保健師を交えてケースカンファレンス等、療育相談実施上の課題を整理、検討しています。
・現在、センターでは有償による通園児のきょうだい児保育ボランティアの導入を行なっています。1団体を専任して提携し、保育ボランティア19名が登録して活動を行っています。センター内に専用の保育スペースを確保し、保護者の希望に基づいて随時連絡調整を行い、活用を支援しています。「ボランティアの手引き」を策定し、導入経緯や活動内容、留意事項等を定めて対応を行っています。
5 運営上の透明性の確保と継続性 ・就業規則・服務規律において虐待やハラスメント等の不正行為を明示し、職員の不適切行為を禁止しているほか、就業規則、権利擁護、虐待防止等の研修を開催して、全体周知と理解浸透を図っています。ハラスメント防止マニュアル「なくそう!ハラスメント」を発行し、法人内の相談窓口を設置して随時相談可能な体制を整備しています。
・法人理念及びセンターの運営方針を館内掲示板や職員室に掲示しているほか、全職員に理念・方針を明記した事業計画書等の書類を配布しています。また、全職員が理念・方針を記載したカードを名札と共に常時携帯し、いつでも確認できるようにしています。
・センター運営上の様々な重要事項の検討は、安全衛生委員会やアレルギー対応委員会、摂食委員会等の検討チームを発足し、各々の課題の検討を行っています。
・センター運営の基本的な考え方として、「通園部門及び診療部門の利用料金体制と市民に認められる事業体制の構築」を挙げ、経費節減と時間外業務の削減を推進しています。また、「平成28年度施設目標の概要」において、業務の見直しと効率化を図ることを掲げ、事業運営費の収支分析と段階的な削減に取り組んでいます。
6 職員の資質向上の促進 ・障害児療育の普及啓発と社会貢献の一環として、保育士や特別支援学校の職員、行政等の関係機関から多数研修生を受け入れています。研修では、障害児支援に加え、診療・通園・巡回訪問、相談支援など、療育センターの特性及び独自の専門機能の理解促進に向けた対応も行っています。
・法人全体で人事考課制度を導入し、職員の経験年数や習熟度、職種、職責別に人材育成計画を策定しているほか、職員ごとに年度目標を設定して、定期的に達成状況の確認を実施しています。
・「東部センター研修委員会」を設置し、職員研修の企画・運営を行っています。内部研修は年度ごとの研修計画に基づき、医療や関係機関との連携など様々なテーマを盛り込み、定期的に開催しています。外部研修についても、部門ごとに職種や経験年数等に応じて年度別・部門別に計画を策定し推進しています。
・「人事考課の手引き(H28年度版)・人事考課(意欲と能力評定)」に基づき、業務遂行能力や理解判断、改善提案、統率力など、職種や経験年数等に応じた役割や期待水準を明示して、全職員に周知しています。また、「社会福祉法人青い鳥の療育センター職員の採用後3年以内に到達すべき目標」を策定し、法人の歴史と職員の心構えの理解、社会人としての自覚、権利擁護・報告・連携・記録等センター職員に必須な基本技術、障害の理解と対応について具体的に列記し、周知と認識共有を図っています。

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