かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

茶々かきのきだい保育園

対象事業所名 茶々かきのきだい保育園
経営主体(法人等) 社会福祉法人 あすみ福祉会
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 227 - 0048
青葉区柿の木台7-5
tel:045-971-5626
設立年月日 2004(平成16)年04月01日
公表年月 2017(平成29)年03月 〜
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 株式会社 学研データサービス
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

《施設の概要》
 当園は、社会福祉法人あすみ福祉会の系列園です。田園都市線の藤が丘駅から徒歩10分ほどの所に位置しています。園舎に面した道路際には、町内会と共同で設置しているお花箱が並んでおり、とてもきれいな環境です。平成16年に公立園から移管されました。移管された時点では公立園の保育を継承してきましたが、平成25年に園舎の改築をし、平成26年4月より茶々かきのきだい保育園という名称に変え、保育をしてきています。定員は180名(平成28年12月現在183名在籍)です。特別保育は、産休明け保育や延長保育、一時保育、障がい児保育などを行っています。付近は閑静な住宅地で、散歩先の公園がいくつもあります。子どもたちは新しい環境の中で伸び伸びと過ごしています。


《特に優れている点・力を入れている点》
○保育室の環境設定が充実しています
 どの保育室も3〜5か所ほどのコーナーが設定され、子どもたちは小集団で楽しめます。また、各コーナーは関連性を持たせたストーリーが工夫されています。例えば、0歳児の保育室のコーナーでは、マットのスペースで着替えてから木枠のコーナーをくぐり抜けたその先に、毛糸玉や発泡スチロールなどをビニールでカバーした上を歩いて感触の違いを楽しんだり、そばには池や公園などをカラーマットで工夫して設定しています。また、1歳児の保育室は、コーナーの壁面に散歩で歩いた近所の建物の大きな写真を順番にはっていき、ついた先に電車があり、マットが交通マップになっているといった楽しいコーナーがいくつもあります。さらに異年齢保育を行っている幼児の保育室の一つは部屋全体が宇宙空間になっているなど、子どもの発想を生かした空間です。このように随所に遊び心を盛り込んだ空間が設定されています。


○系列園の職員たちが集い、手製のおもちゃをたくさん作っています
 当園は既成のおもちゃのほかに職員たちが作った手作りのおもちゃが豊富にあります。これらの手作りのおもちゃは、系列園が協力し合って作っています。具体的には、毎年、2、3日間「おもちゃ作りの日」と称して、都内の系列園に各園から数名ずつ集まって、たくさんのおもちゃを作っています。このおもちゃ作りの日の前には、各園でどんなおもちゃがほしいか話し合い、アイディアを出し合います。そして出てきたアイディアを園長会議にはかり選択します。そして、おもちゃ作りの日に、アイディアのきいたおもちゃを系列園分作り、それぞれ持ち帰ります。このようにして増えてきたおもちゃが園にたくさんあります。このおもちゃ作りの日には、未来の保育士である学生にも参加を呼びかけています。


○3〜5歳児の異年齢保育を実施しています
 当園は3〜5歳児を3グループ(すいか、きうい、ばなな)に分け、各歳それぞれ10人ずつ計30人強の異年齢グループを作って行動しています。この異年齢グループの中に、さらに3〜5歳児一人ずつ3人の仲よしグループを作っています。この異年齢グループは基本的に保育の活動をしています。食べる、寝るなどの生活面は年齢別にしています。また、夏のプール遊びや大きな行事など活動の内容よっては年齢別にすることもあります。この異年齢活動を通して、大きい子どもは小さい子どもをいたわり、優しく教えたりしています。小さい子どもは大きい子どもに憧れの気持ちを持ったり、大きい子どもに一生懸命ついていこうとする頑張る気持ちが培われてきます。


《事業者が課題としている点》
 園のさまざまな決定事項や提案事項を、職員に周知していく方法や、その後の進めかたについて、検討して手順等を決めていくことを課題ととらえています。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重  園では「子どもを子どもあつかいしない」ということを基本方針として、常に子どもを見つめ、なすべきことを考える必要があると考えています。職員にはカリキュラム会議で方針を説明するとともに、実践の保育をどのように行っていくかを指導したり、職員どうしが意見交換したりしています。CCCという法人全職員対象の研修でも、子どもとどのように向き合っていくかを研修のテーマとしています。そのほかにも、法人内研修の保育デザイン研修で、子ども一人一人を「一人の人間として尊重し、向き合うこと」を認識し合っています。保育の目標のなかにも、「せかすことのない大きな愛情をもって接する」と明文化しています。
 保育室は棚やコーナーで空間をしきり、季節ごとにテーマを設けて空間をストーリーとしてとらえられるようにしています。すみれの部屋には、子どもたちが子どもどうしで話し合うことができる「子ども会議室」のコーナーがあり、子どもたちはけんかの後そこで話し合いをしたり、話し合った結果を職員に報告したりしています。一人になりたいときは、屋上菜園やパーテーションを設置した空間にも、プライバシーを守れる場所があります。園の入り口には絵本のコーナーがあり、子どもたちが本を読みにやってくることもあります。職員は、子どもが一人になりたいときや、泣いていることを見られたくないときは、少し離れた場所で子どもを見守っています。
 園では異年齢保育のグループを作る際、子どもたちの体の発達や育ちの様子を踏まえてグループを作っています。クラスやグループの名簿は誕生日順で作成しており、日常保育の中で不必要に男女を分けるようなことはしていません。子どもの個性を尊重し、「自ら育とうとする力を抑えず、のびのびと発揮させる」ことが重要だと考えています。製作物に使う素材では、性差を感じさせる色へのこだわりは持たず、好きな色の中から選べるようにしています。職員は法人内研修や職員会議での話し合いなどによって、一人一人を大切にして保育を行うという園の思いや、ジェンダー教育に対する姿勢を学び、保護者に伝えています。
2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供  保育課程に基づき、年齢ごとに指導計画を作成しています。園独自の書式である「学びを探そうシート」では、体感して学ぶ教育的要素を、健康、人間関係、環境、言葉、表現の5つの領域に分け、さらに伝わりやすくするため9つの項目に分けて保育を行っています。計画を作成する際には、互いの「個」を尊重し合うことを大切にしています。子どもの意思や意見を大切にし、乳児期から子どもの発達に応じて一対一で向かい合い、気持ちを通わせるようにしています。子どもと職員がいっしょに学び、成長する仲間でありたいと考え、子どもの自主性や主体性を育てる指導計画を作成しています。月案、週案は子どもを取り巻く状況の変化に合わせて柔軟に変更します。
 おもちゃは子どもの目線に合わせた高さの棚に、中の物がわかるよう写真をはった箱に入れ、子どもたちが自由に取り出して遊べるようにしています。0歳児からコーナーを設定して好きな場所で遊べるようにし、年齢に合わせた絵本や汽車、おままごと、人形が配置されています。ボタンはめや、ビーズ通し、変身セットなど手作りのさまざまなおもちゃのストックがあり、子どもの成長や季節に合わせて出しています。朝、昼の給食前、夕方の時間帯は、子どもが自由に遊びこめる時間になっています。
 子どものけんかについては、言葉で表現できない子どもには取り合いなどを事前に防ぎ、けんかになった場合は互いの気持ちをくみ取って言葉にしたり、代わりのものを勧めてみたりしています。話ができる子どもには、自分たちで解決できるように見守り、必要に応じて仲立ちをしています。保育室の「子ども会議室」のコーナーで、子どもどうしが話し合って解決することもあります。園では3〜5歳児は縦割り保育を基本とし、「活動の時間」は異年齢で3クラスに分けた縦割りのクラスで活動し、給食や睡眠など「生活の時間」は年齢別で行っています。また2歳児と4歳児で散歩に行く機会などもあり、朝、晩の時間帯も異年齢で遊んでいます。職員は公平で温かい態度で接し、子どもたちと和やかに話をして信頼関係を築いています。
3 サービスマネジメントシステムの確立  年間指導計画、月間指導計画、月案、日案を1週間分まとめた週案があります。年間指導計画は年度末に振り返り、次年度のための評価と見直しを行っています。年間指導計画は0〜2歳児は年齢ごと、3〜5歳児は異年齢保育としてまとめられた「保育・教育の内容(年間・月間)」に、養護、生活、遊び、活動などの保育の活動内容が展開されます。月案の評価、改定にあたっては、年齢ごとにカリキュラム会議を実施し、毎月複数の職員が参画します。会議で出された意見はまとめられ、振り返りの後、見直し案を作成します。指導計画を改定する際には、できるだけ保護者から出された意向を反映するようにしています。
  短縮保育を行っています。入園説明会の際に口頭で保護者に説明するとともに、「保育園のしおり(重要事項説明)」に明記しています。慣れ保育の期間は10日間と設定していますが、保護者と話し合い、柔軟にスケジュールを変更しています。0、1歳児の主担当職員は決まっています。タオルなど、子どもが心理的よりどころとする物の持ち込みを許可しています。保護者とは連絡帳を毎日やり取りして、日々の生活上の疑問や不安に答えたり、送迎のときの会話で子どもの様子を伝えたりするとともに、活動について室内にも掲示しています。新しく入園した子どもと在園児はグループ分けして、それぞれが安心して過ごせるよう担当職員が配慮しています。
 保育園のしおりの中で、苦情解決体制について明記するとともに、「あすみ福祉会茶々かきのだい保育園が提供する福祉サービスに係る保護者の皆様からのご提言への対応」で、苦情解決受付担当者、苦情解決責任者を保護者に周知しています。第三者委員や、権利擁護機関などほかの苦情解決窓口の連絡先も記載しています。園の入り口に意見箱を設置するとともに、年2回の懇談会や行事後のアンケートで保護者の要望や苦情を聞いています。自分で意見を表明することが困難な乳児には、保護者との連絡帳を活用してコミュニケーションを取るようにしています。アンケートはまとめ、職員会議で要望の内容を検討しています。
4 地域との交流・連携  園の塀に沿った道路に、ベンチとプランターが交互につながっている長い「お花箱」が設置されています。そのお花箱に、町内会と園が協力して花を育てています。町内会が季節ごとに花を植え替えて、園では水やりなどの世話をしています。また、町内会の会議に園長が出席して、地域の防災などについて話し合ったり、防災訓練の際はテントの組み立てなどにも協力しています。このほか、地域の子育て中の保護者が園見学に来た際に、保育園探しや子どもの遊ばせかたなどを主任が指導したり、離乳食や感染症などについて看護師が指導したりしています。なお、青葉区役所や青葉区区民交流センター、地域療育センターあおばとは、連携を取りながら保育にあたっています。
 毎週実施している園庭開放のお知らせは、青葉区役所や青葉区地区センターにチラシを置かせてもらい、地域の方々に伝えています。そのお知らせに、「日ごろの育児の不安・お子さんのことなど、いつでも相談を受け付けています。看護師や栄養士がいますので何かあればお気軽に相談ください」という文言を載せています。このお知らせを見て来園した方が、看護師や栄養士に相談をしています。なお、園での催し物などは、青葉区区民交流センターや青葉区のこども家庭支援課に知らせるなど、情報提供をしています。
 「ボランティアのしおり」の中に、時間帯や持ち物、服装、遊び、諸注意事項などが記載されています。そのしおりを使い、ボランティアにオリエンテーションを実施しています。職員のボランティアに関する考えかたや対応などは、実習生マニュアルの中に併記されています。受け入れ担当は主任が行い、説明をする際は、特に守秘義務について注意することを確認しています。中・高生のボランティアが多いのですが、そのほか近所のボランティアの方が、草むしりや虫の飼いかたなどの指導をしてくれています。その方が園庭に生えている草の中に毒性のある葉があることを教えてくれ、早速、除去しました。この方には引き続き、園庭の草木などのアドバイスをしてもらっています。
5 運営上の透明性の確保と継続性  就業規則の中の「服務規程」の項目で、不正・不適切な行為を行わないことが記載され、入職時に園長がていねいに説明をしています。就業規則は事務所に置いてあり、いつでも職員が見られるようにしています。また、他施設での事故など自園でも起こる可能性があるものについては、そのニュースをコピーし、園長は全職員に配付して注意を呼びかけています。そのほか必要に応じて、昼のミーティングで直接注意喚起をしています。なお、法人の運営状況や決算書はホームページで公表しており、それらの書類を求められれば提示するようにしています。
 職員の自己評価は行動評価表という形で人事考課とリンクしていますので、この行動評価表の結果をそのまま全職員のテーブルに載せるというわけにはいきません。ただ、園長面談を実施していますので、自分の行動評価の結果は園長から伝えられますし、職員全体の傾向についても話があります。そして、職員全体の行動評価表の結果の概要および傾向については、職員会議で園長から報告があり、そこから課題が明らかになりますので、その課題の解決策については話し合います。ただ、保育園全体の自己評価の作成には至っていません。幸い、横浜市作成の保育園の自己評価表がありますので、それを活用するのも一つの考えでしょう。
 運営に関し、福祉関連会社に依頼して財務、労務の専門家に見てもらい、アドバイスをもらっています。そのほか、臨床心理士や弁護士などからもアドバイスをもらっています。また、次代の後継者のために、「マネージメント研修」を系列園メンバー10〜12名ほどの人数で行っています。この研修は4日間ほど行います。ただ、数年先を見通した計画については、園長が方向性や思いを記載した書類は作成していますが、具体的な計画には至っていません。やはり中・長期計画は、施設管理や保育計画、保護者対応、地域支援活動など大きな柱のもとに3〜5年先を見通した計画を策定されておくと良いでしょう。そうすることで、職員全員が理解し、同じ方向を目ざすことができます。今後の策定を期待します。
6 職員の資質向上の促進  正規職員の採用は、園長が園見学と法人の説明をした後、面接(理事長、本部のスタッフ、園長)、論文の筆記試験、実技(現場に入り、チェックシートで判定)を行い、理事長の判断で決めます。非常勤職員の採用は現場の園長が決めます。職員の人材育成計画は、行動評価表(等級別に業務遂行能力、思考力など)に、行動判定評価表(それぞれ行動レベルが着眼点とともに何段階か作成され評価点がついている)のもとに自己評価し、主任の1次評価、園長の2次評価をつけて本部に提出するしくみです。この人事考課につながる行動評価と園長面談を毎年実施することで、個々の人材育成につなげています。
 職員の自己評価は人事考課とリンクしている「行動評価表」で実施しています。行動評価表は、本来の業務を遂行する能力やチーム内での協力、園全体の運営について、保護者対応など保育士としての業務について、客観的に自己を見つめる形式になっています。そういった中で、前理事長のアドバイスを得て、保育室内のコーナー保育を修正しました。従来は単独のコーナーでしたが、有機的な動きのあるコーナー作りができないかということで、職員が工夫し、いろいろな発案のコーナーが誕生しています。そのほか、法人内の公開保育が実施され、今年度は当園が公開保育をして、ほかの系列園から意見をもらっています。
 非常勤職員には、まず、園長が当園の保育課程と保育所保育指針をもとに説明し、当園の保育を理解してもらうようにしています。そして、主任や学年担当リーダーが、「乳児保育」という法人の前理事長を中心として作成した冊子に基づき、0〜2歳児の保育について具体的な流れを説明しています。具体的には、散歩、アレルギー、おやつ、離乳食、清掃、救急救命法、モンテッソーリ教育などを特にていねいに説明しています。職員配置は常勤職員の補助を担当してもらいます。常勤職員と同様に非常勤職員にも力をつけてもらうために、法人主催の全体研修やカリキュラム会議、園内の研修には参加してもらっています。

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