かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

横浜市北部地域療育センター(2回目受審)

対象事業所名 横浜市北部地域療育センター(2回目受審)
経営主体(法人等) 社会福祉法人横浜市リハビリテーション事業団
対象サービス 障害分野 地域療育センター
事業所住所等 〒 224 - 0062
都筑区葛が谷16番3号
tel:045-942-3451
設立年月日 1994(平成6)年01月20日
公表年月 2017(平成29)年02月 〜
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 特定非営利活動法人 市民セクターよこはま
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

【施設の概要】
[施設]
 横浜市北部地域療育センターは、横浜市営地下鉄グリーンライン「都筑ふれあいの丘」駅から徒歩約4分の所にあり、道路を隔てて、都筑プール、横浜あゆみ荘(障害者研修保養センター)、横浜市資源循環局都筑工場があります。
 平成6年(1994年)1月、横浜市により開設され、指定管理者として社会福祉法人横浜市リハビリテーション事業団が運営しています。また、平成22年(2010年)4月に、市営地下鉄ブルーライン「中川」駅近くに、知的に遅れのない発達障害の子どもを対象とした児童デイサービス事業所(現児童発達支援事業所)「ぴーす中川」が開設されました。担当地域は、緑区・都筑区です。
 施設は、鉄筋コンクリート造5階建ての2〜5階を使用し、1階は横浜市葛が谷地域ケアプラザとなっています。5階は受付・事務室・厨房など、4階は診療室・相談室・訓練室・水治療室など、2・3階は、指導室・訓練室・遊戯室などで、屋上に園庭があります。
[組織・事業内容]
 ・診療部門:診療、個別療法、集団療育(外来グループ療育)
 ・通園部門:児童発達支援(定員50名)、医療型児童発達支援(定員40名)
 ・相談部門:センター利用の初相談、子どもの生活全般の相談、地域関係機関への巡回相談・支援など
 ・児童発達支援事業所:ぴーす中川(定員48名)[ブルーライン「中川」駅の近くにあります]
[センター運営の基本方針]
 横浜市北部地域療育センターは、障害があるお子さんのより豊かな地域生活の実現を目指し、お子さんとそのご家族を支援するセンターです。常に「利用者中心のセンター運営」を念頭におき、利用者の人権を尊重する視点に立った運営に努めていきます。
 ・質の高い療育プログラムを提供します
 ・開かれたセンター運営を目指します
 ・ほっとできる温かい雰囲気作りを大切にします
 ・地域社会と連携し、相互の理解を深めます
[センター利用の基本的な流れ]
 センターを利用する場合の基本的な流れは、次のようになっています。0歳から小学校期までの児童を対象(ただし通園施設利用は就学前まで)。[子どもの状況により、さまざまなケースがあります]
 受付・相談 →相談継続(または終了)
  →インテーク(初診のための聞き取り)
   →診察・各種評価(検査) 
    →療育方針・療育プランの検討(保護者へ提示・情報提供)
     →個別療育 集団療育 保護者教室

 

◆ 高く評価できる点
1、一人一人の子どもに適した支援を実施しています
 診察・各種評価の結果をもとに、療育プランを検討し、保護者の意向も踏まえ、一人一人の子どもの支援計画を作成し、それに基づいて、診療部門・通園部門・児童発達支 援(ぴーす中川)・相談部門が連携して、それぞれの子どもに適した支援を実施しています。さらに、通園施設では、より詳しい個別支援計画を作成しています。年度初めの作成(初期)・半年後の見直し(中期)・年度末の振り返り(終期)には、保護者の要望・意向なども聴き取り、保護者と確認しながら作成しています。
利用者が多い通園施設では、年齢・障害の種別・発達の状況などを勘案し、11クラス(19グループ)編成としています。1クラスは、子ども6-9名で、週5日、週3日、週2日、週1日などの通園日数に分かれ、親子通園日・単独通園日などの組み合わせがあります。
 クラス内は、衝立やカーペットで仕切ってコーナーを作り、子どもたちが落ち着いて過ごせるようにしているほか、その日に利用する子どもの状況に応じて、室内のレイアウトを変更したり、教材・遊具などを入れ替える工夫をしています。職員は、一日の活動の流れを絵カードや文字板など用いて子どもたちが分かりやすいように示しています。また、子どもの態度や仕草などから子どもの思いを汲み取り、さらに、子どもの発言をじっくりと丁寧に聞き取るようにしています。子ども一人一人の個性を受け止め、急かせることなく、子どもが自分の思いを達せるよう支援しています。

 

2、保護者への支援が充実しています
 初診前や初診後間もない保護者、外来グループ利用の保護者を対象とした「療育講座」を年間10回程度開催しているほか、通園施設やぴーす中川では、それぞれ保護者教室を年間10回以上行っています。テーマは、保護者のニーズも踏まえ、それぞれの子どもの障がいの状況や発達段階などに対応したものとなるようにしています。また、通園施設やぴーす中川では、普段参加できない家族(父親など)のために、家族参観や家族講座を土曜日や日曜日に開催するなどの工夫をしています。
 センター処遇会議の下部組織として、各職種の職員が参加する検討会議(肢体系、知的系、学齢児)を設置し、利用申込者の増加に対応する方策などを議論し、「まずは、やってみよう」と、できるだけ保護者の要望に応えるよう努めています。例えば、週1日通園のクラスを新設したり、月1回程度であった「にこにこ広場」を、平成27年度から毎週開催するようにしたり、インテーク面談後、必要に応じ心理士による個別面談を始めるなど、さまざまな試みを行っています。また、ボランティア委員会を設置し、近隣の大学などに呼びかけ、きょうだい児保育や行事開催時のボランティアを募集するなど、保護者がセンターで行われるさまざまな活動に参加しやすくなるようにしています。

 

3、職員間で情報が共有され、連携してより良い支援となるよう努めています
 一人一人の子どもの支援計画は、診療部門・通園部門・相談部門などの各職種が連携して、カンファレンスやケース会議を開き作成し、定期的に評価・見直しを行っているほか、子どもの状況に大きな変化があった場合などは、直ちに見直しています。
 また、基本的な業務マニュアルや危機管理マニュアルなどは、パソコンを利用して、全職員が共有できるシステムが構築されています。さらに、センター運営会議・療育体制会議・虐待防止委員会など各種委員会の議事録、事業団の情報などもパソコンを通じて得られるようになっています。さまざまな情報を共有し、全職員が連携して、より良い支援となるよう努めています。

 

◆ 今後の工夫が期待される点
1、地域生活への支援の充実
 利用者および家族が、安心してより豊かな地域生活を送ることができるように、センターでは、地域資源に関する情報を掲示したり、就学や幼稚園・保育所などへの子どもの進路に関する相談に応じています。また、地域の学校、幼稚園・保育所などへの訪問や巡回相談などを行い、地域での支援体制がより向上するように努めています。しかし、地域での受け皿は十分ではなく、利用者および家族はセンターに頼らざるを得ないのが実情です。一方、一人一人の利用者・家族のニーズは多様化し、発達障害児(高機能群)の増加などもあり、センターの業務は増大・複雑化する方向にあります。
 このような状況を踏まえ、地域療育システムの中心的な役割を果たす機関としてのセンターの機能はどうあるべきか、幼稚園・保育所や民間の児童発達支援事業所・放課後等デイサービス事業所などとの役割分担をどのようにするかなどを検討し、子どもや家族がさらに地域で暮らしやすくできるよう支援を充実させることが期待されます。

 

2、保護者アンケート結果へのフォロー
 今回の第三者評価における在園児・卒園児・診療所利用児の保護者アンケートで、「診察に関する支援」(“医師の診察や訓練指導等の頻度”)について、多くの保護者が「不満」「どちらかといえば不満」と答えています。自由記述欄にはどのようなことが不満なのかの記述はほとんどないので、保護者と直接話し合って、具体的に何を望んでいるかなどを聴き取り、対応を検討することが期待されます。
 また、診療所利用児の保護者では、「保護者を対象とした勉強会等の支援」「センターからの情報提供や保護者の相談への対応、センターの対応の一貫性」「センター全体の安全管理」「苦情・要望への対応」の設問で、「その他」の回答が多くなっています。コメント欄には、“知らない”“わからない”などの記述がありますので、情報提供や伝達法の工夫をすることが期待されます。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重 ・基本理念を“横浜市北部地域療育センターは、障害があるお子さんのより豊かな地域生活の実現を目指し、お子さんとその家族を支援するセンターです。常に「利用者中心のセンター運営」を念頭におき、利用者の人権を尊重する視点に立った運営に努めていきます。”としています。
・年度初めのセンター内全体研修会の中で、人権研修を行い、子どもの人格を辱めたり、自尊心を傷つけるような言動を行ってはならないことを、全職員に周知しています。また、毎月虐待防止委員会(CAPS委員会)を開催し、虐待の予防に配慮しています。
2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供 ・センターの利用開始にあたっては初診の前にソーシャルワーカーが保護者に、センターの理念や基本方針、支援の内容、利用に伴う費用等を説明しています。
・保護者支援の一環として、子どもの障害の状況や保護者のニーズに応じた療育講座を、年間を通して開催しています。また、通園部門では保護者の勉強会として「保護者教室」を開催しています。
・診察の時間については、初診に1時間、再診に30分間を確保しています。新規利用児が年々増加しており、申し込みから初診までの期間の長期化は明確です。センターではこの状況下で、保護者の不安を少しでも軽減する取り組みを積極的に行っています。まず、申し込みから面接までの期間を2週間で実施するようにしています。次に、初診までの期間に指導員が子どもに遊びのプログラムを提供したり、ソーシャルワーカーが保護者の相談に応じたりできる場を「にこにこ広場」として毎週月曜日に設定しています。
・通園部門での個別支援計画は、年度初めに保護者の希望や子どもの課題を考慮した初期評価を定め、半年ごとに中期カンファレンス、後期カンファレンスの場で振り返りを行っています。支援計画書は保護者と面談し、内容を確認しながら作成し振り返り欄には保護者とセンターの双方が記載する様式です。
・通園部門の保護者への情報提供は年間4回の保護者連絡会を実施しています。年度初めに「利用者ハンドブックの説明」、秋に「後期の説明」、年明けに「クラス体制の報告、」年度末に「次年度の契約について」と、時期に応じた保護者に必要な情報提供をしています。
3 サービスマネジメントシステムの確立 ・支援計画は、一人一人の子どものアセスメントに応じた適切な内容となるように、処遇会議やカンファレンスで討議し,課題解決のための目標やその達成時期を盛り込んでいます。
・苦情解決規則を事業団として定めています。その概要をフローチャート形式で表示し、診療所待合室に掲示しているほか、初診時に保護者に配布しています。また、通園利用の保護者に対し、毎年、満足度調査を行い、その結果を保護者連絡会などで知らせています。
・各職種間のカンファレンスを実施し、利用者一人一人についてセンターとしての支援内容と方向性の確認を行っています。また、利用者に変化が生じた場合などには、ミニカンファレンスを多く設け、職員間の情報共有と周知を図っています。
・給食に係る配慮としては、入園時に保護者から「食事についての質問紙」を提出してもらっています。これにより、食べる姿勢・食器や食具の種類・調理の工夫等、家庭での食事の様子を把握すると共に、子どもの障害特性に合わせた食形態を用意しています。
・子どもが自らの意欲や自分の力で食べることが出来るように主食(ご飯・パン)の選択をしたり、食卓で子どもの好きな味付けを少し足したりするなどの工夫や支援をしています。
・施設利用にあたり、保護者には重要事項や契約に関しての説明会を設けています。重要事項説明書をわかりやすくした「利用者ハンドブック」も配付し、個別の質問にも応じています。
・危機管理マニュアル中に、大規模地震発生時などの非常災害時への対応が定められていて、年度初めの全体研修会で周知して います。非常災害時の対応マニュアル中に、職員連絡網、関係部署・関係機関連絡先や、保護者への連絡方法などを記載しています。
・外部から不審者侵入などがあった時の対応マニュアルを定めています。2・3階の通園施設の入口ドアは、暗証番号付きの施錠を行っています。
・感染症対策マニュアルを作成し、全体研修会などで職員に周知しています。感染症の疑いが生じた場合の対応や、感染症が発生した場合の登園停止などの基準を利用者ハンドブックに記載し、保護者に知らせています。
4 地域との交流・連携 ・幼稚園・保育所、学校からの依頼に応じて、巡回相談や巡回訪問を実施しています。
・幼稚園・保育所からの研修依頼に応じています。園単位の依頼だけにとどまらず、緑区および都筑区が主催する保育所に向けた研修への依頼にも毎年応じています。また、センター主催の「北部療育セミナー」(幼稚園・保育所の保育士向け研修)は受講希望者が多く、今年度より受け入れ人数を多くする体制を整えています。
・学校からの研修依頼に応じています。校内研修の講師として訪問するだけでなく、センターで小学校の教職員を対象とした研修および施設見学を実施しています。
・児童相談所・区福祉保健センター・学校等とは、良好な協力関係を築いています。
・実習生を受け入れています。実習プログラムはセンターの全体を理解してもらう為に、医療型児童発達支援のクラス・児童発達支援のクラスの両方のクラスでの実習体験をしてもらっています。研修は、研修生の職種に応じた効果的な研修内容を工夫しています。
・昨年度より、センターにボランティア委員会を設け、学生ボランティア受け入れに力を入れています。大学のゼミに出向き、センターの紹介及び状況を説明し、学生ボランティア獲得に積極的な活動をしています。
5 運営上の透明性の確保と継続性 ・事業団のホームページには、利用の流れや療育センターの紹介等、療育センターの全体的な案内を載せています。各センターのホームページにはセンターの概要・対象児童・職員体制・療育講座案内等を掲載しています。ホームページは、丁寧なわかりやすい構成で作られ、療育講座案内等のタイムリーな案内は、随時更新しています。
・年度初めの全体研修会で、個人情報保護、人権の尊重、セクハラ・パワハラの防止などについて全職員に周知しています。個人情報保護については、研修後、全職員が誓約書を横浜市に提出しています。
・個人情報の取り扱いに関する規則を定め、年度初めの全体研修会で、全職員に周知しています。
・個人情報に関する記録は、事務室の鍵のかかる書架に保管し、適切に管理しています。また、帰宅時には、パソコンも必ず施錠できる場所に保管するようにしています。
・事業団として、CSR(企業の社会的責任)活動に取り組んでいます。例えば、給食材料の地産地消、ペットボトルキャップの回収(BCGワクチンへ)、不要被服のリサイクルなどをホームページに掲げています。
・年度初めの全体研修の中で、センター運営の基本理念を説明しているほか、療育体制会議およびセンター運営会議で、当年度の運営方針を伝えています。
・管理職会議・センター運営会議・療育体制会議など、各種会議・委員会などのメンバーや開催頻度などを決め、課題の把握および解決に努めています。今後のセンターの支援方法等を検討する会議(肢体系、知的系、学齢)を設置し、各職種の職員が参加しています。
・主任クラスの職員は、スーパーバイザーとして、個々の職員の能力や経験に合わせて的確な助言や指導を行っています。
・事業団の中期目標に沿い、センターの中期事業目標を定め、センター運営会議などで職員に伝え、実行に移しています。進捗状況を毎年チェックし、適宜見直しを行っています。
・危機管理マニュアルやその他の業務マニュアルは、パソコンにより、全職員がアクセスできるようにしています。また、さまざまな会議議事録や情報なども見ることができ、業務の効率化を図っています。
・センターの利用申し込み状況を毎月確認しています。初診待ちの期間短縮のため、初診枠・再診枠のバランスをとりながら柔軟な運用を図っています。また、利用申し込み後の保護者が不安なく過ごせるよう、初診前に全保護者に対して面談を実施しています。
6 職員の資質向上の促進 ・職員一人一人が、毎年、職員行動計画書による自己目標設定を行い、年度初め・中間期・年度末に、上司と面談して目標の達成度などを話し合っています。自己目標は、事業団理事長方針・センター長方針・部門長方針を踏まえて設定することとなっています。
・センター内に研修委員会を設け、テーマの選定や開催日時の決定を行い、対象の職員が必ず受講できるように配慮しています。
・職種別・部門別にミーティング・臨床検討会・勉強会などを開き、支援技術の向上を図っているほか、事業団主催の職種別勉強会なども行われています。また、センター内全体研修会に、外部講師を招き、支援技術の指導等を受けています。
・職員行動計画書に基づく自己目標設定、達成度評価の際の個別面談や人事考課面談などで、職員の満足度、要望などを把握しています。
・各種会議の際に、業務改善などの提案を受けているほか、職員がいつでも改善の提案や意見を言える雰囲気となるようにしています。

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