かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

横浜市西部地域療育センター(2回目受審)

対象事業所名 横浜市西部地域療育センター(2回目受審)
経営主体(法人等) 社会福祉法人横浜市リハビリテーション事業団
対象サービス 障害分野 地域療育センター
事業所住所等 〒 240 - 0035
保土ヶ谷区今井町743-2
tel:045-353-6933
設立年月日 2001(平成13)年04月01日
公表年月 2017(平成29)年02月 〜
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 特定非営利活動法人 市民セクターよこはま
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

【施設の概要】
[施設]
 横浜市西部地域療育センターは、JR横須賀線「保土ケ谷」駅または相鉄線「二俣川」駅からバスで「美立橋」停留所下車、すぐ前にあります。平成13年(2001年)4月、横浜市により開設され、指定管理者として社会福祉法人横浜市リハビリテーション事業団が運営しています。その後、平成23年(2011年)4月に、旭区役所の近くに、知的に遅れのない発達障害児の療育のための児童デイサービス事業所(現児童発達支援事業所)“ぴーす鶴ケ峰”が開設されました。担当地域は、保土ケ谷区、旭区、瀬谷区です。
 施設の建物は、鉄筋コンクリート造2階建てで、1階は、指導室(6室)、集団指導室、水治療室、事務室、2階は、診察室、指導室(5室)、外来グループ室、訓練室、各種療法室、検査室、地下1階は会議室などとなっています。1階指導室外側に園庭があります。
[組織・事業内容]
 ・診療部門:診療、個別療法、集団療育(外来グループ療育)
 ・通園部門:児童発達支援(定員50名)、医療型児童発達支援(定員40名)
 ・相談部門:センター利用の初相談、子どもの生活全般の相談、地域関係機関への巡回相談・支援など
 ・ぴーす鶴ケ峰:児童発達支援事業所(定員48名:日々12名)(旭区役所近くのビル内にあります)
[理念・基本方針]
 ・理念:私たちは利用者の基本的人権を尊重し、利用者および家族が地域で安心して充実した生活が送れるよう支援します。そのために信頼されるサービスを常に創造します。 
 ・基本方針:・利用者の人権を尊重します
          ・利用者主体を貫きます
           ・インフォームドコンセントを実施します
           ・チームアプローチをして迅速な意思決定をします
[センター利用の基本的な流れ]
 センターを利用する場合の基本的な流れは、次のようになっています。0歳から小学校期までの児童を対象(ただし通園施設利用は就学前まで)。[子どもの状況により、さまざまなケースがあります]   
 受付・相談 →相談継続(または終了)
  →インテーク(初診のための聞き取り)
   →診察・各種評価(検査) 
    →療育方針・療育プランの検討(保護者へ提示・情報提供)
     →個別療育  集団療育 保護者教室

 

◆ 高く評価できる点
1、一人一人の子どもに適した支援を実施しています
 診察・各種評価の結果をもとに、療育プランを検討し、保護者の意向も踏まえ、一人一人の子どもの支援計画を作成し、それに基づいて、診療部門・通園部門・児童発達支援(ぴーす鶴ケ峰)・相談部門が連携して、それぞれの子どもに適した支援を実施しています。さらに、通園施設では、より詳しい個別支援計画を作成しています。年度初めの作成(初期)・半年後の見直し(中期)・年度末の振り返り(終期)には、保護者の要望・意向なども聴き取り、保護者と確認しながら作成しています。
 利用者が多い通園施設では、年齢・障がいの種別・発達の状況などを勘案し、10クラス(16グループ)編成としています。1クラスは、子ども6-9名で、週5日、週3日、週2日などの通園日数に分かれ、親子通園日・単独通園日などの組み合わせがあります。
 クラス内は、衝立やカーペットで仕切ってコーナーを作り、子どもたちが落ち着いて過ごせるようにしているほか、その日に利用する子どもの状況に応じて、室内のレイアウトを変更したり、教材・遊具などを入れ替える工夫をしています。職員は、一日の活動の流れを絵カード・文字板・写真など用いて子どもたちが分かりやすいように示しています。すべてを提示するのではなく、いくつかの活動を終わってから、次を提示する方が理解がしやすい子どもに対しては、段階的に示すなどの工夫もしています。また、子どもの態度や仕草などから子どもの思いを汲み取り、さらに、子どもの発言をじっくりと丁寧に聞き取るようにしています。子ども一人一人の個性を受け止め、急がせることなく、子どもが自分の思いを達せるよう支援しています。

 

2、保護者への支援が充実しています
 初診前や初診後間もない保護者、外来グループ利用の保護者を対象とした「療育講座」を年間10回程度開催しているほか、通園施設やぴーす鶴ケ峰では、それぞれ保護者教室を年間10回以上行っています。テーマは、保護者のニーズも踏まえ、それぞれの子どもの障がいの状況や発達段階などに対応したものとなるようにしています。また、通園施設やぴーす鶴ケ峰では、普段参加できない家族(父親など)のために、家族参観や家族講座を土曜日や日曜日に開催するなどの工夫をしています。
 療育体制会議の下部組織として、各職種の職員が参加する検討班(精神系、肢体系、学齢児)を設置し、利用申込者の増加に対応する方策などを議論しています。例えば、本年度より、ぴーす鶴ケ峰があるビルの1フロアを「ぶらんちスペース」として新たに借り受け、初診前の保護者の不安解消と児童への遊びの場を提供する「ぴょんぴょん広場」の回数を従来より増やしたり、週1日通園クラスとほぼ変わらない集団療育を開始したり、初診後、通園など集団療育を待っている親子を対象とした子育て支援サロンを新たに実施するなど、できるだけ保護者の要望に応えるよう努めています。

 

3、職員間で情報が共有され、連携してより良い支援となるよう努めています
 一人一人の子どもの支援計画は、カンファレンスやケース会議を開き作成し、定期的に評価・見直しを行っているほか、子どもの状況に大きな変化があった場合などは、直ちに見直しています。チームアプローチとして、診療部門・通園部門・相談部門などの各職種が連携して取り組んでいます。
 また、センター内の情報システム化が進んでおり、各種マニュアル・規則・規程類や、センター運営会議・療育体制会議・危機管理委員会など各種委員会議事録、事業団からの情報などがモニター画面で全職員が見ることができるようになっています。このシステムを活用し、会議などでは、議題に関連する報告事項や資料はネットを通して事前に提供し、出席者が読んでいることを前提として、検討課題や決めるべきことなどを、会議の場で、短時間に十分議論できるようにするなど、効率化を図っています。さまざまな情報を共有し、全職員が連携して、より良い支援となるよう努めています。

 

◆今後の工夫が期待される点
1、地域生活への支援の充実
 利用者および家族が、安心してより豊かな地域生活を送ることができるように、センターでは、地域資源に関する情報を掲示したり、就学や幼稚園・保育所などへの子どもの進路に関する相談に応じています。また、地域の学校、幼稚園・保育所などへの訪問や巡回相談などを行い、地域での支援体制がより向上するように努めています。しかし、地域での受け皿は十分ではなく、利用者および家族はセンターに頼らざるを得ないのが実情です。一方、一人一人の利用者・家族のニーズは多様化し、発達障害児(高機能群)の増加などもあり、センターの業務は増大・複雑化する方向にあります。このような状況を踏まえ、地域療育システムの中心的な役割を果たす機関としてのセンターの機能はどうあるべきか、幼稚園・保育所や民間の児童発達支援事業所・放課後等デイサービス事業所などとの役割分担をどのようにするかなどを検討し、子どもや家族がさらに地域で暮らしやすくできるよう支援を充実させることが期待されます。

 

2、保護者アンケート結果へのフォロー
 今回の第三者評価における在園児の保護者アンケートで、「診察に関する支援」(“医師の診察について、十分な診察時間が確保されているか”“医師の診察や訓練指導等の頻度”)について、多くの保護者が「不満」「どちらかといえば不満」と答えています。自由記述欄にはどのようなことが不満なのかの記述はほとんどないので、保護者と直接話し合って、具体的に何を望んでいるかなどを聴き取り、対応を検討することが期待されます。
 また、診療所利用児の保護者では、「保護者を対象とした勉強会等の支援」「センターからの情報提供や保護者の相談への対応、センターの対応の一貫性」「センター全体の安全管理」「苦情・要望への対応」の設問で、「その他」の回答が多くなっています。コメント欄には、“知らない”“わからない”などの記述がありますので、情報提供や伝達法の工夫をすることが期待されます。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重 ・センターの理念は、「私たちは利用者の基本的人権を尊重し、利用者及び家族が地域で安心して充実した生活が送れるように支援します。そのために信頼されるサービスを常に創造します。」です。
・人権研修を行い、子どもと保護者の人格を辱めたり、自尊心を傷つけるような言動を行ってはならないことを、全職員に周知しています。また、新採用研修や事業団全体研修で、接遇マナーを学ぶ機会を設け、子どもと保護者に対し威圧的な言葉遣いなどをしないよう周知しています。
2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供 ・センター利用の開始にあたっては、パンフレット等を用いて、保護者にセンターのサービス内容や費用などを説明しています。ソーシャルワーカーによるインテーク面接を初診前に実施し、保護者に対し、子どもへの接し方などのアドバイス、センター利用の流れについて資料を用いて説明しています。
・保護者に必要な情報を提供することを目的に、3つのテーマごとに年6回基礎講座および外来利用の保護者に対し年10回の療育講座を開催しています。基礎講座は発達障害の基礎知識等の3つのテーマで、精神科医や心理士、保育士・指導員が講師となりそれぞれの分野で具体例を用いて説明しています。
・初診は60分、再診は30分を原則としながらも、再診や学齢期児童とのバランスなどを考慮し、適切な初診枠の設定に努めていますが、センターでは、年間300人の初診枠が適切であるとしています。しかし、その2倍以上のニーズに対応せざるを得ないのが現状であり、医師や診察室の不足のなかで十分な時間や診察回数を確保するのが困難な状況です。
・通園部門では、個別支援計画を年度ごとに策定しています。子どもの基本的生活習慣、認知・感覚、社会性、対人コミュニケーション、運動、家庭支援等に分類しそれぞれの目標を設定し具体的支援内容を明記し、保護者に説明し、同意のサインをもらっています。
・保護者連絡会を年に5回開催し、クラス懇談会を毎週開催し保護者の思いや意見・要望の把握に努めています。また、年に2回園長が保護者と食事をしながら意見交換を図る場を設定しています。
3 サービスマネジメントシステムの確立 ・支援計画は、カンファレンス等において、関係職種間で検討し、一人一人の子どものアセスメントに応じた適切な内容としています。
・苦情解決規則を事業団として定めています。その概要をフローチャ−ト形式で表示し、センター内に掲示しているほか、センター利用申し込み時や入園時に、保護者に配布しています。
・センターのエントランスホールに意見箱を設置しています。親の会からの要望書や、保護者連絡会・園長懇談・保護者代表も出席する運営協議会などで要望や苦情を受け付けています。
・カルテや個別支援計画等の利用者に関する情報は所定の場所に保管され、全職員が閲覧することができます。また、情報のシステム化を進め、センター全体の運営や療育サービスなどに係る情報を、全職員がそれぞれ各自のパソコン画面を通して確認する仕組みを整備しています。
・押しつぶし食など6種類の食形態での食事を提供しています。栄養士が子どもの毎日の食事の状況を給食日誌に記録し、献立や調理の改善に生かしています。また、食器類は作業療法士のアドバイスによりすくいやすい皿を工夫しています。職員は子どもの食事の状況を優しく見守り、一人一人の特性に配慮し自らの意思で積極的に食べるように雰囲気づくりに工夫しています。
重要事項説明書に施設の概要、運営方針、提供するサービス内容及び利用料金等を明記し、保護者に説明して、同意のサインをもらっています。
・危機管理マニュアル中に、大規模地震発生時などの非常災害時への対応が定められていて、年度初めの全体会議で周知しています。非常災害時の対応マニュアル中に、職員連絡網、関係部署・関係機関連絡先、保護者への連絡方法などを記載しています。緊急時に、通園利用者に一斉メール発信できるようにしています。
・外部から不審者侵入などがあった時の対応マニュアルを定め、年度初めの全体会議で周知しています。通園では、不審者対応の訓練もしています。
・感染症対策マニュアルを作成し、全体会議などで職員に周知しています。ノロウイルス対策として、嘔吐処理マニュアルと処理セットを整備しています。
・感染症の疑いが生じた場合の対応や、感染症が発生した場合の登園停止などの基準を利用者ハンドブックに記載し、保護者に知らせています。
4 地域との交流・連携 ・巡回相談は、幼稚園・保育所からの依頼に基づき、時期や回数を決めており、適切に対応しています。
・幼稚園・保育所からの研修への協力依頼などに応えています。例えば、保育園園長会主催の研修会をセンターの会議室で開催し、センターの職員が講師を務めたことがあります。また、幼稚園・保育所・地域訓練会などの職員を対象とした療育セミナーを、毎年、センター会議室で行っています。
・センターおよびぴーす鶴ケ峰において、オープンデイを実施し、施設見学だけでなく、実際の療育の工夫や取り組みについて、具体的に体験できる機会を設けています。
・学校訪問は、学校からの依頼に基づき時期や回数を決めており、適切に対応しています。依頼に対応し、学校やクラスの状況に応じて、研修やコンサルテーションを実施しています。コンサルテーションでは、実現可能な対応策を提案したり、助言を行っています。
・療育相談は、保土ケ谷区・旭区・瀬谷区の福祉保健センターと連携して行っています。各区福祉保健センターと連絡会を開いているほか、年度末には3区合同の連絡会を実施し、療育相談実施上の課題を整理・検討しています。
・平成27年度は、3つの大学等の合計5名の実習生を受け入れています。受入れクラスの一日のスケジュールに沿って、子どものへの影響を十分に考慮して実習にあたるように指導しています。また、養護学校等からの研修生や、近隣の高等学校の教諭の周年研修を受け入れています。
・療育ボランティアとして、現在20名程度のボランティアが活動しています。
5 運営上の透明性の確保と継続性 ・パンフレットにセンター運営の目的やセンターの利用方法、サービス部門の種類と機能が分かりやすく説明されています。ホームページには、センターの施設内容や職員構成、事業計画、事業報告等を掲載しています。センター利用の流れについて、保護者との初回面談時に資料を用いて詳しく説明しています。
・年度初めの全体会議で、人権の尊重、個人情報の保護、虐待の予防等について、全職員に周知しています。
・個人情報の取り扱いに関しては、研修終了後、全職員が誓約書を横浜市に提出しています。
・個人情報に関する記録は、事務室の鍵のかかる書架に保管し、適切に管理しています。例えば、書架から出して利用する場合、備え付けのノートに記載し、返却時にチェックを入れる仕組みをとっています。
・事業団として、CSR(企業の社会的責任)活動に取り組んでいます。例えば、給食材料の地産地消、ペットボトルキャップ の回収(BCGワクチンへ)、不要被服のリサイクルなどをホームページに掲げています。
・事業団の経営理念・経営方針、センターの理念・基本方針、センターの当年度運営方針などを、事務室内の目のつきやすい場所に掲示するとともに、年度初めの全体会議で、全職員に説明しています。
・療育体制会議の下部組織として、チーフ級でない職員も参加する検討班(精神系、肢体系、学齢児)を設置し、一般職員の意見を事業や施設運営に活かせるようにしています。
・主任クラスの職員は、スーパーバイザーとして、個々の職員の能力や経験に合わせて、的確な助言や指導を行っています。
・事業団の中期目標に沿い、センターの中期事業目標を定めています。毎年、進捗状況のチェックと、目標の見直しを行っています。
・危機管理マニュアルやその他の業務マニュアルを作成しています。センター内の情報システム化をすすめ、マニュアル類や、規則・規程、会議や委員会議事録など、さまざまな情報をモニター画面で全職員が見ることができるようになっています。
・センターの利用申し込み状況を毎月確認しています。利用申込者の増加に対応するため、本年度より、ぴーす鶴ケ峰があるビルの1フロアを新たに「ぶらんちスペース」として借り受けました。ここを利用して、初診前の保護者の不安解消と児童への遊びの場を提供する「ぴょんぴょん広場」開催の回数を従来よりも増やしたり、週1日通園クラスとほぼ変わらない集団療育を開始したり、初診後、通園など集団療育を待っている親子を対象とした子育てサロンを新たに開始するなど、サービスの充実を図っています。
6 職員の資質向上の促進 ・職員一人一人が、毎年、職員行動計画書による自己目標設定を行い、年度初め・中間期・年度末に、上司と面談して目標の達成度などを話し合っています。自己目標は、事業団理事長方針・センター長方針・部門長方針を踏まえて設定することとなっています。
・センター内に研修委員会を設け、テーマの選定や開催日時の決定を行い、対象の職員が必ず受講できるように配慮しています。
・支援技術の向上を図るため、センター内での事例検討会を実施しているほか、事業団主催の職種別勉強会などを行っています。また、センター内全体研修に必要に応じて外部講師を招き、講義・技術指導を受けています。さらに、事業団での療育研究会などで、専門領域のテーマに応じた外部講師による研修会を開いています。
・職員行動計画書に基づく自己目標設定、達成度評価の際の個別面談や人事考課面談などで、職員の満足度、要望を把握しています。職員行動計画書に基づく中間期の面談の際には、次年度へ向けての意向書を提出してもらっています。
・各種会議の際に業務改善などの提案を受けているほか、職員がいつでも改善の提案や意見を言える雰囲気となるようにしています。

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