かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

横浜市戸塚地域療育センター(2回目受審)

対象事業所名 横浜市戸塚地域療育センター(2回目受審)
経営主体(法人等) 社会福祉法人横浜市リハビリテーション事業団
対象サービス 障害分野 地域療育センター
事業所住所等 〒 244 - 0805
戸塚区川上町4-4
tel:045-825-1181
設立年月日 1989(平成元)年10月01日
公表年月 2017(平成29)年02月 〜
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 特定非営利活動法人 市民セクターよこはま
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

【施設の概要】
[施設]
 横浜市戸塚地域療育センターは、JR横須賀線「東戸塚」駅西口から徒歩約5分の所にあり、隣接して横浜市東戸塚地区センター、横浜市東戸塚地域ケアプラザ、横浜市川上保育園、地域活動ホームひかり、横浜市立川上北小学校などがあります。
 平成元年(1989年)10月、横浜市により開設され、指定管理者として社会福祉法人横浜市リハビリテーション事業団が運営しています。平成23年(2011年)4月に、「東戸塚」駅西口近くに、知的に遅れのない発達障害の子どもを対象とした児童デイサービス事業所(現児童発達支援事業所)が開設されました。担当地域は、戸塚区・泉区です。
 施設の建物は、鉄筋コンクリート造2階建てで、診療室・検査室・各種訓練室・指導室・集団指導室・水治療室などとなっていて、1階指導室外側に園庭があります。
[組織・事業内容]
 ・診療部門:診療、個別療法、集団療育(外来グループ療育)
 ・通園部門:児童発達支援(定員50名)、医療型児童発達支援(定員40名)
 ・相談部門:センター利用の初相談、子どもの生活全般の相談、地域関係機関への巡回相談・支援など
 ・児童発達支援事業所:ぴーす東戸塚(定員48名)[徒歩5分ほど離れた別のビル内にあります]
[基本理念・基本方針]
 ・基本理念:戸塚地域療育センターは、心身に障害のあるお子さんがよりよく成長し、そのご家族が、地域で安心して充実した生活が送れるよう支援します。 
 ・基本方針:T 質の高い療育サービスを提供します
         U 一人ひとりの人権を尊重します
         V 「暮らしやすさ」を求めて地域社会と連携します
         W 効率的で開かれたセンター運営を目指します
[センター利用の基本的な流れ]
 センターを利用する場合の基本的な流れは、次のようになっています。0歳から小学校期までの児童を対象(ただし通園施設利用は就学前まで)。[子どもの状況により、さまざまなケースがあります]   
 受付・相談 →相談継続(または終了)
  →インテーク(初診のための聞き取り)
   →診察・各種評価(検査) 
    →療育方針・療育プランの検討(保護者へ提示・情報提供)
     →個別療育 集団療育 保護者教室 

 

◆高く評価できる点
1、一人ひとりの子どもに適した支援を実施しています
 診察・各種評価の結果をもとに、療育プランを検討し、保護者の意向も踏まえ、一人ひとりの子どもの支援計画を作成し、それに基づいて、診療部門・通園部門・児童発達支援(ぴーす東戸塚)・相談部門が連携して、それぞれの子どもに適した支援を実施しています。さらに、通園施設では、より詳しい個別支援計画を作成しています。年度初めの作成(初期)・半年後の見直し(中期)・年度末の振り返り(終期)には、保護者の要望・意向なども聴き取り、保護者と確認しながら作成しています。
 利用者が多い通園施設では、年齢・障がいの種別・発達の状況などを勘案し、11クラス(18グループ)編成としています。1クラスは、子ども6-9名で、週5日、週3日、週2日、週1日などの通園日数に分かれ、親子通園日・単独通園日などの組み合わせがあります。週1日クラスは、通園療育希望者増加に対応するため、今年度、新たに設置されました。
 クラス内は、衝立やカーペットで仕切ってコーナーを作り、子どもたちが落ち着いて過ごせるようにしているほか、その日に利用するグループの子どもの状況に応じて、室内のレイアウトを変更したり、教材・遊具などを入れ替える工夫をしています。職員は、一日の活動の流れを絵カードや文字板など用いて子どもたちが分かりやすいように示しています。また、子どもの態度や仕草などから子どもの思いを汲み取り、さらに、子どもの発言をじっくりと丁寧に聞き取るようにしています。子ども一人ひとりの個性を受け止め、それぞれの「できること」を見出し、「できたこと」を子ども・保護者とともに喜ぶ支援をしています。

 

2、保護者への支援が充実しています
 初診前や初診後間もない保護者、外来グループ利用の保護者を対象とした「療育講座」を年間20数回開催しているほか、通園施設やぴーす東戸塚では、それぞれ保護者教室を年間10回以上行っています。いずれも、テーマは、保護者のニーズも踏まえ、それぞれの子どもの障がいの状況や発達段階などに対応したものとなるようにしています。また、通園施設やぴーす東戸塚では、普段参加できない家族(父親など)のために、家族参観や家族講座を土曜日または日曜日に開催するなどの工夫をしています。
 また、申し込みから初診までの期間の保護者の不安を軽減する取り組みとして「ぽかぽか広場」を月1回程度開催して子育ての相談に応じているほか、初診後の外来グループのバリエーションを増加したり、外来グループ終了後、通園入園までの遊びの場として「通園ぱんだ広場」を実施するなど、利用申込者の増加に対応し、できるだけ療育の場や相談の機会を設け、保護者の要望に応えられるよう努めています。

 

3、職員間で情報が共有され、連携してより良い支援となるよう努めています
 一人ひとりの子どもの支援計画は、診療部門・通園部門・相談部門などの各職種が連携して、カンファレンスやケース会議を開き作成し、定期的に評価・見直しを行っているほか、子どもの状況に大きな変化があった場合などは、直ちに見直しています。
 また、基本的な業務マニュアルや危機管理マニュアルなどは、ネットを利用して、全職員が共有できるシステムが構築されています。さらに、センター運営会議・療育体制会議・危機管理委員会など各種委員会の議事録、事業団の情報などもパソコンを通じて得られるようになっています。さまざまな情報を共有し、全職員が連携して、より良い支援となるよう努めています。

 

◆今後の工夫が期待される点
1、地域生活への支援の充実
 利用者および家族が、安心してより豊かな地域生活を送ることができるように、センターでは、地域資源に関する情報を掲示したり、就学や幼稚園・保育所などへの子どもの進路に関する相談に応じています。また、地域の学校、幼稚園・保育所などへの訪問や巡回相談などを行い、地域での支援体制がより向上するように努めています。しかし、地域での受け皿は十分ではなく、利用者および家族はセンターに頼らざるを得ないのが実情です。一方、一人ひとりの利用者・家族のニーズは多様化し、発達障害児(高機能群)の増加などもあり、センターの業務は増大・複雑化する方向にあります。
 このような状況を踏まえ、地域療育システムの中心的な役割を果たす機関としてのセンターの機能はどうあるべきか、幼稚園・保育所や民間の児童発達支援事業所・放課後等デイサービス事業所などとの役割分担をどのようにするかなどを検討し、子どもや家族がさらに地域で暮らしやすくできるよう支援を充実させることが期待されます。

 

2、保護者アンケート結果へのフォロー
 今回の第三者評価における在園児・卒園児・診療所利用児の保護者アンケートで、「診察に関する支援」(“診断や今後の見通しに関する説明”“医師の診察や訓練指導等の頻度”)について、多くの保護者が「不満」「どちらかといえば不満」と答えています。自由記述欄にはどのようなことが不満なのかの記述はほとんどないので、保護者と直接話し合って、具体的に何を望んでいるかなどを聴き取り、対応を検討することが期待されます。
 また、診療所利用児の保護者では、「保護者を対象とした勉強会等の支援」「センター全体の安全管理」「苦情・要望への対応」の設問で、「その他」の回答が多くなっています。コメント欄には、“知らない”“わからない”などの記述がありますので、情報提供や伝達法の工夫をすることが期待されます。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重 ・センターの基本理念は、「戸塚地域療育センターは、心身に発達の障害のあるお子さんがよりよく成長し、そのご家族が、地域で安心して充実した生活が送れるよう支援します。」です。
・毎年度初めに、センター内全体研修の中で人権研修を行い、子どもの人格を辱めたり、自尊心を傷つけるような言動を行ってはならないことを、全職員に周知しています。また、虐待予防委員会を毎月開き、関係職員間で情報交換しています。虐待が明白になった場合や虐待が疑わしい場合には、区福祉保健センターと連絡をとっています。
2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供 ・センターの利用開始にあたっては、初診の前にソーシャルワーカーが保護者に、センターの理念や基本方針、支援の内容、利用に伴う費用等を説明しています。
・保護者支援の一環として、子どもの年齢や障がいの状況、保護者のニーズに応じたテーマで療育講座を多数開催しています。初診予約中の保護者が受講できる講座も含まれています。また、通園部門では、保護者・家族を対象にした「保護者教室」を、きめ細かいテーマ設定で開催しています。
・診察時間については、初診は1時間、再診は30分間を確保し、回数については、それぞれの状況に応じて医師が適切に判断しています。申し込みから初診までの期間の、保護者の不安を軽減する取り組みとして「ぽかぽか広場」を開設しています。
・通園部門での個別支援計画は、年度初めに初期評価を設定し、半年ごとに中期見直し、後期見直しを設けています。初期・中期・後期の見直しの都度、保護者と面談を持ち、確認を重ねながら支援を継続しています。年間の支援計画は、保護者も振返りをする形式にしています。
・毎月「クラスだより」を発行し、各クラスのプログラム内容や取り組み方を保護者に知らせています。また、年度初めには各クラスの一年間のクラス目標をわかりやすく保護者に伝えています。
3 サービスマネジメントシステムの確立 ・支援計画は、一人ひとりの子どものアセスメントに応じた適切な内容となるように、カンファレンスやケース会議を行い、 課題解決のための目標やその達成時期を盛り込んでいます。
・苦情解決規則を事業団として定めています。その概要をフローチャート形式で表示しセンター玄関に掲示しているほか、保護者には利用申し込み時に資料として配布しています。また、通園利用の保護者に対し、毎年満足度調査を行い、その結果を保護者連絡会などで公表しています。
・利用者への支援内容については、関係する各職種・各部門によるケース会議(月2〜3回)で情報共有しています。子どもや家族の状況に変化があった場合には、カンファレンスで報告する他、変更部分のカルテへの記載法を職員間でわかりやすく工夫し、情報共有の徹底をしています。
・待合室に地域情報コーナーを設け、様々な情報を掲示しています。しかし、今回の保護者アンケートの“地域の資源等に関する情報提供について”の質問に対する、診療所利用児保護者の満足回答は45.9%、不満足回答は37.8%となっています。情報提供の手段等に工夫が望まれます。
・保護者に子どもの給食を知ってもらう機会として、試食会(実費)と、栄養士によるテーマを決めたクラス懇談会を開いています。
・食事が楽しい時間となるように、音楽をかけるなどの工夫をしています。単独通園の場合は一人ひとりに落ち着いた食事時間と食事介助の確保ができるように、2〜3人ずつの少人数にする工夫をしています。
・重要事項や契約手続きに関して、重要事項説明書を保護者に配付し、それに基き適切な説明をしています。
・危機管理マニュアル中に、大規模地震発生時などの非常災害時への対応が定められていて、年度初めの全体研修会で周知しています。非常災害マニュアル中に、職員連絡網、関係部署・関係機関連絡先や、保護者への連絡方法などを記載しています。
・外部から不審者侵入などがあったときの対応マニュアル定め、緊急連絡先や手順などをマニュアル中に記載しています。また、防犯カメラを4ヶ所に設置しています。
・感染症対策マニュアルを作成し、全体研修会などで職員に周知しています。また、ノロウイルス対策として、嘔吐処理マニュアルを整備するとともに、処理セットを常備しています。
・感染症の疑いが生じた場合の対応や、感染症が発生した場合の登園停止などの基準を利用者ハンドブックに記載し、保護者に周知しています。
4 地域との交流・連携 ・地域への巡回相談事業として、幼稚園・保育所からの依頼に応じて巡回訪問による技術支援を行っています。また、「療育見学会」として、幼稚園・保育所等に在籍する子どもの、センターでの療育の様子を見学する機会も設けています。
・幼稚園協会からの依頼に応じて「療育について・療育の考え方」の講座やカウンセリングに関する研修等を実施しています。また、センターの理解に向け、療育セミナーの開催や「オープンデイ」(保育士・教職員・ケアプラザ職員等を対象)として、センターの業務内容を広く知ってもらう機会を設けています。
・小学校からの依頼に応じて、学校訪問し技術支援を行っています。教室内の机の配置等の環境設定や、子どもが行動を起こすまでの姿勢作りの工夫等、具体的な内容です。
・各学校からの依頼に応じた研修の他に、学校カウンセラー研修の講師や、特別支援教育コーディネーター協議会の定例会に出席し助言する役割も担うなど、積極的な支援の姿勢で取り組んでいます。
・泉区・戸塚区両区それぞれの福祉保健センターとの会議、両区とセンターによる合同会議、児童相談所との会議等を定期的に開催し、意見交換の機会を多く持っています。
・実習生を受け入れています。実習プログラムは、事前に学校からの要望、及び学生の目的・希望を確認した上で効果的な実習となるように作成しています。研修生は、主に保育士対象の受け入れをしています。
・医療型児童発達支援クラスで、療育サポートのボランティアを受け入れています。今後は、児童発達支援クラスでの活動も視野に入れ、ボランティアの増員を望んでいます。
5 運営上の透明性の確保と継続性 ・事業団のホームページには、利用の流れや療育センターの紹介等、療育センターの全体的な案内を載せています。各センターのホームページには、センターの紹介・職員体制・療育講座案内・イベント案内等を載せています。ホームページは、見やすくわかりやすい構成で、療育講座やイベント情報を随時更新し、タイムリーな情報提供を行っています。
・年度初めの全体研修会で、個人情報保護、人権の尊重、セクハラ・パワハラの防止などについて全職員に周知しています。個人情報保護については、研修後、全職員が横浜市に誓約書を提出しています。
・個人情報の取り扱いに関する規則を定め、年度初めの全体研修会で、全職員に周知しています。個人情報に関する記録は、事務室などの鍵のかかる書架に保管し、適切に管理しています。
・事業団として、CSR(企業の社会的責任)活動に取り組んでいます。例えば、給食材料の地産地消、ペットボトルキャップの回収(BCGワクチンへ)、不要被服のリサイクルなどをホームページに掲げています。
・センターの基本理念・基本方針をセンター内に掲示するとともに、職員に配布し、年度初めの全体研修会で説明しています。
・毎朝、各部門で朝礼を行い情報交換の場としています。また、毎週火曜日は、センターから少し離れたビル中の、ぴーす東戸塚(児童発達支援事業所)の職員も含めた朝礼を行い、情報の共有化を図っています。
・主任クラスの職員は、スーパーバイザーとして、個々の職員の能力や経験に合わせて、的確な助言や指導を行っています。
・事業団の中期目標に沿い、センターの中期事業目標を定め、センター運営会議などで伝えています。毎年、中期事業目標の進捗状況を把握し、達成のための取り組みをしています。例えば、今年度より1日通園クラスを設け、集団療育希望者の増加に対応しています。
・危機管理マニュアルやその他の基本的な業務マニュアルは、ネットを利用して、全職員が見ることができるようにしています。また、各種会議議事録やさまざまな情報も、パソコンを通じて共有できるシステムが整っています。
・センターの利用申し込み状況を毎月確認しています。初診待ちの期間短縮のため、初診枠・再診枠の柔軟な運用を図っています。利用申し込み後、できるだけ早期に初診前面談を実施し、子育てで困っていることなどの相談に応じています。また、初診前に、保護者・子どもともに参加できる「ぽかぽか広場」を行っています。
6 職員の資質向上の促進 ・職員一人ひとりが、毎年、職員行動計画書による自己目標設定を行い、年度初め・中間期・年度末に、上司と面談して課題や達成度などを話し合っています。自己目標は、事業団理事長方針・センター長方針・部門長方針を踏まえて設定することとなっています。
・センター内に研修委員会を設け、テーマの設定や開催日時の決定を行い、対象の職員が必ず受講できるよう配慮しています。
・職種別・部門別にミーティング・事例検討会・勉強会などを開き、支援技術の向上を図っているほか、事業団主催の職種別勉強会なども行われています。また、毎年3回、センター内で実践報告会を開き、その一部は事業団の研究発表会で報告しています。
・職員行動計画書に基づく自己目標設定、達成度評価の際の個別面談や人事考課面談などで、職員の満足度、要望などを把握しています。
・各種会議の際に、業務改善などの提案を受けているほか、職員がいつでも改善の提案や意見を言える雰囲気となるようにしています。

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