かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

よこはま港南地域療育センター

対象事業所名 よこはま港南地域療育センター
経営主体(法人等) 社会福祉法人横浜市リハビリテーション事業団
対象サービス 障害分野 地域療育センター
事業所住所等 〒 234 - 0056
港南区野庭町631番地
tel:045-882-1210
設立年月日 2013(平成25)年04月01日
公表年月 2017(平成29)年02月 〜
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 特定非営利活動法人 市民セクターよこはま
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

【施設の概要】
[施設]
 よこはま港南地域療育センターは、横浜市営地下鉄「上永谷」駅からバスで約10分、「深田橋」停留所下車、徒歩約5分の住宅地の中にあります。社会福祉法人横浜市リハビリテーション事業団により、平成25年(2013年)4月に開設されました。主な担当地域は、港南区・栄区です。
 施設の建物は、鉄筋コンクリート造、3階建てで、1階および2階は、療育室・遊戯室・ホールなど、3階は、診察室・外来療育室・検査室などとなっています。1階・2階とも療育室外側に園庭があります。
[組織・事業内容]
 ・診療部門:診療、個別療育、集団療育(外来グループ療育)
 ・通園部門:児童発達支援(定員60名)、医療型児童発達支援(定員30名)
 ・ぴーす港南:児童発達支援(定員48名)
 ・相談部門:センター利用のための相談、子どもの生活全般の相談、保護者支援、地域関係機関への巡回相談など
[基本理念・基本方針]
 ・基本理念:よこはま港南地域療育センターは、心身に障害のあるお子さんがよりよく成長し、そのご家族が、地域で安心して充実した生活が送れるよう支援します。 
 ・基本方針:T 質の高い療育サービスを提供します
       U 一人ひとりの人権を尊重します
       V 「暮らしやすさ」を求めて地域社会と連携します
       W 効率的で開かれたセンター運営を目指します
[センター利用の基本的な流れ]
 センターを利用する場合の基本的な流れは、次のようになっています。0歳から小学校期までの児童を対象(ただし通園部門・ぴーす港南利用は就学前まで)。[子どもの状況により、さまざまなケースがあります]   
 受付・相談 →相談継続(または終了)
  →インテーク(初診のための聞き取り)
   →診察・各種評価(検査) 
    →療育方針・療育プランの検討(保護者へ提示・情報提供)
     →個別療育  集団療育  保護者教室

 

◆高く評価できる点
1、一人ひとりの子どもに適した支援を実施しています
 診察・各種評価の結果をもとに、療育プランを検討し、保護者の意向も踏まえ、一人ひとりの子どもの支援計画を作成し、それに基づいて、診療部門・通園部門・ぴーす港南・相談部門が連携して、それぞれの子どもに適した支援を実施しています。さらに、通園部門・ぴーす港南では、より詳しい個別支援計画を作成しています。年度初めの作成(初期)・半年後の見直し(中期)・年度末の振り返り(終期)には、保護者の要望・意向なども聴き取り、保護者と確認しながら作成しています。
 利用者が多い通園部門では、年齢・障がいの種別・発達の状況などを勘案し、10クラス(16グループ)編成としています。1クラスは、子ども6-9名で、週5日、週3日、週2日などの通園日数に分かれ、親子通園日・単独通園日などの組み合わせがあります。
 クラス内は、衝立やカーペットで仕切ってコーナーを作り、子どもたちが落ち着いて過ごせるようにしているほか、その日に利用する子どもの状況に応じて、室内のレイアウトを変更したり、教材・遊具などを入れ替える工夫をしています。また、室内の活動だけでなく、できるだけ園庭などに出て遊ぶ機会を作ったり、子どもたちが、種まき・苗植え・水やりなどをして野菜を育て、収穫・皮むき後調理してもらって給食で食べたりする経験をしています。
 職員は、一日の活動の流れを絵カード・文字板など用いて子どもたちが分かりやすいように示しています。また、子どもの態度や仕草などから子どもの思いを汲み取り、さらに、子どもの発言をじっくりと丁寧に聞き取るようにしています。子ども一人ひとりの個性を受け止め、急かせることなく、「できた」という喜びを子どもが味わい、自信を持てるよう支援しています。

 

2、保護者への支援が充実しています
 初診前も含め、センター利用の保護者全員を対象とした「療育講座」を年間十数回開催しているほか、通園部門・ぴーす港南では、それぞれ保護者教室を年間10回以上行っています。テーマは、保護者のニーズも踏まえ、それぞれの子どもの障がいの状況や発達段階などに対応したものとなるようにしています。また、通園部門・ぴーす港南では、普段参加できない家族(父親など)のために、保護者教室の一部を夜間に開いたり、家族参観を日曜日に開催するなどの工夫をしています。
 また、初診を待っている保護者や児童を対象とした「とことこ広場」(相談の場と自由遊びの場)を月1回実施するとともに、低年齢で初診を終えた子どもの育児支援として「ぴょんぴょんグループ」を月1回から月2回開催とするなど、できるだけ保護者の要望に応えるよう努めています。

 

3、職員間で情報が共有され、連携してより良い支援となるよう努めています
 一人ひとりの子どもの支援計画は、診療部門・通園部門・ぴーす港南・相談部門などの各職種が連携して、カンファレンスやケース会議を開き作成し、定期的に評価・見直しを行っているほか、子どもの状況に大きな変化があった場合などは、直ちに見直しています。また、1階の事務室に全職員の机があるので、会議などの場だけでなく、いつでも情報交換できる状況となっています。
 さらに、センター内の情報システム化が進んでおり、各種マニュアル・規則・規程類や、センター運営会議・療育体制会議・危機管理委員会など各種委員会議事録、事業団からの情報などがパソコンで全職員が見ることができるようになっています。このシステムを活用し、さまざまな情報を共有し、全職員が連携して、より良い支援となるよう努めています。

 

◆今後の工夫が期待される点
1、地域生活への支援の充実
 利用者および家族が、安心してより豊かな地域生活を送ることができるように、センターでは、地域資源に関する情報を掲示したり、就学や幼稚園・保育所などへの子どもの進路に関する相談に応じています。また、地域の学校、幼稚園・保育所などへの訪問や巡回相談などを行い、地域での支援体制がより向上するように努めています。しかし、地域での受け皿は十分ではなく、利用者および家族はセンターに頼らざるを得ないのが実情です。一方、一人ひとりの利用者・家族のニーズは多様化し、発達障害児(高機能群)の増加などもあり、センターの業務は増大・複雑化する方向にあります。
 このような状況を踏まえ、地域療育システムの中心的な役割を果たす機関としてのセンターの機能はどうあるべきか、幼稚園・保育所や民間の児童発達支援事業所・放課後等デイサービス事業所などとの役割分担をどのようにするかなどを検討し、子どもや家族がさらに地域で暮らしやすくできるよう支援を充実させることが期待されます。

 

2、保護者アンケート結果へのフォロー
 今回の第三者評価における在園児の保護者アンケートで、「診察に関する支援」(“医師の診察や訓練指導等の頻度”)について、多くの保護者が「不満」「どちらかといえば不満」と答えています。自由記述欄にはどのようなことが不満なのかの記述はほとんどないので、保護者と直接話し合って、具体的に何を望んでいるかなどを聴き取り、対応を検討することが期待されます。
 また、診療所利用児の保護者では、「保護者を対象とした勉強会等の支援」「センターからの情報提供や保護者の相談への対応、センターの対応の一貫性」「センター全体の安全管理」「苦情・要望への対応」の設問で、「その他」の回答が多くなっています。コメント欄には、“知らない”“わからない”などの記述がありますので、情報提供や伝達法の工夫をすることが期待されます。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重 ・基本理念を、「よこはま港南地域療育センターは心身に障害のあるお子さんがよりよく成長し、そのご家族が、地域で安心して充実した生活を送れるよう支援します。」と定めています。
・職員行動基準の中の「利用者主体のサービス」の項目に、人権尊重、プライバシーの保護などを掲げています。
2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供 ・センターの支援に関する情報などは、通園部門・ぴーす港南の入園説明会で保護者に説明しています。また、地域資源に関する情報は、3階の掲示板に掲示しているほか、地域で開催されるイベントなどの情報を1階の掲示板でも伝えています。
・センター利用者に対し療育講座を開催しているほか、通園部門・ぴーす港南で、それぞれ保護者教室を開いています。療育講座や保護者教室の内容は、それぞれの子どもの障がいの状況や発達段階、保護者のニーズなどを踏まえたテーマ設定としています。
・初診は1時間、再診は30分としています。医師からの説明は、保護者に分かりやすいものとなるよう配慮し、必要に応じて、看護師などが診察後に補足説明をするほか、保護者からの質問に応じています。
・一人ひとりの子どもに対し、必要な訓練指導の頻度を確保しているとセンターでは判断しています。しかし、今回の第三者評価における保護者アンケートで、医師の診察や訓練指導等の頻度についての設問で、“どちらかといえば不満”“不満”の回答が高くなっています。診察の頻度なのか、訓練指導の頻度なのかを把握し、対応を検討することが期待されます。
・通園部門およびぴーす港南における個別支援計画は、全体の支援計画をもとに毎年度作成し、定期的にカンファレンスを行い見直しています。中期評価・終期評価の際は、保護者から、実施結果についての評価・振り返りや意見を記入してもらい、それを次の支援計画の見直しに活かすように努めています。
・一人ひとりの子どもの障がいや特性を、各種会議やカンファレンスで共有し、職員は、それぞれに応じた接し方を常に心がけています。絵カードや文字板などを使って、視覚的に分かりやすく伝えるなどの工夫をしています。
・保護者からの相談、質問には、随時対応しています。また、通園部門では、年4回、個別面談を実施し、保護者から要望があれば、定期面談以外でも個別面談に応じています。
3 サービスマネジメントシステムの確立 ・センターの1階に、意見BOXを配置したり、クラス懇談会や園長懇談を実施するなど保護者の要望や苦情に対応する仕組みを持っています。通園の利用者には毎年満足度調査を行い、外来利用者については外来グループの療育終了後にアンケート調査を行っています。
・給食の献立は、子どもの状況、年齢、好き嫌いなどを考慮して作成しています。摂食能力に障がいのある子どもに対しては、適切な食形態を用意し、必要に応じ、理学療法士作業療法士などが食事介助にあたっています。また、診療部門の摂食クリニックで、摂食能力の評価および訓練などを行っています。
・子どもたちが食べることに関心を持つよう、野菜を育て、給食で食べています。子どもたちは、種まき、苗植え、水やり、収穫、皮むきをするなどの経験をしています。ミニトマト、にんじん、ほうれん草、玉ねぎなどを育てました。また、園外プログラムで近隣の畑に出かけ、芋ほりを経験しています。
重要事項説明書や契約書などの内容はわかりやすい表現としています。また、「利用者ハンドブック」を配付し、具体的な利用時の諸事項を説明しています。さらに、就学準備講座を行うほか、各家庭に、就学準備ハンドブックを配付し、学校へ情報提供する際の内容・書き方などの助言をしています
・危機管理マニュアルを作成し、その中で「事故・インシデント報告手順」を策定しています。また、事故防止のため、バス添乗マニュアル、給食マニュアル、プール使用点検マニュアルなど個別のマニュアルにチェック項目が記載されています。さらに、危機管理委員会を中心に毎年、マニュアルやチェックリストの内容を点検し、必要な改正を行っています。
・「火災マニュアル」「大規模地震マニュアル」などがあり、年度当初の全体研修で、火災・地震の際の、状況に応じたセンター内での行動を確認しています。また、毎月防災訓練を実施するほか、合築している福祉施設と年2回合同で避難訓練を行っています。消防署の指導のもとAEDの訓練も行っています。
・センター内5か所に監視カメラを設置し、外部からの不審者侵入に備えています。また、不審者侵入時には、決められた言葉を放送して避難などの対応をするよう全職員に研修で周知しています。
・施設内の清掃は専門業者に依頼しており、業者は清掃マニュアルを策定してそれに従った清掃業務を行っています。
・利用者ハンドブックに「感染症に罹った場合の登園目安」としてチェック項目を載せて説明、周知しています。インフルエンザやノロウイルスに対しての注意を喚起する掲示物が各階に掲示されています。
4 地域との交流・連携 ・幼稚園・保育所、学校への巡回訪問は、先方からの依頼に基づき時期や回数を決めており、適切に対応しています。
・幼稚園・保育所、学校からの研修への協力依頼などに応えています。また、幼稚園・保育所職員を対象とした療育セミナーおよび学校の教職員を対象とした学齢療育セミナーを、毎年、センター会議室において行っています。
・地域訓練会などからの巡回訪問による支援の依頼に適切に対応しています。また、随時の相談や研修への協力依頼などに応えています。
・療育相談は、区福祉保健センターと連携して実施し、年1回会議を持ち、療育相談実施上の課題を整理、検討しています。また、横浜市南部児童相談所とは常に連絡を取り合い、年1回、会合を持っています。
・実習生や研修生の受け入れにあたっては、実習や研修の目的に応じた効果的な学習となるよう、入るクラスや時間帯などを考慮しています。また、子どもたちへの配慮事項や守秘義務などについても伝えています。
・療育ボランティアを数名受け入れ、子どもたちへの補助や介助の仕方、注意点などを説明しています。
・運営協議会を年2回開催し、地域の関係機関などとの情報交換の場としています。
5 運営上の透明性の確保と継続性 ・センターのパンフレットを、区福祉保健センターや児童相談所に配布用として提供しています。
・事業団のホームページで療育センター全体の紹介をしているほか、各センターごとのページで、それぞれのセンターの施設内容や支援内容を伝えています。
・職員行動基準の中に、「利用者主体のサービス」「良好な環境維持」「禁止事項」の項目を設け、それぞれに具体的な事例を取り上げ、職員に周知しています。
・個人情報の保護については職員をはじめ、委託業者やボランティア、実習生等に対しても個人情報の取扱いを周知し、横浜市に提出する様式を使用した誓約書をとっています。
・ホームページには「プライバシーポリシー」を掲載し、施設内に「利用者の個人情報保護について」の掲示を行っています。利用者ハンドブックや重要事項説明書にも記載しています。
・環境への対応については法人のCSR(企業の社会的責任)活動として食材の地産地消やリサイクル活動などを進めており、法人パンフレットに記載しています。また、利用者ハンドブックに「ごみの分別について」の項を設けて利用者に対しても協力を呼び掛けています。
・センターの重要案件については全体研修の中で職員に伝えています。保護者に対しては保護者連絡会や親の会などで説明しています。現在、通園と外来の療育体制について見直しを検討しており、そのためのプロジェクトチームを立ち上げています。
・センター内の情報システム化が進んでおり、各種規則、規定類はじめ当日の経過記録などを除く療育に関する多くの情報が電子化され、職員はパソコンから見ることができます。非常勤職員にも共有されています。
・多様化するニーズに応えるために、来年度からスタートする新しいサービス展開に向けてプロジェクトチームを立ち上げており、内部・外部の関係者や関係機関とも連絡を取りながら活動しています。
6 職員の資質向上の促進 ・毎年度、職員研修基本方針を策定しており、全職員対象の内部研修、外部研修を計画しています。また職種ごとに別途、年間計画を策定して「所属研修」を行っているなど充実した仕組みがあります。
・職員は事例検討会や、カンファレンスやミニカンファレンスに参加しています。また、臨床検討会ではVTR報告会など映像を使った実践的な研修をしています。
・医療や理学療法、作業療法について、2か月に1度くらいの頻度で外部のスーパーバイザーを招き、クラス運営や親子の支援などについて指導を受けています。
・目標管理制度が行われています。年度初めに上司と話し合い、年間目標を立て、秋季に上司と面談し振り返りを行い、年度末に上司と面談をして年間の振り返りを行っています。
・目標管理制度では「職種・領域別の人材育成・キャリアプラン」として、職員の育成方針、キャリア階層・能力達成モデルが示されています。例えば「指導人材育成研修」を作成して経験年数やチーフ等職責に対応した研修回数・内容が年間計画として作成されており、キャリア形成の道筋が具体的に示されています。

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