かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

特別養護老人ホーム 本牧ホーム(2回目受審)

対象事業所名 特別養護老人ホーム 本牧ホーム(2回目受審)
経営主体(法人等) 社会福祉法人 横浜社会福祉協会
対象サービス 高齢分野 特別養護老人ホーム
事業所住所等 〒 231 - 0821
中区本牧原6-2
tel:045-628-2081
設立年月日 2000(平成12)年11月01日
公表年月 2017(平成29)年02月 〜
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 株式会社フィールズ
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

[施設の概要]
 特別養護老人ホーム 本牧ホームは、中区本牧の「和田山口」バス停から、徒歩5分程のマンション街にあります。施設の周囲は街路樹に囲まれ、公園やショッピングセンター、商店、町内会館、学校など住民が集う場所にあります。隣接した敷地には高齢者の相談窓口である地域包括支援センターがあります。
 平成12年11月に、社会福祉法人 横浜社会福祉協会が、鉄筋3階・地下1階建ての施設として開設し、入所定員80名、ショートステイ20名の利用者が生活しています。入所利用者の平均年齢は85歳、平均要介護度は4.0です。
 法人の理念は「福祉の追求」であり、施設では「利用者に対する居場所の保障」「職員に対する専門性の向上」「人も含めた経営の安定化」の目標を掲げています。特に利用者の居場所を保障することにより、安心安全の確保を基本方針としています。


≪優れている点≫
1. 施設を我が家のように自由にのびのびと暮らせるよう利用者の希望に寄り添う支援を行っています
 法人の理念をもとに事業所の理念「利用者に対する居場所の保障」を挙げ、利用者が我が家のように自由にのびのびと暮らすことができるよう支援しています。利用者一人一人に担当者を決めて、利用者の思いや希望を引き出せるよう援助しています。利用者本人及び利用者家族からの施設に対する満足度も高い状況です。
 食事、入浴、排せつは利用者の希望に出来る限り取り対応する努力をしています。日常生活や余暇活動は幅を持たせて自由な選択ができるようにしています。年間を通して納涼祭や運動会など毎月行事を行っています。日帰り旅行は本人の希望と身体状況を考慮して行き先を決め、外気浴や散歩も頻繁に行われています。週3回は利用者の希望を伺い、買物代行を行っています。
 また、月1回の誕生日会、誕生者昼食会、居酒屋&喫茶デー、ビューティーメイク講座を実施しています。クラブ活動では習字教室、カラオケクラブ、体操クラブ等多彩な取り組みをしています。認知症で自分の思いを自由に表現できない方には特徴や傾向を把握し、より良い生活が送れるよう支援しています。


2. 地域の住民との交流や連携に積極的に取り組んでいます
 地域の町内会と地域防災協定を横浜市中消防署長立ち合いのもと、消防応援協力に関する覚書を交わしています。初期消火や利用者の避難誘導の協力依頼や地域住民の要援護者の施設受け入れなど相互に取り交わしています。横浜市と特別福祉避難所として契約し、横浜市より関係団体の連絡ツールとして無線機
が支給されています。事業所の防災のためだけでなく、近隣の防災のためにも、職員に対して災害時の緊急連絡用にスマートフォンのアプリ登録やメールの登録を行っています。
 地域の福祉保健計画のための会議や行事の実施の会場として事業所の会議室を開放しています。納涼祭などには近隣にチラシを配布し、ボランティアにも声掛けしています。近隣の学校の運動会を見学したり、近隣公園のホタル観賞会に住民と一緒に参加して住民との交流を深めています。
 横浜市も東日本大震災における厚労省の特別養護老人ホームに関する特別規定を受け入れ、本牧ホームには4名が入居しています。


3. 職員一人一人の能力に応じた役割を与え、人事考課に反映しモチベーションを高めています
 目標支援制度における「目標シート」を運用して職員の能力向上を図っています。援助技術の向上を促すとともに中間や期末面談により職員一人一人の要望や満足度を把握し、成績考課表を作成して、期待水準を明確にしています。各委員会では関連するマニュアルを見直し、職員一人一人のスキルを統一し、一貫性を確保するように努めています。さらに、経営改善のためにも福祉機器の導入、事務関係の省力化を推進しています。職員目標と経営改善がうまく連携して意欲向上につながっています。


4. 施設の理念や基本方針を理解し、サービスの支援の具現化に努めています
 「入所した利用者が安心して安全に生活する居場所を提供する」という方針を職員は日々具体化するよう努力しています。この方針を周知徹底するために職員が常に携帯している職員カードに「福祉の追求」という文字を記載しいつでも確認できるようにしています。
 施設長や生活相談主任、介護主任、看護主任、管理栄養士、事務員など施設のリーダーによる施設運営改善委員会をはじめ身体拘束廃止委員会や虐待防止委員会、感染症・食中毒予防委員会など12の委員会が構成されています。各委員会が2カ月ごとの輪番制でホームの目標を実現するために職員は「何をすべきか」という呼びかけを周知徹底する「標語」を作成し、各部署に掲示して、毎朝のミーティングで読み上げ、職員全員で共有しています。


5. 感染症対策やノロウイルスの予防対策を徹底しています
 感染症や食中毒に対する意識を高めるため、看護師を中心に感染症予防委員会を年4回実施し、発生の予防、発生時の対応など協議しています。感染症予防のため、食堂のテーブルなど1年を通じて消毒液でスプレーして清掃しています。
 特に11月〜3月の間は感染症予防期間として全職員・面会者に対して手洗いやうがいを励行し、勤務中には使い捨てマスクの着用を義務づけています。また期間中はノロウイルス対策のため、法人の取り決めとして職員は自身の食事に気を配るように申し合わせています。オゾン脱臭機を全館に設置し、洗濯物や食残処理用のダムウエーターも当初から導入して清潔と不潔の区分を明確に打ち出しています。洗濯物や食残処理の運搬経路、保管場所の明確化など感染症対策を建築の段階から取り組み、介護職員とは別の清掃員の作業動線を確保しています。


≪努力・工夫している点≫
1. ターミナルケアの実績を積み重ね、充実した取り組みを行っています
 ターミナルケアに対する体制の構築や災害時における事業継続計画の情報収集などを実施しています。終の棲家としての役割を担うという考えから利用者・家族の希望に沿いターミナルケアを実施しています。「看取りに関する指針」を定め、終末期に対する体制の整備とマニュアルを作成し、看取り加算を取得しています。医師や協力医療機関と連携し、24時間の連絡体制・看護師のオンコール体制を敷いています。看取り介護実施のフローチャートを整え手順を明確にしています。看取り研修を行い、利用者の介護に関わる全職員が参加しています。看取りケアとしてボディケア・メンタルケア・看護処置があり、延命措置を行わないなど医療行為の選択肢もあります。
 「個別ターミナルケア計画」を立てて介護を実施し、終了時には家族のアンケートも含め、カンファレンスを行い、評価や課題をまとめています。最終時には家族が宿泊できる場所の用意もしています。平成28年度10月現在、すでに6名の方のターミナルケアを実施しました。


≪課題や改善することが期待される事項≫
1. 医療依存度の高い利用者に適切な対応をするためのマニュアルを作成することを期待します
 各支援に対するマニュアルはフローチャートの活用や手引きのようにわかりやすく作成してあります。利用者の重介護化、高齢化に伴い医療的ケアを必要とする利用者が増え、急変の危険性も高くなってきています。利用者のニーズに対応する医療体制を図るため、介護職員への医療的知識や技術の習得が急務です。施設もターミナルケアについて積極的に取り組み、医療依存度の高い利用者を受入れています。
 しかし、医療依存度の高い利用者への対応についてのマニュアルは十分とは言えない状況です。医療依存度の高い利用者に適切な対応をするための介護などに関する対応マニュアルについても、ターミナルケアと同様に整備することを期待します。


2.利用者一人一人の自立度を高める計画的な機能訓練が期待されます
 機能訓練指導は看護師が担当し、機能訓練の必要な利用者には「施設サービス計画」の中で課題を挙げて取り組んでいます。サービス担当者会議では現在の心身状態の変化、本人・家族の意向、課題・援助の見直しについて検討しています。経管栄養の方の寝たきり防止策や拘縮予防としてベッドから食堂への移動、日常生活の中での手引き歩行など、利用者の機能を高める取り組みが行われています。
 しかし、一人一人の利用者の日常生活の自立度を高め、機能向上の目的を定めた個別の機能訓練計画のもとに組織的、計画的な取り組みは行われていない現状です。今後は利用者一人一人の自立度を高める計画的な機能訓練の実施が期待されます。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重

職員は「入所した利用者が安心して安全に生活する居場所を提供する」という方針を日々具体化するよう、努力しています。この方針を周知徹底するために職員が常に携帯している職員カードに「福祉の追求」という文字を記載し、いつでも確認できるようにしています。


施設のリーダーで構成する施設運営改善委員会をはじめ身体拘束廃止委員会や虐待防止委員会、感染症・食中毒予防委員会など12の委員会が構成されています。各委員会が2ヶ月ごとの輪番制でホームの目標を実現するために職員は何をなすべきかという呼びかけを周知徹底するために「標語」を作成し、各部署に掲示して毎朝のミーティングで読み上げ、職員全員で共有しています。


利用者一人一人に対して居室担当者制を採用し、利用者と職員の馴染みの関係を構築し、利用者の希望や思いを引き出すよう支援しています。歯科医や歯科衛生士、リハビリのマッサージ師の助言を受け、毎年1回は必ず介護計画を見直しています。サービス担当者会議には介護主任をはじめ、介護員、看護主任、管理栄養士、生活相談主任などの多職種の職員が参加し、利用者一人一人のニーズや身体状況の医療情報などについて話し合っています。毎月、市から委託され、介護相談員が2名来訪し、第三者的な立場で利用者と話し合い、サービス支援に対する要望や苦情を聞き取り、職員と意見交換しています。その記録については部署のトップで構成される施設改善運営委員会の中で討議され、情報を共有しています。家族が訪問しやすい事業所の敬老会には介護相談員も出席し、家族や利用者と話し合っています。解決が困難なケースについては施設長が会員となっている人権権利擁護団体へ相談する体制ができています。


「個人情報保護に対する基本方針」を定めています。自主的なル−ル及び体制を確立し、個人情報保護に関する法令その他の関係法令及びガイドラインを遵守し、利用者の個人情報の保護を図ることを宣言しています。職員や実習生から誓約書を取り、利用者と家族の秘密を従業者でなくなった後も保持する事を明記しています。広報紙等について使用する行事等の写真について本人・家族に確認をして、承諾を得た利用者のみ掲載しています。個人情報に関わる書類は鍵付き書庫に保管し、事例検討では不必要な情報は削除しています。

2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

飲み物、たばこなど利用者一人一人の嗜好を重視し、その人らしい生活が実現できるよう個別支援を重視しています。居室担当者は利用者から日常品や好きな食べ物、嗜好品など購入の注文を受け、生活相談員がとりまとめ、買い物の代行をしています。食べ物などは購入前に栄養士や看護師のチェックを受けています。


排泄では利用者の身体能力を最大限に活用した援助を行い、利用者の排泄には可能な限り希望に沿うように援助しています。排泄の定時誘導は食事前や寝る前など1日5回の他、利用者の希望に応じてその都度行っています。排泄委員会活動を2ヶ月に1回実施し、居室担当者を中心に一人一人の状況を話し合っています。排泄記録の分析を行い、尿量の増減により夜や昼のおむつ使用の方をリハビリパンツに変えたり、利用者の状況を見ながら日々工夫しています。


一人一人の個性を尊重した援助を行っています。利用者一人一人に担当者がおり、利用者の思いや希望を引き出せるように対応しています。各居室には個人用のテレビの設置が出来、新聞や雑誌、好きな本など個人購読が出来ます。髪形や服装は自由でメイクやカットのボランティアが毎月来訪しています。食事は選択食も可能で、誕生月には好きなものを外注できます。飲酒や喫煙も可能で喫煙室もあります。入浴時の衣類の選択も本人が決めています。

3 サービスマネジメントシステムの確立

感染症や食中毒に対する意識を高めるため、看護師を中心に感染症予防委員会を年4回実施し、研修会の開催や発生の予防、発生時の対応など協議しています。感染症予防のため、食堂のテーブルなど1年を通じて消毒液でスプレーをして清掃しています。特に11月〜3月の間は感染症予防期間として全職員・面会者に対して手洗いやうがいを励行し、勤務中には使い捨てマスクの着用を義務づけています。また期間中はノロウイルス対策のため、職員は指定の食品を口にしないことを法人の取り決めとして申し合わせています。


オゾン脱臭機を全館に設置し、洗濯物や食残処理用のダムウエーターも開設当初から設置して、清潔と不潔の区分を明確に打ち出しています。洗濯物や食残処理の運搬経路、保管場所の明確化など感染症対策を建築の段階から取組み、介護職員とは別の清掃員の作業動線を確保しています。


事故防止・身体拘束廃止委員会を中心に、身体拘束を行わない取り組みをしています。身体拘束廃止委員による具体的な事例を挙げた「身体拘束について」を基に職員に向けて虐待・身体拘束・人権擁護に関する施設内研修を実施しています。委員会では職員への周知を図るために標語を作成し、職員の意識を高めています。毎月開かれる介護員会議では事例を挙げて利用者への個別ケアに対する取り組み方や業務改善、虐待、不適切な言動を行わないよう意識を高めています。拘束やリスクを避けるために、センサーマットや低床ベッドを使用し、利用者の安全を確保しています。


ホームページや広報誌を発行し、施設の様子や利用者の状況を家族や地域に知らせています。ホームページのフェイスブックや年3回発行の広報誌「本牧ホームタイムズ」では、イベント時の生き生きとした利用者の姿や施設環境を映しています。カラフルな月間予定表が施設内の随所に掲示されています。施設サービス計画の見直し時期には面談や電話で家族の希望を聴いています。家族が高齢で足腰が弱くなり、家族との連絡が取れない場合など家族宅を訪問し、利用者の状況を伝えています。

4 地域との交流・連携

施設の同一建物の中に同法人運営の居宅介護支援事業所があり、福祉に関する相談、介護予防支援(介護予防プランの作成)事業を行っています。一般市民や民生委員の団体の見学等を積極的に受け入れ、各種の質問や相談を通じて地域の福祉ニーズを把握しています。施設長は区や中区社会福祉協議会が主導する地域福祉保健計画の会議に参加し、計画の作成に参画しています。また、会議の会場として当ホームを利用しています。


近くには公園やスーパー、商店、町内会館、学校など住民が集う場所が多くあります。隣接した敷地には高齢者等の地域での生活に対する身近な相談窓口である地域包括支援センターがあります。相談者の中にはその足で「本牧ホーム」を見学したり、民生委員の見学研修会を実施するなどし、対応する職員は丁寧に案内しています。


地域の町内会と消防応援協力に関する覚書を交わし、初期消火や利用者の避難誘導の協力依頼や地域住民の要援護者の施設受け入れなど相互に取り交わしています。横浜市と特別避難場所として契約し、横浜市より関係団体の連絡ツールとして無線機が支給されています。事業所の防災のためだけでなく、近隣の防災のためにも、法人として職員に対して災害時の緊急連絡用にスマートフォンのアプリ登録やメールの登録を行っています。


地域の福祉保健計画のための会議や行事の実施会場として事業所の会議室を開放しています。納涼祭などには近隣にチラシを配布し、ボランティアにも声掛けしています。近隣の学校の運動会を見学したり、近隣公園のホタル観賞会に参加して住民との交流を深めています。ボランティアや介護相談員の気づきや指摘など貴重な第三者の目として受け止め、施設運営改善委員会で意見交換しています。専門的知識だけでなく家族生活の発想を大切にして、サービスの質の向上や今後の施設運営に反映しています。

5 運営上の透明性の確保と継続性

広報委員会を中心にネットワークやホームページを活用して施設内の行事や活動状況などを発信しています。今年度からフェイスブックも立ち上げ、施設の行事や日常の様子など情報を公開しています。本牧ホームの概要案内を映像にして玄関で提供の準備を進めています。


事業年度の初めに前年度の事業報告や新年度の中期計画、年度計画が発表され、理念に基づいた経営方針や経営目標が説明されています。法人のホームページに決算状況も含めて公開し、透明性を図っています。ホームの玄関にも掲示し、職員や家族も閲覧しています。運営上、重要な案件については各部署のトップで構成される施設運営改善会議において、討議検討され、内容は議事録で、職員に報告されています。


経営幹部の育成は法人と各施設が連携し、展開しています。法人と契約している経営コンサルタントが経営全般の相談やアドバイスを受けています。今後、経営改善のためにも、福祉機器の導入、事務関係の効率化の推進を図っています。新聞やテレビで公になった不適切な事例について施設運営改善委員会が中心に研修会を実施し、啓発しています。介護保険制度の改正があるとその都度朝礼や会議で説明しています。


紙のリサイクル、ごみの分別化などに取り組んでいます。今後さらに省エネルギーを職員全員が促進するためにも環境配慮への考え方を方針に取り入れ、目標を数値化するなど職員に取り組みの効果を明確にしています。

6 職員の資質向上の促進

法人内で目標支援制度を導入し、キャリアパスや職員に期待する人間像などを明確にしています。介護士、看護師、ソーシャルワーカーなど職員が目指すべき職務のため、経験や知識を習得しています。研修計画や研修結果を活かすため、職員が外部研修に参加した場合は研修報告を提出し、研修成果を他の職員に共有しています。参加した研修のテーマによっては、各委員会で取り上げ、さらに理解を深めています。


年2回、中間と期末に職員一人一人と面談し評価を行っています。目標支援制度の進捗などを話し合い、援助技術の向上、知識の習得などを促しています。


各委員会は関連するマニュアルの見直しをしています。介護サービスの質の向上を図り、一貫性を確保し、職員一人一人のスキルを統一するために、マニュアルの読み合わせを行い、見直しています。特に感染症・食中毒予防委員会はノロウイルス流行前に研修会を開催し、周知徹底しています。


社会福祉士介護福祉士の実習を積極的に受け入れています。実習を指導する職員の知識習得や支援のスキルアップのためにも職員に実習指導者講習会への参加を促しています。横浜市役所の新人職員研修や教育実習の一環として研修を受け入れ、協力しています。今後は管理栄養士の実習受け入れや中高校生のインターン体験実習の受入れや外国人労働者の実習受け入れも検討しています。

詳細評価(PDF1,423KB)へリンク