かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

さくらの森保育園

対象事業所名 さくらの森保育園
経営主体(法人等) 特定非営利活動法人 さくらの森・親子サポートネット
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 242 - 0028
大和市桜森3-5-25
tel:046-259-5206
設立年月日 2011(平成23)年03月01日
公表年月 2017(平成29)年02月 〜
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 特定非営利活動法人 ナルク 神奈川第三者評価事業部
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

【施設の立地・特徴】
・立地および施設の概要
 さくらの森保育園は2011年3月に開園し、5年目を迎えた2016年4月に運営法人を変更して新たな歩みを始めたばかりの保育園です。相鉄線の相模大塚駅より徒歩3分の桜森稲荷神社の隣に立地し、子どもたちの歩いて行ける距離に自然豊かな「泉の森」や緑地保全区(畑)があります。
 0歳児から5歳児までの定員60名の小規模保育園ですが、地域の子育て支援状況から「一時預かり(定員10名)」の重要性を捉え、専用の保育室を設置して支援活動に取り組んでいます。

 

・園の特徴
 運営方針に『ひとつの家族のように たすけあい 育ちあう』「ゆったりとした家庭的な保育 自然の中で育つ 地域の中で育つ みんなちがってみんないい 安全・安心の食材・和食中心の給食 生活環境の安全 積極的に一時保育・子育て支援を」を掲げ、NPO法人として、ワーカーズ・コレクティブの運営理念のもと、園に関わる職員全員が経営者としての意識を持ち、運営し、話し合いで決めていく組織の保育園です。

 

【特に優れていると思われる点】
1.戸外で充分に遊び、自然の中で学び、心と身体が豊かに育つ保育内容
@ 乳児期から子どもたちの成長過程に合わせた外遊びに取り組んでいます。特に五感の発達に重きを置き、0歳児は山砂の小さな園庭で土や砂、水に触れて感触を楽しみ、凸凹の地面をバランスを取って移動することを覚え、散歩では目に見えるものを指さし、保育士の言葉で事物を見分け、言葉にしています。

 

A 歩く距離が伸びた子どもたちにとって、「泉の森」は大きな園庭のようで、草や木々、虫、鳥の姿を子どもの目線で発見し「見て 見て きれい」「何だろう?」「どうして?」の疑問を持ち、小動物や植物の興味が森の管理者との出会いの中で、ドングリを拾っての形の違いから木の種類を知ったり、セミの抜け殻からセミの種類や鳴き声を区別するなど、毎日の散歩がワクワク ドキドキの子どもたちです。

 

B 泉の森の道は高低があり、子どもたちは坂道や斜面、木の根っこが張った山道を、自分のできる力に合わせて用心深く体のバランスを取りながら挑戦して、やり抜いた「ヤッター!」の喜びを、子どもたち同士で感受し、互いに励まし合い、精一杯の力を発揮して子どもの世界を広げています。さらに、四季折々の草花や木々、木の実を保育園に持ち帰って、飾ったり、絵に描いたり、製作に用いるなど、自分たちで採った自然物で造形活動を楽しんでいます。

 

C 園では畑のボランティアの協力を得て、トマト、ブロッコリー、サツマイモ、落花生など季節ごとの野菜を園の畑で育てています。子どもたちは週に1〜2回は世話をし、成長や収穫の喜びを味わい、収穫祭を通して命の大切さや感謝の気持ちを培っています。収穫物はクッキングをしたり、給食の食材になったり、家に持ち帰って食卓に上ります。イモのツルは、リースを作ったり、縄跳び、電車ごっこなどに活用しています。

 

2.子どもの人権尊重を第一義とした保護者との連携 
 「子どもたちがその子らしく育つ権利を保障すること」を第一義として、子どもの思いに寄り添い、大人たちは喜びを持って子育てを楽しむことができるよう、保護者との連携を大切にしています。保護者達からは、「子どもたちの森での遊びを知りたい」との声が挙がり、泉の森探検隊が子どもたちと一緒に森での遊びの楽しさを知る機会を持ちました。
 また、年長児とその保護者を対象に、子どもたちの自尊感情を育て、大切な自分を守る術を学ぶ“CAPワークショップ“に取り組んでいます。

 

3.積極的な地域の子育て支援の活動
 園では「保護者の就労支援のための預かり」としての保育園の役割だけではなく、子育て支援、リフレッシュ支援も必要との考えから、“一時預かり”の専門保育室を設け、毎日10名受け入れています。従来の園開放、育児相談、育児講座に加えて、多胎児支援、妊娠中の方の支援など、家庭で子育てをしている方への支援を積極的に行っています。

 

【特に改善や工夫などを期待したい点】
1.保護者が要望や苦情を申し出る他機関の明示

 保育園では懇談会や個人面談、行事や保育参加後の感想カード、テーマを設けたアンケートなどで保護者の意見・要望を聞いて解決を図る道筋を明示していますが、保護者がサービスについての要望や苦情を申し出る他機関として、大和市の子ども部すくすく子育て課やかながわ福祉サービス運営適正化委員会を明示することが望まれます。

 

2.人材育成制度の作成
 当法人は、みんなが経営者という考えの組織であることから、経験・能力や習熟度に応じた役割が期待水準として明文化されていません。現在作成中のキャリアパスが、働く者として目標を持って仕事に取り組めるものとなることが期待されます。

 

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重

・保育理念は「子どもたちがその子らしく育つ権利を保障され、大人たちは喜びを持って子育てを楽しめる」であり、運営方針に『ひとつの家族のように 助けあい 育ちあう』を掲げ、保育方針に「子どもが本来持っている力を引出し、一人一人の育ちをゆっくりと見守る」「人と関わり合うことを喜び、悲しみを共に感じる心を育てる」としており、利用者本人を尊重したものとなっています。

・子どもの話そうとする姿勢を大切にし、自分の話を聞いてもらった、伝わったという楽しさや満足感が持てるようにしています。職員は、子どもの人権尊重を常に念頭に、職員会議での話し合い、園内研修での学び合い、外部研修に積極的に参加し全職員で理解を深め、実践につなげています。

・職員は入職時や契約更新時に雇用契約書で守秘義務の意義や目的について説明を受け、誓約書を提出しています。

・個人情報の取り扱いについて入園時に保護者に説明しています。広報物やホームページに掲載する写真について確認を取っています。

・さまざまな暴力(いじめ、誘拐、性的虐待など)から子ども自身が自分の身を守る人権教育プログラム「CAP」ワークショップを毎年開催しています。5歳児とその保護者、職員が参加をしています。

・職員の自己点検シートに性差についての項目で毎年振り返りをする仕組みがあり、職員一人一人の気づきや反省につながっています。

2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

保育課程は、年齢ごとの発達過程に応じて、理念・方針・園目標に沿うように、恵まれた保育環境を活かし、近くにある「泉の森」の活動や畑の活動をする中で、子どもの発達を促していけるよう作成しています。

・保護者の意向は日々の送迎時の会話や連絡帳で取り入れ、指導計画に反映しています。日々の活動の中で子どもからの意見や要望を聞いて、子どもが自主的・主体的に遊びに参加できるよう、子どもの発想を重視して計画には柔軟性を持たせています。

・保育室内は、活動や遊びによって棚や机の配置を変え、コーナーを作っています。乳児クラスでは、子どもの様子を見ながら少人数にして、落ち着いて生活や遊びができるようにしています。幼児クラスには垣根がなく、子どもたちは好きな場所で遊んでいます。園庭や回廊、絵本コーナー、乳児のプレイルームなど、屋内に異年齢児間の交流スペースがあり、友だちと遊ぶこと、一人で遊び込むことが保障できる環境をつくっています。

・畑のボランティアの協力を得て、季節ごとの野菜を園の畑で育て成長や収穫の喜びや命の大切さを味わっています。収穫物はクッキングをしたり、給食の食材になったり、家に持ち帰って食卓に上ります。

・園外活動の中心となっている「泉の森」では子どもの五感が刺激され、常に子どもたちの好奇心をかき立て、達成感、充実感を味わっています。時には外部講師に教えてもらいながら、さらに興味・関心を広げています。

・乳児は職員と歌や体操、リトミック、わらべ歌、手遊びなどで楽しんでいます。幼児も、楽器、廃材、自然素材(木の実、枝、和紙、羊毛)を用意し、想像力や創造力を育てています。

・職員は、穏やかで優しい言葉かけをしています。関わりの中で子どもの訴えや気持ちをしっかりと受け止めており、クラス担任に関係なく子どもと信頼関係を築いています。

・1歳児クラスから、トウモロコシの皮むきなど食材の下ごしらえをしています。クッキングは幼児クラスがクッキーやおにぎり作りなどに取り組んでいます。「おうちごはん」をテーマに、家庭的で和風の給食を提供しています。

・保護者は、保育参加時に子どもと一緒に給食を食べています。毎月1回、栄養士が保護者の食に関する相談の機会を設けています。

・午睡時は子どもの体をなでたり、トントンしたりして心地良く眠りつけるようにしています。乳幼児突然死症候群対策として、0歳児は10分、1歳児は15分間隔で呼吸、顔色、体の状況を睡眠チェック表に記録し、2歳児クラスは様子を確認しています。5歳児クラスは毎年秋ごろから午睡をしない日を増やして、柔軟に対応しています。

・トイレットトレーニングは子どもが成功したことをたくさん誉め、意識づけられるよう援助しています。保護者とは連絡ノートや送迎時に相談しながら進めています。

3 サービスマネジメントシステムの確立

慣らし保育の必要性について、入園時の説明会で保護者に説明し、家庭環境や子どもの育ち、保護者の就労状況などに配慮しながら数日間の慣らし保育を行っています。

児童票には、入園後の子どもの発達経過記録(0〜2歳児は毎月、3歳児以上は3か月ごとに記録)、毎月の身体測定結果、年2回の健康診断結果、年1回の歯科健診結果、緊急時連絡先などをファイルし、全職員は共有できる仕組みになっています。進級時には児童票をもとに、子どもの特徴など配慮すべき事項を次期職員に伝えています。

・0〜2歳児は毎月個別指導計画(指導計画及び「発達経過記録」)をクラス担任で話し合って作成し、月末に評価・反省・振り返りをして翌月につなげています。幼児クラスは3か月ごとに「発達経過記録」を作成し、支援が必要な子どもには毎月個別指導計画を立て記録を取っています。特別な課題がある子どもに対しては、大和市の臨床心理士の巡回相談につなげています。

・保育所児童保育要録は担任が作成し、園長が確認した後、対象の小学校に郵送し、小学校からの問い合わせに応じています。

・全園児連絡ノートを使用しています。0〜2歳児クラスは毎日、幼児は必要に応じてやりとりをしています。その他、日々の保育の様子は、保育室のボードで知らせています。クッキング、森でお弁当などの大きな活動、おもしろい活動があった日は、子どもたちの笑顔や活動の様子を写真に撮り、コメントを添えて玄関や階段踊り場に展示しています。

・個別面談は年1回実施しています。その他希望がある時や必要に応じていつでも対応をしています。年2回のクラス懇談会は土曜日に開催し、多くの参加があるよう配慮しています。また、子どもたちの遊び・生活の様子を見てもらうことや園の保育の理解促進のため、保育参加をいつでも受け入れています。誕生会は子どもの誕生日に行っており、保護者の参加を呼びかけています。

・保護者の運営委員が、他の保護者に園行事での手伝い活動に参加できるかを事前にアンケートをとるなど、活発な活動をしています。

・苦情・要望の受付担当者は主任、解決責任者は施設長とし、第三者委員の氏名・連絡先と苦情解決の流れを園のしおりに記載し、入園説明会で伝えるとともに、玄関に掲示して保護者に周知しています。

・健康管理、衛生管理、安全管理に関する各マニュアルを整備し、マニュアルに基づいた対応や訓練、内部研修を行っています。

4 地域との交流・連携

・自治会に加入しており、毎年、夏祭り(盆踊り大会)に事前打ち合わせから参加しています。また、AEDの使用方法の講習会に自治会の回覧で地域住民の参加を呼びかけ、10余名の参加がありました。

・地区子育て連絡会に参加して、公立保育園、民生・主任児童委員、大和市の保育担当者、保健師、栄養士、家庭こども相談員、子育て支援センタ―、子育てサークルの代表などと会議を持ち、地域の問題について考えたり、情報の共有や育児講座を行っています。地域の子育てサークルに育児相談や遊びの提供をしています。

・小学校との交流では、年長児の小学校見学・1年生との交流・探検の受け入れがあり、「秋のお楽しみ会」では、近隣の小学校の校庭を借りています。近隣の保育園とは日常的に交流を深めています。

5 運営上の透明性の確保と継続性

・設置法人の理念のもと、職員一人一人が運営主体として事業運営に関わり、毎年の基本方針は年1回の総会で決議し、職員会議で振り返りを行い、周知を図っています。

・基本方針に沿った行動となっているかを見直す機会として、テーマを決めて内部研修を行い、振り返りの時としています。

・運営規定に職員の資格と心得、児童の処遇、虐待などの禁止、個人情報の保護など法令の基、順守すべき事項を規定しています。職員は職員会議等で周知しています。年度の総会では経営、運営状況を積極的に公開し、インターネット上で公開しています。

・園の活動方針に環境保護について明記されており、総会時に全職員で確認しています。

6 職員の資質向上の促進

・職員会議の中で内部研修をワークショップ形式で行っています。職員一人一人が学べる場として位置づけ、時間の許す全職員が参加しています。園外研修は、園が参加すべきと考える研修「児童虐待など親子支援にかかわるテーマ」「療育など発達支援に関わるテーマ」「CAP(子どもへの暴力防止)ワークショップ」には、参加者を選んでいます。研修参加者は研修報告書を全職員に回覧し内容の共有を図っています。また、職員会議で発表したり園内研修のテーマとして取り上げ、全職員で共有しています。

・年に1度全職員の自己点検を実施し、それぞれの立場で振り返りと自己評価を行い、自己点検結果をまとめて職員全員に配付し、職員会議で話し合い、工夫、改善したよい事例について報告しています。

・保育業務にあたっては、職員と非常勤職員の組み合わせに配慮し、保育上必要な情報の共有をしています。非常勤職員の出席しやすい時間帯に研修を実施するなどの調整を行い、資質の向上に努め、会議録を回覧して共有化を図っています。

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