かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

白鳥保育園(3回目受審)

対象事業所名 白鳥保育園(3回目受審)
経営主体(法人等) 社会福祉法人 横浜悠久会
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 215 - 0024
麻生区白鳥1-17-2
tel:044-987-8206
設立年月日 2009(平成21)年04月01日
公表年月 2017(平成29)年02月 〜
使用評価項目 川崎市版
評価機関名 株式会社 学研データサービス
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

《施設の概要》
 当園は平成21年4月に川崎市から運営を委託された指定管理園です。運営主体は社会福祉法人横浜悠久会です。小田急多摩線の五月台駅から徒歩で約10分ほどの所にあります。定員は120名(平成28年11月現在123名在籍)で、特別保育は延長保育、障がい児保育、一時保育などを実施しています。
 建物面積は240坪強、敷地は1200坪強とあり、広々とした園庭に恵まれた環境です。園庭は樹木が多く、奥には菜園もあります。周囲はまだ緑が多く、自然に恵まれています。そういった環境の中、子どもたちは伸び伸びと過ごしています。

 

《特に優れている点・力を入れている点》
○子どもたちが主体的に遊びこめる環境が整えられています
 敷地は1200坪あり、園庭のそこここに樹木を配した広々とした空間です。第1園庭と第2園庭があり、園庭どうしを緩やかな斜面でつなげています。第2園庭の奥には菜園もあります。この広々とした園庭で子どもたちは思いきり体を動かして遊んでいます。園内はどの保育室も明るく、職員の努力で清掃が行き届き、パーテーションやシートを活用してコーナー保育をいくつも工夫しています。さらに、0〜2歳児の低年齢の保育室にも、絵本やおもちゃを子どもたちが自ら取り出して遊べるように、主体的にかかわれる環境が整えられています。

 

○栄養士や看護師の指導のもとに食や健康の取り組みが充実しています
 「食育年間計画」が作成されています。そこには3つの目標を立て、年齢ごとに4期に分けて食の取り組みが記載されています。0〜2歳児は食材を通して興味や関心をもっていくように、3〜5歳児は園庭の畑での栽培活動や調理保育を通して食の大切さを学んでいます。
 保護者には、給食便りで食について啓発しています。また、「保健年間計画」も作成されています。これも月別に作成され、園内での保健活動を通して健康に生活できるように工夫されています。また、保健便りで家庭で健康な生活が送れるような情報を知らせています。

 

○子どもの心に寄り添い、ていねいな保育を進めています
 子どもの気持ちを受け止め、子どもの心に寄り添ったていねいな保育を全職員が心がけ、実践しています。例えば、幼児のトラブルでは、両者の気持ちを受け止め、お互いが納得いくような対応を心がけています。また、自分から十分説明のできない乳児の子どもたちについては、子どもの表情をしっかりよみとるなど、子どもの思いを大切にして保育を進めています。
 そうした日ごろの保育に対して、保護者の満足度も高く、職員に対して全幅の信頼をおいていることが保護者のアンケートからも十分うかがえます。

 

《事業者が課題としている点》
 民営化に向けた運営の見直しや課題への対処、職員集団に変化があっても白鳥保育園の保育の良さを継続していくこと、地域の子育て支援やニーズの把握と適切な事業の展開を今後の課題として取り組んでいます。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重  子どもを尊重したサービス提供について共通理解を持つための取り組みや、一人ひとりの意思を尊重した保育を実践しています。人権やプライバシー保護については川崎市や麻生区で実施している研修を受講し職員の子どもへのかかわりが不適切な対応とならないよう必要な知識を学んでいます。川崎市では平成元年11月20日に国際連合総会で採択された「児童の権利に関する条約」の理念に基づき、「川崎市子どもの権利に関する条例」を制定しています。当園ではその条例に基づき子どもの権利を保障するよう努めています。
 虐待の早期発見と防止に向けた取り組みとして、マニュアルを整備し登園時や着替えの際に視診を行っています。虐待を疑うケースが発生した際には速やかに園長に報告後ケース対応について話し合います。その後は子どもと保護者の様子を見守りながら各関係機関と連携を図り子どもと保護者を支援していきます。なお、これらのケースについては確実な支援につなげるため記録を取っています。園長は子どもと保護者の支援をするうえで虐待を早期に発見する必要性を感じ、今後はマニュアル整備に加えチェックリストの作成も考えています。
 子どもの気持ちに配慮した支援を行っています。子どもどうしのけんかやトラブルに対してはそのつど職員が仲立ちし解決へと導いています。子どもがお漏らしをした際にはできる限り周囲に気づかれないよう対応し、集団の中で特定の子どもを指導する必要が生じた場合には個別に呼んで話をするなど、子どもが他者との関係性の中で恥ずかしいと感じられるような場面ではその時々の気持ちをくみ取った支援を心がけています。そのほかにもプライバシー保護として着替えやプール遊び、夏場のシャワーでは外部の視線を避ける工夫をしています。
2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供  入園のしおりには、保護者とコミュニケーションをとりながら保育を進め、心配なことやわからないことはいつでも園長や担任に尋ねてほしいことを明記しています。職員は保護者との日々の会話や連絡ノート、個人面談、行事後のアンケート、保護者会アンケートなどを通じて園の保育に対する感想や意見、要望を聞いています。園長は問題を先送りにしないように、これらの意見や要望には迅速に対応するよう努めています。また、園長は卒園を控えた子どもに園生活の心に残る思い出などを聞いて、子どもの思いも把握するようにしています。
 今年度の年間の園活動のテーマは「宇宙」です。例えば5歳児クラスでは、宇宙にちなんでロケットを共同製作するなど、発想豊かに遊びを展開しています。ルールのある遊びも盛んで、4、5歳児のドッジボールでは友だちが考案したルールを日ごとに取り入れるなど、遊びを通して他者の意見を尊重することを学んでいます。どの保育室も採光が良く、子どもたちはウレタンのマットで設けられたコーナーに集まったり、席に着いて遊びに集中しています。3〜5歳児は異年齢交流活動「かるがも活動」を月2回実施し活動の幅を広げています。
 苦情解決の体制を整備し、苦情受付担当者、苦情解決責任者、第三者委員2名の氏名と電話番号、園と法人の電話番号を明記した文書を保護者の目に触れやすい事務室横に掲示しています。この内容は入園のしおりにも明記し、入園説明会や新年度説明会の折に保護者に説明しています。苦情解決の対応については「担任を通して苦情があったとき」「園長に苦情があったとき」などケース別にフローチャートにして解決の手順を明確にしています。苦情は記録し保管することにしています。
3 サービスマネジメントシステムの確立  当園では小学校と綿密に連絡を取り合い、園での支援を小学校へと引き継いでいます。サービス終了時には小学校に保育所児童保育要録を提出しています。また、地域の保育園の5歳児担任と小学校の職員が集まる「年長児担当者会議」に参加し、子どもの成長や現在どのような支援を行っているのか、就学までに身につけたいことなどについて話し合っています。そのほかにも園長と校長の連絡会や5歳児担任と養護職員が子どもや子どもを取り巻く環境について話し合ったりするなど、子どもの就学がスムーズに行われるよう連携しています。
 園内業務の一定水準のレベルを確保するための取り組みを行っています。当園では各種マニュアルや手引書を項目ごとに分けて職員が見やすいよう整備しています。これらは職員が判断に迷ったときにはいつでも確認できるよう入職時に一人ひとりに配付し必要に応じて活用しています。また、園内業務について職員に意見を求めるアンケートや園独自で「園の自己評価」を実施しています。ここでは、より具体的な改善点を取り上げ翌年度に生かす取り組みを行うとともに職員がサービス提供や園内業務について振り返る良い機会となっています。
 子どもの安全を確保するため災害時の対策に取り組んでいます。災害に対する取り組みとして毎月実施している避難訓練のほか防災訓練も実施しています。防災訓練では煙体験(遊具のトンネル内部に鐘を下げ、その鐘を鳴らさないように潜り抜ける訓練)、飛散体験(卵の殻の上を歩く訓練)、暗闇体験(頭にライトを付けて暗い場所を歩く訓練)に加えアルファ米の味見体験を行うなど、実際の災害時を想定した訓練となっています。子どもが災害時にパニックにならないよう日ごろからこうした取り組みを行い大切な命を守るよう努めています。
4 地域との交流・連携  地域に向けた子育て支援事業として、毎月「ぷちすわん」を発行し、近隣の住戸に回覧してもらっています。そこには、保育園の子どもたちといっしょに遊ぶ「遊ぼう会」、園の看護師や栄養士が毎月開催する離乳食や感染症、食中毒などの講座「ぷちぷち」のお知らせや、園のイベントへの参加なども知らせています。このほか、月曜日から金曜日の9時から12時の園庭開放や、育児相談なども実施しています。さらに、地域子育てグループへの出張保育や、自治会主催の祭りへの協力など多彩な活動を実施しています。
 当園は「ボランティア受け入れマニュアル」を作成し、積極的に受け入れる体制を整えています。マニュアルには、ボランティアの意義や、ボランティアとの打ち合わせについて、安全面の配慮について、受け入れの対応についてなどが記載されています。実際にボランティアの方が入る場合は、あいさつや身だしなみ、子どもと接するときの注意事項など7か条の注意点を書いた文書のもとに説明をします。受け入れ担当は園長が行っています。なお、定期的に「おはなしボランティア」の方にも来てもらっています。
 地域に向けて、信頼される保育園を目ざして活動しています。当園は何十年も続いた公立保育園から約7年前に指定管理園に移管しました。長年地域とともにきた保育園を、さらに地域との関係を密にしていくために、広い園庭を生かし、地域の夏祭りを園で開催しています。また、園庭開放や地域子育て支援事業をしていますが、より地域支援の輪を広げていくために、園内研究グループの一つに地域支援活動を位置付けました。そして、地域支援担当の職員を選定し、そのスタッフのもとにより充実した活動を実施中です。
5 運営上の透明性の確保と継続性  毎年の事業計画が園長を中心に詳細に立てられ、法人の理事会承認のもとに運営されています。その計画は運営方針をはじめ、特別保育の事業計画、一時保育、地域の子育て支援計画、保護者との連携業務の自己点検、苦情対応、研修計画、安心・安全対策、虐待、給食、施設・設備管理など23の項目を立て、具体的に記載されています。この事業計画は園長が職員に年度初めの職員会議で説明するとともに、保護者には新年度保育説明会において概要(方針・目標、保育内容、行事計画、保健、食育、危機管理など)を説明し理解を得ています。
 職員個々から意見をもらい、その意見を集約して記録に残し職員会議で話し合います。職員から出た積極的で前向きな意見は、保育運営に生かすように導入しています。また、職員からの意見は文章表現で提出してもらいます。これは口頭だけでなく文章で相手に的確に伝える力を養成する意味もあります。具体的な提案は環境や保育内容、職員自身、その他に分け、まとめてあります。例えば、環境では、遊具の定期的な補修、遊具の工夫、子どもが摘んで遊べる花がほしい、蚊よけ対策などです。このように職員の意見を園長は大事に考えています。
 職員個々の目標や実施内容、あるいは、課題発見のために「職員の職務における目標及び計画」「職員の職務における実施内容及び課題」という書類を年度初めと年度末に提出しています。4、5月の年度初めには、6つの業務(クラス保育について、園児への対応、保護者対応、チームワークなど)の目標及び計画を、年度末には、その計画に基づいた実施内容と課題を記し、4段階の自己評価、園長評価、そして、総合評価をつけます。この表は、職員一人ひとりの質の向上を図るとともに、園全体の底上げにもなっています。
6 職員の資質向上の促進  職員の育成及び評価を目途に、職員一人ひとり「自己評価」を実施しています。この自己評価は、保育の計画性や、保育の在りかた・園児の対応、保育士としての資質や能力・良識・適性、保護者への対応・守秘義務、地域の支援や社会とのかかわり、保育者の専門性に関する研修・研究への意欲・態度、保育の在りかた(3歳未満児への対応)、地域における子育て支援となっています。そして、それぞれ数項目からなる評価が立てられています。職員は、これらを3段階の評価で年度末に自己評価しています。
 園長は保育の質を向上させるためには研修が欠かせないと感じています。そこで研修担当の職員を作り、園長といっしょに相談して年間研修計画を立てます。年間40以上の研修に職員は参加しています。研修は受講希望にはなるべく沿うように研修係は工夫していますが、ぜひ行ってもらいたい研修を該当職員に振りあてます。なお、園内研修は、地域支援、乳児、幼児、防災の4つのグループに分け、それぞれ6人ずつどれかに属して行っています。園外研修は有料の場合は一部補助をしたり、シフト調整をしたりするなど環境を整えています。
 職員が活気あふれる保育をするためには、ワークライフバランスが大事と園長は考えています。そこで、職員の就労環境や働く意欲作りを考えています。日常的には残業を減らすとともに有給休暇が気持ちよくとれるような環境作りを、園長や主任は心がけています。時間内の密度を濃くし、なるべく時間内に終了するように職員に働きかけています。現在はほとんど残業もなく、有給休暇も平均年間12日以上とれるようになっています。また、5年刻みの永年勤続表彰制度も導入し、安心して長く働けるような環境を作っています。

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