かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

にじいろ保育園登戸

対象事業所名 にじいろ保育園登戸
経営主体(法人等) 株式会社 サクセスアカデミー
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 214 - 0014
多摩区登戸3329-6
tel:044-322-8041
設立年月日 2010(平成22)年07月01日
公表年月 2017(平成29)年02月 〜
使用評価項目 川崎市版
評価機関名 合同会社 評価市民・ネクスト
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

【施設の概要・特徴】
  にじいろ保育園登戸は、JR南武線・小田急線「登戸」駅から徒歩3分ほど歩いた住宅地の一角に位置し、敷地と園舎はJRから借り受けています。園舎は新しく、清潔さが保たれています。JRの線路脇に位置しているため、保育室は防音装置が施されています。
  園舎は2階建てで、1階は0〜1歳児、2階は2〜5歳児の保育室になっていて、日当たりが良く園庭もあり、夏は組み立て式プールを出し、子どもたちが交替で楽しんでいました。
 にじいろ保育園登戸は、2010年7月に、株式会社サクセスアカデミーによって認可保育所として開園しました。運営法人は、保育園・学童クラブ・児童館の運営、病院・事業所・大学内の保育委託サービス、保育施設運営のコンサルティングサービスを、首都圏を中心に幅広く展開しています。
  定員は60名(0歳児〜5歳児)で、開園時間は平日・土曜日とも7:00から20:00です。
  保育理念は「のびやかに育て だいちの芽」、保育目標は「自然を愛し、心身ともに健やかな子ども」「自分で考え行動し、意欲と根気のある子ども」「『仲間』と関わり、人を思いやれる子ども」「自己を表現できる子ども」です。


●特によいと思う点
【1】理念に基づく園の運営を目指す園長のリーダーシップ
  園長、主任は理念に基づく園の運営でリーダーシップを発揮しています。理念に基づく子どもへの対応の出発点は職員間の信頼関係の構築から、という視点で、全職員の自己紹介ファイルを作り回覧することで、お互いの理解を促進し、職員をバックアップしています。会議では職員の意見が出しやすいように努めたり、保育士業務の軽減を図るなど、職員が生き生きと働けるように心がけています。また、保護者との連携を密にするためにも、課題や情報の共有を大切にし職員同士が連携して対応できるようにしています。


【2】理念実現に向けた、保育士の子どもや保護者に対する姿勢
  指導計画に柔軟性を持たせ、子どもの意思を大切にした保育を行っています。保育士が「権力者にならない」こと、強制しないことを念頭に、「何やりたいの?」「今日は何をする?」などと子どもに問いかけ、子どもの言葉に耳を傾け、意思を尊重するよう努めています。保育士の声の大きさ、トーンは威圧感がなく優しく穏やかです。また保育士は、登降園時に保護者とコミュニケーションを取ることを大切にし、信頼関係ができるように心がけています。職員室の扉は常に開いていて、保護者がいつでも職員に声がかけられるようにしています。


【3】問題点を速やかにすくいあげ、職員の知恵と力で解決する組織力
  月1回開催される職員会議では各クラスからの報告が行われ、現状の問題点と課題、気になる子どもの様子などが報告されています。例えば、特定の子どもとしか遊べない子どもについて、保護者とも連携しながら職員が別々の遊びに誘導するなど、課題に対して知恵と力を合わせ解決するよう努めています。保護者アンケートの結果や、保護者からの意見・要望も職員会議で共有し検討しています。また、検討した内容や改善策などは全職員に周知し、保護者へは園だよりや掲示板で伝えるなど、サービスの向上を目指しています。


●さらなる改善が望まれる点
【1】マニュアルのさらなる周知徹底を通したサービス向上
  理念、指導計画、子どもとのかかわり方、保護者とのかかわりなど、詳細な「保育マニュアル」が職員室に常備してあり、見直し・更新も行われ、いつでも参照することができるようになっています。保育士はマニュアルの重要事項をおおむね理解し、業務にあたっています。しかし、マニュアルの周知徹底のためにはさらなる工夫が望まれます。例えば、項目ごとにマニュアルの担当者を決め、日々さまざまな課題が起きた際に、該当項目のマニュアルをとりあげ、緊急性・重要性に応じてミニ研修を行うなど、工夫が期待されます。


【2】地域の子育て家庭のニーズを踏まえた、地域支援のさらなる取り組みの工夫を
  地域の子育て家庭への支援は、地域の福祉資源として保育園に求められています。園では園庭開放や育児相談会などを実施し、地域の子どもも参加できる園の誕生会など、行事予定を地域に情報発信しています。しかし、園庭開放などの参加はまだ少なく、情報提供の方法について工夫したり、地域の子育て家庭のニーズは何なのかについて、情報収集・分析することが求められます。園の現状も踏まえ、身の丈に合い、ニーズに沿った施策について、職員の知恵も生かし検討することが期待されます。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重 ●保育の予定・計画に柔軟性を持たせることで、子どもの意思を尊重し、子どもの意向を取り入れることを大切にした保育を行っています。保育士は「何やりたいの?」「今日は何をする?」などと問いかける余裕をもち、保育士が権力者にならないこと、子どもに強制しないことを念頭に入れ、子どもの言葉に耳を傾け、子どもの意思を尊重するよう努めています。また、保育士が子どものそばに寄り添いながら話しかけることで、子どもに対して大きな声を出すこともなく、威圧感のない優しく穏やかな言葉かけをしています。
●子どもや保護者のプライバシー保護については、運営法人の規程やマニュアルがあります。個人情報の取り扱いを職員に周知しています。保護者にも説明を行い、同意を得るようにしています。写真のインターネット販売においても、個人情報保護のために1家庭ごとのパスワードを設定するなどの配慮をしています。プライバシー保護や個人情報の取り扱いなどは、その重要性からも今後とも職員研修などを重ねていくことが期待されます。
2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供 ●苦情解決の仕組みが確立されており、子どもや保護者が相談や意見を述べやすいように、複数の方法を提示しています。意見箱・連絡帳・行事後アンケート、個人面談や懇談会で意見を聞く機会を設けています。保育士は、送迎時に保護者とコミュニケーションをとることで信頼関係を築き、話しやすい雰囲気を作っています。職員室の扉を開け、いつでも保護者が職員に声をかけやすくしています。また、園長からも保護者へ声かけをしています。
●乳児・幼児において、自由遊びなどにおける友達との協同の遊びを通して、人間関係を構築できるような援助をしています。保育士は子どもが主体的に遊びにかかわれるように、一人一人の子どもの気持ちを推し量りながら言葉かけをしています。保育室がオープンスペースになるため、普段からクラス単位だけでなく、異年齢とのかかわりをもつことができています。さらに、運動会・親子で遊ぼう会・フェスタや日本の文化を享受する七夕やひなまつりなどの行事参加で、日常とは違う体験やかかわりが広がるように取り組んでいます。
●表現することの楽しさを伝えるために、各年齢においてさまざまな活動を行っています。日々の保育の中でも絵を描いたり、ダンスをしたり、季節の歌を歌うなど、子どもたちが自由に楽しむ時間があります。外部講師による体操教室や造形教室も行い、子どもが興味関心があることを取り入れ、子どもの活動や表現する力、他者を受け入れる力が育つように支援しています。子どもたちの作品は、ほかの子どもや保護者にも見てもらえるように、1階フロアの「にじいろ美術館」や玄関付近に展示しています。
●家庭と保育所が生活の連続性を持てるように、登園時には保護者から家庭での様子を聞き取り、降園時には保育士から園での様子を報告しています。また、連絡帳も使用しています。全職員が子どもの様子を把握するためや、子ども一人一人の一日の状況を漏れのないよう保護者に直接伝えるために、職員の間で申し送りノートを使用しています。話をする時間の少ない保護者に対しても、園でのクラスの様子が分かるように、クラス別のホワイトボードを掲示しています。
●基本的生活習慣については、毎日の生活の中で一人一人に合わせ無理なく身につくように援助を行っています。一日1回は外で元気に遊べるような日案を組み、戸外に出られないときでも、動きのある遊びを取り入れ、発散できるようにしています。健康のために、早寝・早起き・朝ごはんの啓発を行っています。保護者へは、給食だよりやほけんだよりで説明しています。子どもたちには、保育士が寸劇をして分かりやすく伝えるような取り組みをしています。
●食事は、子どもがクラスで友達や保育士と一緒に楽しく食べることを第一に考えています。保育士が献立の説明をし、座席決めや給食当番などに子どもが積極的にかかわり、楽しみを増やすようにしています。子どもたちが食に興味がもてるようにクッキング活動も行っています。食育については家庭と連携がとれるように、クラスだより・給食だよりで子どもの様子や食の大切さを伝えています。ブログや写真を掲示するほか、子どもが植えた野菜の成長の様子を、子どもと保護者で見られるようにしています。
3 サービスマネジメントシステムの確立 ●子どもの安全の確保は最優先課題の一つに位置づけ、園長、主任中心に取り組んでいます。「安全管理に関するマニュアル」「大災害時対応フロー」マニュアルに基づき、毎月1回、火災、地震や不審者対応の訓練を行っています。また、年1回保護者参加の「引き渡し訓練」も行い、いざというときの子どもの安全確保とスムーズな対応ができるようにしています。また心肺蘇生術やエピペンの使用方法などの研修を全職員が受けています。月1回の事故未然防止確認表による事故のリスクの洗い出しなど、事故防止に努めています。
●年間指導計画、月間指導計画のねらいが達成できたのか、各指導計画の「振り返り」「自己評価」の欄で反省を行い、指導計画の評価・見直しをしています。例えば、決まった友達としか遊べない子どもについて、クラス担当で話し合い、保護者とも連携して職員が別々の遊びに誘導するなど、職員会議で指導計画を見直しています。行事や活動の際には子どもに言葉で丁寧に説明し、また子どもたちの遊びの様子を指導計画に反映したり、行事アンケートなどの保護者の意見も取り入れるなど、状況に応じた柔軟な指導計画の見直しを行っています。
●理念、保育方針、保育目標、安全・健康、指導計画の作成、子どもとのかかわり方、遊び、発達、食事、午睡、プライバシーの保護、保護者とのかかわりなど詳細な「保育マニュアル」が事務室に常備してあります。職員はマニュアルの内容をおおむね理解した上で業務にあたっていますが、マニュアルの周知度をさらに高めるためには、園の現状や課題と照らし合わせて都度マニュアルの研修を行うなど、さらなる工夫が期待されます。
4 地域との交流・連携 ●園のもっているハード、ソフトの福祉資源を地域に還元しています。園庭開放や育児相談会、地域の子どもも園の行事に参加できるようにするなど、地域の子育て家庭を支援する企画を、園の実情も踏まえながら、毎年少しずつ充実させています。また、神奈川県主催の保育士確保対策の一つとして開催したセミナーに、園の保育士を講師として参加させるなど、関係機関・団体の共通の課題解決にむけて協働して取り組んでいます。
●ボランティアや実習生の受け入れマニュアルでは、ボランティアの受け入れ姿勢を明確にし、受け入れは園長、育成は主任が担当しています。地域の理解を促進すること、子どもの生活を豊かにすること、外部の視点による園の透明性を確保すること、など目的も明確に述べられています。保育関連の大学・短大・専門学校の学生の実習を受け入れていますが、ボランティアの参加はまだ少ないのが現状です。ボランティア受け入れについて職員間で意見交換を行い、積極的に受け入れが進むよう検討することが期待されます。
●地域の子育て家庭に向け、園庭開放や育児相談会、地域の子どもも参加できる園の誕生会、園の行事予定などを、園の外掲示板でお知らせし情報を提供しています。また、子育て支援団体や行政などが協働で開催する「子育てまつり」に園紹介のパネルを展示するなど、利用希望者に情報を発信しています。さらに、園庭開放の参加が少ないなどの現状を検討し、情報提供の方法の改善や、地域の子育て家庭の親子のニーズをさらに収集・分析し、ニーズに合った取り組みの検討が望まれます。
5 運営上の透明性の確保と継続性 ●理念は「のびやかに育て だいちの芽」をうたい、心身ともに健やかな子、意欲と根気のある子、人を思いやれる子、自己表現できる子を保育目標としています。「保育ガイド」(マニュアル集)には「子どもの最善の利益の尊重」が掲載されています。保育士は普段から気持ちにも時間にも余裕を持ち、権力者にならないこと、子どもに強制しないこと、子どもの言葉に耳を傾けることを心がけるなど、理念に基づいた保育が現場で実践されています。
●園長、主任は経営や運営の効率化、改善にむけリーダーシップを発揮しています。子どもの安全確保のため、園内外の安全対策とリスク回避のため「安全チェック表」で点検し、事故の未然防止に努めています。理念に基づく子どもへの対応の出発点は職員間のコミュニケーション改善からという視点で、全職員の自己紹介ファイル「トリセツ」をつくり回覧することで、お互いの理解を促進し、職員間の業務連携の改善・強化につなげています。フリー保育士の配置で保育士業務の軽減を図り、保護者対応の改善につなげています。
●園長・主任を担当者として、保育所の自己評価を行っています。保育所の自己評価の結果の全体像については職員に報告されていませんが、明確になった個別課題については園長から職員会議に報告し、地域の子育て家庭支援の課題として、園庭開放や育児相談について改善策や改善実施計画の策定を検討しています。保育所の自己評価の実施から結果分析や課題の抽出、改善までのプロセスに職員がかかわり、保育士が主体的に課題に取り組めるようにするとさらに良いと思われます。
6 職員の資質向上の促進 ●「サクセス保育者ナビ」には、「求める保育者像」として、人権尊重、コミュニケーション力、専門性など人材像が明示されています。初任者、リーダー、主任など経験・能力・習熟度に応じた期待水準も「保育マニュアル」に明文化しています。「求める保育者像」はまた、職員の教育・研修に関する基本姿勢についても、「成長のめやす」として@保育社員として、A安全・健康、B基本姿勢・保育の計画の作成と記録・評価、C子どもとの関わり、D保護者対応の5分野51項目の目安を下に職員育成を図ることが明示されています。
●運営法人の研修、事業計画の実践、職員の評価結果と面談で把握した職員の要望をもとに、一人一人の職員に身につけさせたい資質、受けるべき研修について、毎年度策定する「職員育成年間研修計画」に定めています。すべての職員が、乳・幼児の発達、手遊び、クラス運営、感染症対策など年1回以上の研修を受講しています。職員の自己評価と面談で個別の職員の課題を把握し、課題に見合う職員ごとの研修に努めていますが、個別の職員ごとの課題や研修内容の一覧表はなく、進捗が把握しにくいため、改善するとなお良いと思われます。
●職員の福利厚生や職員の健康管理に積極的に取り組んでいます。運営法人は外部の福利厚生サービスに加盟し、職員が映画鑑賞などに利用しています。また食事会など職員の交流もすすめています。園長・主任は有給休暇消化状況を把握し、職員全員が休暇取得できるよう管理しています。園長は残業削減のため、フリーの保育士を配置するなど業務軽減に取り組んでいます。子どもへの対応のため臨床心理士が月1回来園していますが、保育士自身の相談を行うこともでき、メンタルヘルスケアにも努めています。

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