かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

はじめの一歩保育園

対象事業所名 はじめの一歩保育園
経営主体(法人等) 社会福祉法人共遊の会
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 215 - 0021
麻生区上麻生7-41-5
tel:044-981-5105
設立年月日 2014(平成26)年04月01日
公表年月 2017(平成29)年02月 〜
使用評価項目 川崎市版
評価機関名 株式会社 学研データサービス
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

《施設の概要》

 はじめの一歩保育園は、平成264月に社会福祉法人共遊の会により認可保育園として開園しました。現在0歳児から5歳児まで定員90名を受け入れています。

 園は小田急線柿生駅北口からバスで3つ目の亀井橋から徒歩2分ほどの所にあります。周辺は緑とのどかさの残る環境で古くからの地元の家々があるとともに、駅近くに向けてマンションや住宅が展開する地域です。園の建物は鉄筋コンクリートづくり2階建てで、2階のベランダは幅が広くできています。保育理念には、「健全な心身の発達、子どもの最善の利益、よりよく育つ、育ちあいの場づくり」をあげ、保育指針の4項目、また保育目標の「優しい心、強い心、豊かな心」を基に、子どもの心に寄り添った保育を行っています。

 公道から園に向かう小道の右側には法人理事長が園長を務める幼稚園があり、左側には敷地内の田畑が広がり、園の裏山も敷地内にあります。子どもたちは自分たちで米や芋、野菜を作って食育食農を楽しんだり、裏山で山登りや探検、柿やブルーベリーの実を採ったり、幼稚園の広い園庭で遊んだりして自然を満喫した生活を送っています。

 

《特に優れている点・力を入れている点》

○豊かな自然環境を生かした保育と食育食農活動を展開しています

 園の敷地内に広い田畑とお花畑があり、また園の裏山もあります。子どもたちは田んぼで泥んこ遊びをしたり、田植えから稲刈りをしたり、畑でさつま芋やじゃが芋、大根など季節の野菜を育て芋掘りなどを楽しみ、裏山では山登りや探検、昆虫を捕まえたり、柿やブルーベリーの実を採ったり、隣接する幼稚園の園庭で遊んだりして自然の中で季節を五感に感じ、主体性の向上と体力作りがなされています。川崎市の給食メニューに季節ごとに収穫した野菜を使ったり、時折り独自のメニューを取り入れるなど食育食農活動を保育に生かしています。

 

○保育計画の作成や振り返りの体制がよくできています

 保育課程から日案に至る計画作成に保育士だけでなく、園長、主任が意見を述べたり、看護師や管理栄養士が関わるなど、職員一丸となって、ていねいに計画作成を行っています。また、計画を実行するにあたり必要な日々の記録を、担当職員が正確に記載しています。これらのさまざまな記録は園長、主任が必ず目を通し、指導する体制もできています。職員が意見を自由に交換したり、園長、主任のアドバイスを受ける体制にあり、質の高い保育が提供できる環境にあります。

 

○期初に毎月の内部研修の担当職員を決め、企画、運営を任せています

 年度初めに園内研修計画書が示され、月ごとの担当者を記載しています。担当者はその月ごとの園内研修の企画、運営を任されます。これは、保育の質の向上のため、月1回ともに学ぶことで保育の共有を図ること、企画を担当し自身のプレゼンテーション力を高めること、コミュニケーションが活性化すること、などが狙いです。これまでAED(自動体外式除細動器)の使い方、救急講習、防火、事故時の保護者対応などのほか、各職員の得意なものを研修採用で共有したり、時期に合った研修を依頼するなど協力して資質の向上に寄与しています。

 

《事業者が課題としている点》

 地域の子育て家庭同士の交流を図るための子育て支援活動を充実させたいと考えています。年間を通して子育て支援日を設定し、定期的な園庭開放の実施、また園周囲の自然環境を生かし春夏秋冬に合わせたお花見や流しそうめん、焼き芋、餅つきなどを開催し、子どもたちの体験を豊かなものにするとともに、保護者だけでなく祖父母も参加して地域ぐるみの子育て支援活動に発展させたいと考えています。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重

 園では一人ひとりの子どもの意思を尊重することの大切さを職員の心得に明記するとともに、職員会議等で園長から職員に口頭で伝えるようにしています。例えば、子どもどうしのけんかでは、叩くには意味があり、その背景に何があるのかを考えることのできる職員となるように、園長、主任をはじめベテラン職員が日々の対応方法を話し合う中で伝えています。園では、名簿は生年月日順にするなど、子どもたちに性差を押し付けないように配慮しています。保護者からの相談には、プライバシーに配慮しながら親身に相談に応じています。

 行事の写真、ビデオ撮影、掲示など個人情報を取り扱うことについて、入園時に保護者に説明し同意を得て、異義のある方がいないことを確認してから実施するようにしています。子どもどうしのけんかから大きなけがなどに至った場合、園が仲介して双方の保護者の合意を得たうえで個人情報を伝えるように配慮しています。入園時に「個人情報使用同意書」を保護者に配付し、小学校就学時に小学校との間で情報を共有することや、緊急時に病院や関係機関に対して必要な情報提供を行うことを説明したうえで同意の署名を得ています。

 虐待防止マニュアルに基づき、登園時や衣服の着脱時に視診を行ったり、保護者の様子や子どもが何げなく発する家庭内の話などにも注意深く耳を傾け、虐待の早期発見に努めています。子どもの家庭環境に特別な配慮を要する場合には、クラス担任、園長、主任と保護者との面接を適宜行い、全職員に伝えるべきことは「職員連絡ノート」で周知徹底し、園全体で支援する体制を整えています。必要に応じて、川崎市北部地域療育センターや川崎市北部児童相談所とも連携をとりながら、子どもが健やかに園生活を送れるよう支援しています。

2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

 保護者の意見を直接聞くことを大切にしています。入園式後のクラス別保護者会では利用開始への保護者の不安を聴き取り、4月中旬には全保護者を対象にさまざまな意見を聴いています。11月は保育参観と個人面談を実施しています。2月は進級説明と1年間の振り返りをクラスごとに行います。また、園の行事ごとに保護者アンケートを実施し、収集した意見や要望は次年度の行事計画に生かすようにしています。日々の送迎時にも保護者との直接対話によるコミュニケーションを大切にし、必ず職員から保護者に声を掛けるようにしています。

 毎朝の登園時には、玄関で職員から先に子どもと保護者にあいさつをすることを徹底しています。職員から元気にあいさつすることにより、保護者にも話しやすくコミュニケーションを取りやすい雰囲気を作っています。保護者からの相談には、その内容によって相談室を利用したり人のいない場所で話を聞くなどの配慮をしています。苦情解決のしくみは入園のしおりに明記し、苦情解決担当者、苦情解決責任者、第三者委員の氏名と苦情解決の流れとともに、麻生区保健福祉センター児童家庭課の電話番号もあわせて玄関に掲示しています。

 02歳児クラスは成長に差があるため、個別指導計画や食事進度一覧表を作成し、保育士、管理栄養士、看護師が相談し一人ひとりの発達に応じた対応をしています。35歳児クラスでは、雨天時などは保育室のしきりを取り外して3クラス合同で遊んでいます。ごっこ遊びや自由制作などでは、子どものイメージを大切に遊びが豊かに展開できるように職員は環境構成を工夫しています。子どもたちが主体的に話し合い、他者の気持ちを理解しながらおもちゃ選びや遊び方を選択できるようにしています。

3 サービスマネジメントシステムの確立

園では、入園前健診時に保護者に児童票、健康チェック表の提出をお願いしています。入園時面談の内容は、新入園児面接記録、離乳食の面接記録、面談記録に記録しています。これらの情報をもとに、保育士、看護師、管理栄養士が子どもの状況を個別に確認し、連携しながら指導計画の作成につなげています。05歳児の全クラスで保育課程に基づき各クラス担任が職員の意見を取りまとめ、年間指導計画、月間指導計画、週案、日案を立案し、園長、主任が確認した後、年間指導計画と月間指導計画を月末の全体会議で周知しています。

 保育日誌は、子どもの様子やクラスの活動内容と振り返りを記載する書式になっています。02歳児は担任が「個人指導計画」に記録し、35歳児は個別に記載する必要がある場合には「個別ケース記録」に子どもの姿や配慮した内容などを記載しています。このほかにも毎日、「個別支援・観察記録」に出席状況、一日の主だった様子を記録し、園長、主任が確認しています。入園時に保護者から提出された児童票や健康記録表、入園後に職員が作成した個別支援計画や個別支援・観察記録は、「個別ケースファイル」に保管しています。

 職員心得マニュアルが整備され、保育業務の基本事項や詳細な決まりごと、職員の心得などが記載されています。このほか種々のマニュアルがあり、職員の意見を聞きながら、気付いた都度マニュアルを作成したり、より実践に合うように変更したりして整備する作業を進めています。園行事の後には必ず保護者アンケートや職員の反省会を実施して、そこで得られた意見、要望などを踏まえ行事マニュアルの変更を行っています。月間指導計画の見直しは園長、主任も入った各クラス会議で検討して翌月の計画を作成し、全体会議で確認しています。

4 地域との交流・連携

 園のホームページに園の概要や保育理念・方針・目標、保育の特色、年間行事、一時保育案内、月ごとの園だよりなどとともに法人決算などの事業情報を公開しています。入園希望者などの見学依頼には業務に支障がなければ希望者の都合に合わせ、受け入れています。見学者にはパンフレットを渡し、園長から園舎の見学後、保育の特色などをやさしく説明しています。麻生区役所などで開かれる作品展に園児も出展し、その折にパンフレットを置いて情報提供しています。麻生区や川崎市のホームページにも園の案内情報を提供しています。

 地域の保護者ニーズに合わせ、一時保育「ポッケ」を開設し、子育て支援のために「子育ていっぽ」と称して地域の方にも呼び掛けて離乳食講座や音楽会を開いています。また、「いっぽフェスティバル」(運動会)には地域の未就園児なども招待し、「ふれあいの日」には園児の祖父母と共に地域の高齢者を招待し、いっしょに遊んでいます。ボランティアは主任や園長を担当者として近隣の小学生や中学生の職場体験を受け入れています。ボランティアにはマニュアルに基づいて事前にオリエンテーションを行い、守秘義務などを説明しています。

 理事長と園長は別々の小学校の推進委員をしており、地域との連絡会議や町内、地域の方々から地域の福祉ニーズを把握し、園の地域支援に生かしています。小学校就学に向け、5歳児担当職員が小学校を訪問して担当教諭と話し合い、園の準備の具体的な取り組みをしています。特別な配慮を必要とする子どもの保育については川崎市北部地域療育センターや川崎市北部児童相談所に相談し、指導を受けています。待機児童解消のため、麻生区保健福祉センター児童家庭課と受け入れ年齢や人数などについて連絡を取り合っています。

5 運営上の透明性の確保と継続性

 保育理念では「健全な心身の発達を図ることを目的として、子どもの最善の利益を考慮し、子どもたちが『よりよく育つ』ことを願い保育を進め、『育ちあいの場つくり』を基本理念として運営します」と述べています。保育指針は「一人ひとりの気持ちを受けとめる保育」をはじめ4項目で、保育目標は「優しい心、強い心、豊かな心」の3つを明文化しています。これらは保育園のしおりやパンフレット、ホームページに掲載し、また玄関や各クラス、事務室にも掲示して園の利用者や来園者、職員の目に触れられるようにしています。

 園の運営と保育サービスの両面から設問に答えるアンケート式の自己評価を年末に全職員に実施しています。この自己評価による反省とともに、来年度以降のクラス希望や要望、課題などを挙げてもらい、全職員が個別に園長面談を行っています。保育の年間指導計画を活用し、保育の質の向上のため、月案会議でクラスごとに月ごとの保育の自己評価を話し合っています。また、週案や保育日誌でも自己評価を行い、日々の保育に生かしています。年2回の保護者懇談会も保護者の意見を聞く場としています。

 理事長は隣接する幼稚園園長を兼ね、地元の町内会や教育界などとの連携は十分とられています。園長は麻生区の園長会や地区の園長連絡会、保育関係の外部研修に参加して行政関係の情報や地域の状況、保育環境の把握に努めています。会合などで得た地域の状況は職員会議などで職員に周知し、対応を図っています。この地域では当分は未就園児への対策が必要で、待機児童解消のため、可能な範囲で受け入れ児童を増やしています。敷地内の広い田畑を活用した食育食農活動にも注力する計画があります。

6 職員の資質向上の促進

 園長は川崎市の運営基準に基づいた05歳児の職員体制の確保に取り組み、現在は基準以上の人員で、能力や経験に応じたバランスの良い保育体制を整えています。保育計画の木工遊びや食育食農活動に注力し、木工講師を招いたり、管理栄養士の職員を確保しています。園長は職員との個別面談で業務継続の意向を把握し、翌年度に必要な人員の確保に取り組んでいます。職員が遵守すべき法令、規範、倫理などは職員の入職時に研修や説明を受けています。年度末前には全職員が自己評価を行い、園長と面談し、確認と助言を受けています。

 園長は職員の質の向上のために、川崎市や麻生区などが主催する外部研修に積極的に参加するよう職員に促しています。個々に必要と思われる研修は、適格者を指名して受講してもらっています。園内研修は年度初めに「園内研修計画書」を提示し月ごとの研修担当職員を決め、担当職員の企画、進行で実技研修や事例研究を行い、また非常勤職員も参加できるよう努めています。外部研修受講者は研修報告書を提出し、職員に回覧して研修成果の共有を図っています。必要に応じて園内研修などで外部研修報告と実習を行い、成果の周知をしています。

 園長、主任は職員が良好な状態で勤務に臨めるよう職員の健康状態や就業状況に留意しています。主任は日々の勤務が公平になるよう勤務シフトを作成し、時間外勤務や有給休暇消化状況などにも留意しています。園長は年度末前の個人面談で職務の満足度や意見、要望を聞いています。また、日常でも職員からの要望や提案は速やかに対応するよう努めています。園長や主任は日常的に各クラスを回り、調子のすぐれない職員には声をかけ、具合を確認して、必要に応じ園長承認のもと、早退や医療機関での受診を勧めるなど配慮しています。

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