かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

ろぜっと保育園

対象事業所名 ろぜっと保育園
経営主体(法人等) 特定非営利活動法人 ムーミンの会
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 220 - 0055
西区浜松町10-10 なかまの杜
tel:045-315-2124
設立年月日 2015(平成27)年04月01日
公表年月 2016(平成28)年12月 〜
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 株式会社フィールズ
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

[施設の概要]
 ろぜっと保育園は、1980年より保育事業に携わってきたムーミンの会が、地域や社会的なニーズを鑑み、子どもの成長、発達を長いスパンで見通した「切れ目のない支援」を実践すべく、障害や年齢の垣根を越えて、その子の発達に合わせて共に学び、生活するエリアをカバーする、政令指定都市はじめての複合施設「なかまの杜」内の保育園として、2015年4月に開所しました。なかまの杜の建物内には、「なないろ学童クラブ」、障がい児通所支援事業(多機能型)・児童発達支援事業「つむぎ子ども教室」が併設され、連携を取りながらの支援を行っています。
 理念には「平和と平等を希求し、子どもの人権を尊重しながら、保育を必要とする児童の適切な保護とより良い成長と発達を保障します」、「家庭と連携をして、子どもの1日24時間の生活と発達を保障します」、保育目標には「子育ての科学に基づき、ヒトとしての生体の生活リズムを守り育て、子どもの発達を保障する保育」を掲げ保育を実践しています。
 

≪優れている点≫
1. 生活に科学的根拠を持った保育を実践しています
 保育所保育指針に基づいた保育課程とは別に、「@ヒトとしての生体の生活リズム(早寝・早起き・午前中の睡眠など)、A直立と直立状二足歩行と運動の巧みさ、B道具をつくる創造的な手の働きと手指の巧緻性、Cことばと認識力、D精神力(言語性、行為性、社会性、創造性、感情性、自我のコントロール)、E自律性と自立性を育てる」を、科学的根拠に基づいた「オリジナルプロジェクト」として計画して実践しています。
 1日24時間の子どもの生体の生活リズムを守るために、保護者学習会を開催しています。生活リズム・食育などについて詳細な資料を基にした説明をし、「早朝散歩」の実施なども行い、保護者に理解が得られるように努めています。
 
2.障害のある子どもの積極的な受け入れを行っています
 「どの子もその人格を発達させながら、生涯にわたって能力を開花」出来るようにと定款に掲げている通り、障害や、医療的ケアの必要な子どもも含め、入園を希望したすべての家庭の子どもを受け入れています。
 障害のある子どもも健常児と同じクラスでお互いに育ち合う「統合保育」をしています。また、障害のある子どもには専任の保育士を一人加配して、マンツーマンで対応をしています。園の活動が個々の発達段階に合わない活動の際にも、同じ環境で保育に参加できるよう様々な配慮をしています。
医療的ケアが必要な子どもが登園する日には、看護師が2名体制で勤務し、呼吸器をつけている子どもや、吸引・導尿の処置などの対応をしています。
 「なかまの杜」内の療育指導を行っている「つむぎ子ども教室」、横浜市中部地域療育センター、医療センターとも連携し、障害のある子どもや医療的ケアの必要な子どもの保育を総合的に行っています。

3. 法人の保育方針の理解を深める実践報告会の実施により改善しています
 法人が運営する3保育園と、つむぎ子ども教室合同の実践報告会(今年度は「からだづくりと生活リズム」)を毎年12月に実施しています。全職員が必ず、生活リズムや、障がい児保育などに関する一つのテーマに所属しています。所属チームごとに、日々の保育実践に常に科学的に向き合い、年間を通して検討を繰り返し、テーマに向き合うことで保育技術の向上を目指しています。チーム会議で自分のレポートが選ばれると、非常勤や新人職員であっても、発表者になりえるため、職員のやる気にもつながっています。

4.保育の専門性を活かした地域の子育て支援ニーズに向けて取り組んでいます
 西区の子育て広場常設園として地域の様々なニーズに応えられるよう、子ども支援室を設け、担当保育士を2名配置し、サービス提供と地域のニーズ把握に努めています。
 地域との交流事業として近隣の地域ケアプラザでの子育て支援事業や、横浜市こども青少年局事業「親と子のつどいの広場」、区主催の出前合同育児講座「ふれあい会」への職員の派遣、地域の保護者向けに子どもの生活についての学習会を開催するなど、保育の専門性を活かし、地域の子育て支援ニーズに応じた活動に取り組んでいます。


≪努力・工夫している点≫
1.子どもの状況に応じた環境を整えています
 食事の時間が不規則になってしまいがちな家庭には、朝食と夕食の提供も行い、子どもの生体の生活リズムの保障をしています。
 幼児クラスは、3・4・5歳児混合の縦わりの「兄弟グループ」での活動を、散歩や行事、通常保育時に取り入れ、お互いに育ち合う環境を設定しています。


≪課題や改善することが期待される事項≫
1.保護者に伝わるコミュニケーションの工夫
 懇談会、保護者学習会、連絡ノートなどで保護者からの相談に応じ、クラス活動の様子は、クラスノートで伝え確認をもらっています。
 一方で、訪問時の送迎場面では、保育士は子どもへの対応が優先となり、各保護者と会話をするのは難しい状況が見受けられました。クラスノートの内容も簡潔で、保護者との確認も十分とは言えない状況です。保護者アンケートでは、「送り迎えの際のお子さんの様子に関する情報交換」、「お子さんに関する重要な情報の連絡体制」の満足度が低く、「園での生活の様子をもっと知りたい」との声もあがっています。
 園では、子どもの対話力を育てるねらいもあり、できるだけ子どもから園の様子を保護者へ伝えてもらうようにしていますが、対話力、心身状況には個人差があり、園の状況が十分に伝わらないこともあります。今後は具体的に保護者に伝えることの検討とともに、保護者とのコミュニケーションを深めるためのきめの細かい工夫が期待されます。

2.マニュアルの見直しを通した業務内容の確認と周知
 業務マニュアルの見直しは、年に一度、法人内の保育園の園長、主任が集まり検討しています。改正したマニュアルなどは職員会議などで周知していますが、全職員が業務マニュアルを再確認するまでには至っていません。全職員が各業務内容に目を通し、意識を向け、見直しをすることは、保育の質を確保するためや、チームワークでの支援をする上でも大切なことです。また、最新の情報に加え、現場の実践に基づいた業務内容を見直していく事は、その保育園にとってより良い保育を確立していく上で必要なことです。今後は、園長、主任のみならず、全職員でマニュアルの見直しをされていく事が望まれます。

3.要望、苦情の記録の蓄積と分析
 重大な苦情に関しては、苦情処理簿に苦情内容と対応までを記録し保管しています。しかし簡易な苦情、要望については、苦情処理簿へ記録は残していません。また、その記録を、整理・分類して分析をするまでには至っていません。
 苦情と要望の重要さは個々によって感じ方も違うので、今後は把握できた事についても記録を取ることが望まれます。記録内容の傾向を分析することで、重大になる前での未然防止に活かし、より良い保育環境につなげていかれる事が期待されます。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重 理念に「平和と平等を希求し、子どもの人権を尊重しながら、保育を必要とする児童の適切な保護とより良い成長と発達を保障します」、「家庭と連携をして、子どもの1日24時間の生活と発達を保障します」、保育目標に「子育ての科学に基づき、ヒトとしての生体の生活リズムを守り育て、子どもの発達を保障する保育」を掲げています。これらと保育所保育指針をもとに、保育課程と指導計画を立て実践することで、子どもの人権と、心身ともの発達の保障につなげています。
業務マニュアル内の「子どもとの接し方の配慮」には、細かい留意点までが記載されています。複数担任になっており、日々の子どもへの言葉遣い・態度などについて保育士やその他職員、全てがお互いに気を付けるようにしています。「個人情報に関する規定」も整備され、保護者には個人情報の使用に関する説明を入園時に行い同意を得ています。
障害や、医療的ケアの必要な子どもも含め、入園を希望したすべての家庭の子どもを受け入れています。なかまの杜の全館がバリアフリーの設計で設計・建設がされています。障害のある子どもには専任の保育士が一人加配され、医療的ケアが必要な子どもが登園する日には、看護師が2名体制で勤務し、呼吸器をつけている子どもや、吸引・導尿の処置などの対応をしています。
出席簿は生年月日順に記載、グループ分け、整列なども性差を全く意識せずに保育しています。外国籍の家庭の子どもには、食習慣、病気の対処法など、母国の習慣に合わせた対応をし、4、5歳児の英語教室などでは日本語以外の表現や文化があることを伝えています。
2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

保育目標の「子育ての科学に基づき、ヒトとしての生体の生活リズムを守り育て、子どもの発達を保障する保育」では、@ヒトとしての生体の生活リズム、A直立と直立状二足歩行と運動の巧みさ、B道具をつくる創造的に手の動きと手指の巧緻性、Cことばと認識力D精神力(言語性、行為性、社会性、創造性、感情性、自我のコントロール)、E自律性と自立性を育てることを視点としています。園では、自律性の育ちを、@を土台にEを頂点に育てることで、個々の子どもの自治力が育ち自立性の育ちにつながるとして、これを視点とした「オリジナルプロジェクト」を設け、保育課程とともに、日々の活動に常に取り入れています。
子ども同士のトラブルの時は年齢に応じて、お互いの言い分が言えるように、様々な場面を設定してコミュニケーション力や対話力を育てることに努めています。子ども同士の話し合いや、日々の保育の中で出た要望などを、その日の保育や、月間・年間指導計画に取り入れ実践することで、子どもの自主性や主体性を育んでいます。
低年齢児は月齢と、保育内容に応じて、廊下でハイハイをするなどの時は「中グループ」、館内散歩などは「大グループ」に分け、個々の成長に合わせた保育をしています。幼児クラスは、3・4・5歳児混合の縦わりの「兄弟グループ」での活動を、散歩や行事、通常保育時に取り入れ、4、5歳児は「ベビーシッター」として、おやつ終了後に1〜2名で0、2歳児クラスへ子育ての支援もし、異年齢で社会性などがお互いに育ち合う環境を設定しています。

3 サービスマネジメントシステムの確立 利用希望者の見学時にはパンフレットを用意し、主任が園の理念や保育目標・保育内容・障がい児保育などについて紹介しています。子どもと家庭の様子は、連絡ノートと、個人面談時で確認するほか、入園時と、毎年4月に「生体の生活リズム 自己点検アンケート」と、生育歴や障害や疾病、アレルギー状況などを知る「児童票」などをもとに把握しています。
日々の保育の記録は、保育日誌に子どもの様子に沿った自己評価欄があり、結果だけではなく、活動の流れや、子どもの意欲、成長の過程について記録しています。個別の「経過記録」には、「情緒・社会性」、「食事・排泄・着脱など」、「言語・発話と理解」、「健康・睡眠・生体の生活リズム」、「遊び・運動」の項目ごとに1ヶ月ごとにまとめ記録を残し、指導計画などの検討に活かしています。
各指導計画は、保育所保育指針と、生体の生活リズムや、科学的な視点に基づき取り入れた、ムーミンの会の保育課程をもとに、発達に応じ作成されています。月間指導計画は、クラスの主担任が作成し、午前睡時の会議(クラス会議)の際にクラスの全職員で確認・検討をして決めています。乳児と個別に配慮を要する子どもについては、月間指導計画内に記載欄があり、障害のある子どもは「障がい児指導計画」も作成し、面談や送迎時に、家庭の様子を保護者から聞いた内容も考慮し作成しています。
業務マニュアルには、子どもへの接し方、感染症、健康管理、安全管理、個人情報管理などが詳細に記され、非常勤職員を含む全職員へ配付されています。マニュアルを全職員で見直しながら周知をしていくには至っていませんが、年に一度、保育園の園長、主任が集まり検討し、見直しをしています。改正したものについては職員会議などで周知し、共通した保育と質の向上に努めています。
苦情相談窓口として、苦情受付担当者として主任、苦情解決責任者として園長、第三者委員が2名います。苦情受付マニュアルがあり、要望・苦情などが出た際には、検討するとともに、苦情処理簿に苦情内容と対応内容までを記録しています。要望・苦情の内容を性質ごとに整理して分析をするまでには至っていません。
4 地域との交流・連携 西区の子育てひろば私立常設園として、子育て支援専用室を設けて担当保育士を2名配置し、サービス提供と地域の様々なニーズ把握に努めています。子育て支援で、0・1・2歳の園児と一緒に遊ぶ「交流保育」、離乳食を食べ始めている子ども対象の「離乳食・ランチ交流」、「育児相談」は毎日受け付け、「園庭・園舎開放」もしています。育児相談や交流保育などで気になるケースについては、園長の発達相談を紹介したり、相談内容に応じて関係機関と連携をとる体制が出来ています。
地域の保護者向けに子どもの生活についての学習会、近隣の地域ケアプラザで育児相談や赤ちゃん体操・手遊び・絵本の読み聞かせなどを行っています。出向いた先では園の子育て支援情報やお知らせなどの情報を提供しています。横浜市こども青少年局事業「親と子のつどいの広場」、西区主催の出前合同育児講座「地域親子ふれあい会」へ保育士の派遣も行い、連携する保育園と日常的に情報を交換しながら、より良い支援ができるように努めています。
法人では、法人内の保育・障がい児・学童などの施設長会議にて各分野の情報を収集するほか、西区の施設長会議、幼保小連携会議、障害関連は自立支援協議会に参加して、地域のニーズの把握と、地域との連携に努めています。理事会に地域の方に入ってもらい、地域の問題点を把握して、法人として何をしていけるかの検討もしています。
5 運営上の透明性の確保と継続性 法人のホームページでは、保育の様子のほか、月間指導計画、事業報告書、決算報告書を公表し、保護者専用のサイトでは、日々のクラスの子どもの様子を見られるようにしています。玄関には、事業報告書、事業計画書、決算報告書が載った総会資料を公表しています。
法人として、2016年度から5ヵ年、2016年度から10ヵ年の、中・長期計画があり、それをもとに、「福祉事業内容の充実と向上」、「職員育成」、「やりがいのもてる職場づくり」、「地域・行政との連携協力の促進」、「事業継続のための資源管理・確保」、「子育て支援」の内容で、法人内3保育園共通の中・長期計画が作成されています。
次代の事業運営に備えた幹部職員の育成は、「職員のキャリアパスと研修」をもとにした講師の経験及び研修や、幹部職員との面談、施設長業務への同行、市や全国の保育研究大会などでの実践発表を通じて自信をつけさせるなどで育てています。
6 職員の資質向上の促進 必須経験年数に応じた業務内容と期待水準、研修の講師を中堅職員は新人職員、リーダー職員は中堅職員、管理職はリーダー職員にするなどが記載された「職員のキャリアパスと研修」が作成され、人材育成を組織的に行っています。職員へは年2回、園長・主任との面談を実施し、業務内容について自己評価を行い、事業所や、個々の今後の課題や目標、満足度、要望、悩みなどについて話し合いをしています。
内部の研修計画が策定され、習熟度別に年間10テーマの研修と、体操、水泳、食育などの実技研修が実施されています。研修は非常勤職員も含め受けられますが、勤務時間内での研修実施にまでは至っていません。外部研修は希望すれば非常勤職員であっても行くことが出来ます。研修後には研修報告書が作成・回覧され、業務に取り入れられそうなものについては、午前睡時の会議・職員会議で検討され、有効なものは取り入れ、その後の見直しもしています。
実践報告会では、個々の職員がレポートを出し合います。チーム会議で自分のレポートが選ばれると、非常勤や新人職員であっても発表者になりえるため、職員のやる気につながっています。また、毎月、書類作成と制作を合わせて6時間、行事の際には、行事準備3時間、行事前日2時間までの残業手当を保障することで、金銭面でのモチベーションの維持につながっています。

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