かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

横浜みなみ薫保育園

対象事業所名 横浜みなみ薫保育園
経営主体(法人等) 株式会社薫学園
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 232 - 0013
南区山王町4-25 KAORUビル 1・2階
tel:045-334-7001
設立年月日 2012(平成24)年05月01日
公表年月 2016(平成28)年11月 〜
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 特定非営利活動法人 よこはま地域福祉研究センター
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

【施設の概要】
横浜みなみ薫保育園は、横浜市営地下鉄「吉野町駅」から徒歩1分のビルの1階、2階にあります。平成24年(2012年)5月に株式会社薫学園によって開設されました。交通に便利でありながら、周囲は日枝神社や蒔田公園など多数の公園があり、環境に恵まれた立地となっています。
園は、1階フロアのワンルームに3、4、5歳児保育室、温水シャワー付き幼児用トイレ、多機能トイレがあり、幼児保育室は必要に応じてスライドドアで分けて使用しています。2階フロアにある0、1、2歳児保育室は、保育園児の個人ロッカーなどの棚で区切られており、一目で全体を見渡せます。状況に応じてカーテンで区切って使用しています。0歳児室には沐浴槽があり、乳幼児トイレには温水シャワーがあります。事務室、調理室は5階にあります。また、園の専用遊び場として3階のホールを借りていて、子どもたちは活発に体を動かしています。定員は60名(生後5ヶ月から就学前まで)です。延長保育を実施していて、開園時間は7時30分〜20時00分、土曜日は7時30分〜16時00分です。

1.高く評価できる点  
●子どもたちは自主的に行動し、園生活を楽しんでいます
保育士は、子どもの主体性を尊重して、見守る姿勢を重視した保育を実施できるよう努めています。日常生活の中で、子どもたちが自分のことを自分でできることを大切にしています。
朝の合同保育の時間に、一人の幼児が「3のところになった」と言い、みんなで片付け始めました。その後、保育士が「3になったから片付けましょう」と子どもたちに声をかけていました。
また、別の場面では、散歩から帰った子どもたちは、それぞれが帽子を片付け、手洗い、うがいをしたり、トイレに行くなどしています。カバンから出した箸箱や濡らして絞ったハンドタオルをテーブルにセットし、給食の準備のできた子どもから絵本を持ってきて椅子に座り読んでいます。この一連の動きは保育士の声掛けや促しがなくても行動することができていました。
子どもたちは、日々の保育の中で年齢に応じた基本的生活習慣を身につけています。できたことを褒め、認めて保育士は一緒に喜び、子どもとの信頼関係を築く中で子どもの自主性を育てる保育を実践しています。また、保育士は、子どもの言葉や反応、表情などから子どもの気持ちを把握しています。保育の計画の日案や週案はあらかじめ作成していますが、日々の活動は子どもの興味や発言から柔軟に対応しています。このように、子どもたちは保育士に見守られてのびのびと毎日元気にさまざまなことに取り組み、多くのことを学んでいます。
●職員は連携して、保育理念の実施を目指しています
園長・主任のリーダーシップのもと、理念を共有し、園が目指す方向性について常に話し合いを重ねています。園長は日々の日誌や指導計画に目を通し、常に理念に基づく保育が実施できているか保育士に働きかけています。保育士は、園外活動で横断歩道を渡るとき、車の往来を確認して、両手を広げて子どもたちが安全に渡れるよう配慮しています。交代する時は「変わります」「戻ります」と声を掛けあっています。保育室で子どもがおもらしをした時は、小さな声で応援をたのみ、子どもの羞恥心を配慮して着替えが終わってから、ほかの子どもにトイレに行くよう声を掛けるなど、職員間の連携が図られています。クラス間の活動もクラス担任が話し合い、隣のクラスが静かな活動のときは散歩や園庭で遊んだり、静かに過ごす工夫をしたりと連携をしています。また、毎月計画している食育は幼児担任と給食室職員が連携して実施し、子どもたちは味噌作り、梅ジャムやシロップ作りなど、さまざまな食材に触れ活動しています。
職員ヒヤリングでは、多くの職員から職員間で相談しやすく、話しやすいとの声がありました。園長・主任を中心に職員同士の信頼関係が築かれたチームワークができています。
●保護者と信頼関係を築いています
園は子育て家庭の支援として、保護者との連携を大切にしています。玄関のホワイトボードには全クラスのその日の様子が書かれ、ほかのクラスの様子も知ることができます。全園児が連絡ノートを持ち、情報交換しています。また、1年間の保育の写真をDVDにして年度末に保護者に渡して情報を提供しています。園ではクラス毎にある『伝達ボード』を活用して連携を深めています。子ども全員の欄があり、さらに、0歳児はミルク、睡眠、排便の状況等、細かく書面に記載して伝達しています。登園の受け入れをする保育士は、『伝達ボード』を見て、前日の気になることについて、保護者に帰宅後の様子を聞き、聞いたことを繰り返し言葉にして確認しています。その後、聞いた保育士は担任に伝えています。クラス担任以外でも担任と同じように保護者に対応することで、保護者とも良好な関係を築いています。利用者家族アンケートでも、職員の対応の満足度が高く、また園の総合満足度は97.6%となっています。

2.独自に取り組んでいる点
●文化の違いを尊重した対応に取り組んでいます
園には、現在定員の21.3%の外国籍の子どもたちが在籍しています。国籍は中国・フィリピン・ナイジェリア・ベトナム・タイ・アメリカとさまざまです。園長は、文化や生活習慣、考え方の違いを認め尊重しようと海外の習慣を調べて対応しています。保護者の要望を始めから否定せず、乳児のピアスなど危険の伴うものは話し合って納得できるよう取り組んでいます。面談や重要事項は通訳を依頼して保護者と向き合うように配慮しています。また、タガログ語を話す保護者が多かったときには、タガログ語を話す職員を非常勤で採用する等、工夫しています。宗教上もできるところは協力するなど、受け入れる姿勢で取り組んでいます。
3.工夫・改善が望まれる点 
●地域子育て支援の充実が期待されます
保育士は散歩で会った地域の人と積極的に挨拶を交わし、公園では遊びに来ている親子と交流する姿が見られます。食育の食材を近隣の商店に買い物に行き、ハロウィンで近所を回るなど地域に親しんでいますが、調査時点では、地域住民への情報提供や育児相談の対応についての積極的な取組は行われていません。
今後は、保育園が培ってきた育児に関する豊富な知識や経験を活かして、地域住民に向けた身近な子育て支援、離乳食や読み聞かせの講習会や育児相談に応じるなど、保育理念にうたっているすべての子育て家庭の支援を行うことが期待されます。
●マニュアルを整備することが望まれます
園では、感染症対応・事故防止・事故対応などのマニュアルは作成されていますが、どのような手順で行うのか具体的な方法や配慮事項などが示されていないもの、さらに苦情対応、ボランティア・実習生受け入れマニュアル等、整備のされていないものもあります。現在は園創設からの経験のある保育士が多く、口頭で伝えあって把握していますが、年度末の自己評価では清掃方法が人によって違うという指摘がありました。今後は、マニュアルにどのようなことを記載し、見直しの頻度をどのようにするのかなどを職員間で話し合い、必要なマニュアルの整備を行うことが望まれます。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重

・保育理念は「1.子どもの人権や主体性を尊重し、最善の利益を守り、その福祉を積極的にすすめます。2.地域社会との連携を図り、すべての子育て家庭の支援をおこないます。3.人の一生の基礎となる、ゆるぎない健全な人格の土台を築きます。」と定め、理念を基に保育方針を「安心(SAFETY) 安全(SECURITY) 安定(SANCTUARY)」保育目標を「たのしくあそび たのしくまなぶ」としています。職員は保育理念や保育方針、保育目標が記載された「保育課程」を配布され、これを基に指導計画を作成しています。
児童票等の個人情報に関する記録類は、事務室の鍵の掛かる棚で管理しています。個人情報の取り扱い、守秘義務については管理規定に明記されており、入社時に
説明をしています。保護者に対しては入園説明会で説明し、了解を得ています。園内の写真掲示については同意書を交わしています。
・子どもに話しかけるときには、子どもが分かりやすい言葉で話しかけ、子どもの話を聞こうという姿勢で保育を行っています。子どもの人権を尊重することは、当たり前のこととしており、子どもから出た言葉は『どうして出た言葉なのか』を考えるように心がけています。


2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供 ・保育課程は、保育理念や保育方針、保育目標に基づき、一人一人の子どもの発達過程や家庭状況を踏まえ、保護者の就業状況や地域の実態、周囲の環境等を考慮して作成しています。
・園内外の清掃は良く行われ、施設は清潔に保たれています。施設内の温・湿度は外気温や子どもの様子を見て、各保育室で日々適切に管理しています。
・幼児、乳児はそれぞれワンルームになっていますが、活動内容に応じて保育室を仕切っています。また、隣のクラスが午前睡や落ち着いた活動をするときは散歩や園庭で遊ぶ、静かに過ごすなど工夫をしてお互い連携しています。
・0、1、2歳児は、子どもの生育歴や心身の発達を考慮して、保育士は個別の目標・計画は定期的に見直すだけでなく、子ども会議(ケース会議)などで個々の子どもの様子を話し合い、柔軟に変更・見直しを行っています。個別指導計画の作成・見直しにおいて、離乳食の進め方やトイレットトレーニングの対応等、子どもの発達状況に合わせて保護者と連携を図り、意向を確認しています。
・玄関にホワイトボードを掲示して、各クラスの活動の様子を知らせています。
子ども全員に連絡帳があり、保護者と情報交換をしています。降園時に園での様子を保護者に伝えるときには、担任以外でも伝達漏れがないよう伝達ボードを活用しています。保護者の希望があるときは個別面談を行い、懇談会は年2回行っています。懇談会は保護者が参加しやすいよう実施日を平日と土曜日の交互に行っています。個人面談についても、期間を定めるなど、保護者が参加しやすいよう工夫することが期待されます。
・保護者から相談を受けたときは、人に聞かれないよう3階ホールの面談室で行うよう配慮をしています。相談を受けた保育士は園長・主任に報告し、解決策等を一緒に検討しています。
・園だよりを毎月発行し、日々の保育の様子は玄関に掲示しているホワイトボードやブログで知らせています。クラスごとの懇談会で保育内容・目的を説明し、1年間の保育の写真をDVDにして年度末に各保護者に渡しています。
3 サービスマネジメントシステムの確立 ・保護者の事情や子どもの状況を考慮して、保護者と話し合い、ならし保育を実施しています。0、1歳児については、所定の連絡ノートを使用し、毎日子どもの様子について丁寧な連絡を心がけています。保護者も家庭での様子を記入して相互に理解を深めています。2歳児からは必要に応じて連絡帳を使用し、家庭からの連絡には必ず返信をしています。
・保育士は積極的に障害児保育の研修に参加し、子ども会議(ケース会議)で報告をしています。職員は学習をし、話し合える体制ができています。
・園長は南区虐待予防研修などに参加するごとに職員会議で伝え、全職員に説明しています。虐待が明白になった場合は、南区福祉保健センターなどの関係機関に迅速に通告・相談する体制を整えています。疑わしい場合や見守りが必要な場合は、ソーシャルワーカーや横浜市中央児童相談所、南福祉保健センター(保健師)などと連携し、常に見守る体制ができています。
・全職員にアレルギー疾患についての必要な知識や情報を周知しています。食物アレルギーの子どもに対しては、子どものかかりつけ医の「アレルギー疾患生活管理指導表」を提出してもらい、保護者と常に連絡を取り合い、食材の確認をして除去食を提供しています。除去食を提供する場合は、専用のトレイに名札をつけ、給食室職員が保育士に渡す際確認しています。
・外国籍等、海外の習慣を調べるなどして、文化や生活習慣、考え方の違いを認め、尊重するように配慮しています。保育士は色々な国の言葉の歌を披露したり、国旗をカードで紹介したりして他の子どもたちが理解できるよう努めています。保護者にはメモを用意し、わかりやすいよう伝えています。面談や重要事項等は通訳を通して対応しています。タガログ語を話す保護者が多くいたときには、タガログ語を話せる職員を非常勤で採用するなどして対応しています。
・園は、年4回開催の運営委員会、年2回開催の懇談会、意見箱などで保護者の意見、要望や苦情を聞いています。保育士は保護者と積極的に会話し保護者の意見・要望を聞くよう努めています。利用者家族アンケートでは職員の意見や要望への対応についての満足度が95.2%と高い支持を受けています。
・「苦情申出窓口の設置について」に第三者委員を交えて対応する仕組みが明記されています。また、園独自で解決が困難な場合には南区こども家庭支援課など、外部の機関と連携しています。日常会話や懇談会、連絡帳などで寄せられた保護者の意見、要望はすぐ園長、主任に報告する体制ができています。保護者の意見、要望は職員会議などで対応について話し合っています。
・感染症のマニュアルがあり、感染経路、嘔吐物の処理方法、登園基準等が明記されています。登園基準は入園のしおりにも載せて保護者に知らせています。保育中に感染症の疑いが生じた場合は、保護者に速やかに連絡をし、保護者の事情も考慮しています。感染症発生が明確になったときは、玄関のホワイトボードに掲示して速やかに保護者に情報を知らせています。しかし、マニュアルには保育中に感染症の疑いが生じた場合の対応等は明記されていません。感染症に関するマニュアルを見直し、感染症疑いを含め、発生した場合の対応手順、保護者への周知方法等を明文化することが望まれます。
4 地域との交流・連携 ・地域の子育て支援ニーズについては、南区保育園園長会や私立保育園園長会に参加して、他保育園と情報の共有化をはかり、把握しています。
・見学者から育児相談を受けることはありますが、地域住民を対象とした育児相談は行っていません。バス通りに面していることを利用して、給食のレシピを取りやすいところに掲示したり、地域住民を対象とした育児相談を実施したりする等の取組が期待されます。
・5歳児は小学校から招待を受けて、学校給食を生徒と一緒に食べる等の交流をしています。小学校から校庭で遊ぶ承諾を得ており、いつでも遊びに行くことができます。神社のお祭りでは提灯を提供し、地域の夏まつりのときには園のプールを貸し出しています。園でハロウィンを行ったときには、散歩先で挨拶を交わしている方にお願いして、子どもたちにお菓子を渡してもらいました。
・ボランティア受け入れの実績はありますが、受け入れのマニュアルはなく、記録も整備されていません。受け入れにあたり、事前に掲示するなどして保護者に知らせたり、受け入れの方針等を職員に説明する等、ボランティア受け入れの体制を整備することが望まれます。
5 運営上の透明性の確保と継続性 ・ホームページがあり、園の特色や食育への取組、行事等の情報提供をしています。パンフレットには、延長保育の時間や保育料以外の負担金等を載せて情報提供をしています。パンフレットは南区役所に置いてもらっています。
・入園希望者等の問い合わせには、園長・主任が対応しています。問い合わせの際は、見学ができることを伝えています。見学の曜日や時間については、保育の様子を見てもらえる時間を勧めますが、見学希望者の都合に合わせて対応しています。見学のときには、パンフレットに基づいて保育方針等を説明しています。
・服務規程などに、組織及び職員が守るべき法・規範・倫理などが明文化されていて、「全国保育士会倫理綱領」も用いて職員会議などで職員に周知しています。
・ゴミの分別、資源回収などの取組を行っています。年に1度、資源循環局のイーオくん・ミーオくんが来訪し、環境学習を受けています。牛乳パックでお神輿や椅子を制作したり、ペットボトルを活用したり、子どもたちには「もったいないばあさん」を読み聞かせてリサイクルに取り組んでいます。
・園長は横浜市や南区の園長会や他法人の施設長会等、各種会議や学習会に参加し、事業運営に影響のある情報を収集・分析しています。重要な情報は職員会議で報
告し、重要改善課題として設定しています。
・運営面での重要な改善課題について、職員会議で話し合いを重ねて、保育所全体の取組としています。例えば、雨の日の遊び場の工夫など園全体で改善に取り組んでいます。
・園長や理事長は、新たな経営手法を取り入れるための会議や勉強会に参加して新たな仕組みを常に検討しています。運営に関し、会計事務所や弁護士、社労士、防災の専門家などからアドバイスを得ています。
6 職員の資質向上の促進 ・実習生受け入れの実績があり、実習目的に応じて入るクラスを決めたり、同一クラスで実習をしたり、絵本の読み聞かせをしてもらう等、効果的な実習になるよう工夫しています。
・保育士は横浜市や南区主催の研修、白峰学園保育センター主催研修、他法人の研修などの外部研修に積極的に参加しています。研修に参加した職員は研修報告書を作成し、職員会議で報告しています。障害児が落ち着く環境作りなど、研修の成果は保育の現場で活かされています。
・保育士一人一人が振り返りを文章にできるよう、自己評価の書式は定型化しています。自己評価は計画で意図した保育のねらいが達成されたか記入して保育士同士で確認しています。保育の自己評価は毎月の子ども会議などで子どもの成長や意欲、取り組む姿勢などを話し合い、子どもの言動を重視して自己評価を行っています。
・職員には行事等の係、保護者対応等権限を委譲し、責任を持たせています。最終責任は園長にあるとして報告、相談するよう伝えています。職員は、職員会議前にレジメを配布され、あらかじめ考えてから出席するようにしています。職員間は風通しが良く、会議では業務改善などの意見が言える環境が作られています。
・職員のモチベーションを高めるよう研修や勉強会は行われていますが、経験・能力や習熟度に応じた役割や期待水準として明文化し、職員の目標を設定することが望まれます。

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