かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

特別養護老人ホーム 新山下ホーム

対象事業所名 特別養護老人ホーム 新山下ホーム
経営主体(法人等) 社会福祉法人 横浜社会福祉協会
対象サービス 高齢分野 特別養護老人ホーム
事業所住所等 〒 231 - 0801
中区新山下3-15-5
tel:045-625-1916
設立年月日 1992(平成4)年05月01日
公表年月 2016(平成28)年11月 〜
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 株式会社フィールズ
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

[施設の概要]
 特別養護老人ホーム「新山下ホーム」は横浜駅からバスで25分、バス停「みなと赤十字病院入口」から徒歩1分の所にあります。平成4年に社会福祉法人 横浜社会福祉協会が開設し、現在は入所定員54名、ショートステイ定員16名の施設として運営しています。鉄筋4階建ての1〜3階を使用し、二人部屋7室、4人部屋14室の構成です。平成28年7月1日現在、本入所54名、ショートステイ16名が利用しています。本入所利用者の平均年齢は85歳で平均要介護度は4.0です。
 法人の経営理念である「福祉の追求」を施設運営の基本方針としています。施設では「利用者を敬い、利用者が幸福と思える施設」を目指しています。職員は、アットホームな雰囲気を大切にし、明るい雰囲気と笑顔を心がけて日々利用者支援に努めています。

≪優れている点≫
1.モチベーションが高い職員が明るい雰囲気を作り、利用者の笑顔につながっています
 新山下ホームが好きという職員が多くいます。ベテラン職員が新人職員育成を担当して、シフト勤務、夜勤業務を一緒に行い、知識、技術の伝達だけでなく、成長する仕組みの中で施設に対する愛着も引き継いでいます。職員同士のコミュニケーションも良好で、先輩の職員に対してもサービス改善の意見等を気軽で自由に言える雰囲気があります。
 施設運営に欠かせない研修(感染症、人権・虐待、個人情報保護、苦情解決、事故防止など)については、施設内の教育委員会が中心となり年間計画を立て、職員や外部の専門家を講師に招いて実施しています。毎月1回を目安に介護職員が集まる寮母会は、利用者一人一人の介護や業務の改善に向けた話し合いが、立場上の上下に関係なく自由な雰囲気のもとで話し合われており、介護技術の研鑽の場になっています。法人内の6つの施設が連携し、サービス技術向上を目指した事例研究等を行っています。こうした背景のもとに施設内には職員の意欲的で自由な雰囲気が漂い、利用者や施設に対する愛着も深まり、モチベーションを高めています。
 職員は研修で得たことをもとに、利用者の言葉に傾聴し、しっかりと思いを受け止めることを心がけています。また、職員間の連携のなかで、利用者の思いや気持ちに対しての支援にも継続性に努めています。チームワークの良さから生まれる職員の心の余裕が良い雰囲気となり、利用者の笑顔につながっています。

2.医療依存度の高い利用者を多く受け入れ、横断的・組織的な取り組みにより健康を維持しています
 医療依存度の高い利用者には、生活全般にかかわる各人の状態に応じた多くの課題を把握しています。入所時のアセスメントで利用者ニーズと課題を把握し、処置や予防対策をしています。個別支援計画は課題を細分化し、それぞれの課題に目標を設定しサービス内容を具体的に展開しています。
 カンファレンスでは看護師、介護士、栄養士、相談員及び嘱託医が連携を図り、具体的なケア方法を協議しています。看護・介護ではカーデックスを用い、感染の危険性や便秘、食欲不振、喀痰吸引など、個別に対応して異常の早期発見や予防に努めています。経管栄養、酸素療法、カテーテル等医療依存度の高い利用者を平成28年度は14名(利用者全体の26%)受け入れ、横浜市の医療対応助成金の対象施設となっています。痰の吸引等の医療行為の一部が行える「認定特定行為業務従事者」の認定を受けている職員が8名います。
 各利用者の睡眠状況や不穏状況、認知症の周辺症状を把握し、拘束や事故リスクを避ける工夫をしています。身体拘束委員会とリスクマネジメント委員会が連携し、身体拘束を行わず、事故を防ぐ取り組みをしています。身体拘束廃止マニュアルを整備し、職員に向けて虐待・身体拘束・人権擁護に関する施設内研修を毎年実施しています。利用者の特徴を把握したケアにより平成26年6月から身体拘束は行われていません。
 また、日常の大半をベッドで過ごされている利用者は、褥瘡発生のリスクが高いため、褥瘡の危険要因を点数化し、血液検査、皮膚観察、処置、食事などに配慮し予防的処置を行っています。リスクの高い人には入浴時の観察や処置、就寝時にはエアマットを入れ、褥瘡を予防しています。看護師を中心に褥瘡予防委員会が有効に機能しており、現在褥瘡疾患者は一人もおらず、状態観察や食事、検査で未然に防ぐ取り組みとなっています。

3. ターミナルケアへの取り組みが利用者の安心感につながっています
 ターミナルケアに取り組んでいます。平成27年度は4名の看取り介護を行いました。「看取り介護についての同意書」を作成し、家族や主治医に確認して署名をもらっています。医師、家族と看護、介護職員がチームを編成し利用者が不安を感じないように支援しています。内科医が月、木の週2回往診し利用者を診ています。職員向けと家族対応のターミナルケアのマニュアルを整備しています。また、毎年ターミナルケアに関する職員研修を実施しています。平成27年度は2月に施設内研修を実施し、ターミナルケアに関する職員意識の向上を図っています。

4. 食べることの大切さを重視した食事支援に努めています
 食事委員会を立ち上げて、食べることを大切にした食事支援に努めています。季節ごとに旬の素材を活かした料理を提供しています。朝食はパンとご飯の選択ができます。月に一度は夕食の主菜の肉と魚による選択食を提供しています。正月、節分、ひな祭り、七夕、納涼祭、敬老会、クリスマス会等のイベント時には、季節の食材を使った行事食で利用者に季節を感じてもらえるようにしています。利用者の嚥下状態に応じて一口大食、キザミ食、極キザミ食、ミキサー食など個々の食形態での食事を提供しています。介護、看護、栄養及び厨房担当職員が連携し、利用者の体調変化に対応し食事に反映しています。利用者の栄養ケアマネジメントを実施して、3段階の栄養リスクを設定しています。リスクの高い利用者は2週間ごとに栄養ケア計画の見直しを行っています。
≪改善することが期待される事項≫
1.利用者の身体機能向上を目指し施設の組織的な取り組みが期待されます 
 機能訓練指導員として看護師が担当し、必要に応じ、希望する利用者に対して嚥下体操や足の屈伸など個別機能を高める訓練を実施しています。個別支援計画にも、事案に応じた計画やサービスが見られますが、施設全体として個別の利用者の心身状況に応じた機能向上プログラムを作成するなどの対応は見られません。利用者の日常生活の自立度を高め、機能向上の目的を定めた機能訓練に対する組織的、計画的な取り組みが期待されます。
2.家族との情報交換、協力しあえる環境作りへの取り組みが期待されます 
 利用者に対するイベントは、毎月開催していますが、家族に向けた行事は年1回の敬老祭り、懇談会となっています。個別支援計画作成の際には、家族の希望や意見を聴く機会を設け施設計画に反映させる努力をしていますが、実際に面談することは少なく手紙や電話でのやり取りを行うケースが多くなっています。利用者を支援していくには家族と協力し合える関係作りは大切です。家族との信頼関係を築くよう家族に負担のない範囲で、懇談会や介護教室、イベントなど施設側から積極的に呼びかけを行っていくことが求められます。

3.地域に対する施設の理解につなげる取り組みが期待されます
 災害発生時の対応として、中区役所と地域防災拠点の締結を行い、災害時の応急備蓄や被災者等の受け入れ場所としています。地域住民やボランティア等との間で災害発生時の協力体制を作っています。また、地域住民の相談や利用者・家族の相談内容に応じ関係機関との連携を担当する職員を配置し、日常的な連携を図っています。
 しかし、利用者の徘徊等に係る地域連絡協議会は存在しますが実働となるまでには至っていません。また、施設内では関係機関名や団体名のリスト化はされておらず、関係機関や団体等のかかわり方のマニュアルについても未整備となっています。施設に隣接する同じ法人の地域ケアプラザの地域活動と連携し施設としての地域活動の一層の拡大を図ることが期待されます。地域住民の一人としての施設利用者の意識の強化を図るとともに、地域への施設開放や備品の貸し出し等を通して、地域に対する施設への理解につなげる取り組みが望まれます。

4.職員間の情報共有の仕組みの整備が望まれます
 介護部門、看護部門、栄養部門、相談部門それぞれのサービス管理の情報管理はできていますが、部門間の情報共有の仕組みは課題となっています。効率化のためにもパソコンなどの活用も検討課題となります。個別支援計画、栄養計画、看護記録や日々のケース記録などを部門間で相互に迅速に共有できる仕組みの整備が望まれます。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重  「福祉の追及」をホームの理念に掲げています。理念の項目に「ご利用者幸福の追求」を掲げ、利用者を尊重し、生命、自由、プライバシー、個々人の人格権を守りQOLの向上に根差した、真の満足を追求することを明記しています。毎月、理念を職員で唱和し理念の実践に向けて意識の共有を図り、実践につなげています。
 「個人情報管理規定」や「基本方針」を整えています。職員に対して個人情報の守秘義務に関する誓約書を取っています。利用者との契約書・重要事項説明書では守秘義務や個人情報の利用目的を明示し、「個人情報使用同意書」を貰っています。個人情報に関する書類はカギのかかる書庫に入れ事例検討等で使用する際などは不要な情報は削除しています。
 身体拘束委員会・リスクマネジメント委員会を中心に、身体拘束を行わない取り組みをしています。身体拘束・人権擁護に関する施設内研修を毎年実施しています。拘束やリスクを避けるために、各利用者の睡眠状況や不穏状況、大声で騒ぐなど認知症の身体状況について1日のリズムを把握し、対応を工夫しています。平成26年6月から身体拘束は行われていません。また、全員参加の寮母会(介護職員のミーティング)が毎月開かれ、利用者への個別ケアに対する取り組み方や業務改善について話し合い、不適切な言動が行われないようにしています。
2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供  アセスメントを実施し利用者ニーズの把握に努めています。利用者の入所時及び3ヶ月後とその後毎年1回定期的に、及び利用者の状態の変化に応じて随時実施しています。アセスメントの結果を「課題分析」シートに記録し、個別支援計画に反映しています。課題分析シートに利用者の健康状態と病気の状況、ADL、食事、排泄、入浴等の日常サービスの介助のレベル、コミュニケーション能力、褥瘡や医療依存の状況等利用者支援のニーズを明記しています。
 個別支援計画の短期目標に沿って6ヶ月ごとにモニタリングを行い「モニタリング記録表」に記録しています。モニタリング記録表には、短期目標の課題項目ごとにサービス内容の実行確認を行い、利用者本人及び家族の意見・要望等を明記しています。また、モニタリングの結果やケース記録の情報をサービス担当者会議で検討し、年に1回定期的に個別支援計画の見直しを行い本人・家族の同意を得ています。
 利用者の栄養ケアマネジメントを実施しています。利用者のリスクレベルに応じ栄養ケア計画の見直しを実施しています。栄養ケア計画に本人・家族の食事に関する要望や、解決すべき課題、長期・短期目標を明記しています。3ヶ月ごとにケース会議を開催し、利用者の栄養状態に関する職員間の意識の共有を行い、看取り状態の利用者においても好みの食事に配慮した支援を行っています。
3 サービスマネジメントシステムの確立  利用者・家族の要望や苦情を訴えやすい仕組みを整えています。契約書や重要事項説明書には苦情の受付について窓口担当者、解決責任者、第三者委員、外部の権利擁護機関の名称や電話番号を明記すると共に、玄関ロビーにも掲示しています。1階エレベーター横にはご意見箱を設置しています。毎年9月に家族懇談会を実施し、家族の意見や要望を把握する機会にしています。
 感染症対策委員会を中心に組織的に感染症の蔓延予防に取り組んでいます。利用者・職員へのレントゲンやインフルエンザ予防接種、手洗い・マスクの励行、面会時手洗いの徹底、家庭への案内等予防策を行っています。看護師・栄養士が講師となり、年2回研修会を開催し、食中毒やノロウイルス等の感染症に対する職員の意識を高め、予防策を講じています。朝のミーティングでの情報提供や注意喚起を行い、施設内衛生管理や職員の健康管理を行い、平成27年度は感染症の集団発生を食い止め、職員の病欠を抑える効果を上げています。
 リスクマネジメント委員会を毎月開催し、事故防止、事故対応に組織的な取り組みを行っています。事故やヒヤリハットの内容や事故対応の記録に基づき、課題となる利用者を対象に原因分析を行い、設備や介護用品、業務の改善を図っています。マニュアルの活用や事故防止の仕組み作りに努めています。神奈川県社会福祉協議会主催の本年度の「第15回かながわ高齢者福祉研究大会」では事故防止の取り組みについて発表しています。
4 地域との交流・連携  地域住民の相談や利用者・家族の相談内容に応じ関係機関との連携を担当する職員を配置し、日常的な連携を図っています。利用者の徘徊等に係る地域連絡協議会は存在しますが実働となるまでには至っていません。また、施設内では関係機関名や団体名のリスト化はされておらず、関係機関や団体等のかかわり方のマニュアルについても未整備となっています。これらを整備し情報の共有化を図ることにより、職員の地域への認識を高めていくことが課題となっています。
 地域の3つの中学校と1つの高校生徒の体験学習を受け入れ、福祉の仕事に興味を持ってもらえるように取り組んでいます。平成27年度は93名の生徒の体験学習を受け入れています。毎年8月の施設の納涼祭には地域住民に参加を呼びかけ地域交流を図っています。平成28年の納涼祭には約30名の地域住民が参加しました。町内会主催の行事にも参加しています。今年8月の新山下町内会夏祭りには、職員と6名の利用者が参加しました。他にも地域の保育園の卒園式に出席するなど地域交流を図っています。
 洗濯や洗面台掃除、車いす修理ボランティアなど毎週定期的に施設を訪問してくれる個人ボランティアがいます。平成27年度は延べ150名のボランティアが活動しています。今後は、ボランティア受け入れマニュアルを整備し、地域のボランティアの拡大を通して地域住民への福祉の意識強化につながる活動を期待します。
5 運営上の透明性の確保と継続性  就業規定、服務規程に職員の心得を明記し、入職時に説明し職員が守るべき規範・倫理を周知しています。人事考課表に職員が守るべき規律、責任等を明記し職員の行動基準を定めています。また、施設の運営規定に、施設は、利用者の意思及び人格を尊重し、常にその者の立場に立って施設サービスを提供することを明記し職員の倫理意識の向上を図っています。法人としての施設運営の収支情報等をホームページ上に開示し透明性を図るなど社会的責任に努めています。
 理念を明文化し職員全員で唱和し、理念の実践に向けての意識の強化を図っています。人事考課制度の一環としての目標設定シートを作成し、職員の目標達成をサポートする仕組みがあり、年2回の本人と直属上司が面接を通して個々の職員の目標達成と理念実践の成果を評価しています。また、新人育成担当職員を決めて担当職員より主任が報告を受けて育成の成果を確認する仕組みを整備しています。
 入退所に関する注意事項等については入所時に「重要事項説明書」を用いて詳細に利用者・家族に説明しています。入退所委員会を設置し、毎月定期的に委員会を開催しています。委員会は施設長や各部門の主任クラスの職員が出席し、中区や地域のケアマネジャーの待機順位変更依頼等について検討し、議事内容を記録しています。ご利用者やご家族から要望があった場合は、検討内容のご本人部分について公開し、待機期間中での相談に応じて必要なときには助言等をしています。さらに入退所決定の透明性・公平性を高めるために、第三者による委員の参加が期待されます。
6 職員の資質向上の促進  キャリアパス制度に準ずる階級別人材育成計画があり、各階級の業務達成水準が明確にされています。法人としての目標支援制度を整備しています。各職員が年度の目標を定めた「目標設定シート」(人事考課表)を作成し、年2回の上司との面談で達成状況を確認しています。各人の目標達成を通して資質や技術の向上に向けて取り組むと共に、その達成度を人事考課に反映しています。 年間施設研修計画を立て施設としての研修を行っています。研修内容は理念・方針、感染症、事故防止、虐待防止、身体拘束防止、人権擁護、認知症ケア、ターミナルケア、個人情報管理、吸引等医療対応などです。研修時間は19時から21時まで非常勤も含め職員が参加しやすい時間帯にしています。参加できない場合は資料や議事録を回覧しています。また、外部研修や法人研修への積極的な参加を促し、外部研修を受けてきた職員は施設内研修で報告を行い、最新情報や技術を日常の業務に活かす取り組みをしています。 法人内の6つの特養・救護施設の各職種(介護・栄養士・看護師・相談員)が連携し、サービス技術向上を目指し研究会を行っています。前年度は法人による第1回事例技術発表大会が行われ、当施設の栄養士による研究発表で3位に入賞しています。また、おむつメーカーによる排泄ケアの勉強会を開催するなど外部講師による研修会も開催しています。

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